レビレート はちみつ太郎 作
１４ 「おめでたですね。１２週かな。」 　小百合はこの言葉を聞いた時、戸惑いを隠し、涙していた。帰宅し、まず先に告げたのは義母である豊乃だった。豊乃は、笑みを浮かべ心の中で応輔の顔と小百合の顔の重なった子供の顔を思い浮かべている。豊乃は尋ねた、圭輔には伝えたのかと、小百合の答えは首を横に振る。 　どうして伝えるか、どの顔で伝えるかと豊乃に尋ねるわけにもいかない。二人だけの内緒であると豊乃は言いたげに圭輔にはこれから帰宅後に伝えることを進める。それが自然だった。今、少し涼しくなった９月の中旬、受精した日はあの日しかなかった。圭輔と交わった前の日。計算ミスのしようのないあの日のことだった。 　どちらの子かなんて考えるより明らかだった。豊乃の視線は、蔑みの目ではなく安堵の目をしていた。圭輔ではなく応輔の子である事は科学的な見地から明らかだったからだ。応輔との逢瀬の翌日、アリバイ工作のように交わったことを豊乃は知らない。が、そうするように仕向け、二人の時間を作ったことは豊乃の仕組んだ小百合への配慮だった。 　小百合は帰宅した圭輔に懐妊を告げる。涙するまではいかないが、興奮を抑えることは出来ないようで、性別や、名前、画数など２時間ほど、豊乃らと話を続けていた。小百合は、心がそこにない。圭輔の言った、応輔には伝えた？という問いに、簡単な答えを言えず、原因ではないつわりを理由に席を外した。 　豊乃は、答えを代弁し、明日にでも自分が伝えると告げる。圭輔は小百合の体を気にし、部屋の布団を敷きに行く。小百合は豊乃に背を摩られながら、心の中の声を伝えた。 「これで、良かったのですか。」 「これでいいの、私は何も知らないし、知ってたとしても墓場まで持っていくわ。」 　小百合は、豊乃の顔を見ることなく、えづきに苦しみながら涙がこぼれている。圭輔が敷いてくれた布団に横たわると、圭輔は小百合の要望を聞き入れ一人にした。眠れる気分ではないが、横になり、目をつぶると、出てきた顔は応輔の顔だった。 　あの時から一度だけだった応輔の帰宅したひと月ほど前の盆休みのことを思い出していた。 　車で五十分の位置から数ヶ月ぶりの帰省をした応輔。８月１２日、親戚縁者が墓参りで訪れるのは明日からだろうか、帰省を迎えてくれる家族は小百合だけだった。前の日に、祭りのイベントの司会を終え、早目の盆休みを始めていた。１５日には出勤する３日だけの休日。その初日、豊乃は繁忙期で客の出入りが多いと店に出て、帰宅は朝日の出る頃だった。豪輔は、国会議員の地元里帰りにあわせ、翌月の選挙の準備に追われホテル泊まりの毎日だった。圭輔は、この日、高校、中学の同窓会を梯子している。帰宅しないことは小百合は聞いていた。応輔には伝えたつもりはないが、誰もいない空白の一日を選び帰省していることは、小百合にもそれ相応の答えを理解できていた。 「ただいまぁ、、、。」 「あ、お帰りなさい、だいぶ、日に焼けたね。」 「あ、あぁ、少し外バイトしてたし、、、小百合さん、痩せた？」 「あ、うん、少し、体調不良で、でも、最近は良くなってるかな、少し、また太り始めてる。」 「そうなんだ、あ、誰もいないんだよね、今日。」 「あ、うん、ご飯は？」 「あ、食べてきた、風呂、入っていいかな、汗かいてるし。」 「うん、溜めてないけど、シャワーでいい？それとも溜めようか？」 　別の答えを待っている応輔は次の言葉を出せていない。口ごもるように応輔はしていると、小百合は全てを感じ取る。あからさまな答えではなく、黙って眉を動かし、応輔の顔色を伺った。 「あ、じゃ、先に、、、、。」 「、、、。」 　小百合は声を出さずに頷くだけだった。応輔は帰省の荷物を離れの部屋に入れ込むと、着替えを持って風呂場のある母屋に向かう。小百合も同じく着替えを手にし階段を降りてきた。 「応くん、玄関の鍵、閉めた？」 「あ、うん、閉めた。兄さんは、同窓会？帰ってくるんじゃ？」 「ううん、ホテル泊まりだって、お父さんは、議員さんと、お母さんは、お店だし、今の時間は手が離せないと思うし。」 「だね、、、、。」 「でも、静かにしてないと、、、。」 「あ、うん。わかった。」 　脱衣に入った二人は、小百合が目を瞑った瞬間、応輔の唇が小百合の唇に被さる。舌は応輔から差し入れられる。小百合は、絡ませるように舌を捻じ込まれても抵抗なく受け入れていた。応輔の手は、小百合の乳房を服の上から摩る。少し、張りを感じたのは下着のせいなのかとだけ思った。柔らかく下から揉んでいると、応戦する小百合は、応輔の固くなっていた淫棒を摩り、ベルトのバックル、ファスナーを緩め、腰を引いた応輔に脱ぐよう促した。張ったトランクスの先端は、生地のグレーを染みさせ先端のにじみが見て取れる。 　小百合はそれを視線には落とさず、先を手のひらで緩く摩りながら応輔の反応を確かめた。 「大きくなってる。」 「だって、そりゃ、、。」 「なるよね。応くん、きれいにしようか？」 「うん。」 　応輔は、トランクスを脱がされると、シャツも脱ぎ、脱衣から風呂場へと足を進めかける。小百合の意図はそうではなかった。風呂場で湯を流すのではなく、汚れた淫棒を小百合の口で洗浄するという意味が、小百合のしゃがみ膝立ちで見当違いに気がついた。 「え、だって、小百合さん。風呂、入ってからのほうが。」 「いいよぉ、応くん、そうしたいし、、、してあげたい。」 　小百合の嗜好に応輔は一瞬も考えることなく、受け入れる。小百合は、しゃがんだまま膝立ちで着ていた薄いブルーのブラウスを脱ぎ去った。スカートは膝丈のフレアで、ホックを外すとしゃがんだままファスナーを緩めするするとその場に脱ぎ落とす。 　小百合の下着は、応輔の見慣れたものだった。ここに居た頃、幾度も拝借し、臭いをかぎ、クロッチの裏地に亀頭を擦りつけた黒の股上の浅いショーツだった。応輔は、口ごもるようにショーツのことには触れないでいた。小百合は、応輔の視線をショーツに感じるが、脱ぐことなく、淫棒の付け根を指で添え、先端を鼻先に近付けると牡のにおいを十二分に嗅ぎ取り、マーキングを消し去るように口で亀頭だけを頬ばり洗浄してしまう。応輔は、半剥けの亀頭の裏側を洗浄することなく小百合に頬張られ、少し恥ずかしさを覚えるが、丁寧に皮の裏側までしゃぶり、子猫を毛づくろいする親猫のように汚れを舐め取っていた。むせ返るようなこともなく小百合は、牡の臭いと汚れを自らと同化させるようにしていた。脱衣所で昔嗅いだ応輔のトランクスの裏側の臭いよりも濃く、ダイレクトな臭気と味気に小百合は興奮を抑えられないでいた。 　じゅぼじゅぼと音を立てながら小百合の頬張りは続いていた。応輔は誰も来ぬだろう脱衣の外をなんども気にしていた。小百合は上目で応輔の目線を同じように追うが、先端の張りが最大に近づくと二人の視線は重なり上下で重なっていた。 　小百合が視線を外し、一心に汚れを舐め取る。応輔は小百合の頭頂部を眺め、悦に入り始めた牡の性感域を堪えるのに必死だった。暴発を恐れ少し腰を引く応輔。引いた腰を抱き寄せるように小百合は口淫を深く施し、逃れられぬよう密接した。汚れはすっかり舐め取られているようだった。亀頭への刺激は舌の先から根元の辺りや頬の内粘膜で施される。 　熱くなる先端の滾りを小百合に伝えると、小百合の口から吐き出された亀頭は応輔の目に入る。先端が赤くパンパンに血流を帯び、汚れなくてかっている。小百合はもう一度先端を何度か舌で舐めると、肉茎の付け根を掴み立ち上がる。応輔の首元に抱きつき、耳元で小百合の性的嗜好を告げてしまった。 「応くんの、匂いが好き。、、、ここの、匂い。」 　ここと言う時に小百合の指先が陰茎をゆっくり扱いていた。頸もとの匂いではなく、汚れた陰茎の匂いに小百合は興奮を覚えると言っていると解釈した。 「お、おれも、、、小百合さんの、、、が、」 　同じ嗜好を持っているとでも言いたげだが、応輔はその先をいえない。今までしていた、風呂場での自慰行為をさらけ出すことは出来ないが、小百合の陰部へのダイレクトな接触を望んでいることは伝わっていた。 　小百合は、たったまま黒の股上の浅いショーツを脱ぎはじめ、足から取り去った。繁茂をさらけ出し、少し足を広げるとその足間に応輔はしゃがみこんでいた。三角になった足間の頂点にのみ臨む応輔。指で繁茂をさわり、腿の付け根の汗の臭いから嗅ぎ分けている。アンモニア臭が鼻にかかるが、吸い寄せられるように舌がその臭気の元を舐め取った。鉄臭い味が応輔の口内に広がる。感想を述べることなく、あわびの襞を押し分ける。膣肉が現れ、いっそうの鉄味が舌のなかに拡がる。小百合の膝が少し折れ、腰が落ちる。応輔の舌の動きに出してはならぬ声を脱衣所に響かせた。 「あんっ。」 　応輔は声の元を見上げる。尻のほうに手をまわし、下腹部を抱え込み皿のミルクを舐めているように見えた。小百合はどんどん腰が砕けていく。余した手を支えに使えず、スクワットのようなまま応輔の舌の動きを受け続けるしかない。応輔は小百合の尻にかけた手を離し、へその周りに舌を這わす。応輔は、手を小百合の背にまわし、上手にブラホックを弾き飛ばす。小百合は緩んだブラのストラップを腕から抜き、腕で両乳房を隠すようにしていた。応輔は小百合の腕をはだけさせると、尖りを下から見上げながら下乳を軽く押し上げている。乳首は上を向き、小百合は応輔を見下ろす。体の隙間から見える生殖器は、反りを見せ、先端にカウパーの腺液を纏っている。臍下への愛撫を続ける応輔。小百合は、大きくなり牡の臭気を撒き散らしている矛を口の中に収めたいと応輔に伝えた。恥ずかしげだが、応輔は小百合と同じく立ち上がる。小百合は、しゃがむ前に応輔の舌を吸い、契りを交わす分身には小百合の手で握手するように扱きを何度か繰り返している。応輔は、溜め込んでいた精液をバスマットの上を通り過ぎ、クッションフロアーの上に弾け出してしまった。 「あっ、、、。」 　応輔は小百合の扱きに耐え切れず、口淫での施しを前に暴発させた。小百合は体を丸め、応輔の放出燃料をタオルでふき取る。精液を飛ばした肉茎は、勢いを失うことなく、小百合の方を向き、床と同じく清浄をもとめているようだった。 　あうんとまでいかないが、先端からじくじくと残存燃料はこぼれそうだった。小百合はふき取ったタオルをそのままにし、こぼれそうな滴を口で押さえ込んだ。応輔は、天を向き、目をきつく閉じると、敏感になった亀頭の舐め上げを声を押し殺し喜んだ。 　小百合は、先端を舐め上げると応輔にシャワーを促す。応輔は、汚れたままの小百合と６９で交わりたかったが、暴発射精液を洗浄された手前その望みを伝えることはできなかった。先に入り、小百合はシャワーコックを廻すと、応輔を手招いた。近づいた応輔に抱きつくと、舌を吸い合いながら、赤黒く血を帯びた亀頭の粘膜をお湯と指先で洗浄し始めた。小百合は、促すように言う。 「触ってほしいぃぃ。」 　応輔は、はにかみ頷き、小百合の陰唇に触れる。湯のあたる前だが、湯を浴びたように暑くぬめるそこの臭いを指先を離し、嗅いでみようとした。小百合は、手首を掴み、軽く頸を振るが、応輔は鼻に指をやり、今日の小百合を実感できた。感想は言わないが、少し笑い、小百合は頬を膨らませる。小百合も応輔の少し洗われた亀頭の根元を指で擦り、同じように鼻に近づける。応輔は、小百合に感想を聞く。小百合は、少し笑いながら端的に答えた。 「男の子の臭い、好きだし、、。」 　応輔は、小百合の口を塞ぎ、湯を浴びながら対面でお互いの生殖器を弄りあっている。二人の一日の臭いが消え始めた頃には、新たな二人の性臭が場所を変え、臭いを振りまいていく。
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2015年10月21日掲載
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