レビレート はちみつ太郎 作
１７ 　彼岸の時も、クリスマスの辺りの連休も応輔は実家に近寄ろうとしていない。年末に帰宅するのか豊乃が問いかけてもわからないの一点だけだ。 　理由はひとつだった、小百合の妊娠に戸惑いを隠しきれていない。小百合と交わったのは５月と８月の二回。交わりの中、受精するタイミングがあったのはその中でも１０まではいかない数字だった。 　日数から考えても、８月の盆休みの交わりでは計算が立たない。５月の初めてのとき、その時だと計算が成り立った。だが、小百合の言葉を思い出す。応輔は、避妊具のない交わりを承諾した小百合の言葉から、安全な日であると確信をしていた。計算の出来ない小百合ではない、応輔はそう感じていた。 　では、圭輔の子。それであれば祝福をせざるをえない。だが、小百合は８月、応輔へのラブコールを送っている。応輔は、引き際と２回の過ちを忘れる決意をしようとしていた。自分が口をつぐみ、いままでの山内家を演じれば、小百合からそのことを露呈させることはないと結論をつけようとしていた。 　祝福のメールと正月には帰らない旨を小百合に伝えようとする。以心が伝心し、小百合からの伝言がショートメールで伝わった。 『応くん、今、家ですか？今晩、行ってもいい？』 　短文は、断りようのない内容で、夕日が落ち始めた寂しい冬のひと時を忘れさせてくれた。返事は、数分待った。内容は端的に「いいよ、いつ来るの？」とだけ送る。応輔は、部屋の整理をし始め、小百合の返信を待つ。 『いいの？今日、誰も家にいないし、局の帰りだし、１８時ごろには寄れる。お母さんも圭輔さんも応くんのとこに泊まっていけって、言うし。道も雪で危ないし、良い？』 　応輔は断る言葉が浮かばない。懐妊の事実や、兄への遠慮などは消え去るように返信を急ぐ。「何も無いけど、お待ちします。」 　小百合の返信は早かった。 『じゃ、行くね。』 　１６時半、陽は完全に傾いたころ、応輔の気持ちも簡単に傾き転がっていた。 　 　深々と降り積もる雪は１０ｃｍほど。雪になれないこの街では、移動手段を絶たれたものたちが途方に暮れていた。小百合は降り積もる前に帰宅を促され、局を後にしていた。目立ち始めたお腹を気にされてのことだ。自家用車は、局に留め置き、局手配のタクシーで応輔の元に向かった。いつもの運転手は、自宅ではないアパートの住所に質問をするが、小百合の迷いのない「妹のアパート」という言葉にある程度の理解をし、詮索をしないまま車を走らせた。 　付近まで来ると、路地手前で停車するよう指示し、運転手はそれに応じた。チケットを渡し、礼の言葉をかけ、路地から消えるのを待った。足元は雪に覆われているが、歩けないほどではなかった。踏みしめ内腿に力を入れ転ばぬよう気を使う。部屋の前まで来ると、玄関の電気が灯り、インターフォンを押す前に扉が開いた。 「いらっしゃい、寒くない？」 「あ、こんばんは。ううん、大丈夫。」 　小百合は肩に少し乗った雪を払い、応輔の招きに応じる。玄関で、ブーツを脱ぐさい応輔のかたを借りる。 　脱ぎ終えたブーツを整え、段差のない上り框を跨ぐと応輔が頭をかきながら声を出す。 「お、おめでとう小百合さん。遅くなったけど。」 「うん、ありがとう。」 　応輔は、照れるように頭をさわり、落ち着かぬようにしている。次の言葉もなかなか出てこなかった。小百合は、解すように応輔の手を取り、コート越しにお腹を触らせる。 「もうすぐ８ヶ月。」 「あ、うん、どっち？」 「まだ聞いてない。」 「そうなんだ、あ、座ったほうがいいね。」 「ありがと、あったかいね。」 「うん、いつもはエアコンだけだけど、今日は赤外線ヒーター出してみた。こんなに降るなんて思ってないし、小百合さんが来るとも。」 「天気予報見てないなぁ。」 「１ｃｈの当たらないし。」 「ハハハ、岡村予報士に言っておくね。」 　応輔は、小百合の上着を受け取り、ハンガーにかける。買い置きのレトルトしかないことを伝えると、小百合はよいしょと腰をあげ、準備にかかろうとした。応輔は、自分がすると伝えるが、これぐらい動いたほうがいいと自分でし始める。応輔は手伝いをすると食器などを並べ、相番を勤めていく。 　カレー、中華丼、お味噌汁、レトルトの一品をテーブルに並べ、二人で食卓を囲んだ。応輔は、本題に入ることを恐れている。小百合もその言葉には触れないでいる。テレビを見ながら、食事は進み、腹の中に納まると、甘いものを欲する小百合に応えた。 「ふー、食欲が多くて、セーブしなきゃって思うけど。」 「お腹の子のために食べたほうが？」 「いいってわけでもないよ。」 「ほどほどのほうがってこと。」 「うん、浮腫みとかひどくなるし。」 「仕事は、いつまで？」 「うん、軽い仕事のシフトになってるし、１月の中ごろまでかな。」 　応輔は、少し合間をあけ、小百合のお腹を見つめる。小百合は長袖のシャツ越しに再び応輔の手で触れさせた。少し反応があり応輔の手が震えていた。 「動いたでしょ？」 「うん、驚いた。」 「すっごい元気。」 「だね、どっちがいいの？」 「どっちでも、っていうけど、男の子かな。」 「そうなんだ、長男だしね、跡取りかぁ。」 「あ、そういうことじゃなくて、女親ってそうらしいよ。お母さんも言ってたし。」 「あの人が言うのは、そういう意味じゃない様に思う。」 　応輔の言葉に小百合は、母親への不信が見つけられる。圭輔へのあて付けのように勉強をさせられ、地元国立に合格した際は、圭輔の時よりあからさまな喜びだった。蔑視するように圭輔の三流大学をこき下ろす言葉が応輔には耳に残っていた。 　小百合は会話の中にその辺りの言葉を消す。話しの内容を変えていた。大学生活を聞き取るようにし、友人関係の話を聞き出した。サークル仲間や、アルバイト仲間などの話を聞くが、女性の姿は現れていない。小百合はどことなくホッとする。応輔は、大まかな正月の予定を小百合に告げる。帰省しない理由を告げているようだった。 「そっか、忙しそうだね。」 「あ、うん、あ、小百合さんに気兼ねしてるってことじゃないから。」 「うん、わかってるよ。ありがと。」 　小百合は少し体をよじり、応輔に近寄ると、肩のそばまで顔を寄せ、目を閉じ少し顎を上げている。応輔は上げ膳を喰らうように小百合の唇を吸った。軽く吸った後、短的な質問だけを発する。 　唇を離した小百合は、「うん、大丈夫。」とだけ伝えると、応輔は小百合の体を引き寄せ、首周りに腕を巻きつけると舌の根元まで一気に吸い付いた。 　根元まで差し入れられている舌の動きは、夏の時と同じ。夏より上手くなってはいないことを小百合は気がついていた。応輔は小百合の体を抱き寄せると、耳元に口を移し、耳たぶの周りに舌を這わす。小百合に体のもっていきようを問い、小百合の動作を待った。少し重そうにお腹を支え、小百合は応輔のベッドを指差し、手を取ると立ち上がり寝室に向かう。小百合が先に腰掛、仰向けに寝転び少し体を横にする。応輔は、それと同じく対面に横たわると、顔の位置を合わせ再び舌を捻じ込んだ。 　小百合は吐息を多くし、応輔の下半身を弄りはじめる。応輔は妊婦となった小百合に遠慮しているようで顔に手を宛がったまま舌を吸い続けていた。小百合は、欲するようにスウェットのゴムに指をかけ、ボクサーショーツごと太股に絡まる位置までずらす。応輔は、その後を自分でし、足首から二つの布を取り払う。触る間もなく甘皮を剥くように小百合の指は亀頭を露出させる。乾燥はなく、程よく尿道からはカウパー液が滲んでいたようだ。先端を軽くつまみ、指先に腺液を滲ませ、保護するように粘膜を潤滑させる。指先が肉茎のほうを握る頃には、応輔の我慢する声が小百合の口の周りで吐き出されていた。 「あぁぁ、きもちぃぃ、小百合さん。」 「大きくなってるよ。応くんの、お口でしようか？」 　応輔は、上目で小百合に問いかけられ返事をすることなく頷き、仰向けに寝転がる。先端は顔のほうへと向き、首を曲げると滲んだ尿道口がよだれのように垂れていた。小百合はその先を手のひらでこねこねし、馴染むように亀頭全体に滲ませる。小百合の嗜好品のカウパーは滲み続け、小百合は餌をまかれた鯉のように引き寄せられ、口をパクつかせ、応輔に尻をむけ口に含んでいく。 　最初の一舐めは尿道口に口づけるようにし、舌で腺液を舐めると、じくじくと滲み出る穴を塞ぐように口を添える。先端の汁口を吸い上げるようにチュウチュウと音を立て尿道口から吸い取るようにすると応輔の喘ぐような声を聞いた。 「きもちいいでしょぉ。」 「あ、うん、ちょっと、あぁぁ。」 　吸い上げられるような錯覚を覚えた応輔は、誤魔化すように小百合の尻を触り、フレアのスカートを少しはだけさせた。中に見える黒のタイツからすけるショーツは、アズキ色したもののように見えた。応輔は小百合の責めに対する言葉を投げかけ、小百合は応戦するように亀頭の全てを咥えていた。アズキ色のショーツをなじられて小百合は応輔の言葉を封じるように、亀頭への舌責めを激しくする。肉茎は、激しく扱かれ、裏筋にはなんども舌のはらが行き来する。応輔は、アズキ色のショーツのなじりを止めると、小百合は口から離してして欲しいことを告げる。欲していたことは、応輔の施したいことと一致した。 　応輔は小百合が跨るタイミングを待った。フレアのスカートは脱がさず、跨がれた瞬かん黒のタイツをずり下ろす。アズキ色のショーツがスカートの中に露出すると、応輔は少し布地の多いことにがっかりしているようだった。小百合は、マタニティーショーツの存在を恥ずかしがる。アズキ色のショーツは股布の部分に染みを広げている。応輔はまだ触っていない状態での染みに小百合の欲するものを感じ取る。スカートをかぶったままの応輔は、小百合に問いかけ、陰部への指撫でを始める。アズキ色のショーツはそのままで、布地越しに陰唇の割れ目を探る。陰裂に触れるとショーツの布地は窪み、張り付いた布は染みを大きく広げていた。 　指先をなんども繰り返し陰裂を摩ると、染みは濃くなり泡立つような音をスカートの中に木霊させる。応輔は、小百合の妊娠前の陰裂の記憶はある。どのように変化しているのか興味があった。指先を、隙間から入れる。ヌメヌメと膣液は染み出し、簡単に指先は小百合の腺液に濡れる。アズキ色のショーツの厚い部分は、色が落ち染みを拡げている。陰唇の形がわかるほど張り付いたことを小百合に呼びかける。 「もぉぉ、マタニティーショーツそんなに持ってないからぁ、汚しちゃダメだよぉ。」 「小百合さん、、ママがだめなんじゃない、こんなにしてるのが。」 　応輔は、指先をもぐりこませ、淫液あふれる壺に蜜を求める。掬い取るように、指先を抜き去ると、鼻にあて、妊婦となった小百合の変化を確かめた。塩気が増えているように感じた応輔は掬い取った指先を舐め上げる。程よい塩味に、８月の６９を思い出している。アズキ色のショーツは貼りつきを剥がされ、まだ見ぬ子の眠る入り口を露呈させる。 「こんにちは。」 「応くん、挨拶？」 「あぁ、なんか、聞こえてるかも知れないし。」 「聞かれてたら、恥ずかしいね。」 「そうだね、パパならいいのかもしれんけど。」 「、、、。」 　小百合は返答に困る。応輔の戸惑いとは違う戸惑いだった。小百合の蓋をした心の声は、お腹の子に届いているのかもしれない。
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2015年10月28日掲載
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