レビレート


レビレートはちみつ太郎作
２　若夫婦の居室は、母屋の二階。　応輔が、父への葛藤を抱きながら参考書を見開いている時間、小百合は気にかけている自分達への問題を解決しようとしていた。　義母の豊乃は、自らが経営する飲食店へ出かけ、義父豪輔は、それに伴われることもなく就寝している時間帯だった。フットサルとその後の懇親会で食事を終えた圭輔は、風呂上りのジャージ姿で、和室にしかれた布団に寝転んでいた。　疲労と満腹感、明かりの消された和室には睡眠だけが支配するはずだった。横並びに敷かれている夫婦の布団には隙間なく、背を向けることなく小百合が圭輔のほうを向いていた。　仰向けの圭輔は、本来なら呼応すべき夫婦の夜を遮るように小百合に背を向けた。小百合は、その姿を見て、自分の布団から体をもぞもぞと動かし、圭輔の布団へ潜り込む。即座に体を密着させると、背後から手を巻き込み、ジャージ越しに股間を摩っていく。　圭輔は、背を向けたままだが、如実な反応は小百合の手に感じ取られている。指先は、その突端を服地の上から摩り続ける。明快な答えは圭輔から発信されないままだが、男としての答えは導き出されていた。　振り返ることなく体を九の字ににしたままだが、突端は、小百合の知るＭＡＸに到達していた。ジャージとトランクスを膝までずらさせる。圭輔は自らの手を下していない。　小百合の指は睾丸に触れ、もみこむようにし、小百合の暖かな手で解されていく。少し圭輔は右足を浮かす、小百合の手を呼び込んでいるのだった。腿の隙間から手を回し睾丸を摩らせている。夫婦の夜はこうして幕を開けた。「大きくなってるよ。圭くん。」「眠たいんだけど。」「ほんとに？」　顔を向けることなく、答えを封印する圭輔。小百合は、睾丸から陰茎に指先を動かすと、先端に濡れる準備液を確認した。裏筋にその液だれを纏わしていくと、ビクついた圭輔の体は、ようやく小百合のほうを向き、唇を重ね合わせていった。　指先は一度離れたが、小百合は再び突端を摩るようにしていき、足先だけで圭輔のジャージ、トランクスを脱ぎ去らせた。受身な圭輔だったが、小百合への愛撫を始め、着ている長袖シャツの腹から手をいれ、ブラの上から揉みしだき、小百合の顎を仰け反らせる。　冬の寒い夜であるが、エアコンの効くその室内においては夫婦の燃え上がる体温のほうが上昇値がおおきい。白いマグマを抱いた陰茎は、突端を濡らしながら小百合の微振動で、爆発を助長させていく。　舌のふれあいは、長く続く、二人の唇の周りにはどちらのものとはいえない唾液がまぶりつきはじめ、その唾液を次の段階に溜め込むように舌先は離れていった。　圭輔のシャツをまくり、小百合は毛の生えた乳首へ舌を移動させる。右左へといそいそと動かし、圭輔がシャツを脱ぎさると同時にキスマークをつけるように乳首をうっ血寸前まで吸い込んだ。　吸い付きのまま四つんばいになる小百合。片手は陰茎を軽く扱きながら屹立を維持させている。先端の滑りを手のひらに纏わせ、陰茎全体を大きく扱く動きは、圭輔を口内にいざなう前の仕草だった。　吸いつきを止めると、布団の隙間から顔を出した小百合は、圭輔の姿を見きわめる。枕の上の頭に手をやり傍観の構えから、小百合の目を見つめると、一言だけ伝える。「小百合、フェラって。」　何も言わず、頷くだけで小百合は布団を肌蹴、屹立の先端に口をつける。含むことをしない時間は、１、２分。先端、裏筋、カリ首。順番に清掃をするように舌先を伝達していく。少し汚れのある亀頭は、夫婦の夜を過ごす準備をしていない証だった。　屹立の突端にあわせるように首を曲げ、頬張るよう口を開ける。風呂上りとはいえ、準備液の分泌した亀頭は少しアンモニア臭がする。小百合は嫌いではないその臭気を鼻に通すように先端をねぶり始め、頭をグラインドさせていた。　ショートの髪は纏わり付くことなく、弾むように揺れている。圭輔の受身な性活動のなかで、初めて見せる能動的な行為はこのとき見られた。上半身を少しもたげ、左肘でささえると、あまりの右手は小百合のショートヘアの揺れを確かめる。　頭頂部を揺らすように手を添え、グラインドする頭の動きを確かめている。小百合は、徐々に体を下げ、圭輔の手の及ばない範囲に移動していく。それはただ逃げるためではなかった。　口に含んだまま、体を反転させ始めると、次第に近づく小百合の丸い尻は、何かをねだるように圭輔に擦り寄った。圭輔はパイル地の小百合のルームウェアを摩り、ゴムの部分を膝までずらす。その後は小百合自らが、脚から抜き、黒のショーツ姿で尻を圭輔に向ける。　暖かさの残る尻を摩ると数秒で、女の温かさを確かめた。ショーツはそのままで隙間から指を差し込むと、小百合は少し足を開き加減にし、圭輔の指先を受け入れる。　これだけ濡れてるのよ、と言わんばかりに開いた太ももは、女の恥じらいではなく牝の欲する本能を表している。暗がりの寝室の中でも黒のショーツと白い尻肉のコントラストは、はっきりし、勝敗ではない男と女の交わりは、軍配のない相撲のようにあいまみえていった。　指先はクチュクチュとした粘液を確かめる。掬い取り、舐めあげて欲しいと望んだ小百合の願望は露になり、圭輔の顔を跨ぐ。眼前に押し付けられるわけでもないうかし気味の股間は、圭輔の指先に煽られたあとを残すように小さめの布地の隙間から、恥ずかしい毛並みをのぞかせている。　親しい友人ではない男友達からなんどか小百合の女の具合を聞きだそうとされたことがある圭輔は、そのときを思い出し、心中でつぶやく。小百合だって女、毛も生えてりゃ、エッチな声もあげる。そう、つぶやき、指先を再び潜り込ませると、つぶやいた言葉通りに小百合は女の声を漏らす。　身悶えるだけで大きな喘ぎは聞かせない小百合。圭輔の指先は膣の奥まで潜り込み、温かな女の芯を解している。圭輔は、小百合の具合を感じ取る。毎月来る母になる喜びを望むその日は、指先に感じるぬめりで気がついた。　排卵をし、男を欲する小百合の眼と芽は、両方融解している。自らゴムに指をかけ、口から離すことない陰茎を頬張りながら、黒のショーツは、脱ぎ去られる。圭輔の頭の脇に脱ぎ捨てられたショーツは陰唇を隠していた部分が裏返り、膣液で濡れた部分が露出している。五万、いや十万で買うって言ってたか、洋二のやつ。　幼馴染の顔が思い浮かび、冗談か本気かわからぬ戯言を思い出させた。汚れたショーツなら５０万とでもいいそうな幼馴染の顔は、いつも小百合を視姦しているようで、小百合は煙たがっていた。　親指の腹は、指紋を失うくらい小百合の陰唇を割り割くように動いていく。摩擦を失うほどに濡れている陰門は、指紋認証をしたようにその陰門の持ち主を識別する。　認証された持ち主は親指をズブリと押し込む。温もりを感じ、粘り気を纏わすと、バトンタッチするように他の指と交代した。親指の担当は、小さな豆を弄り、１本間を開けた中指に井戸を掘ることを任せる。　湧水層は、すぐの間にぶち当たる。乳白色の湧水は、垂れ伝い、薄い毛並みの陰毛のほうに垂れ流れていく。暗がりでそれを視認することなく圭輔の指先は、小百合の陰門のボーリングを続けている。　小百合の辛抱を確かめるように、奉仕中の口元を覗き見るが、目を瞑り、音を消すように舐めているように微かに見えているだけで、屹立を即座に求めているようではない。　圭輔は、小百合の性行動を認知している。口で奉仕し、極限まで耐久させ、ドッキングする時間を短く取るのが小百合の仕組みだった。　早く入れたがらない理由を問いただしたわけではないが、小百合の性衝動は、どちらかというと、生殖が目的であり、快楽を求めるのは二の次であるようなことを、性交後に発したことを圭輔は深く脳に刻んでいた。　それからだった、夫婦の活動に消極的な仕草を見せるようになったのは。小百合はそれを知ってか知らずか、営みを欲するのは、自らが知る、排卵のその時だけだった。　そうこうしているうちに、圭輔のほうが声をあげていく。尻の肉を引き締め、射精を我慢するように下半身を強張らせていた。小百合は、太ももを摩りながら、圭輔の陰茎から口を離す。　舐めあげた亀頭は、小百合の唾液とカウパーの準備液が混ざり、射精の準備を終えている。屹立の先は小百合の陰門を指し、ターゲットを認識し、生身のまま重なり合うこと数秒の間に、飲み込まれるように切っ先は見えなくなった。　小百合を喜ばせることもないまま圭輔は、程なくし、白い白濁を吐き出す。と、小百合は抜き去ることをせずドクドクと放たれる射精液を吸い取るように、体だけを重ねあい、静かに受精にいたるのを待っていた。
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2015年9月21日掲載
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