レビレート はちみつ太郎 作
２９ 　居間で充電中の携帯が鳴っている。 　その音は、小百合と応輔の交わりの音に消されている。バックで腰を振る応輔と小百合の白桃のような尻が触れ合うたびにペチペチと鳴っている。小百合は口を枕で覆い、それ以外の音を消そうと必死だが、微かに離れるたびに枕の横から喘ぎが漏れている。 　応輔は、小百合の膣肉の纏わりつきに好感し、脳髄を駆け巡る快楽を貪ろうと、動きを緩やかにした。カリ首に纏わりつく膣肉の重なりに往き果てそうになるが、緩やかにしたピストンで難を逃れていた。小百合の生理周期には触れていないが、避妊具を被せられたということは、と、応輔のなかで噛み砕いた。妊娠時の性交は、感染症から守るためといわれたが、今回は、そうではなく、避妊という最低限の夫婦でないもの同士のルールだと思っていた。 　応輔は、かんぐりの中再び、尻肉に手をあて、肛門を視認できるまで尻を拡げると、出し入れの部分をアナウンスする。小百合の汁が白濁し、ゴムの周りにこびり付いていると、肛門もヒクヒクと話しかけているいように見え、触れることの許しを請う。 　小百合は応輔の言葉を聞き取れないくらいに感度が上がり、枕に埋めた顔を真っ赤にし、息を殺し続けていた。揺れる首筋を、応輔は承諾の意と解釈し、指先で皺の多い肛門を揉みあげた。小百合は、反応し強く肛門を締める。何度か、指先を離しては当てると、腰をくねらせ続けるだけだった。 　再び電話の音が鳴る。居間の音は、家の電話の音だった。時間的に、いたずらか、間違いかと想像しするが、栞に目覚められても困る二人は、交わりを中断し、どちらからとも無く小百合が下に下りる。 　リビングの電話が、近づいた瞬間に切れる。留守電にはしていないため、切れたあとの無音が続く。小百合の充電中のスマホは着信ありのディスプレイを灯しているが、小百合はあえて見ること無く再び二階へと戻った。 　応輔が、誰だったか尋ねるが小百合は、途中で切れたことを告げると、応輔に抱きつき汗ばんだ胸元に舌を這わせた。応輔の乳首を転がし、ゴムつきの陰茎を扱き、唾液で濡らすと、小百合は膝、肘をつき、再び四つんばいで応輔を求めた。応輔は小百合の腰に手をあて、切っ先の高さを調整するように腰を沈めさせる。切っ先がぱっくり割れたままの陰裂に宛がわれると、応輔が突き刺すのではなく、小百合の尻を応輔に押し当てて陰茎を咥えこんでいた。 　ストロークを妨げるような渇きも無い小百合の膣肉は、貪るように応輔の精を搾り取ろうとしている。再び、子宮口付近まで先が届くと、枕に顔を埋め、栞に聞こえぬよう声を押し殺す。 　応輔は、ストロークを早めていく。射精感を抑制していたが、その後にも数珠繋ぎのようにあふれ出す性欲をぶつけるため、最初の一発目の昂ぶりを睾丸の付け根に感じ取る。 　小百合は応輔の昂ぶり絶頂を尻肉を掴む指先でも感じれた。首をなんども振りながら、自らも腰を押し付けるようにストロークと発射のタイミングを早めていく。 　応輔が、射精感を脳髄に感じたとき、尻の筋肉が収縮しラテックスに遮られている薄い１ｍｍにもみたない筒の中に放出した。「あっあっ」と呻くように腰を震わせ、絞るように精を迸らせる。目を閉じ、全てを出し切ると、根元を押さえながら陰茎を小百合から引き抜いた。へたり込んだ応輔は、小百合のゴムをそのままにし、小百合のパクパクと息づく膣門の奥をのぞき見た。白濁した淫液が応輔の精と似通った色つきをさせている。小百合は少し動きを止めたままで、息づく膣門をさらけ出したままだった。 　応輔は、精の零れと錯覚して指先を膣門に入れ白濁した淫液を掬い取り、その臭いを嗅いだ。自分の精とは似つかわぬ臭いをしているのがわかると、割れ目に舌を這わせ、汚れた小百合の陰唇ごと吸い上げている。小百合は、敏感になった射精後の陰茎を洗浄すると言い、四つんばいのままだが、応輔の足を引き寄せ、小百合が上の６９の形で陰茎を眼前に置いた。器用に抜き取られた避妊具の中には放たれたばかりで応輔の体温を感じさせる精汁が残存している。上向きのままゴムを抜き去ると、陰毛付近にまで垂れ下がった精を小百合は、舐めていた。射精後の敏感な亀頭は残された管の中の精もじくじくと放出する。 　ゴムを縛り、こぼれを止め、枕もとのゴミ箱には入れず、新品の残り二枚ある避妊具の箱の横に置く。もう一度、敏感な亀頭に舌をそえ、入念に舐め上げ赤黒い亀頭を剥き身に仕上げていく。小百合は、頬張りをやめると、残り二枚のうち一枚を切り取る。 　ギザギザのパッケージを口で引きちぎる。取り出した避妊具を、応輔に見えぬよう口にすると、先端を一噛みし、唇に乗せる。ゴムの入り口を亀頭の先に乗せかけ、口淫をするように避妊具を施した。口で一咥えしたのち、指先で根元まで伸ばすと先端を見られぬように体を入れ替え、応輔に跨った。 　小百合は自ら入り口を宛がうと先端を陰裂に割りいれ腰を静かに落としていた。仰け反るように小百合は背骨を反らし、それを応輔は見つめる。挿入を深くし小百合が自ら前後に腰を動かすと、喘ぎを遮る枕がなく、漏れるように声を響かせている。応輔は、少し離れて眠る栞を見つめる。すやすやと寝息が聞こえるくらい熟睡していた。 　応輔は、小百合に声をかけ、向きを変えさせる。挿入したまま小百合は騎乗位の形を１８０度回転させ、応輔を眼下に収めた。応輔は小百合の下乳に手を宛がう。乳首に触れ、転がすようにすると、勃起を始めた乳首が赤く充血を始める。応輔は腰のふりをせず、抱き合うようにするため腰をあげる。 　唇に触れた小百合の乳首はうっすら母乳を滲ませ、応輔に再び吸い取られた。小百合は少し仰け反り、応輔は乳首を追う。押し倒すように乳首を追うと、小百合は応輔を抱きしめ、耳元でささやいた。 「応くん、いっぱい、して。」 「うん、小百合さんと、いっぱい、したい。」 　小百合はうんうんと頷き、再び応輔を抱きしめる。乳房を押し付けられた応輔は、舌で乳首をさぐり、転がしながら腰のグラインドをし始める。先端を子宮の隔壁に感じ、小百合は近づきつつある高ぶりの頂に、声を押し殺し喘ぎを漏らす。応輔の首周りをきつく抱きしめ、小百合の声はその中で曇る。 　腰のグラインドは小百合のかかる体重に制限され、大きな動きにはならない。差し込まれただけの陰茎だが、小百合に与える快楽はそれでも十分だった。小百合が左右に腰を揺らす。それだけで良かった。応輔も動くことなく膣肉の包み込みだけで搾り取られるように射精感を新たにする。 　応輔の生殖器は、先端の戒めが無いことに気が付いているのか、摩擦を自らで与えなくても隔壁の向こうの卵が呼んでいることを知っているようだった。 　小百合は少し腰を浮かし、何度か陰茎と膣肉との摩擦を始める。応輔は、耐えるように眉をしかめる。小百合はその顔を見つめる。 「応くん、いっちゃいそう？」 「あ、うん、動かれると、、、あぁぁ。」 「出してもいいよ、、、。」 「小百合さんは、、、まだ、、、、あぁぁぁ。、、、ドクッ。」 　二番出汁の射精は小百合の卵へ一目散に向かう。ゴムの切れ目は少し広がり、その隙間から我先に隔壁を越えようと勇みだす。 　応輔は、射精感を小百合に伝える。申しわけなさそうに自分だけ言ってしまったことを詫びている。小百合は、言葉ではなく唇で気持ちを伝えた。重なった唇は、言葉を塞ぎ、愛情の印とばかりに舌を絡め取っている。その間も、ドクドクと放出される射精液を逃さぬよう小百合は応輔を抱きしめ、挿入したまま仰向けに寝転ぶ。応輔は小百合に覆いかぶさると放出した先端を抜こうとするが小百合に制される。 「応くん、もう少しこのままがいい。」 　応輔は、射精後のヌルヌルした避妊具の中を気にしている。が、小百合の言葉に従った。 「小百合さん、ゴムの中、ヌルヌルして、、。」 「気持ち悪い？」 「いや、うん、少し。」 「口でしようか？」 「うん、して欲しいかも。」 　小百合は体をずるずると布団の上に移動するとぬるっと陰茎が吐き出される。応輔に見られぬよう、抜き出した陰茎のゴムを掴むと、少ししか残存していない避妊具の中の精液をテッシュに包んだ。応輔は、視認することなく、小百合に陰茎を咥えられ膝立ちのまま天井を見つめる。射精後の敏感な亀頭を吸われるだけで、腰が引け、残精液は小百合の口内に零されている。生臭いそれを小百合は気にすることなくすすり、亀頭を赤黒く潤った状態に戻す。応輔はたまらず、三度目の交わりを口にするが、小百合は少しの休息を口にする。 　残り一枚しかない避妊具のことを応輔は悟り、挿入をお預けにすると、小百合との指先での愛撫を求める。寝間に二人は重なり、応輔の指は小百合の恥丘を摩り、小百合は陰茎ではなく睾丸の部分を揉んでいる。小百合は睾丸の中の管を外からさぐり、指先で圧迫する。応輔は痛気持ちよさを小百合に伝える。 　応輔は、指先を恥丘から滑らそうとすると小百合が強く太股を閉じたため、陰裂にたどり着くことが出来ない。摘むように陰毛をし、太股の緩みを待つが、執拗に閉じた太股は開くことが無かった。 「あそこ、痛いの？」 「あ、うん、少し乾いてきたから、、、。」 「そっか、指、じゃ痛い？」 「うん、時間がたったら、、、濡れてくるかも。」 「キスとかでは、？」 「濡れる。チュー好き。」 　応輔は返事のように唇を重ね、舌を吸った。小百合も捻じ込むように応輔の口内に舌を差し入れ、指先以外で絡み合いを続けた。 　湿潤し始めた子宮口付近は、残存している膣内の精子たちをつぼの中に引きいれようと活動を始める。小百合の子宮内は、これから数日に渡り、次子を受精し着床の下準備が始まる。再び、鳴り響いているスマホは、時の隙間に追いやられるように気づかれること無く着信のディスプレイだけを残す。 　下四桁「０１１０」の着信は、三度目の射精を終えた１時間後まで留め置かれたままだった。
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2015年11月28日掲載
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