レビレート
はちみつ太郎 作
３１


　喪中はがきの差出人は、小百合ではなく豊乃の名前で発送された。小百合の苗字は旧姓の奥山に変わっていたからだった。

　広い旧家のリビングには、お手伝いの使用人が栞をあやしている。

　奥山の名に変わっても、変わりなく接してくれているのは美鈴という近くに住む６０台の女性だった。栞は美鈴になれており、気晴らしに出かけることの多くなった小百合に遠慮なく出かけるように言ってくれる。

　栞も母とはなれる寂しさを感じさせず、美鈴にべったりだった。ここ最近、週の終わり金曜の午後、小百合は美鈴にお願いし、栞を預けている。

「小百合さん、今日は？」

「あ、１８時には。これから、局でＣＭの声入れで。」

「そう、じゃ、夕ご飯食べさせておこうかしら。」

「あ、お願いします。帰る前には電話入れますんで。」

「うん、遅くなるならなるで、いいんよ、私も用事があるわけじゃないし、１人だから栞ちゃんと遊んでおくし。」

「すいません、遅くならないようにしますので。」
　小百合は栞の髪をなで、ニコニコ笑う笑顔にほっとする。美鈴が栞にちょっかいをだすと、小百合はその視界から消えるようにし、美鈴に一礼し部屋を後にした。

　豊乃の姿はなく、事務所で経理の男性と話しこんでいるようだった。見て見ぬふりをするように、駐車場に移動を始めると、豊乃は小百合の姿に気がついた。声を掛けるでもなく、一瞥し、再び経理の男と話し始めた。

　小百合は豊乃の視線に気がついていたが、嘘をつき出かけるのではないと言い聞かせるように車に乗り込んだ。嘘ではないが、声いれは恐らく１４時には終わるだろう。美鈴に伝えた１８時は、その後の応輔との時間を入れている。


「小百合さんは、奥さま、このあと、、。」

「そうねぇ、局は辞めてもらおうかしら、奥山の姓に戻しているし、局も扱いつらいようなこともあるといってるし。」

「そうですよね。」

「広告塔としては、利用価値のある娘だし。」

「広告塔？」

「そうよぉ、あの顔立ちと、スタイルのよさ、広告塔としては、何者にも変えられない。私の見立て、そう間違いがあったかしら、経理部長？」

「いえ、お店の繁盛振りからしても、女性を見る目は確かかと。」
　経理部長は帳簿を照らし合わせながら、豊乃の指示に従っている。

「３億の入金はいつかしら、圭輔さんの保険金、団体生命保険の分よ。」

「あ、額が大きいので、少し手間取っております。もう一週間ほどと、言っておりましたが。」

「外資は、この辺がまどろっこしい。商工会議所経由の団体生命は、解約するといっておいてもいいわ。」

「しかし、社員分の保険もありますから、おいそれとは。」

「だから、かましてやれってこと、出来ないわけでもないでしょ。」

「わかりました、明日にでも、意向を伝えます。」

　豊乃は、通り過ぎていった小百合に電話を入れる。仕事の終わりの時間を尋ねると、運転中だが１８時と即答した。その後の予定を尋ねると、帰宅し美鈴の夕食を食すと伝えると、その時間には自分もいて、美鈴に宿泊するよう伝えることを小百合に告げる。

　美鈴の宿泊は、と、尋ねるがその答えは小百合の体次第だと、遠まわしに告げられた。



　局のディレクターは、小百合の名を呼び、苗字にはあえて触れずにいる。声入れが終わり、アナウンス部に立ち寄るが、がらんとした空間が小百合を迎える。

　１４時を過ぎ、お茶でもと誘うつもりが、情報番組のロケに出ていると行動表をみて気がついた。自分のとこには。育休と記され名前のところは変わらず山内と記されている。

　帰社予定は皆、１６時とあり、小百合にそれを待つことは出来なかった。１４時を過ぎた辺りから、ＳＮＳに入る応輔のメッセージにせかされ局を後にすることとした。

　車で数分のところにある応輔のアパート。到着するや、小百合の姿を吐き出し窓から覗いていた。小百合は、少し顔を隠しながら応輔の部屋へと歩く。５０ｍほど先に止まったシルバーのセダンには気がつかないまま、応輔の部屋のノブを握る。閉じられた鍵の感触はなく、ドアは開く。玄関付近には、軽装よりラフな応輔の姿があった。

　ボクサーショーツ、無地のＴシャツ。それだけの男が、扉を閉めた小百合に抱きついた。

「小百合さん、待ってた。」

「ごめん、少し、遅く。」

「遅いから、こんなだよ。」
　小百合の手を応輔はボクサーショーツの尖りに宛がう。小百合は、近づく応輔の目を見つめると、ボクサーショーツの中に指を自ら入れた。先端は濡れ、むき出した亀頭に触れると少し腰を引いた応輔。引いた腰と反対に顔は小百合に近づき、唇を吸った。小百合も舌を重ね、応輔の唾液を求める。

「１週間、我慢した。」

「え、自分でも、してないって事？」

「うん。小百合さんがいるのに、誰に気兼ねねく、出来るのに、あ、ごめん、小百合さんの意思も聞かずに決め付けて。」

「ううん、いいよ。だって、私も、、、応くんと、、、。」

　小百合はボクサーショーツを膝までずらさせると、玄関框の付近に膝をつける。目の前に切っ先を見つめ、上目で応輔の顔を見上げると、応輔は小百合の頭頂部の髪を撫でながら奉仕を促した。

「小百合さんのフェラ、最高だし、、、、あぁぁ。」
　小百合は２度上目で応輔の顔を見上げる。その後、一心に口内に入れた亀頭を舌で舐め上げる。鼻に付くアンモニア臭を小百合は鼻の奥に伝えると、自らのショーツの裏地が湿り気を帯びていくことを感じ取る。熱い淫汁がショーツに染みを作り、淡い色のクロッチが色を変えているだろうと感じていた。

「応くん、シャワーしてないよね。」

「うん、だって、小百合さんって、、、。」

「うん、好きだよ。でも、応くんのだけだけど。」
　そういって小百合は、亀頭を吐き出すと陰茎の付け根付近に鼻を近づけ、睾丸の袋付近に舌を這わせていく。応輔は少しがに股になり、小百合はその狭間に体を入れる。付け根と肛門の間に鼻を当てると、汗、排泄臭、男のフェロモン、三者が混じり小百合は指を宛がうことなくショーツの染みを感じた。

　裏から陰茎を扱き、睾丸を玩びながら陰茎の付け根に舌を這わす。肛門まではいかないが、いずれ応輔はそれも求めるだろうとそのとき小百合は感じていた。

　陰茎は扱かれるとがに股の応輔は天井を見つめている。たれはじめたカウパーを小百合は指で掬い乾燥気味な亀頭の粘膜を保護した。応輔はがに股から手を壁に付け尻を突き出す姿勢に変える。小百合は、寸前まで感じ取った応輔の今後の希望を叶えさせられることとなった。

　応輔は壁に手を付くと小百合を下から覗き、恥ずかしそうに伝える。

「お尻、、、、キレイにできる？」

「え、お尻って、、、ここ？」
　小百合は肛門の付近に指を当てる。応輔は頷き照れた顔をし、すぐに視線を外す。小百合の答えを知っているように尻を眼前に突き出した。小百合は応輔の陰茎から手を離すと、背後に回り、毛の密集していない尻間を指で押し広げる。少し躊躇い小百合は、舌より先に鼻頭を尻間に埋めた。排泄臭を感じるが、吸い込むと自然と洗浄するように指示を脳内で受け、舌先を尻間に這わせ、先端が菊門に達していた。下から上になんども舐め上げていると応輔は小百合の方を何度か観ていた。声を出すことなく満足そうにし、再び壁のほうを向いた。

　小百合は排泄臭を舐め取り、唾液の臭いのほうが勝り始めると、もう一度応輔の陰茎を扱いた。小百合はいたずらに扱きを加速させ、応輔に絶頂の瞬間まで登らせる。

「小百合さん、、、だ、だめ、って、、、あぁ、あぁ、、、、ドブユゥ。」
　小百合は尻間に舌を這わせながら、尻の筋肉が強張り、爪先立ちになった応輔に驚いた。前のめりになった応輔は廊下と手を付いた壁の巾木辺りに精を放出していた。小百合は、慌てるそぶりもないが、射精量の多さに驚いた。

「一週間って、こんなになるん？」

「あ、うん、同級生に言われて、エビオス飲んでみたんだ。」

「なにそれ？」

「あ、濃くなるんだって、ＡＶ男優とかも飲んでる整腸剤。市販品だよ、やばくない薬。」

「でも、すごい量だよ、これ。」
　小百合は、応輔の背後から移動し、先端から垂れ下がる精液を指で掬う。鼻で臭いを嗅ぎ感想を伝えた。

「なんか、うん、濃い。これ、ごっくんしにくい。」

「え、そうなんだ。まじか、そうか。」

「応くん、同級生って、、私のこといってないよねぇ。」

「言えないよ。彼女とっていってる。」

「ふーん、そうかぁ。」

「高校のときの同級ってことにしてる。」

「二十歳くらいの娘としたい？」

「え、、ううん、だって、小百合さんしか知らないし。」
　小百合は少し拗ねたように陰茎を弾いてみせる。応輔は腰を引き、汚れた床を拭くためのテッシュを用意した。床のそれは小百合が拭い、巾木のそれは応輔が拭う。応輔が四つんばいでふき取りをしていると、ぶらつく陰茎を小百合が弄る。

「ほら、応くん。まだ零れるから、ぶらぶらさせない。」

「小百合さんが、元栓を締めてよぉぉ。」

「うぅぅ。」
　ぶらつく陰茎を小百合が根元を握り、たれの残る亀頭にかぶりつく。舌先でなんどもねぶり、垂れを防ぐと亀頭を口から離す。

「やっぱ、こゆい。」

「そうなんだ、、、おいしい感じ？」

「ではない、喉に引っかかるよぉ。」

　応輔は、恥ずかしそうにし拭いとったテッシュを丸め、小百合のものも受け取った。ゴミ箱に捨て、時間を見た。１５時を過ぎた頃、小百合の方を応輔は気にする。

「小百合さん、何時に帰る？」

「あ、何時でも、、、美鈴さん、今晩、泊まりだし、」

「でも、小百合さんが泊まる理由ってないよね、美鈴さんでも怪しむよ。」

「だよね、うん、２０時ごろには帰ろうかな。」

　応輔は再び小百合に抱きついた。小百合も体を反らし、応輔の抱き寄せに応える。５時間あまりある二人の時間は、舌の絡み合いから再び始まった。
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2015年12月5日掲載
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