レビレート
はちみつ太郎 作
３２


　奥山の姓になってから一月。応輔はその頃から小百合を求める積極性が芽生えているようだった。今日の求めもそうだった。小百合は、圭輔との時間を忘れるよう応輔と交わっているのではない。小百合にも奥山の姓に戻った頃から、応輔を求める積極性を感じていた。

　肌寒い１２月の初旬だが、半裸になった応輔は、小百合を求めるように口を吸い続ける。唾液は喉を越え、胃に達してもなおそれを欲しくてしかたがない。半開きの目を見つめる応輔、小百合は半開きをやめず応輔の舌の交わりを受け続ける。

　応輔は、半開きの小百合の眼に訴えかける。首を曲げ、乱れ起きたままのベッドのほうを向いた。小百合は、半開きの眼を開け、欲するままに従った。舌の交わりは解け、応輔の後を従い歩く。ベッドは起きがけのまま乱れ、そこに応輔は寝転んだ。仰向けになると、陰茎は臍のほうを指し、剥き身の亀頭からは再び滲んだ汁が、乾燥を和らげていた。

　小百合は、ブラウスのボタンを一つ一つ外し、ブラ上のキャミソールはそのままにした。膝下のスカートはホックを外しファスナーをおろすと、ブラと同色のアイボリーのショーツがストッキング越しに応輔の目に入る。評するように応輔は言葉を発する。

「小百合さん、そんなの持ってた？すっごい、かわいいんだけど。リボンとか、レースとか。」

「初めて穿く、この前、買ったの。」

「今日のため？」

「かも、ね。」
　小百合はスカートをおろし、ベージュのストッキングのゴムに手を当てる。応輔は生足が覗きだすと、仰向けからうつぶせにかわり、小百合のショーツをまじかに見つめた。脱ぎ捨てたストッキングをスカートの上に置き、ベッドのはしに体を近付ける。応輔は、リボンの部分を指で弾き、小百合を上目見た。

「これ、なんのためのリボン？」

「なんのため？」

「俺へのプレゼントかなぁ。」

「あっっ。、もぉぉ。」
　応輔は、うつぶせのまま小百合のショーツに鼻を宛がった。リボンの付近を目の高さにすると、鼻、口の臭覚を司る器官を小百合の恥にまみれた部分に当てる。柔らかい繁茂は、あの頃から芝生のように刈り取られたままで、押し当てると生地を押しのけ毛足が鼻下に当たる。その刺激よりも、小百合の恥ずかしい臭いが応輔の鼻の中を通り過ぎると、宛がった顔をもう一度離し、小百合の方を向いた。

「小百合さん、グチュッてる。臭いも、いい感じだし。」

「え、あ、そう、うん、だって、、、。」

「小百合さんも、オナ禁？」

「オナ禁って、、、してないし、、、。」
　応輔の言葉に口を膨らませ、抗議のように体をねじる。応輔は小百合のショーツに隠された尻を見つめ、少し緩んでいたビキニラインから指先を入れた。陰唇に簡単に到達すると、いつも以上の滑りを感じた。応輔はすぐさま指を抜き取る。小百合に、ベッドに上がるよう肩を抱き、胸元に指を廻し、反転させた体で小百合を押し倒した。ベッドに弾んだ小百合の体。足は少し割れ、少し開脚気味の太股を応輔は腕で押し広げ脚間に顔を入れる。

「やっぱ、すごい染み。小百合さんおニューが染み染みだよ。」

「うそぉ、。」
　小百合は背を曲げ脚間の応輔を覗く。しらばっくれるが、ショーツの染みには、玄関先でのフェラの時点で気がついていたのにだ。応輔は、染みが示す版図の拡大を続けさせる。領土は、応輔の指で瞬く間に広げられる。小百合の染みはクロッチの尻側まで続き、自身の汁で版図を広げられていた。

　侵略者がそこに舞い降りると、指先で汁を滲ませるのではなく、染み付いた土着勢力を排するように応輔が舌で舐めとっていった。侵略の版図が、クロッチを埋め、生地の薄い繁茂の覆いまでいったころ、チクチクとした荒野を除き見た応輔は、ショーツの版図を毟り取り、生身の小百合を制しにかかる。

「あぁぁ、あぁぁ、あんっ、応くんっっっっ、、、、臭くないよね、ね、。」

「臭くないよぉぉ、いいお汁、たまんないしっ。」
　小百合は応輔の頭をなでながら、クンニ時の臭気の恥ずかしさを誤魔化していた。応輔は、剥ぎ取ったおニューの汚れショーツを右手に被せ、小百合の内側の汚れをのぞく。透明な染みと、少し黄ばんだ染みを見つけると、その部分を返し、鼻先に当てた。直接的にクンニを始めたのにだった。小百合は濡れほでる陰唇を舐め上げられるより恥ずかしく、応輔の頭を押す。応輔は裏返しのクロッチと、尻間に挟まっていた部分に鼻を宛がい、排泄臭を嗅ぎ取っている。

「や、やぁぁ、応くんっ。」

「だって、小百合さんも、僕の、、、嗅いだじゃん。」

「嗅がせたんじゃないのっ。」

「おニューでも、これだけ臭うんだよぉぉ。」

「もぉぉ、やめてよ、、、そういうこと言うのぉぉ。」

「いつもしてた、、、実家にいた頃。」

「え、、、、もぉ。」

「カミングアウト、小百合さんのパンティ、、、いつも嗅いでたよ。」

「、、、。」

「怒った？」

「ううん、怒ってないよ、、、知ってたもん。」

「え、まじ？」

「うん、まじ。わかってたけど、そのままにしてた。、、、、なんか、そう、して欲しかったから。」

「どういうこと？」

「ん、、、、んーー、しちゃいけないこと、、、されるわけにいけないと、思ってたけど、、、、して欲しかったから。」

「、、、。」

「だから、パンツだけなら、、、いいかって、、、なんか、、擬似的に、しちゃいけないことされてるみたいで、、、。」
　応輔は、小百合の股間から顔を出し小百合と視線を合わせた。カミングアウトのカミングアウトを尋ね返す。

「小百合さんも、、、。」

「え、、、、あ、うん。応くんの、、、毎日じゃないけど、、、洗濯前に嗅いだことある。」

「まじかぁぁ。」

「嫌い？そういうのって。」

「嫌いじゃない。ってか、もっと早く知ってればって。」

「早く知ってたら、、、どうなってた？」

「もっと早く、、、こうなって、、、。」

「たら、まずいよね。だって、まだ、高１の頃だし。」

　応輔は、小百合の裏返しショーツを鼻にもう一度だけ宛がい、深く臭いを吸い込むと、手から放し、脱ぎ去った後のスカートの上に放る。開脚の隙間から這い上がり、小百合に覆いかぶさると、舌を絡めながら視線を合わせている。カミングアウトの後遺症もなく、隠していたものの解放が二人を親密にさせる。

「高校の頃、こうなってたら、、、拒否られたかな？」

「うん、、、多分、全力で、、、だって、嫌いじゃないけど、、、しちゃいけないって、思うじゃん。」

「だよね。」

「しようと、、、思った？」

「ことは、、、ないよ。だって、関係がばらばらになるリスク、、、高すぎるし。」

「二人の関係以外が、だもんね。出来ないよね。」

「うん、、、、脱衣かごの中だけが、、、。」

「楽しみ？」

「うん、小百合さんの全部を感じれてる気が出来たし、想像？妄想？のなかで、いろんなことで来たし。」

「いろんなこと、されたんだ、私。」

「うん、いろんなこと。」

「例えば？」

「言えないよ。」

「教えてよぉ。」
　小百合の耳元に顔を近づけ恥ずかしそうに小声で応輔はしゃべりだした。小百合へ条件を出し応輔は小百合に了承させた。応輔はつらつらと高校の頃の妄想を声に出し始める。


「え、えぇぇ、まじで、そんなことされてたんだ、応くんの頭の中で。」

「うん、、、だめ？」

「ううう、そういう、シチュェーションなんだぁぁ。まじかぁぁ、、、、ちょっと、興奮だねぇ。」

「高校の同級の奴がさ、小百合さんのファンっていうか、いいじゃんって言ってて、そいつの妄想も利用してた。」

　小百合は、応輔らの妄想の中で犯される自分を想像してしまう。言われた内容よりも、誇張し、自虐的な妄想だった。

　局からの帰宅途中、応輔の友人らによって近所の山中に拉致され、林道の傍らにある農業倉庫に連れ込まれた小百合。白のブラウスは簡単に引きちぎられ、ボタンははじけ飛ぶ。白のブラはそのままに、背後からもう１人の友人Ｂが羽交い絞めにしばたつく脚を友人Ａが押さえ込む。その姿を応輔が録画用のカメラを片手に撮影している。

　青いスカートは、ばたつかせた脚ではだけてしまい。応輔のカメラにブラと同色のショーツの色が刻まれていく。むこう脛を自分の尻で押さえ込んだ友人Ａが小百合のスカートの中に手を入れる。無理やりショーツのゴムに手を掛けると、友人Ｂが小百合の尻を浮かせすぐのまにショーツは取り払われる。小百合が少し抵抗をしなくなり、諭すように三人にやめるよう言うが、躊躇うことなくその隙をつき、スカートもずり下ろされた。小百合は、内腿をきつく閉じ、繁茂は隠すことが出来ないが男らの目的地を視線から外そうと必死だった。

　脇を締める友人Ｂが下半身に気を取られる小百合に気がつき、脇から手を放し胴回りを抱きしめ、白のブラウスを剥ぎ取った。小百合は二つの行動を抑制することが出来ず、カメラを手にした応輔に助けを請うが、応える様子はない。大声を出す余裕を失い始めた小百合。友人Ａは繁茂を見つめ、太股に指をかけ、きつく閉じた門をこじ開けようとする。頑として開かない太股を背後の友人Ｂが助け舟を出す。ブラの隙間に指を入れ乳を揉み、頃合の乳首を転がしている。小百合は抵抗の半分をそちらに奪われ、下半身の力気は薄れていた。友人Ｂが乳首を転がし、胴回りに脚を絡め小百合を仰向けにし、天井を向かせる。

　農業倉庫の梁には、ツバメの巣があり、夜半過ぎの就寝を邪魔されたツバメのつがいが下を向く。

　乳首から指を放し、背後のブラホックを窮屈そうに友人Ｂが外すと、緩んだブラから小百合の乳房が零れていた。友人Ａも太股の攻略が進み、乳首を眼前に見ることが出来ると、攻略の手に力をこめる。

　膝に手を入れ大きく割り開くことが出来たとき、応輔のカメラのズームは繁茂の下に潜んでいる陰門にピントを当てた。瞬間的に捉えたが、友人Ａは我先にとこじ開けた太股の内側の制圧にかかり、小百合の陰門に顔を近付けた。割り割いていた手が離れると、小百合の内腿が友人Ａの両耳を押さえる様にしている。押し付けられた友人Ａの舌の動きは見て取れないが、小百合の嫌がる声をカメラのマイクで拾うと、友人Ａが舌先で小百合の陰門に触れたことがわかる。

　執拗に顔を押さえ込む小百合の太股だが友人Ａは意に介さず、太股の肌触りも涼感に感じているようだった。羽交い絞め役の友人Ｂは小百合の背後から首を伸ばし、友人Ａの舌の動きを注視する。繁茂が鼻に圧し掛かり、舌の動きは見えないが、時折舌を舐めあげたときの合う視線が獣の目にしか見えなかった。友人Ｂは、獣の視線にのっとられる様に自分も化身となった。小百合の首もとに腕を廻し、自分の方に向かせ、頬、首筋、耳たぶ、唇を舌でなぶる。

　小百合は乾いた唾液の臭いに嫌悪するが、カメラを携えた応輔への懇願も声にならない。応輔は聞く耳を持っていないのか、間隔を詰めず、撮影を続けている。

　小百合の抵抗は徐々に緩んでいく。嫌悪、抵抗の声も出しつくしたのか、鼻水をすする音だけを農業倉庫に響かせる。力気のなくなった小百合を友人Ｂが友人Ａと視線を合わせた瞬間に抱え上げた。せいの、という声とともに小百合の体はふわりと浮き、コンクリート土間から、小上りの上、畳敷きの間に上げられた。かび臭い畳の上に小百合は仰向けにされる。友人Ｂはブラ紐を掴み腕から取り去ると、戦利品のように応輔へ放り投げた。応輔はつかみそこね床に落ちたブラをショーツと同じところに置いた。

　小上りに膝つき応輔は友人らの動きを撮りつづける。小百合は、じっと、応輔を睨んだあと、反対側の壁を向き、二人の責めに抗うように体を揺さぶった。友人Ｂは小百合の腕に乗り押さえ、友人Ａは小百合の膝に手をかけ大きく脚間を開かせていた。尻を振り逃げるように友人Ａの舌から逃れようとする。小百合はなんども翻意を促すが、誰一人人間の心を持っていないように感じる。無力な声を上げ続けた小百合は、あるとき、声色が変わる。自分でもその瞬間を感じるほどだった。

　友人Ａは尻のふりが収まった小百合が腰を畳に付け、動きを止めたとき、舌先で陰唇を舐め上げ、頃合の淫肉を指先で扱き始めた。小百合は腹筋に力を入れ、喘ぐ声を去勢する。友人Ａは、小百合の陰門を越えた指先で温かい膣肉の感触を楽しんだ。初めて味わう女の肉を指先に感じさせると、緊張がほどけ、自分の下腹部の変化にも気がつく余裕が出来た。

　小百合は、拒絶の意思を下半身ではなく顔で表現する。友人Ｂに向かされた顔は涙目になり許し、解放を懇願していた。ここまできて解放、許しは得られることなく、友人Ｂは指先で操つられた下半身に小百合の顔を向けた。友人Ａは、小百合の視線を感じ顔を上げる。指先も抜き去ると、濡れた指を小百合に見せ付けたあと臍周りの下腹部に擦り付ける。小百合は液体の感覚を感じ、女であることを悔しがる。抗うことをしても濡れ、潤滑し、精を受け入れる準備をしてしまっていた女を嘆いた。

　友人Ａは咽び抵抗を失った小百合に頃合と感じる。友人Ｂに目配せし、小百合の体を再び羽交い絞めにした。その間、学生ズボンを脱ぎ去り、トランクスも脱ぎ、陰茎を露にする。焼けのない肌色をした陰茎は、先端の部分だけ赤くしていた。むき出した亀頭を小百合に向け、体を重ねようと太股を持ち上げる。先端は陰唇付近でもじもじと穴を探る。頃合と感じていたはずの友人Ａは、自信をなくすように穴の位置を指先で確かめる。小百合は最後の抵抗を腰をよこに動かしながら試み、友人Ａの軌道をずらしていた。程なくあてがいが上手くいったのか、小百合の膣前庭からぬるりと膣道に受け入れられた陰茎は、女の奥深さを味わった。

　友人Ｂが感想を尋ねると、一心に頷くだけで声になっていない。小百合は、涙目で、かぶりを振るが、受け入れられることなく女を蹂躙されていく。２分ほど経過した頃、友人Ａは突如として昂ぶりを覚える。小百合の淫肉に巻き取られ、男としての敗北のように短時間で果てた。小百合は、中に出された感触を感じないが、友人Ａの腰の動きが止まり、抜き取られた陰茎の感覚で、膣内に放たれたことを知った。

　大きな声出すことなく、小百合は放心し、友人Ｂの拘束にも抗うことがなくなった。だらりと、腕を畳に乗せ、友人Ｂは、Ａに交代をせがむ。友人Ａは、陰茎から零れる精液を畳にこぼしながら持ち場を変わる。小百合の頭上に移動すると友人Ｂの女犯を眺めることにした。

　小百合は目を閉じ、友人Ｂの女犯を受け入れているようにしか見えない。友人Ｂは、Ａの放出後の陰唇を舐めることを躊躇い、指先での嬲りに終始する。淫肉の柔らかさを感じ、繁茂、陰核を食い入るように見つめ、Ａの放出した精液を吐き出させる。指先での弄りに小百合は目を閉じてはいるが、吐く息に女の声を微かに臭わせた。友人Ａが小百合の顔を見つめ、友人Ｂに女の声を上げ始めたことを伝えた。友人Ｂは重なるように小百合に被さり、露な乳首を吸い、両方の乳首にキツク吸い付いた。小百合は抗うことなく、声を始めてあげる。友人Ａは、小百合に獣の声で蔑むように言う。自分の時は、嫌がったくせにと、すねたように立ち上がり小百合の顔に跨ると、股間を鼻に押し当て、程なく精液の垂れる亀頭を口に含ませる。左程大きくはないが、小百合の口内には精液と若い肉の臭いがこもり、涙ですすった鼻水の効果で息がしにくくなった。

　友人Ａは小百合が吐き出そうとするのを抑制するべく、鼻をつまみ空気の通りを遮断する。小百合は、目を開け、友人Ａのほうを見つめ、息苦しさを訴えるが聞く耳を持ち合わせてはいない。

　友人Ｂは小百合の足間が弛緩し、指先での弄くりに飽きが来る。頃合の陰唇に亀頭を押し当て、友人Ａよりすばやく小百合に挿入を果たせた。小百合は、陰門をこじ開けられた感触を視線で訴える。友人Ａは振り返り、Ｂが腰を振る様を見つめ、はやし立てる。再び吐き出そうとした小百合に鼻を塞ぎ、喉奥まで亀頭を押し込むと、顔が赤くなり、気絶するように目を閉じ掛ける。小百合は友人Ｂに犯される中、快楽を感じ始めた頃、遠くなる意識はＢがする女犯のためと考えていたが、そうではなかった。

　遠ざかる意識、消え行く記憶、小百合は二人の応輔の友人に女犯されながら、往き果ててしまう。小百合は浮かび上がる自分の薄い影が農業倉庫の天井にぶつかると、女犯されたままの自分の姿を見つめた。他人事のように見つめているその三つ巴の姿。小百合はツバメの声を聞いた。視線の合ったツバメは、首をかしげ不思議そうに問いかける。小百合には言葉がわからないが、慰められていることだけがわかる。

　農業倉庫を抜け、空体が空に向かって舞い上がったとき、元の戻れない肉体に気がついた。死んだんだ。それだけしか、思いはなかった。


　動かぬ小百合の体を友人Ｂは犯し続けるが、魂の消えた感じはしない。淫肉の温もりはまだあり続け、潤滑の具合に変化もなかったからだ。友人Ａも程なく、往きを感じたのだろうと小百合の鼻から指を離す。喉奥を犯し続けるその姿のまま、応輔にピースサインを送る。喉の奥に当たる亀頭の感覚で射精感を再び感じ、二度目の発射を終えたとき、小百合の異変に気がついた。

　舌をだらりと垂らしたまま動くことない小百合の顔に精気が帯びていないように感じる。友人Ｂは、Ａの射精後数秒で同じく膣内に果てた。友人Ａが慌て、小百合の頬を叩くが、眼を開けることがない。鼻に耳をあて、呼吸を確認してもそれを感じることはない。開け放たれた胸元に耳も当てる。友人Ｂは鼓動を感じることが出来ず、慌てて小百合から離れた。

　応輔は、その姿すら撮り続けている。応輔は、言った、録画ボタンを止め、「証拠が撮れたよ。」それは、二人には聞こえていない、なぜなら、二人は小百合の無呼吸に怯え、一目散に逃げ去っていたのだった。応輔は、小百合の胸元に両手を当てる。回数を数えながら、強く胸を押し込んでいた。１分ほどしたあと、何かを感じたツバメ達が開いた窓から飛び去った。
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2015年12月9日掲載
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