レビレート
はちみつ太郎 作
３４

　軽く残りの精液の臭いを感じる。口内の唾液はそれを絡め喉の奥にしまう。啄木鳥のようにフェラを施し、止まり木の応輔は啄木鳥の頭をなで摩り、遠くの止まり木に移らないことを願った。

　小百合は唾液をすすり膝に落ちた自分の唾液を手のひらで拭う。小百合は上目で応輔を見つめ、啄木鳥が飛び立つことを請うた。止まり木は、小百合の頭を離さず、止まり木を奥深くまで飲み込ませるよう後頭部を押した。嗚咽し、相当量の唾液と胃液の混ざりが膝に垂れ下がる。小百合は、涙を貯め、もう一度止まり木に懇願した。止まり木の太ももに何度かタップし、降参を願い出る。止まり木はようやく啄木鳥に許しを与え、飛び立つことを認めた。離れた小百合は少しえづき、唾液の量を多く吐き出した。

　唾液の絡まった陰茎に応輔は先ほど使用した避妊具を装着した。射精前に抜き取り顔射したときの物だった。小百合はそれを見ていない。嗚咽し、テッシュに唾液を吐き出すと息を調えている。ため息をつき、立ちふさがったままの応輔の太股をパシッと叩く。ふてた顔をした小百合に応輔は、膝を折り、唇を重ねさせる。小百合は舌を絡ませてしまい、従属的に応輔の責めを許していた。

　避妊具が装着されたことを見た小百合は、正座の姿勢から応輔に尻を向ける格好になる。四つんばいのまま、応輔に尻を向けると尻肉に手がかかり、応輔の鼻息を尻間に感じた。少し割り開いた尻間に鼻を近づけ、乾燥を予想した陰裂に舌を這わせてみる。入り口周りの湿潤には問題がありそうだった。応輔はもう一度舐め、その後、二本の指で小百合の陰裂を割った。腰を沈め、クッションに顔を押し当てた小百合は、恥ずかしそうな声を漏らす。応輔が、指先を二度三度出し入れし、Ｇのポイントを指先で玩ぶと、湿潤を感じ取った指先は名残惜しまず抜き取られた。宛がいを、陰裂に差し入れる。応輔は圧力を感じないまま避妊具越しに小百合の熱い湯汁を感じていた。

　クッション越しに小百合の喘ぎは聞こえた。四つんばいの足を膝から下でばたばたと布団を蹴飛ばしている。恥ずかしそうにする小百合の仕草に応輔は頬を緩ませる。背骨が反り、背筋を露にし、肩甲骨の羽に応輔の舌が這う。汗の臭いが少しし始め、小百合の臭いを実感できた。応輔は腰を振るのを疎かにするほど、小百合の肩越しに舌を這わせていく。左腕を応輔が掴み、脇を晒すようにさせると、迷いなく応輔は小百合の脇の下に舌を這わし、締め気味で抵抗する小百合をあざ笑う。小百合の抵抗を抑えるように腰つきを早め、力気を奪うと脇の下の臭いを嗅ぎ取った。汗臭く、特有の臭いを感じ、応輔は感想を呟く。小百合は聞きたくないと首を振るが、応輔は覆いかぶさるようにして小百合の耳に呟いた。

「小百合さんっ、、、脇の下、、、、汗臭いっ。」

「みんなぁぁ、くさいよぉぉ、、、あんっ、、、、嗅がないっっ。、、、もぉぉ、、、あ、あ、、あぁぁあ。」
　小百合が応輔の顔を押し、顔からも脇からも離れると、腰を打ち付けるストロークは増した。パンパンッと音をたて、小百合の尻と応輔の腿、睾丸が当たる音がビートを刻む。

　応輔は、尻間を少し手で押し広げ、小百合の肛門を上から覗き見ていた。しわの数がわかるほどと、少し開き加減な肛門に唾液をつけた指を当てる。小百合は、突かれながら応輔の手を後ろ手に制止、口を尖らせている。

「小百合さんのお尻の穴、、、ヒクヒクして可愛いんだ。アナの穴。」

「ばかっ、、、もぉぉ、そこはダメだし、、、、う○ちのとこだよ。」

「でも、これだけ、ピクピク動いてたら、お話しなきゃって感じに。」

「ならない、、、もう、帰るよ、、、いい時間だし。」

　小百合はクッションに顔を当て、応輔の指先が離れるのを待った。応輔は指先を離し、少し触った小百合の肛門の臭いを嗅いだ。そして、見ていない間に指先を舐めた。小百合は、どことなく気がついて振り返る。応輔は指先を舐めたまま小百合に見つかると、ストロークを早め、小百合に何も言わせないようにし、昂ぶる喘ぎだけを漏らさせていた。

「あぁぁぁ、、、、だ、だめぇぇ、、、、あん、いぃぃぃぃぃ、、、、あぁ、あぁ、いぃぃぃぃ。」

「あぁぁ、おれもぉぉぉ、、、、でそうっ、、、、あぁ、あぁぁ、、、、、、あぅ。」

　避妊具の中に放たれた精液は、最初の量と左程変わらぬようにエビオス錠の効果を感じていた。出し切るまでに時間がかかるように応輔は小百合の背に覆いかぶさり残精液が放たれ終わるのを待っている。悦が続き、応輔は呻くように声を上げていた。

「小百合さん、、、、中に、、、出したいよぉぉぉぉ。」

「だめだよぉぉ、、、、出来ちゃったら。」

「あぁ、擬似で中出ししてる感じがすごい良くてぇぇ、、、ドクドク止まらんし。」

「うん、脈打ってる感じがする。」

　応輔は全てを出し終えるのを待って再びストロークする。応輔の肉茎は少し縮むが、亀頭への刺激は射精前より敏感だった。

「あぁぁ、先っぽ、、、すげぇ、いいぃぃぃぃ。」

　小百合はもう一度応輔の先っぽを子宮の入り口に感じる。ストロークほど遅いが、悦の言葉が応輔からいつも以上に伝えられる。

「あぁぁ、すげぇぇ、、、、ああぁぁ、、、、、ま、またでそぉぉぉぉ。」

　応輔は小百合に腰を振るのを止める。が、小百合は射精とは違う何かを膣内に感じ取った。

「あぁぁぁっぁあっぁぁぁぁあっぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ。」

「ど、どうしたの応くんっ。」

「あぁぁぁぁあぁぁ。」
　小百合は膣内に射精とは違う液体の圧力を感じる。絶え間なく噴射されるそれは精液ではない何かだろうと察した。応輔は陰茎を抜き、小百合の尻から遠ざかるが、布団の上を濡らすほど尿道口からの噴射に怯えた。

「おしっこ？」

「ち、違う、、、あぁぁ、、、あっ、、あぁっ。」

　応輔はびくびくと体をビクつかせ、小百合の四つんばいの脚間にも液体を飛ばした。小百合も小便でないことを察する。アンモニア臭ではない液体の臭いと、射精のように飛び散る透明な液体。正体はわからないが、足間に落ちた避妊具の中には大量の精液と、その液体がまざり、口をふさがれぬまま落ちたせいで布団の上に零れてしまっていた。

　応輔は、まだ、脊髄反射のように背筋をびくつかせている。小百合は姿勢を変え、応輔の亀頭に少し触れる。応輔は、大きく喘ぎ再びビクついた亀頭の先から少量の液体をこぼす。

「これも、潮？」

「男も？、、、あぁぁ、すげぇ、まだでそっ。小百合さん触らないでよぉぉ。」

「お風呂でながそ、、応くんの中で零れたかしれんし。」

「そうしよ、、、あぁ、怖かった、、、止まらんかったらどうしようかと。」
　小百合はベッドを立ち上がると、シーツをまとめ、洗濯機に放り込む。応輔は亀頭を押さえながら小百合の後を続く。風呂場のバスタブに応輔は腰掛ける。小百合は、シャワーヘッドを持ち、湯の熱量を手で確かめた。水から湯に変わると、繁茂の付近に湯を当て、陰唇の周りを指でなでる。

　それを見ている応輔は、

「それじゃ、ダメだと思う。」

「どういうこと？」

「なんか、小百合さん、指が遠慮してる。俺が見てるから、、、。」

「、、、。」

「もっと、指を入れなきゃ、、、じゃない？」

　小百合は、応輔の言うとおり遠慮がちに陰唇の周りにだけ湯をあて洗い流そうとしていた。1人なら、恐らく、躊躇なく二本ほど指をいれかき出すようにしていただろう。それでも完全に拭い去ることはない微粒の精子らは、小百合の膣肉のほど良い温度で生きながらえ、小百合の女の中心に向かう力を蓄えるのだろう。

「こ、こうかなぁ、、、。」

「うん、そうしたほうが、、、いい。」
　小百合は応輔の座るバスタブに片足を掛ける。開いた脚間に指を入れ込むと、二本の指でＧスポットの周りまで膣肉を穿った。消すはずの昂ぶりを再び感じさせられる。応輔は小百合の指の動きを覗き込み出てくる液体とシャワーの水流を重ねながら当てた。
　小百合は自己の感覚で二本の指を抜いた。応輔は水流を床に変え、小百合の手首を掴む。指先を眺め、小百合のそれを口にぱくと含んだ。小百合は、応輔の口から離そうとするが、応輔は力を入れそれをさせない。

「だめだよぉぉ。」

「流れたかも、俺の臭いしない。、、、小百合さんのエッチなお汁の味しかしないもん。」

「エッチじゃないもん。」

「エロ？」

「エロでもないっ。」

「じゃあ？」

「わからんし。」

「みて、また。」
　小百合は応輔のバスタブから生えたような肉茎を見つめる。応輔は立ち上がり、舐めた指先をそれに誘導する。小百合の指先はカリ首あたりに触れ、陰茎を一回だけ扱く。小百合はそれ以上しないでいると応輔は立ち上がり、小百合の半開いた口元を舐める。小百合の戸惑う顔、時間を気にしている顔だった。応輔はそれを悟り小百合に残りの時間を聞いた。

「あと、、？」

「うーん、美鈴さんの時間もあるし。あと３０分かな。」
　小百合はさばを読んでいる。多目にではなく少な目にだった。帰りたくない気持ちの裏にある栞への罪悪。数回の交わりで小百合には罪悪への気持ちがシフトしていた。

「そっか、、、だよね。次って？」

「うん、また、、、来週かな金曜。局に、呼ばれてるし。」

「仕事？」

「うん、アナウンス部長が話があるって、育休開けのこと。」

応輔は小百合の顔を見つめている。次に出る言葉を探しているようだった。小百合はその言葉を待っている。だが、期待している言葉ではなさそうだった。少し冷え始めた体を重ねると、背中の辺りにシャワーの湯を当てる。応輔の勃起した陰茎は小百合の腹に押されている。応輔の手は小百合の尻間にまわり、割れ目を広げ指先を陰唇のはじっこにあてていた。シャワーの湯の濡れ具合しか応輔には感じない。小百合も応輔の陰茎に触れるでもなく、固く閉まった尻を撫でている。

　応輔は手を戻し、腰を少し引く。空間に手を入れると小百合も少し腰を引いた。繁茂を撫で、小百合の表情を見つめた。

「応くん、帰れんようになっちゃう。」

「泊まる？訳にはいかんよな。」

「うん、また来るし、その時に。」

　応輔は繁茂から指を離すと、小百合の唇に軽くキスをし、おのおのの体を流し始めている。応輔が先に出ると、小百合はそのあとしばらくしてから脱衣に現れる。応輔は早々、Ｔシャツトランクス姿に着替えている。小百合はバスタオルを受け取り、体を拭う。湯の滴が消えると、恥ずかしげに前を隠し、ベッドの脇に放られたままのショーツ、ブラを指で掴む。ショーツ、ブラ、の順で穿き終えた。応輔は、ベッドに腰掛その姿を見つめている。

「どうした？」

「う、うん。なんか、遠くに行きそうな感じがした？」

「私が？」

「うん。」

「どこにも行けないよ。もう、どこにも。」

　応輔は小百合がパンストを穿き身支度を終えるのを待った。

「まだ、１５分ほど、、、あるよね。」

「あ、うん、、、、。」
　応輔はソファーに腰掛けている。手招きもせず、小百合は応輔の横に座る。応輔は小百合の胸元に顔を当てる。心臓の音までは聞こえないが、奥に眠る小百合の声を聞きたかった。小百合は頭を抱き、少し胸を押し当てるように応輔を抱いた。

「このままが、いいな。」

「、、、。」
　小百合は同調できず、時計を見つめてしまう。応輔はそれを見ていた。

「帰りたい？」

「帰りたいんじゃないよ。帰らなきゃいけないの。」

「、、、。」
　応輔は、残る１０分ほどを惜しみ、小百合のスカートに手を入れる。パンストの薄い肌触りの向こうに先ほどまで湿らせていたショーツがある。指の腹でその部分を摩り、小百合の女の臭いを染み付かせていた。小百合は時計を一目だけ見ると、応輔の頭を撫で、女の名残惜しさと、母の罪悪感をせめぎ合せていた。応輔はパンストを爪で引っ掛け少しの破れ目を作る。小百合はとがめることなく、そこからの指先の進入を許す。

　指先は、バスタオルで拭われたはずの陰唇周りを再び摩り、小百合の汁を呼び覚ましていた。小百合は応輔の頭を強く抱きしめると、小声で応輔へ母の罪悪感だけを告げる。

「応、、くんっっ、、、今日は、、ここまでだよぉぉぉ、。」

「うん、ここまでだけど、、、、。」
　応輔は、指先を抜き取り自分の鼻近くに当てる。小百合は、自分の新たな淫汁の臭いを嗅いでいる応輔を見つめ、女の名残惜しさを痛感させられた。

「ピンポンッ」
　応輔は、すくと起き上がる。小百合の体から離れると、インターホンのモニターを覗く。応輔はそこに山田の顔を見た。冬に応輔の家にいた小百合の存在を当てた男だった。

「友達？」

「うん、、、、小百合さん、鍵持ってた？」

「ううん、持ってない。」

「これ、合鍵だし、、、俺が出てから、、、。」

「わかった、それから出る。」
　応輔は、鍵を渡し、外着に着替えると、インターホンに応答する。山田は応輔に尋ねる。女の存在を問いただしている。応輔は居ないと小百合の顔を見ながら言った。山田は、寒いから早くしろとせかす。応輔は約束の有無を尋ねる。山田はしていないが、腹が減ったから誘ったといい、寒さに体を震わせていた。応輔は、玄関の靴を気にすることなくドアを開ける。山田の姿はドアの開かないほうにある。扉が開いた隙、覗き込むように山田は玄関を見た。奥を見つめ近くを見つめる。応輔はドアを閉めると鍵を掛けた。山田は、応輔に続く。何を食すかの前に、山田は言った。

「山内、まだ、山のＯＬさんと別れてないな。」

「え、なんのこと？」

「部屋の電気、消してない、、、、玄関の靴、隠しきれてない。、、、それに、車。」

「あ、、、、。」
　山田は洞察力を発揮し、応輔の手を掴む。右手の指、人差し指に鼻を近づけると、勝ち誇る顔で応輔に言った。

「山のＯＬさんに怒られるなぁ俺。」

「なんで。」

「だって、まだしたいって、臭いだもん。」
　応輔は山田に掴まれた手首を振りほどく。小百合は乱れたスカートを直しながらカーテン越しに二人の遠ざかる背中を見ている。
　背中が遠ざかると、スカートの中に指を入れた小百合は指先ほどのパンストのほつれに自分の指を通していた。
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2015年12月14日掲載
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