レビレート


レビレートはちみつ太郎作
７　湯を浴びていない圭輔は、小百合の風呂上りの首筋を嗅いでいる。指先は寝巻きの上から摩り、ブラのカップを押し上げるように手のひらで揉んでいた。　小百合が目を覚まし体を自分に預けていることを感じている。痴漢のように体を触るようになって１分も経っていない。シャツをまくり臍下から下腹部に焦点を当てるように手を動かす。　物言えぬ女を痴漢するように圭輔の指先は、ショーツのリボンを盛り上げ、薄い繊毛を通り過ぎ、ダイレクトに小百合の生殖器にたどり着く。　痴漢の被害者にはないその濡れように圭輔は指先が数秒止まる。見えてはいないが、ショーツにまで拡がっている濡れ具合を手の甲に感じている。動揺するでもない圭輔は、陰唇周りにも感じる滑りを指先に纏わせ、蜜のこぼれを嗜んだ。　余しの少ないビラビラを押し広げるようにし、前庭の滑りをも空気に触れさせる。小百合は触りやすいように腿を少し開き加減にしていた。痴漢には考えられない被害者の仕草に、圭輔は少しがっかりする。しかし、ふれた小百合の膣肉への刺激は加減をするほどもなく女肉を平らげてしまう。　指先は、いつものようにＧのポイントにまで達すると左右の動きを加えてくる。圭輔はざらざらとした感触を指の腹に感じると、目を閉じたまま半開きになった小百合の口から漏れる喘ぎに笑みをみせる。　大きくはないが吐息に絡むように微かな喘ぎは、小百合の女の部分をみせていた。首を仰け反らせ圭輔の顔に洗い髪を当てていると、その仰け反りを元に戻すと同時に圭輔に向き合うように体を入れ替えた。　一度痴漢を拒絶するように圭輔の手首を持ち、Ｇのポイントから遠ざける。向き合うようになった圭輔と小百合は、片方は目を閉じたまま舌を差し出すようにキスをせがみ、目を開けている片方はそれを受け入れるように舌を吸い上げる。　絡み始める舌は、両方の性的興奮をあげている。圭輔は、いつもの小百合との違いに気がついていないわけではない。膣肉の濡れ具合は、いつもならこの辺りから分泌が始まっている。キスの後、小百合の指が圭輔の突起にふれ、応対するように小百合のショーツをずり下げる頃、渇きを失い、湿潤に変わる流れ。　違いに気がつくが、小百合の奥底に眠るジレンマまでは探れていなかった。小百合はそれに気づかれぬように体を変え、圭輔と向き合うと、いつもと同じように圭輔の突起の先端を手のひらで弄っていく。　室内履きのジャージ越しに屹立具合をつかまれる。睾丸に手をやり、マッサージ風に転がしている。小百合の鼻息は少し荒くなり、舌の絡みも根元にまで先が届いていた。　睾丸二つをコリコリと転がし、屹立の具合が最大になると小百合はジャージ、トランクスを同時にずり下げる。腰を引き、足蹴にするように圭輔は布団の中で脱ぎ去った。　先端は、小百合同様に濡れている。睾丸をダイレクトに転がし、今度は圭輔が吐息と喘ぎをもらした。小百合は舌の絡まりを解き、挨拶のように唇を吸い、口元を離れた。　向かい合う体勢はこのとき終焉し、新たなる体勢に移行する。手から離れぬ屹立を握り締め、小百合は圭輔の下半身に顔を鎮めた。圭輔は、布団を跳ね上げると、小百合の正座姿を見つめる。丸くなった小百合は、握り締めている屹立に舌を這わせていく。　先ほどまで絡ませていた舌は、屹立の裏側を丁寧に舐めていた。圭輔は湯を浴びていない陰茎を愛おしそうに舐め上げる小百合の頭頂部をなでる。小百合は眼もあけず、一心にその先端までを口に含んだ。　亀頭は小百合の口内できれいに舐め上げられ、一日の汚れを清められている。血流は感じられ、屹立の具合も高潮になると、小百合は口から離し、屹立をしごき、亀頭をなで、その後、離れた指先は、寝巻きとショーツのゴムを一緒に押し下げる。　暗がりの寝室に、小百合の薄い繁茂がＹの字の真ん中に見える。意思の疎通は出来ているのか、下半身だけ露出させた二人は、お互いの生殖器を擦るつけるようにしている。　粘液と粘膜は、二人の相性を知ってか知らずか、同色に交わっている。ネチャネチャと音を立てながら触れ合いながら、滑りを感じさせていた。　陰唇を割らせている屹立が、フライング気味に小百合の奥を狙っている。圭輔はしていないことに気がついた。小百合への愛撫はほとんどなく、ただただ生殖活動の営みは、主導する小百合の腰の動きで始まっていた。　陰唇だけを割り、前庭と亀頭はなんども互いの粘液同士を擦りつけ、タイミングを計っていく。そのタイミングが重なり、亀頭の侵入角は、測ることなく最適化される。　小百合も圭輔もぬるぬると潜り込む感触がわかった。屹立の具合は、挿入後も保たれていた。生の挿入感を圭輔は感じ取る。　小百合はじっと眼を閉じ、指で慰めていた時と同じように義弟の屹立にシンクロさせた。声に出さず、求めるように腰を振り続けていく。堪え気味に喘ぎ、名を呼べずもどかしさに口をつぐんでいる。　首を少し振り、与えられている性感を振り切るような素振りをしている。子が欲しい、その一心だけだ。種のない圭輔とこのままでは生殖には近付けず、ただの快楽の貪りにしかならない。その思いが首を振らせている。圭輔には、声をあげまいと抗うようにしか見えていない。　ヌブヌボと音を立てる生殖の交わりが上下動を繰り返すことで大きくなり性感だけが小百合の上に纏わりついた。さほど大きくもないが、蜜壺にふれ、収まり、摩擦を繰り返すことで小百合に喜びを与えてしまう。子が欲しいだけか、快楽の貪りか、答えが消え始めた時、圭輔の動きは鈍くなり、腰骨を強くつかまれると、熱い迸りが小百合の中に放たれた。　かすかな期待だけが、小百合の中にありつづける。このまま、このまま、白い精の中の一つでもいい。たどり着いてと念じるが、頭のない遺伝子たちは、ピンク色したドーナツの入り口に届くことなく放たれたと同時に小百合の膣肉に纏わりつきながら動きを止めた。　受精にたどり着けぬと知りながら、動かぬ子種を抱きしめる小百合の膣肉は、本能で搾り取るようにし、圭輔の陰茎を締め上げていた。　繋がりを残したまま小百合はうなだれるように圭輔に抱きつく。圭輔は跳ね除けることなく小百合の唇を吸う。舌は愛撫のように絡みつくと、中に残る圭輔の屹立は血の気を再び帯びる。　精液の絡まりが小百合の膣肉の潤滑を促進し、膣道の空間を確保しているようだった。小百合は排卵日特有の子宮の下がりから、先端で小突かれる刺激に声をあげてしまった。　その声を聞けた圭輔は、俄然と力を増し、突き上げに注力し続ける。小百合は、声を堪えながら圭輔の首元に顔をうずめるようにうなだれる。弾き飛ばすように胸元から体を揺すられる小百合は、布団に手を着き、目を閉じたまま下半身の突き上げを堪えていく。　程なく薄いはずの二発目が赤く充血しかけたドーナツに注がれた。小百合は、二発目も同様に屹立を押し出すことなく圭輔にもたれかかる。耳元で弾んだ息の圭輔の声が耳に残る。「今日、出来る日だろ。」　小百合は声にならない声を押し殺しながら、頷くしか出来なかった。抜きさった膣道からは、種としての役割を果たせない鞭毛らが引きずられるように流れ去っていた。　二人の体は離れると、小百合は濡れテッシュを何枚か引き抜き、圭輔の滴を屹立に添わせ拭い去る。残りの数枚は、膝立ちになり、圭輔に覗かれるまま陰唇に纏わりつく精液を拭った。　圭輔は、小百合に尋ねた。「風呂、行く？」「ううん、少しこのままにしておく。」　入らない理由を受精のためと圭輔に伝える。奇跡を願ってのことだが、望みは薄いといわれたことを小百合は思い出しながら、圭輔が部屋を出ていくのを見送った。　表面的な精液のたれを拭い去るが、ショーツを穿くことを躊躇った。無尽蔵ではないはずの膣道に収められた無益な精液は、小百合の涙のように流れ出ている。陰唇を拭うたび、女の性を感じさせられてしまっている。生殖への絶望と、性感の未達は、声なき声を拾い、望むようにシンクロした名前を思い出させていた。「応くんっ。」　長いはずの夫婦の夜は瞬く間に明け、達せぬ思いだけを小百合は引きずっていた。
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2015年10月3日掲載
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