レビレート
はちみつ太郎 作
９

　応輔におでこを預けた小百合は、緩和した緊張の中、とまどう応輔の手に触れる。行き場の定まらぬ応輔の手を交わらせ指と指の隙間を埋めあっている。細くしなやかな指は、応輔の指の間で火照りを伴うように発熱していく。

　交わらぬほうの手は、交わるほうの手との交信でその先の信号を青にしてくれた。応輔の右手はうなだれる小百合の頭にふれ髪の毛を撫でている。短い髪の毛は、撫でられる度に女の香りを放ち、一日の匂いも放散させている。肩を抱くように手をまわされると、小百合は、眼を閉じたまま応輔の鼻に自分の鼻を合わせていく。

　鼻先をなんども擦り合わせると、小百合の口元はどうして良いかわからないままの応輔の唇に何度か重ね合わせていった。乾いた応輔の唇は、小百合のグロスにてかりをうつされるが、潤うほどの湿り気はない。

　小百合は、半開きにした。吐息までは漏れないが、応輔に女の言葉で願い出る。

「応くん、してほしい。」

「え、あ、でも、だって。」

「二人だけの秘密だし、ね。」

「あ、うん。」
　二人は半開きの唇同士を重ね合わせ、覗いている舌の先を貪るように擦り合わせている。小西瓜の漬物の味、二人共に共通するキスの味がこれからの合言葉にでもなるのか。応輔のファーストキスの思い出は、小西瓜の味が残っていくだろう。

　小百合は顎を突き上げ、応輔の舌を受け入れる。絡めとられていく自らの舌は、唾液を供給し、吸い取られるように応輔の口内に飲み込まれていく。体勢のきつくなった小百合は、舌を絡ませることを止めず、ビーズクッションに体を預ける。応輔の首元に手をまわし引きずり込むように応輔を覆いかぶさせた。

　応輔は、小百合に負担をかけまいと胸元に空間を作っている。床に手をあて、距離をとる様にしながら舌先を絡ませていた。小百合は眼を瞑り、舌の動きだけを応輔に見せている。応輔は目を見開き小百合の女の様を観察していた。

　手がつかれ始めたのは数分後だった。応輔は舌の絡めを離したくない。離すことで、ためらいが小百合に沸くことを恐れていた。小百合も応輔の気持ちがなんとなくわかっている。応輔を誘うようにビーズクッションに頭を横にすると、舌を交わらせたまま応輔の頬を横向きにし離さぬまま深い唾液の交換式を続けていた。

　舌の交わりは１０分を越え、頬を摩るようにしていた小百合の手は、応輔の腰にまわり薄手のＴシャツの隙間から背中の背筋を摩っている。

　応えるようにしたい応輔は、一時目を開けた小百合に視線で訴える。小百合はそれを察して小さく頷いた。唇は再び吸われ、手のひらは、小百合のシャツをまくるように腹から手が這い始める。臍を越え、直接的にブラカップの底を鷲つかみ、ブラの生地の上から柔らかな乳房の感触を感じ取る。ダイレクトに敏感な小粒までは刺激されないが、生地の上から触れられるだけでも小粒から女の中心部への伝達はされていく。

　吐く息が多くなる小百合。首筋を反らし誤魔化すように咳払いをしたりしている。横向きに二人は向き合い体を重ね、しだいに胸元同士が近くなり間合いが狭まった。胸元をうろついていた応輔の手は小百合の背後に回り腰の付近に回され、デニム地に覆われている柔尻に手が触れる。デニムの硬さが勝ち小百合自身の素材に近づいていけない。間合いが狭まった後、下半身にも脚同士が絡み合い、小百合の膝が時折応輔の股間を摩擦する。応輔は、小百合と違い家着のスウェット。舌の絡まりあいだけで勃起状態は最大限に達していた。先端は汁で濡れ、トランクス布地は湿り、皮をかむった亀頭の先は右左に動かされている。

　小百合は膝に当たる応輔のそれを感じていた。手で触れずに、内腿や膝に当たる勃起度は圭輔のそれを上回っていることを知る。スウェットをずらすことは簡単だったが、小百合はそれを躊躇っている。はやる気持ちと、これからの二人の関係を考えていたからだった。受身、小百合はそのほうが良いと感じる。

　間合いの詰まる対面を嫌ったのは小百合で、受身の体裁を整えるように体を入れ替えた。知らん振りをするように応輔に背後を取らせ、覆いかぶされるように体を丸めている。

　小百合は堅めのデニムの生地越しに応輔の尖りを感じ取る。舌での交わりもなくなったせいか、硬直の度合いを緩め手いるのを感じる。応輔は小百合の肌を指先に覚えさせる。わき腹からＴシャツの隙間にもう一度手を入れる。さっきと違うのは、指先の確かめ方だった。ブラカップの底ではなく、布地の部分を捲るようにし、左胸の乳房をシャツの中にはじき出す。先端の感じやすい突起は、摘まれるようにさらけ出され、応輔の転がしに翻弄されてしまっていた。

　指先で弾くようになんども転がされる小百合の乳首は、細胞を収縮させ、淫猥信号を子宮に伝達している。小百合はショーツの奥から湧き出ている分泌物を察知し、尻の間をきつく締め、滲み出すのではと感じる潤滑液を押しとどめようとしていた。

　ショーツの裏地は恐らく粘着質な液体が少なからず付着していることは明らかだった。たどたどしい応輔の乳首攻めは終わることなく続いている。ただ、それが小百合には地味に膣間の潤滑を促進していると理解していた。親指と人差し指で少し強めにつままれたとき、敢無く陥落の声を放つ。

「あぁぁ。」
　力なく放出されたか細い声に応輔は指を止めるが、数秒後には次なる段階に進む。乳首を転がすことは止め、小百合の承諾を得ぬまま、大き目のバックルに指をかけ、ベルトを緩めると、ファスナーを簡単にずり下げる。と、視界にはない義姉のショーツの黒いリボンを無言の空気に触れさせた。

「小百合さん。」

「うん。」
　短い声だったが二人は全てを承諾した。応輔はデニムを腰からずり下げさせ、黒のリボンがアクセントのアイボリーのショーツを剥きださせ、デニムの脱ぎ捨ては小百合に任せた。横なまま両足から抜くと、たたむことなくテーブル側に脱ぎ捨てる。

　細身の太股から下のシルエットは、暗い闇の中にあっても白く伸びるつま先まで発光しているようだった。応輔は、腰から下に手を這わせ、小百合のショーツ越しに尻肉を摩る。鼻息は荒くなり、先端の潤滑が功を奏しているのかトランクスの中で右へ左へ先端を動かしていた。凹凸を収めるように腰をすこし下げ、尻肉の狭間に応輔の先端を当てるようにすると、小百合は少し太股を開き、スウェット越しの先端を刺激するように挟んでいる。

「うぁ。」
　応輔の腰引きに小百合は、少し微笑する。からかうわけではないが、応輔の女性体験のなさは小百合に確信させる。

「応くんっ。わたしでいいの？」

「え、あ、ん、あ、うん。初めてってこと？」

「うん、わたしみたいなので。」

「あ、うん。こうなりたかった。ずっと前から。」

「うん。触っても良いよ。」
　どこのことかは理解していた。でも、応輔の青信号は灯っていない。赤点滅の信号は一時停止したまま、動けないくらいの動悸で願望を実現するタイミングを逃しそうになった。

「シャワーしてないけど、いい？」

「あ、うん。兄さんに？ばれる？。」

「うん、浴びちゃったら帰ったときに、いると困るし。」

「あ、うん。でも、あ、」
　小百合は赤点滅の信号を変える。青に変えるために応輔の左手首を触り続けていた尻から前に潜り込ませている。導きだけをすると、堰は切られ、ショーツの黒リボンは応輔の潜り込んだ手の甲に押され羽ばたくように揺らめいている。

　繁茂の手触りから先に指先は到達する。数ヶ月ぶりの指先の感触は、前回と違い分泌物の多さに驚かされる。応輔は雨季のような小百合の蜜壺入り口を弄り続け、なおいっそうの潤滑液を分泌させてゆく。じゃまっけなショーツだが、応輔も小百合も取り払おうとはしない。小百合は、剥ぎ取りを待ち、応輔は脱ぎ去ってくれるのを待った。

「小百合さん、すごい。」

「恥ずかしいからっ。自分でもわかってるし、」

「気持ちいい？痛くしてない？」

「ううん、大丈夫、あぁ、うんっっ。」
　応輔は小百合の後頭部の動きを見続けている。指先を前庭で動かしていると、反応するように下を向き小刻みに頷いている。指を少し中に入れようとすると、右左とすこし嫌がるように首を振る。どうして良いかわからない応輔は聞くわけにもいかず、甘声をあげる膣前庭への粘液をこすりつけるだけにした。

　あるポイント、皮に包まれた豆を前庭への刺激の合間に触れる。

「ひぃぃあぁっ。」
　応輔は女の声をあげる小百合のポイントを見極めた。狭苦しいショーツの中、中指の腹を淫豆に集中してぐりぐりと力を注いでいると小百合は、応輔の手首を弱々しく掴み、頭を少し振る。静止なのか、わからぬその動作は応輔の指先を思考停止にさせ、ショーツの中の手は一時停止する。

　小百合は数秒手首を掴むと、再び手を離す。そして小百合の左手の行き先は、応輔への手信号のように屹立の先端をスウェット越しに擦ってきた。

「あぁ。」

　声をあげるのは応輔の番だった。先端の刺激はトランクスの内生地と少し皮の向けた潤滑亀頭を刺激し、男のクリトリスである神経集中組織を摩擦する。

「大きくなってるね。」

「うん、そりゃ。」

「だよね。」
　小百合は、応輔の淫豆への刺激が弱まったのをうけ、体を入れ替えるように振り向いた。応輔の手は、ショーツから抜き去り、指先の滑りを確かめるようにしている。小百合はその指を押し下げるようにして隠そうとすると、対面で応輔のスウェットのゴムを下げる。刺激を緩和するように腰を引き、摩擦を加えられないようにしたが、小百合は応輔にされたことを報復する。

　スウェットは脚から抜けトランクスもリレーするよう後を追う。膝に引っかかるトランクスは小百合に剥ぎ取られ、視界には捉えずに先端の準備液の分泌を指で確かめた。

　小百合は皮をずりさげ、むき出しの亀頭にフェザータッチで触れる。先端からの分泌は十二分で、指先に感じる滑りを擦り合わせながら応輔に見せ付けた。

「お返しっっ。」

「はずいね、」
　小百合は応輔の肉茎を指先で触れ、亀頭の滑りを指先に纏いながら軽く扱いてくれている。恥ずかしがる応輔は、自分の姿と同じようにするべく、小百合のアイボリーショーツに指をかけ、腰を引き脱ぎやすそうに小百合がすると双臀を剥きださせ、暗闇の中に茂る陰毛を空気に触れさせる。湿り気を同じように確認するように応輔は指先を閉じた腿の間に捻じ込むと、小百合は少し大きめに片足を上げると応輔の腿に足を乗せる。

　潤った貝殻はそれにより半開き、陰唇を応輔の指で割りやすくした。空気に触れるようになった二人の生殖器は、分泌の度合いを増さなければ乾燥が待ち受けている。

　内向きな蜜壺には空気に触れることが少ないためか、乾燥の具合は最低限だった。屹立を多くした肉茎は、空気に触れる面積を増やし、準備液を小百合の指先にとられると瞬く間のうちに乾燥していった。

　皮のツッパリや粘膜の乾燥に応輔は腰を引いてしまう。小百合は指先での刺激をやめる。対面で横になる小百合は、肉茎から手を離し、応輔の肩を押さえビーズクッションに仰向けに上半身を沈めさせる。応輔は次に始まる小百合の動きをつぶさにみつめ、頭頂部を見せた時、乾燥の亀頭に小百合の唇が触れる。瞬間的には感想が収まる事はなかったが、１秒とたたぬまに乾燥は終わり、口内に溜まった唾液と舌や内頬の粘膜が応輔を救っていった。

「あぅぅ。」
　応輔は背筋を仰け反らすように反射した。粘膜同士は、心得ているように亀頭は舌や内頬に包まれ血色を豊かにしていく。吸い込んだり、舐めあげられたり、包み込まれるような亀頭への感触だけで、高まる性衝動は抑えられないものとなっていた。

「さ、小百合さんっっっっっ。」
　小百合は察し、先端から口内粘膜を遠ざける。

「出そう？」

「あうん、あぶなかった。」

「出しても良いよ。お口の中なら。」

「お口なら？。」

「あ、うん、我慢せんでいいし。ってこと。」
　もう一度小百合は、下を向き頭頂部を応輔に見せると、リズムを刻むように頭を揺らし応輔の亀頭を頬張り続けている。発射のタイミングは、ずらしたかった。これで終わりとならないとも限らない。ここまで来たんだし、小百合と初めての交わりを持ちたいとそれを口に出したかった。

　その願望は、小百合の口内で弾け飛んでしまった。目を閉じたタイミングは応輔のほうが早く、喉奥に熱いほとばしりを感じた小百合はその後、瞬きを数回しながら、全ての射精を口内に受け止めていく。

「はぁぁ、、ご、ごめん。」

「、、、。」
　小百合は口内の射精液を零さぬよう、口を閉じたまま応輔の詫びに応える。軽く首を振り、問題ないよと言いたげな顔で応輔の目を見つめた。

　テッシュを何枚か取り、小百合に渡す。小百合は手に乗せたテッシュに口内の精液を吐き出すと、応輔に見せぬようにくるりと丸め、ゴミ箱を探す。小百合は立ち上がり、ゴミ箱に向かうと半裸の姿を応輔に見せていた。

　応輔は、立ち上がった小百合の後姿を追うようにし、後ろから抱きしめた。屹立は維持したまま、先端の射精液は少し床にこぼれながら、キッチン付近のゴミ箱に小百合はティッシュを投げ入れ、お茶で口をゆすぐと、抱きしめている応輔の方を向きなおし、唇を重ね合わせていた。

「小百合さん、お、おれ、、、、したことがないから。」

　小百合は口を塞ぐように応輔の舌を絡ませ、再度肉茎を扱き屹立具合を確かめる。射精後の敏感な亀頭に刺激は加わり、腰を引く応輔の手をとると、リビングと繋がっている寝室にあるシングルベッドに誘った。応輔は、小百合の意図を確信し、ベッドに腰掛けると、応輔の胸板を小百合が押し、横たわった応輔の肉茎は天を向いてしまう。

　扱きながら重なるように小百合は応輔に圧し掛かる。何度か扱いた後、数回亀頭への口淫を施したあと、応輔の願望を叶えてしまう。

　Ｔシャツを脱ぐことなく胸元は隠したまま、小百合は応輔の下腹部に跨ると、頬に何度かキスをし、舌を数回絡ませ、淫貝の入り口に義弟の尖りを押し当てる。導きは小百合がし、割り割くように淫貝は番が割れ、ピンク色の内臓は押し出されるようにしながら義弟の肉茎を咥えこんでいく。

　応輔は甘美な感触を味わいながらも、不安もよぎっている。埋め込みに３０秒ほどかかった。小百合の潤滑は時間と共に乾燥していた。少し皮の突っ張りこそ感じるが、咥えこんだ物の大きさにより女の器官は、即応してくれてる。

　潤滑が上手く働き始めると、小百合は応輔の胸元に手をあて、自らの腰振りで生殖を始めていく。応輔はそこが引っかかる。小百合から交わったということ、避妊具なしで交わりをし始めたこと、応輔の性的幼さを見極めていること、それらを感じ、尋ねることもできず、小百合の行為が生殖なのか性衝動なのかを判断するには応輔はまだ未熟だった。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2015年10月7日掲載
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