| 相思相愛 ＹＯＫＯ 作 |
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| ２． 職場復帰した真理子は充実した日々を過ごしていた。 しかし物足りなさは感じたままだった。 仕事ではペアを組む西村は相変わらず無愛想で素っ気ない。 真理子はどうしたら西村が心を開いてくれるか気になるようになっていた。 「おはようございます」と真理子が挨拶しても小さな声で挨拶が返ってくるだけだった。 真理子は家に帰ってからも西村のことを考えていた。 どうしたら西村が心を開いてくれるか関心はそこばかり。 職場で我慢している分、くしゃみも止まらない。 優太はそんな母が心配だ。 職場で男たちからチヤホヤされてると思うと落ち着かない。 昔の担任のような男がたくさんいるかと思うと頭が痛い。 元担任が美しい母に一目惚れしたのを目の当たりして以来、毎日のように母を美人と思ってきた優太は自分の母親を世界一の美女と思っていた。 だからこそ母親が心配なのだ。 やがて西村は真理子には心を開き始めた。 明るい真理子の社交性がそうさせたのだ。 そして真理子は独身の親友、美香子を西村に紹介することを考えた。 美香子も真理子とはタイプが違うが美人だった。 初対面、女気のない西村は珍しく綺麗な女性だと美香子を見て思った。 男気のない美香子も西村に地味なイメージを抱くが印象は悪くなかった。 しかし真理子が西村に美香子を紹介したことで真理子と西村の距離が縮んでいたのだった。 そのことに真理子も西村も気づいてなかった。 西村と美香子は遠距離ながらも良いお付き合いをしていた。 真理子は西村の相談にも乗るようになり、お昼の時間も西村と真理子は過ごすようになっていた。 あるとき西村は自分が真理子に対して心を開いていることに気づいてしまう。 同時に真理子の美しさにも気づく。 自分が好きなのは美香子ではなく真理子だと感じる。 美香子よりも真理子の方が美しい。 女気のなかった西村が真理子に執着し始めた瞬間だった。 そんな中で美香子の家庭の事情で西村との交際が厳しくなった。 美香子より真理子に恋愛感情のある西村にとっては好都合だったが真理子は責任を感じてしまう。 「ごめんなさい」と謝る真理子。 西村は「気にしないでください」と言う。 真理子は西村が以前とは違い、自分に心を開いていることに気づく。 彼のために、西村のために自分が何かしてあげたい。 その思いが強くなる。 ある日、西村の前で真理子の鼻をムズムスが襲う。 くしゃみが出そうだ。西村の前ではしたくない。 そう思い、トイレに駆け込んだ。 西村さんの前ではコンプレックスのくしゃみをしたくない真理子はそう思うようになっていた。 真理子もまた西村に対して特別な感情を抱き始めていた。 真理子にはもう紹介できる独身の友人はいない。 せめて自分が西村さんに何かしてあげたい。 その思いは日に日に強くなっていた。 また別の日。 真理子はパートとしては珍しく休日出勤をすることになった。 お昼の時間、西村と二人で買い出しに行くことになった。 休日ということもありはたから見た２人は仲よさげな夫婦に見えた。 真理子も西村も心の中で夫婦に見えるのではないかと思っていた。 その様子を息子の優太は目撃してしまう。 母と仲よさげに歩いていたあの男は一体誰なんだ。 優太はその日から美しい母を心配する気持ちは強くなった。 西村は真理子と並んで歩き、夫婦と思われたのではないかと思うと心地良かった。 「真理子さん」西村は心の中で呼びかけた。 西村の純粋な妄想が始まった。 真理子も西村といると心地よいと感じるようになっていた。 電話でも「それをやってくれたのは西村さん！西村さんだってば」同僚と会話でも西村さんを強調してしまう。 西村も真理子に対する挨拶だけ明るくなってしまう。 お互いに気づいてはいなかったが二人は相思相愛の関係になっていた。 優太は母が強調する西村さんがあの並んで歩いていた男なのかと推測していた。 母が恋している。優太は気付いていた。 その不安を優太は言い表せなかった。 ある時、真理子は西村との電話中にくしゃみをしてしまう。 受話器を押さえたので聞こえなかったことを期待したが 翌日、「昨日、電話中にくしゃみされてましたけど風邪ですか？」と心配してきた。 西村の心配する気持ちも真理子は嬉しかったが「あれ娘のくしゃみです」と誤魔化す。 このとき西村は完璧な美女の真理子がどんなくしゃみをするのか興味持ち始めた。 |
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| 2015年7月11日掲載 |
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