調教師集団　七
ＳＭ嬢に堕ちたＩＴコンサルタントの女
『ＳａｄｏのＳＭ小説姦女真紅』鬼蔵（Ｓａｄｏ） 作

　託児所に子供を迎えに行く体力はなかった。
　電話で交渉する。
「宇佐美さんの事務所ならいいです」
　あっさり明日の昼で了解して貰えた。
　寮に与えられた伊佐沼タウン五号棟の六階の部屋に辿り着いてドアを開けるなり玄関に倒れてしまった。
　気が付いた時は翌朝を遠く過ぎ中天に太陽が昇っていた。
　慌てて支度してモノレールで本宿の託児所に娘を引き取りに向かう。
　電話を入れてもう少し伸ばして貰える様に頼み込む。そして宇佐美の事務所に向かった。
　何とかＡＶだけにして貰える様に頼み込む。
「駄目だな」
　宇佐美は高圧な表情で構えている。
「でもＡＶの撮影が出来ない様な怪我をしたらどうなります」
「そんな心配はない。万一そうなったら保険が掛かっている。あんたの借金は全部清算されてまだ数千万はあんたに渡せるよ」
「保険が」
「客がハードコンパニオンでプレイするには保険に入って貰う。それで完全に賠償される」
「はあ」
「それにもし保険適用になったら次から保険の料率が格段に上がる。そんな結果には成らない様にやる」
「でも。ここに蝋涙を流し込まれました」
「そんなんじゃ。あんたの躰がどうにか成ることはないよ」
「まだヒリヒリします」
「みんなそうだ。直ぐ回復する。疑うなら葛和先生に見てもらって来い」
「蛇拷問で気が狂ったら」
「まあ。保険は降りるが。弁護士が後見人に成ってお嬢さんの成人まで財産管理かな。子供が居るあんたが意識を確り持たないとな」
　宇佐美からもお座敷に居た稲垣七郎と同じ見解が返ってきた。
　ＡＶの撮影も同じらしい。松尾円香はどうにもならず怯えるばかりである。
　松尾円香は自分がアサインしたＳＥらがプロジェクトを投げ出したからこうなったと思う。
　ＩＴ企業から回って来た要件定義から開発込みの案件丸投げ自体が罠とは松尾円香はまったく知らない。
　自分が理想と思う提案に悉く無駄と罵られた。自分の理想がそんなにいけなのだろうか。
　派遣会社も口を揃えて提案内容を見てこの開発規模にこの提案は無謀だと言う。
　逃げ出すのも仕方ない。ここまでの業務委託料は払って貰うと豪語する。訴え裁判でも取る姿勢である。
　ＩＴ企業も一度は開発費の支払いの前倒し追加を了承してくれた。
　だがＳＥらが逃げ出した段階では設計書を解析してこの提案は無謀だと決め付けられてしまった。前渡し金の全額返済となった。
　途中で折り返せるところは有ったのか。難しいと思う。最初から利益だけ考えてやるしかないのか。
　自分がここまで落ちた原因を納得するにはまだまだ距離がある。
　男ならこんな弁済方法はない。破産宣告しかない筈である。自分がブランド品を購入してなかったら破産が出来た。
　男ならあんなブランド品購入はないかもしれない。
　野村未来也弁護士は言っていた。『この内容で破産しても前渡し金が詐欺にまではならない』ブランド品の購入がなければ免責は取れた。
　悪い偶然が重なっている。
　娘が居なければ自殺していたとさえ思う。
　いまさら見捨てた元の夫に子供の養育を迫るわけにも行かない。そうしても到底解決には成らない。
　
　調教師集団はミッドタウンの貸し会議室に依頼者を呼んだ。
　依頼者は松尾円香のＡＶは見ている。お座敷の全容を録画で見せる。
　会議室には調教師集団の保木間以下十一人全員が集まっている。
　依頼者は好奇より検分の目付きである。
「まだ自殺しないのですか」
　このＳＥはこれでも許せないという表情である。
「既に無修正ＡＶで女の部分の粘膜から膣の奥や尿道の亀裂、そこから尿や潮まで直に噴出する姿が公開されました。社会的に女のステータスは崩壊です」
　館山弁護士が説明する。
「それは溜飲が下がります」
　だがまだだと言う表情である。
「彼女の女に蛇も突っ込まれました」
　野村未来也弁護士である。
「凄いシーンでしたね。あの女ならあれでも当然です。自殺するまでもっともっと苦しめて泣き悲鳴を繰り返させて追い詰められませんか」
　言葉にとことん憎しみがねじ込められている。この男には松尾円香の死以外納得は無い様である。
「調教師集団はそこまではしません。フェミニストの間はお仕置き目標です。無修正ＡＶ女優と社会的に位置付けられた現在では保護対象です」
　保木間が説明する。
「ええ」
　男は驚愕の表情である。
「これからはＡＶ女優としてこの街で安泰して生活できるように計らいます」
「それじゃＡＶに堕とす迄ですか」
「そうです。我々は死刑より終身刑が重いと考えています。彼女は既に終身刑と同じです。借金の残分は今の状態が継続されますが」
　男は無言で頷いた。
　今の状態が借金の分だけ続けばどうなるかそのＳＥに期待感が湧いてくる。
　
　松尾円香の次のＡＶ撮影は蝋燭と鞭打ちで躰中真っ赤な鞭の痕だらけにされた。それでも湯で癒しながら数日で回復した。
　だが性器を鞭で叩く恐ろしい拷問ＡＶであった。
　全身蚯蚓腫れだらけである。細い竹の鞭で打たれた。お尻の盛り上がった皮膚は一部蚯蚓腫れが割れていた。
　葛和医師が出張診察に来た。患部は消毒されたが概ね問題無しで帰って行った。
　皮膚が回復する範囲なら問題が無いと判断されるらしい。
　細い神経に染み渡るような痛みである。松尾円香は狂った様に暴れ捲くった。終わっても何度も湯に浸かって痛みを癒した。
　撮影の行われたファッションホテルで苦しみ続けて翌日まで休んで帰った。
　女の部分を広げられて内側の粘膜を叩かれるには感極まった。
　さすがに手加減はされている。叩く方も神経を使っているのは解る。だがこれをお座敷で行われたら。そう思っただけで恐怖に懊悩する。
　松尾円香は女のこういう姿を悦ぶ男性が結構居ると思うと如何ともしがたい気持ちである。
　だが女性も買うらしい。男性を虐めるのを好む女性もいるが女性を甚振るのを悦ぶ女性もいるらしい。
　
　回復に一週間。直ぐそのタイミングでお座敷のリクエストが入る。
　松尾円香の全身に恐怖と嫌悪と戦慄が奔る。
　娘を本宿駅裏の託児所に預けて遊楽に向かう。
　今夜の地獄の舞台は天昇の間である。
　着いた部屋には拷問道具が搬入されていた。拷問椅子、十字架、十露盤板、縄や小道具がブルーシートに並べられている。
　他にベッドと応接セットが一式、冷蔵庫である。
　コンパニオンは一人も居ない。
　宴会無しのＳＭだけらしい。
　五十年配のシルクのスーツを着た男性が入って来る。
「まどかさん。こちらに」
　男性は応接セットの対面側に招く。
「前原くんに紹介された長尾英樹です」
　経済産業省の公務員であることは明かさない。前原からはこれまで多額の賄賂を受けている。
「お一人ですか」
「そうだ」
「ＳＭクラブのようにお使いですか」
　松尾円香は少し安堵した質問になる。
「そうだよ。ハードができるからね。本来一対一でやるものだよ」
　男の言葉は高圧的だが宇佐美の様な厳つさはない。
「ハードを一対一で」
　瞬時に恐怖が奔る。
「そうだよ。相当なことをやらせてくれると聞いている」
「そんな。お手柔らかに」
「まあ。保険を使う様な事には成らないよ。安心してくれ」
「どんな事をされたいのですか」
「痛み、失神、苦しみ、羞恥は受け入れてくれるだろ。ここに有るだけだよ」
　長尾英樹事務次官補はドリルバイブ、クリップ、ブジーを指差す。
「はい」
　松尾円香は観念するしかない。
「まあ。説明しながら行くよ」
「あのもしかして失神したら蛇を入れられるのですか」
「用意してないよ。俺一人じゃそんなもの使えないよ」
　長尾英樹事務次官補は笑っている。
　松尾円香の手を引いて十字架の前に持って来る。ジャケットを脱がし両手を広げて十字架の横柱の先端に手首を縛る。
　長尾英樹事務次官補は自分のつま先で松尾円香の脚首を押し広げる。
　脚元には鏡が填め込まれている。スカートの中が丸見えになる。
　更に前に姿見を持って来る。
　ソフトな辱めだが松尾円香には嫌悪だけである。それでも今は少しでもソフトに終わって欲しい。
　長尾英樹事務次官補は十字架の後ろに回って松尾円香のブラウスのボタンを外す。
　ブラの肩紐を外して背中に手を回してフォックを外す。ブラをゆっくり抜いて乳首を露にする。
「いい胸だ。形も柔らかさも色も良い」
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の躰に悦んでいる。
　松尾円香にはそう言われても嬉しくは無い。ただ刺激しないように堪えるのみである。
　スカートを捲り上げる。ストッキングに包まれた下着が姿を現す。
　松尾円香にはどうせ裸にされると諦めていても嫌な辱めである。
　長尾英樹事務次官補は前に回ってストッキングを脱がす。スカートは元通り下がる。鏡にはストッキング無しのスカートの中が映る。
　再びスカートを捲り上げる。
　今度は直のパンチラ姿が姿見に映される。
　少し前の松尾円香にはこれだけでも痴漢行為で訴えられた。今の立場はこんなことでは到底済まない。
　そのままスカートを下ろされてショーツも脱がされる。広がったブラウスが松尾円香の肩を包んでいるだけでほぼ全裸である。
　長尾英樹事務次官補は責めを開始する。
　スパンキングで乳房を叩く。
「うおーー」
　長尾英樹事務次官補はスパンキング、一本鞭と一通り松尾円香の乳房を叩いてクリップを手に取る。
　乳首をすっぽり包んで周りの皮膚を鋏む。
「ああ」
　両方に付ける。
「これを叩くのですか」
　松尾円香は恐怖に怯えて尋ねる。
「それはしないよ。二時間付けて置くだけだ。海外の動画には叩き落すシーンもあるが、あれはバネの弱い奴だ」
「ええーー。二時間」
「そうだ。二時間経って取る時が愉しみだ。その間これで失神してもらう」
　長尾英樹事務次官補は電マとドリルバイブを指差す。
「ああ」
　松尾円香は慄く。失神は怖い。
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の左脚の膝に縄を掛ける。そのまま十字架の横柱のフックに膝を吊り上げる。
　性器が丸出しになる。
　長尾英樹事務次官補は一応広げて鑑賞してから電マを手にする。
　松尾円香の躰に戦慄が奔る。
　電マですら堪えられない。ドリルバイブは恐怖である。前回あれで責められ何回も失神を繰り返した。
　長尾英樹事務次官補は松尾円香が濡れてないのを確認している。電マを直には当てない。最初は電マを掌に掴み指の関節をクリトリスに当てる。
　間接的微振動から与える。
　それでも松尾円香の顔は直ぐに軋む。
　松尾円香は逃れようと腰を動かす。
　長尾英樹事務次官補は電マを置く。吊り上げてない右脚を後ろの十字架の柱に三箇所縄で固定する。
　電マを今度は直にやさしく充てる。
「あはあーーーーーーーー」
　松尾円香はまったく堪えられない。
　長尾英樹事務次官補は責めに軋み続ける松尾円香の表情を愉しみながらクリをじっくり責める。
　松尾円香は堪え藻掻き続ける。
「いいね。その様に抵抗して粘ってくれると」
　長尾英樹事務次官補は失禁を狙っている。
「ああーー。だめーー。出ます」
　長尾英樹事務次官補は立ち上がってそのまま責め続ける。
　松尾円香はそれでも暫く堪え続ける。
「ああーー。だめーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーー」
　電マの下から潮が溢れ出る。
「ああーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
　サイレンの様に声を上げ続ける。
「あはあ。あはあ。ああ。ああ。ああ」
　長尾英樹事務次官補が電マを置いても松尾円香は荒い息遣いを続ける。
　長尾英樹事務次官補は左脚の縛りを調整して吊るしを強化する。そしてドリルバイブを手にする。
　松尾円香に拒否は出来ない。唇を噛んで恐々とする。
「失神させて何をするのですか」
　松尾円香は不安からつい確認してしまう。
「躯になったあんたの中に俺の情液を棄てるのだよ」
　松尾円香はその言い方に一瞬心底嫌悪した。だが本番もありと言い渡されている。生き物を入れたりされる恐怖よりはましである。
「中出しすると言うことですか」
「まあそういう範囲だな」
「それなら。意識のあるときにやっても」
「失神して躯と化しているあんたの女に捨てるのがいいのだよ」
　長尾英樹事務次官補は屈辱を与える悦びを強く実感したい。
　松尾円香はさらに怒りを覚えるが受け入れるしかない。そして蛇を入れられるよりは堪えられる。
　ドリルバイブが長尾英樹事務次官補の手で松尾円香の膣口を割って進入する。
　ローションがたっぷり塗られている。塗らなくても中は既に充分に濡れている。
　スイッチが入る。
「ああーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーー」
　松尾円香の顔は大口を開けて眉間に三重に皺を刻んで叫びを上げる。
　ピストンしながら回転するタイプである。振動と突いて来るだけではない。
　松尾円香は一気に藻掻く。
「ああーーーーーーーーーーーーーー。だめーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーー。だめーーーーーーー」
　松尾円香は堪えられず躰を震撼させ擬似男根を押し出そうとする。
　長尾英樹事務次官補はそれを懸命に押える。
　弾き出されても直ぐに突っ込む。
「あわああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐうわあーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー」
　躰は究極に藻掻く。
　二時間にはまだまだ時間はある。長尾英樹事務次官補はクリップの痛みを忘れさす目的もある。
　そして二時間先の松尾円香の究極の痛みに暴れ捲くる悲鳴を愉しみにしている。
　やがて松尾円香の躰が究極に揺れる。アクメの悲鳴は架橋に達する。
「あはああーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーー」
　その次のタイミングで首が倒れる。完全に白目を剥いている。
　それでも少しドリルバイブを稼動し続けるが何の反応もない。
　長尾英樹事務次官補はズボンのファスナーを開けてさおを取り出す。松尾円香の躰を抱くように噛み締めて挿入する。
　興奮度が上がったところで情液を松尾円香の女の中に破棄する。
　白目を剥いた躯の姿でも欲情させる女である。
　長尾英樹事務次官補はこの女をとことん責めて虐めて堪能したい。
　剃毛もしたいが二回分の予約を必要と言われた。次の週に予約が入っているのでその次から二回分を予約すればできるらしい。
　今回はお預けである。
　長尾英樹事務次官補は吊るされたままの状態で白目を剥いた躯姿の松尾円香の躰を隅々まで点検する。
　浣腸して苦しみぬいて便に汚れる姿も見てみたい。
　乳首に付けたままのクリップの効果にはまだ時間がある。
　その前に浣腸で苦しめようと準備に掛かる。
　点滴スタンドに腸カテーテルをセットする。
　スタンガンで松尾円香を起す。
「あーーーーーーーーーーーーーー」
　意識を回復した松尾円香は辺りを伺う。見える限り自分の躰を確認して膣に神経を集中させる。
「何をしたのですか」
　お客と言う気遣いは辛うじて敬語である以外はない。
「言った通りだよ。あんたの女の奥に前から溜まっていた精液を流して棄てただけだよ。じっくり躰は検分させてもらったが」
　強烈な嫌悪に松尾円香の全身が滾る。
「生き物とか入れなかった」
「そんなものはない。これから浣腸に苦しんで貰うよ」
　長尾英樹事務次官補は腸カテーテルの準備を目で示す。
「これは」
　松尾円香は斜め下のクリップを視線で指す。
「それは二時間だ。取る時の治まらない痛みにあんたが泣き叫ぶのがもうじきお愉しみだ」
　長尾英樹事務次官補は悦に行った表情である。
「乳首が堕ちてしまう」
「あはっはっは。それには三日は掛かるよ。二時間は苦しむに丁度良い時間だ。何度も実証済みだよ」
　長尾英樹事務次官補は自信を持っている。
　こんな事を何人にもやってきた男である。松尾円香には由々しき存在である。だが今は何もかも甘受して借金に対応するしかない。
　浣腸液は調合されたパックを冷やして女将が持ってきた。点滴スタンドに吊り下げて腸カテーテルをセットする。
　キシロカインゼリーを塗ってアナルに挿入する。
　冷たく冷やした浣腸液が松尾円香の直腸に入って来る。
　腹の痛みが一気に松尾円香を襲う。
「うぐうーーーーーーーー」
　松尾円香は腰を捩って藻掻く。
　こいつは何者なのか。自分を虐める愉しみに五十万とこの宴会場の使用料を払ったのか。
　自分への剃毛が目的で二週先とその次の予約を取ったらしい。今回自分の躰をとことん玩具にする為に一人で二、三百万を支払っている。
　前原ＴＴＣ社長の紹介と言っていた。
　松尾円香の腹の痛みはどんどん辛くなり架橋になる。
「うぐーー。ううーー。ううーーあはあーーーーー。うううーーー。あはあーーーーーーーーー」
　目から涙を溢れる。
　苦しむ唇がだらしなく開いて涎が流れ出る。
　長尾英樹事務次官補は透明なボールを松尾円香の脚元に持って来る。
「うううー。ううう。ううあー。あはあ。あはあ」
　顔は究極に軋み歪み苦しみ続ける。
　長尾英樹事務次官補はその表情を堪能して吊るし上げてない右脚の縛りを解く。更に両腕の縛りも解く。
　左脚の吊るしだけが残る。
　松尾円香は十字架に掴まり苦しみながら片脚で立っている。
　左脚の吊るしも外してカテーテルを抜く。松尾円香にボールを跨がせる。
「あはあーーーーーー。あはあーーーーー。あはあーーーーー」
　ズズズズズズーーーーーーーーー。
「ああーーーーーーー。はあーーーーーーー。ああーーーーーーーーー。はあーーーーーーーー」
　ズズウーーーーーーーーーー。
　殆ど濃い茶色の液体だが塊が幾つかボールの底に透けている。
「ああーー。ああーー。ああーー」
　松尾円香は苦しみながら腹を片手で押さえてもう片手で摩る。
「あはん。あはん。あはん。あは。あは」
　液が抜けても苦しみ続ける。目からは涙が流れた顔と躰は汗を噴いている。
「ああーーーーーー。ああーーーーーーーーー。ああーーーーー」
　そして松尾円香は苦しみながら堪えられずボールに小水も流してしまう。
　長尾英樹事務次官補はティシュの箱を脚元に投げる。
　松尾円香は見られている前で尿道口とアナルを拭く。有り得ない屈辱である。それが合法的に此処では行える。
　松尾円香は泣き続ける。
「そろそろクライマックスと行くか」
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の乳首を包んで乳房を掴む黒いクリップに視線を投げ掛けて呟く。
「もう取ってくれますか」
　松尾円香はこっちの痛みも気が気ではない。羞恥どころではない。もうどうにでも早く楽に成りたい。溜まらずそう言葉を漏らす。
　長尾英樹事務次官補は最後の断末魔の苦しみを至福と愉しみにしている。
「右と左どっちが痛い」
　長尾英樹事務次官補はじっくり愉しみたい。
「解りません。同じ位です」
　松尾円香は首を傾げる。
「それじゃ右から自分で取ろうか」
　長尾英樹事務次官補はじっくり表情を伺う。
　松尾円香はそっとクリップを抓む。
「あーーーーーーーーーーーーーー。ああーーー。ああーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
　一気に強烈な悲鳴になる。
　松尾円香は長尾英樹事務次官補を抗議の目付きで見ながら躰を堅くして突っ張り手で乳房を押さえる。
「こっちも取ろう」
　長尾英樹事務次官補は残忍な笑い顔である。
「ああ」
　松尾円香は恨みと怒りの篭った目で顔を引き攣らせて長尾英樹事務次官補を見返す。
「それが二時間の痛みだ。抓まれている痛みが全てじゃない。抓まれた肉が戻る痛みは数倍だ」
　長尾英樹事務次官補は松尾円香を出口に無い痛みに陥れた満足に浸っている。
　松尾円香は震える手でもう片方のクリップを掴む。
「ああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああ。あはああーーーーーーーーーーーーーーーー」
　松尾円香は狂ったように床を転げて痛みに悶える。
　長尾英樹事務次官補はその松尾円香の躰を後ろから羽交い絞めにして拷問椅子に無理やり乗せる。
「ああん。あはん。あはん。あはん」
　松尾円香はもう堪えることはしない。
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の躰を拷問椅子に固定する。
「もうこれ以上何をするの」
　松尾円香は悲痛な顔で抗議する。
「揉むのさ。この痛みは揉んで激痛を通り過ぎないと治まらない」
　長尾英樹事務次官補の恐ろしい言葉に松尾円香は驚愕する。
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の乳房を両方とも掴んで揉み始める。
「あ、ああーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
　長尾英樹事務次官補は親指と人差し指で乳首の根本を揉む。松尾円香は金切り声の悲鳴を轟かせる。
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の苦しむ表情を愉しみながら揉む。
　松尾円香は悲痛な表情で呻き声を吐きながら堪え続ける。
　長尾英樹事務次官補は松尾円香の症状がある程度治まったのを見極めて拷問椅子への戒めを外して次の要求をする。
「これで終わりにする。あんたのそこを開いてくれ」
　長尾英樹事務次官補は鞭を構えて松尾円香の女の部分を指差す。
　松尾円香はこれ以上まだ甚振ろうと言うのかと思う。だがまだ時間は恐ろしい位残っている。
　松尾円香は悲痛な目で見返すしかない。
「この中を直に叩くのですか」
　松尾円香の目はもう許してと訴えている。撮影で叩かれたがあれでは済まないと恐怖に震える。
「そうだ。二回だけだ。自分で開いてくれなければこれに固定してクリップで広げて十数回だ」
　長尾英樹事務次官補は拷問椅子を視線で示す。
「二回だけですね」
　動けなくされて叩かれたらどうにもならない。松尾円香はもう観念するしかない。
「そうだ。お尻を着いて股を開いて指で確り広げろ」
　言葉は松尾円香のプライドを踏んづけて来る。それでも今の立場と甘受するしかない。
　これまで蔑んできた男の前で屈辱を噛み締めて股を開く。震える指でこれ以上屈辱はないと思いながら女の部分の粘膜を広げる。
　長尾英樹事務次官補は鞭の先端に狙いを定める。尿道の小さな亀裂目掛けて鞭を叩きつける。
「ぐわあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーー」
　強烈な悲鳴と共に松尾円香の躰は畳みの上にのた打つ。
「あはああーーーーーーーーーー。ああはああーーーーーーー。あはあーーーーーーーーーーーー」
　局部を両手で庇って畳みの上を転げ回る。
　長尾英樹事務次官補はそれをにんまり愉しむ。そして鞭を構える。
　松尾円香はそれを怯えと怒りの混じった目で見返す。
　許されることは無い。
　松尾円香は股間を両手で庇ってできるだけ痛みが治まるのを待つ。
　長尾英樹事務次官補は無言で松尾円香の前の畳を指差す。
　松尾円香は仕方無しにそこにお尻を着く。
　恨みと悲痛さの篭った目で見返す。観念して目を瞑って女の部分を広げる。
　長尾英樹事務次官補はこれで終了と思うと力が篭る。
　クリトリスから下に引くように叩く。
　松尾円香は瞬時目を剥く。
「ぐわああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
　前に躰を丸めて倒れて股間を押える。
　そのまま右に転がり痛みに全身を暴れさせ藻掻く。
「ああーーーーーーーーーーーーーーーーー。ああーーーーーーーーーーーーーーーー。あーーーーーーーーーーーーーー」
　松尾円香は畳を拳骨で叩いて痛みに藻掻き続ける。
　目から涙が零れ続ける。
「湯に浸かっていいですか」
　松尾円香は断末魔の声で了解を取る。
「いいよ。女将に言っとくから終わったら連絡してやって。お疲れさん」
　そう言い置いて長尾英樹事務次官補は宴会場を出て行く。
　松尾円香は湯に浸かり一人になって泣き続けた。
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2020年9月1日掲載
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