１．

　わたしは温泉が好きなのです。
　しかし、家風呂でも一緒に入っている私達、景色の良い露天風呂に入りたい。とは思っても、露天風呂を営業している所の殆どは、竹塀などで囲ってしまって、風景なんて台なしなのです。

　それでもやっと見付けました！
　広い海を見渡しながらの洞窟風呂、その先が露天になっているのです！・・・なんと云う事でしょう？都心がかもそんなに遠い所では無いのです。
　わたしも独身時代から良く遊びに行った処。
　湘南族のメッカ、江ノ島の中なんです！
　水着使用にはなっていますが・・・、プールみたいに広いんですよ！
　洞窟と露天が繋がっているタイプなんです。
　大平洋に向ってでは無いのがチョット不満ではありますが、北西方向の西浜に向っていますからシーズンでしたら、浜で遊ぶ人達を遠目に見ながらの混浴です。これはこれで面白さがあります。
　若い人達には受けるでしょうね？・まるで、温水プールですもの！

　上背がそれ程無くぽっちゃり型のわたしは、薄い湯気のベールに包まれた中では二十歳そこそこにも見えるでしょう。実際は３０を超えているんですけれどね。
　主人は『肉感的でそそるからなぁ！』なんて、良く云ってくれます。
　掘りが深目で小さめの顔をボブカットの髪が余計に締まらせてくれています。
　水着着用の風呂と分かっていましたので、焦げ茶のビキニを選んで来ていました。
　今夜の泊まり迄に主人を興奮させたくて、自慢の大きい目を良く見開いてコーディネートして来たんですもの！

　思った通りこの中では、若い人達がはしゃいでいました。
　カップルやグループ、１人で来ている人は居ないみたいです
。
　露天となった崖上のお風呂へもそのまま繋がっているのですから、この嬌声は仕方ありません。
　わたし達は嬌声には、辟易でしたので洞窟の奥へ入って、影になった所に陣取っていました。プールの様なはしゃぎ方は興醒めしてしまいますもの・。
　でも、これは良くありませんでした。
　男ばかりの１０人程のグループが、影に入るわたし達を見咎めていたのです。
　二人の子がわたし達の方に寄って来ました。
「おじさん、随分若い娘を連れてしてるんだねぇ？」中の１人が家の人に問いかけまし
た。
「おいおい・、ちゃんとした女房だよ。」と主人。もう４０近い主人は贅肉が多少余分
に付いています。
　わたしは狙い通りのコーディネートが出来ているんだ！と、嬉しくなっていました。
「ええっ！・浮気中じゃ無いの？」男の子達も引き下がらない積もりの様です。
「彼女・おれたちと同じぐらいだろう？」他の男の子も口を挟みます。
「ばかな事云うなよ。正真正銘女房だよ。」
「そうよ！・あなた達わたしを幾つに見ているの・？・しっかり、おばさんの歳になっているわよ。」ここは、主人に同調しておかなけりゃ、何か？変な方向に話を持っていか
れそうだわ！
「おくさん？・・・それじゃぁ、お若いですねぇ！・それに、凄く魅力的ですよ！」始めの子がお弁茶等を云いながらわたしの斜前にしゃがみました。
　顔からお湯の中の身体を嘗め回す様な目付きで・。

「だんなさんのドコが良かったの？・奥さんはもてたでしょう？」視線が下の方に行った侭で失礼な質問です。
「・・・ちょっとォ、失礼よ。わたしは主人を選んだの！」
応えながら、どうしようか？
　と、思って主人を見ました。主人は大分困った顔をしていました。この子達、仲間が沢山いるんです。
　群れを為すと無軌道な事もする若者達の事です。用心しつつも、火を付ける様な言葉は、云うのを控えているのだ。と、思いました。
　この頃、他の男の子の仲間達も連れ立って、わたし達を囲んで来たんです！
　異様な雰囲気でした。

　陰にとは云っても、営業中の大きなプールみたいな洞窟＆露天風呂です。その侭では入浴中の人達からなら、誰からでも見えるのですが、１０人もの人垣が出来ては、目隠しとなってしまうのです！

「奥さん、バストが目立ちますよねぇ。素敵な形なのに、バランスが取れてて格構良いですよぉ！」男の子達の目がわたしの自慢のバストに釘付けなんです。
「ありがとう・。・でも、露骨過ぎじゃない？」嫌らしさを感じて、少し身構えながら応えていました。
「サイズは幾つなんですかぁ？・・・凄いボリュームだねぇ。」
「９２よトップは・・！」この子の嫌らしい目を突き放したくなって、ヒステリックに云い放っていました。
「もっとある様に見えますよぉ、チョット・触っても良い？」すぅっと伸びた手がバストに向って、わたしは瞬間的に身構えました。

「ばかいうな！・他人(ひと)の女房になんて事云うんだ！」
　バッ！と立ち上がった主人を、素早く３〜４人の男の子達が物凄い形相で飛び掛かり、押さえ付けていました！
　さらに、他の人達から見えない様に壁を作っている子達が、応援に何時でも出られる体勢を取っています。
　反射的に逃げようとしたわたしの手首を、二人の手が捕らえていました！
「助けてェ！」と、大声を上げようとした口が大きな手に塞がれていました・。
　もう片方の男の子の残った手がバストを握る様に押して、元々座っていた所に押し戻されました。
　主人の反発から、ホンの一瞬の出来事でした。

「騒ぐなよ、！・奥さん・か？・・・毎晩、楽しんでいるんだろぅなぁ？・おじさんを楽しませているんだろう？・・・俺達にも楽しませてくれないかなぁ？・怪我なんかしたく無いだろう？・・おっさん！・騒ぐと、奥さんにこいつを突き刺すよ。」お茶等気て静かに云った男の子の手には、いつの間にか？黒塗りのナイフが握られ、わたしに突き付けられていました！
「キャァ！・」なんでお風呂にナイフなんか持って・・・？
　始めから、それを目的に近付いて来たのね？
　わたしを庇おうとした主人の脚が止まっていました。

　この子達わたしを犯す積もりで近付いて来ていたのね？・こちらが納得出来ないのに、こんな坊や達に好きにされるなんてトンでもないわ！

［元ズベ公妻編］［元お嬢様妻編］［元お嬢様妻の夫視点編］へつづく