若妻・預かります
ひら 作
◆第１５章

　俺は何度電話をかけても全く応答しない優美の状況に焦りを募らせながらも、自宅の居間で無為な時間を過ごしていた。
　壁に掛かっている時計を見上げると、すでに午後の７時半を回っている。
　優美の所在を知っていそうな北村や前田など、何人かの学生にも電話を入れてみたが、放課後以降、彼女を見かけた者は誰もいなかった。
　俺の安易な行動に失望して、叔父のいる実家に帰ったのかもしれないとも考えたが、彼女が全くの連絡もなしにそんな行動をとるとは思えなかった。
　最近この街周辺で起きている、若い女性ばかりを狙った暴行事件のことも頭をよぎり、地元の警察に捜索願いを出すべきかどうかを真剣に考え始めていると、いきなり自宅玄関のチャイムが鳴り響いた。
　俺は咄嗟にソファから立ち上がると玄関まで一足飛びに駆けて行き、ロックを外す時間さえももどかしく感じながらドアを慌てて開いていた。

　しかし、そこに立っていたのは優美ではなく、マンションの隣の部屋に住んでいる安藤のおばさんだった。彼女は息を切らせながらも、開口一番こんな事を聞いてくる。

「ゆ、優美ちゃんは帰って来ているかい？」
「えっ？ そ、それは一体どういう事ですか！？」
「さっき、買い物の帰り道で、優美ちゃんによく似た女の子が、二人の男に抱きかかえられるようにして、黒い車に乗り込んでいくところを見てしまったのさ。それで、ちょっと心配になっちゃって‥‥」

　それを聞いた瞬間に、彼女の両肩を強く掴んで叫んでいた。

「おばさん！ その話を詳しく教えてくださいっ！」

　俺は、ここから歩いて２０分ぐらいの公園の出口で、黒いワゴン車に乗せられていった若い女性の話を聞きながら、これからどうしたものかを必死に考えていた。
　その女性が優美である可能性はかなり高いように思われる‥‥。研究室を飛び出していった時の彼女の様子から見て、街をさまよい歩いた末、見知らぬ公園で足を休ませていたという状況は十分に考えられるものだったから。
　こうなったからには、警察に連絡を入れるのが最善の手段だとは思う‥‥。しかし、こんな不確かな情報だけで、すぐに警察が動いてくれるかどうかは甚だ疑問だった。
　俺は意を決すると、手に持っていた携帯を急いで開き、発信履歴に残っているある番号に電話をかけていた。３回目のコールで、不機嫌そうな年配の男の声が聞こえてくる。

「おいおい、一体どういうつもりだ‥‥？ 先ほど俺の事を散々罵っておきながら、よくぞ電話がかけられたもんだな？」
「う、うるさい。その件は後回しだ！ よく聞け。優美が複数の暴行犯にさらわれた可能性がある！」
「むうっ！？ く、詳しく事情を話してみろ！」

　俺は彼女の叔父に対して、知っている事柄の全てを話して聞かせた。

「ふう、なるほどな。大体の事情はわかった‥‥。それでお前は俺にどうしろと？」
「あんたの力で、彼女についての手がかりを少しでも掴む事ができないか？ はらわたが煮えかえるほどにくやしいが‥‥、もうあんたに頼るしか打つ手が残っていないんだ」
「ふん、わかった。貴様に頼まれるというのは俺にとっても不本意な事だが、可愛い姪のためだ‥‥。そちらの地域にあるうちの支社に連絡して直ちに動いてもらう」
「ありがとう、感謝する‥‥。それからもう一つ、あんたにお願いしたい事がある」
「何だ？ 言ってみろ」
「優美の携帯電話の位置情報をＧＰＳで逆探知することはできないか？ あんたの力を使えば、電話会社を動かす事もできるんじゃないか？」
「なるほど。それはやってみる価値がありそうだな。少し時間がかかるかもしれないが、何かわかったら連絡を入れる。ああ、それとな‥‥」
「何だ？」
「今さらかもしれないが‥‥、これから先にどんな事が起ころうとも、優美の傍らに居てあの娘の力になってやって欲しい。それが叔父としての最後の願いだ」
「わかっている。俺はどんな事があっても優美から離れない！ そして彼女を絶対に守り抜く！」

　俺はそう宣言しながら通話を切ると、傍らで心配そうに話を聞いていた安藤のおばさんに今の状況を簡単に説明した上で、何かあった場合に備えて自宅で待機していてくれるようにお願いした。
　そして、自室に戻って最低限の準備を整えると、すぐさまマンションの地下駐車場に駐めてある自分の車に向かって走り出していた。優美が連れ去られたと思しき公園に直行して、手がかりになりそうなものを少しでも探し出すために‥‥。


　市街地から１０キロ以上も離れた郊外の寂しい道路をかなりのスピードで走らせながら、黒いワゴン車に乗った三人の男たちが興奮した声で言葉を交わしている。
　いずれも紺色の汚れた作業服を着た３０代と思しき男たちで、伸びきったバサバサの髪の毛と無精ひげに覆われたやつれきった顔つきが、普段の荒んでしまった生活の全てを表しているようだった。

「ひっひっ、うまくいったぜえ」
「ああ、じっくりと時間をかけて、人目の少ない住宅街を徘徊しながら、本日の獲物を物色した甲斐があったというもんだ」
「こんなに若くて美しい獲物をゲットできるとは、俺たちにもやっと運がまわってきたという事かな。くっくっ」
「ところで、この女を拉致るところを、誰にも見られなかっただろうな？」
「ああ。買い物帰りの年配の主婦が一人、少し離れた歩道を急ぎ足で歩いていたが、まず問題はないだろう‥‥。先ほどから車の後方も確認しているが、尾行してくる車もないようだし、これで今夜はじっくりと獲物を堪能する事ができるぜ。ふふふっ」
「バッグの中にあった身分証などから見て、こいつは一人暮らしの大学生のようだし、すぐに捜索願いが出されることもないだろう」
「ということは、これから暫くの間は、このゾクゾクするような色っぽい身体を思う存分に味わえるという事か？」
「ああ、そのとおりだ。それに、この女を従順な牝豚に調教する事ができれば、暫くどころか一生可愛がってやる事もできるかもしれんぞ。ふふふっ」
「うっひゃあ！ そ、それはたまらんな。想像しただけで、チンポがギンギンになってくるぜ！」

　そんな男たちのどす黒い欲望に充ち満ちた会話が交わされている中で、後部座席の二人の男に挟まれるようにして、完全に意識を失った優美が無防備に座っていた。
　右側に座っている男が、彼女の美しい首筋を唾液にまみれた舌先でベロベロと舐めまわしながら、ブラウスの上から形の良い乳房を鷲掴みにすると乱暴に揉みしだいていく。
　激しい愛撫によってボタンが外れ、ブラウスの合わせ目から純白のブラジャーに包まれた乳房が飛び出して来る。清楚な下着とムニュムニュと大きく歪む淫猥なかたまりとの対比に男の興奮がどんどんと激しくなっていく。
　左側に座っている男は、その様子を横目に見やりながら、優美のふわっとしたミニスカートの中に手を差し入れると、滑らかな白い太腿やパンティーに刻まれた恥ずかしい割れ目を執拗に撫でまわしていく。
　こちらの男も、お嬢さま風の可憐なスカートから覗く清楚な下着とスラッとした生足のあまりの美しさに、我を忘れて夢中になっているようだった。少し湿ってきたパンティーの割れ目を指先で強く押しつけるようにしながら、陰核の辺りをクリクリと擦り上げていく。

「くううっ、オッパイのムチムチとした弾力感が、もうたまんねぇーぜ！」
「生肌がしっとりと吸い付いてくるようだし、オマ○コもギチギチに締まっているぜ！ 触っているだけでこんなに興奮してくる女は初めてだ」
「そうそう。清楚な顔つきや服装の下に隠されたムチムチの淫猥な身体というのが最高にそそられるぜ！」
「おいおい、お前ら。運転しているこちらの身にもなってくれ。監禁用のアジトに着くまでは、ほどほどにしておいてくれよ」
「わかってるって。先ほどのお前のセリフじゃないが、お楽しみの時間はこれからまだまだ長いんだぜ。ふっふっ」


　俺は車のシートに保たれながら昔の夢を見ていた‥‥。ジメジメとした大きな倉庫の中で、かつての恋人だった春香が何度も何度も犯されている。彼女は二人の男に前後の穴を同時に貫かれながら随喜の涙をたれ流していた。
　彼女が身体を激しく悶えさせながら、「私のいやらしいオマ○コをもっともっとグチャグチャにしてえっ！」と泣き叫ぶ。純情で心優しい彼女の信じられないような淫らな姿を見て、俺のペニスがはち切れんばかりに盛り上がる。
　春香が自分の乳房を絞り上げるように揉みしだきながら、「いいのぉっ、とってもいいのおぉぉっ！ あふぅんっ、私の子宮をもっと突いてえぇぇっ。お願いぃぃっ、膣の奥深くにザーメンを思いっきりぶっかけてえぇぇっ！ 」と嬌声を張り上げる。
　暴行魔にまたがって、自らの腰をズボズボと一心不乱に上下させる彼女の裸身を眺めながら、俺のペニスがかつて経験した事のないような激しい快感に打ち震える。
　両手を後ろ手にかたく縛られて、ペニスを直接しごく事もできない状態であるにもかかわらず、愛する女がセックス奴隷へと堕ちていく姿に激しく興奮した俺は、ズボンの中に大量の精液を放出していた。
　激しい絶頂の余韻の中で、俺はかつての恋人の変わり果てた淫猥な姿をもう一度確認する。と、その瞬間、俺の心臓が凍り付いていた。
　そこには、２本の巨大な剛棒に突き刺されて随喜の叫び声を上げる優美の姿があったから‥‥。

　俺は車のシートからガバッと起き上がると、あわてて時間を確認する。車内のデジタル時計は夜の９時を回ったところだった。
　先ほどのあまりにも不吉な夢の内容に、心臓がバクバクと激しく弾んでいる。
　優美が掠われたと思しき公園には来たものの、手がかりになるようなものを全く発見できず、身動きがとれなくなってしまった俺は、車の中で３０分ほど眠ってしまっていたようだ。
　と、その時、俺の携帯がけたたましい音とともに鳴り出した。すぐさま手に取って応答すると、優美の叔父の声が次のような事を報告してくる。

「ＧＰＳによる優美の位置情報を入手したので後ほど画像で送信する。ただし、途中で携帯の電源を切られてしまったようで、途中までしか追跡する事ができなかった‥‥」
「そ、そうか‥‥」
「あと、そちらの支社にいる社員や警察の上層部に働きかけて、黒いワゴン車の行方を探してもらっているが、まだこれといった情報は入って来ていない」
「わかった。あんたの協力には心から感謝する‥‥。ありがとう」
「まあいい。それよりお前はこれからどうするんだ‥‥？」
「このまま手をこまねいているわけにもいかない。これから優美の位置情報が消失した地点まで移動して、周辺を手当たり次第に捜索してみる」
「そんな漠然としたやり方で、優美を見つけ出す事ができるのか？」
「何もやらないよりはマシだ。それに一つだけ心当たりがある‥‥」
「それは‥‥？」
「３年前、かつての恋人と一緒に拉致されて暴行を受けた場所は、ジメジメとしていて、しばらく使われた形跡のない倉庫のような所だったんだ‥‥。今回の件が同一犯によるものかどうかはわからないが、そのイメージに合致しそうな古い倉庫を中心に捜索しようと思っている」
「なるほどな、わかった。また情報が入ったらすぐに連絡する。くれぐれも優美の事をよろしく頼む」
「ああ、絶対に見つけ出す！」


　黒いワゴン車が古びた倉庫の裏手に停まる。３人の男たちがその車から降りてきて、１人の女を抱えながらその倉庫の中に入っていく。倉庫の内部はガランとした小さな小学校の体育館のような感じで、近年はほとんど使われた形跡がないように見える。
　男たちは入り口にあるスイッチで室内灯を全て点灯すると、倉庫内の中央に敷かれている大きなマットの上に女を横たえ、天井からダラリとぶら下がっているロープの端に女の両手首を巻き付けていく。
　そして男たちは、淡いピンク色のフリルブラウスに、濃紺のフレアスカートを履いた可憐な生贄の寝姿を見下ろしながら、ニタニタと笑い合った。

「おいおい、こりゃあたまらねえぜ。明るいライトの下で改めて見てみると、これ以上は望んでも望めないような超極上のタマじゃねえか！」
「ああ、さすがにたまげたぜ。こんなに全てが完璧で、我を忘れてしまうほど美しい女は見た事がないな」
「見ろよ、この透き通るような白い肌と均整のとれた最高レベルの身体を。これを思う存分味わい尽くす事ができるんだと思うと、もうそれだけで下半身がゾクゾクとしてくるぜ！」
「こんなにスラッと伸びた美しい脚の女は、モデルにだって早々はいないぞ」
「ふっふっ、この清純そうなお嬢さまが淫らな牝豚へと墜ちていくのかと思うと、もうたまらないぜ！」
「よし！ それじゃあさっそく、史上最高の輪姦パーティーの幕を上げるとするか！」
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2010年4月17日掲載
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