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「明日ならできます」
「午後２時に来客予定ですから、できれば午前中が」
「午前中はお仕事ですね、二男の帰りが３時くらいかもしれません」
雪子は僕とのテレフォンセックスの時間を調整する。メールのやり取りが過熱してそこから電話に発展することも多いのだが、先週はそんな気持ちの流れがお互いの事情でうまくつながらなかったからだ。
「まだお口には出してもらえないの？」
「はい、フェラチオの途中で勢いが弱まってしまうみたいで。最近はお口に出したいって言うんですけど、わたしが下手だからかな」
「僕の知る限り雪子さんのフェラは絶品ですよ、問題はＡ先生の方だよ」
こんなやり取りをしながら、雪子はＡ先生とのセックスの詳細を報告し、相談する。
「女性の喘ぎ声で興奮する、そして射精に導かれるのが普通の男性では？」
「フェラの時、たいてい乳首を弄ばれるのでわたしも感じてるし声も出すんですけど」
「６９ならお互い一気に達しやすいんじゃないの？」
「なるほど、それだ！ でも、実はまだしたことが無いんです、Ａ先生とは」
幾度も身体を合わせているし、性戯に通じた雪子の言葉としては意外だった。
「なんだかクンニの仕方が変わっているというか、文字では説明しにくいんですけど」
どうやらＡ先生はクンニの時、自分はベッドから降りて床に座り、ベッドの端で雪子を開脚させ、尻の下に枕まで当てがって高さを整えてから愛撫に及ぶのだという。
「恥ずかしいんです、冷静な顔でさあおいでって言われて、自分で枕運んで顔の前で足を開くんですよ、婦人科みたいに」
「そういうプレーなんじゃない？」
「興奮してむさぼるように、先生はいつもそうやって雪子を弄んでくださったけど、冷静に座って待ってる男性の前に自分からあそこを突き出して、どうぞっていう感じがちょっと。６９は無理でしょ？」
「そうだね、Ａ先生にベッドに上がってきてもらわないと次にいけないよな」
セックスの仕方は多様だ。最近はＡＶの悪影響で誰もが似たような行為をするという女性の嘆きを聞くが、他人のセックスを覗く楽しみは意外な仕方を知る楽しみでもある。
雪子から積極的にすればいいじゃないかというメールに、
「フェラしながらわたしからまたがってクンニを要求するのは、ちょっと無理です」
と雪子は返信する。
「九州男児だしね、でも、フェラしてる時、触ってくださいってお願いするのはいいんじゃない？」
「そうやって徐々に、ですか？」
「そう、股間に顔をうずめて口で奉仕する女性が次第に興奮して、わたしのも触ってなんて懇願したら欲情が加速するよ」
「クリを弄られて、喘ぎ声出しながら必死にしゃぶり続ける？」
「そうそう、喘ぎながら手で竿をしごいたりして。そのうち自然と向こうからしゃぶりついてきて６９になる」
「そんな風にできるかな」
「こんなメールしてたら僕がしたくなってきたじゃないか」
「わたしも、銀座のデート思い出しちゃった」
Ａ先生に指で逝かされるようになってから自分では達することができないと言っていた雪子は、僕の声を聞きながらなら逝けそうだから助けてくださいという。雪子らしい誘い方だ。
午前中、外出先での仕事がひと段落したタイミングで僕は雪子にメールした。
そのままテレフォンセックスに持ち込むつもりだ。
少しやり取りをしたとき、
「ごめんなさい、Ａ先生からの呼び出し、またあとで」
１１時を少し過ぎたくらいだった。午後に来客といっていたからそれまでに電話できればと思っていがたあてが外れた。
１時半過ぎ、ようやく雪子からメールが来る。
「突然のランチデートでした、午後の来客は断りました」
最近Ａ先生は人目をはばからない大胆な行動をする、と雪子は心配している。
札幌は小さな街だ。有名塾のベテラン講師ともなれば不特定多数が顔を知っている。もちろん雪子の実家も大きいし、嫁ぎ先もよく知られた家だから「美人の奥様」は有名人といってもいいだろう。
「雪子さんにぞっこんなんでしょう、恋人気分を味わいたい、こそこそしないで楽しみたいんだね、Ａ先生は。その気持ちはよくわかる」
「でも、噂は恐いです。それに、Ａ先生のファンのママたちにバレたら、わたしどんな嫌がらせされるか」
「窓のないラブホにこもるだけのデートは僕も嫌だな」
「せめて隣町に行きましょうと言うんですけど」
午前中呼び出されたのはセックスするためじゃなかったのと聞くと、ランチだけですよと雪子は答えた。
「二時間もありませんでしたから」
「なんだ、僕なら車の中でしちゃうのに」
「先生ならそうするでしょうね、わたし以外にも経験あるでしょ？」
「あるよ、コンビニの駐車場、路上駐車でもセックスできるし。居酒屋の個室ならお口でさせる」
「そんな話初めて聞きました、相手は?とは聞きませんよ」
「近くに雪子がいたら呼び出すのに、３０分あるから口でしろって」
「車で？ それとも研究室？」
「路駐の車内でも、デパートのトイレでも」
「あの時研究室で、立ちバックで犯されたの思い出します、あれすごかったから」
「最後は口に出したね、あんなのがいい？」
僕は堅くなったペニスの画像を送りつける。
「すごい、ドキドキして息がつまりそう」
ペニス越しに僕の顔が映るようなアングルでもう一枚送る。
「このアングルが好き、先生のいきり立ったものと、お顔も見える」
ここで僕は電話する。雪子の声はすでに上気している。
「ローション付けたバイブで割れ目を弄ってます」
「勝手にオナニーするなんてダメな子だな」
「ごめんなさい、我慢できなくて、先生、オナニーさせてください」
「まだ挿入するなよ、クリを弄ってごらん」
「はい、ああ、ああ」
喘ぎ声の背後にモーターが振動する音が聞こえる。
「立ちバックがいいの？」
「だって、あの時すごくよかったの、いまも思い出すんです」
「これからは立ってオナニーしなさい、後ろから僕に犯されるの想像して」
「は、はい、そうします、あの時の思い出して、あぁ、ダメ、すごく感じちゃう、声聞いた瞬間じわっと溢れてきちゃった」
「イヤラシイ声もっと出してごらん、ペニスがカチカチになるような声聞かせろよ」
「はい、でも、あぁ、だって、あぁ、あぁ、あぁ、あ〜、先生の太いのでしてほしい、このままクリで逝きそうです」
「ダメだ！ 勝手にするな！ たっぷり濡れてるだろ？ 中に入れてごらん」
「はい、中に、入れます、あっ！ あ〜ん、中が感じる、でも先生の欲しいです、これじゃ小さすぎてダメなの、あ、あ〜ん、先生ので突いてほしいの」
「Ｍ字に開脚して、指で割れ目開いてお願いしろ！」
「はい、いまそうしてます、ここ、ここを先生ので、奥まで突き刺してほしいの」
「画像見て興奮しただろ？」
「はい、ペニス越しに、あぁ、あぁっ、こ、こっちを見てる先生と目があったら、気絶しそうなくらいあそこが、キュって、あぁっ、息がつまりそうで、あぁっ、オ、オナニーするとき、あぁ、あぁ、あぁ、あれ見ながらします」
「毎日やれよ、おれのペニスと顔を見ながら、犯してくださいって声に出してオナニーするんだぞ！」
「は、はい！ あぁっ！ そ、そうします、先生に犯してほしいです、銀座の時みたいに、あぁ、あぁ、あぁ、め、めちゃくちゃにして〜！！ お願いっ！！」
「四つん這いになって、お尻振ってお願いしろ！！」
「ぶって！ お尻叩いて！ 先生の太いので犯しながら、雪子のお尻ぶってくださいっ！！、あぁ、あぁ、あぁ、ああ！ ああっ！！」
「乱暴にされないと感じないんだろ？ 普通のセックスじゃダメなんだろ？！」
「そうなの、せ、先生に犯されないと、あぁ、あぁ、あぁ、も、もう逝けないんです」
喘ぎ声の合間の雪子の声が次第にひきつってくる。
「ね、ねぇ、あっ、あっ、せ、先生、俺のペニスじゃないと感じない女になれって、め、めいれい、してください」
「このペニスじゃないと逝けないんだろ、他のじゃ物足りないんだろ？！」
「そうです、あっ、あっ、せ、先生の、太くて、堅い、すごいので、さ、されないとダメなの、ああ〜〜、これじゃダメなの、ああ〜、ああ〜！！ 前みたいにして！！」
「この前みたいに騎乗位で腰振らせてやるよ！」
「ああ、ほんとにお願い！ あっ、あっ、まっ、またあんなふうにさせてください！ 雪子が倒れるまで腰振って、あっ、あっ、下から突き上げられて、ああっ、ああっ！ 最後まで逝かせてほしいの！！」
「ほら、逝けよ！！ 淫乱女が逝くときの声で俺を感じさせろ！！」
「ダメ〜、セ、センセイ、ああ、あっ、あっ、あっ、ああ〜！！ イッちゃう、イッちゃう・・・、センセイ！ センセイ！ んっ！んっ！んっ！ ああ〜っ！！」
悲鳴をあげて雪子は到達した。しばらくは声が出ない様子だ。荒い息だけが聞こえてくる。
僕は相変わらずペニスをしごいている。
「雪子、まだ終わってないぞ」
「あ〜、もっとして〜、お口に精液出してください」
息も絶え絶えという様子で雪子が答える。
「飲みたいんだろ？ この味が好きなんだろ？」
「そうなの、飲ませて〜濃いの飲ませてぇ〜！」
「お口だけでいいの？」
「ああん、それはダメです、中にも、雪子の中にも出して〜ナマで全部ください！」
「よくばりな淫乱女だな！ そんなにしてほしいのか！ え？！」
ピチャピチャという音とともにモーターの振動音が聞こえている。
「ああ、あっ、あっ、いっ、淫乱雪子を犯して、ください、あっ！ あっ！ 何度も、ひっ、ひどいことして、あっ！ ああっ！！」
「何でもします、犯してくださいと言え！！」
「ああ、何でもします！！ ほんとです！！ 先生のため、なら、あぁっ、何でもしますから、また犯してください！！ あっ、あっ！ こ、このまえ、みたいに、いつまでも、あっ、あっ、あぁっ！ 突きまくって！！ 雪子の、お、マ○コ！！ 痛いくらいに犯して！！！」
かつての奴隷遊戯よりも、今日の雪子はテレフォンセックスに自分の性を解き放っている。
僕は言葉の限りを尽くして雪子をなぶり、精神的に凌辱した。雪子はそれに巧みに応え、僕にさらにひどい言葉を要求した。
雪子は指とバイブで幾度も達した。最期に僕は手のひらに射精した。一度電話を切り、手のひらにたまった精液の画像を雪子の携帯に送信し、身支度を整えてから再び電話を手にする。前回の通話時間は７０分とある。
雪子の声はまだ上ずっているが、服は着たようだ。
「たっぷり出たのね、これが欲しいんです、先生の手、舐めさせてください」
「感じた？ 久々に自分で逝けた？」
「はい、オナニーでちゃんと達したの久しぶりです。クリだと逝けるんですけど、中で逝ったの久しぶり。でも感じすぎでちょっとおかしくなったみたい、全身がぐったりしてます」
「すごかったよ、雪子さん、素敵な声聞きながら僕も気持ちよくなれたよ」
「ほんとは先生の言葉で逝けたの、バイブなんてなくても」
「声で感じた？」
「はい、ひどいこと命令された瞬間、火がついたようになりました」
Ａ先生とのセックス談義を聞かせる雪子は、僕と彼女とのセックスについても聞こうとする。
僕は自分の身辺の情報をあまり伝えたくないから、最小限のことだけ言う。
途中でドアの呼び鈴が鳴る。
「だいじょぶなの？」
「はい、宅配便ですから」
しばらく話していると、二男が帰宅したようだ。
「ちょっとごめんなさい」
そう言うと、お帰りというようなやり取りがかすかに聞こえてくるが、雪子は電話を切らない。
「帰ってきた？ だいじょぶなの？」
「ふふ、すぐ自分の部屋に行きましたから」
デートの様子や世間話は続くが、これくらいで電話はおしまいにしよう。
「じゃ、またね」
「先生、ありがとうございました、ではまた」
二度目の通話時間も４０分近かった。
ていねいに感謝の言葉を連ねたメールが来る。
ほんとのセックスがしたい、また抱いてほしいとは書いていない。
「彼女さんとお幸せに」というメールでその日は終わった。
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