５．


「なんだ、俊！！。こんな時間まで遊んでおって。」
　ユミさんとリビングに入ると、酔っぱらった親父にいきなり怒鳴られた。
「はぁ？　しょうがねぇだろう。バイ…。」
「パパ。いきなり怒鳴らないの。」
　仕送りが少ないから、バイトしてるんだと言おうとしたら、ユミさんに話しをさえぎられた。
「お前には毎月、沢山の仕送りを送ってるんだ。その金で遊んでばかりいるなら仕送りを減らすぞ！！」
　はぁ？そんな金なんて知らね〜よ。学校の月謝すら送ってこないんじゃないの？
「ねぇ、パパ、その位にしてあげて。」
　ユミさんは必死に話題を変えようとしている。もしかして、俺に内緒で仕送りパックッてますか？
「さぁ、俊君。シャワー浴びてらっしゃい。明日から早く帰るのよ。」
　ユミさんの顔は早くここから出て行けと言っている。
「そうだぞ、俊。あまりユミに心配かけるんじゃないぞ！！」
　俺はふてくされて部屋から出ていった。
「まったく、あいつときたら。」
　部屋で二人して俺のことをまだ言っている。いい加減にしろよ！！

「俊、入るわよ。」
　シャワーを浴びて体を拭いているところへユミさんが入ってきて、直ぐにドアを閉
めた。
「ちょ、ちょっと！！」
　チンチン丸出しだった俺は、あせってユミさんに背中を向けたところへ、ユミさんが背後から抱きしめてきた。
「私、俊のこと大好きよ。」
　なぜか、ユミさんが色っぽく誘惑してくる…。
「な、何だよ急に？」
　体が強張ってしまう。
「俊は、お父さんの前で、私を窮地に追い込むようなことは言わないわよね。」
　なるほど、そういうお願いですか。
「はぁ？さっきの、俺が知らない仕送りのこととか？　う、うわ！！」
　チンチン握ってきた。ちょっと、しごかないで。き、気持ちよくなっちゃうよぉ。
「そうよぉ…、俊。」
　色っぽい声で囁きながら、絶妙なタッチでしごいてくる。うますぎる…。
「じょ、冗談じゃないよ。お、親父に聞くに決まってるジャン。」
「もう…、俊。そんな意地悪なこと言わないで…。」
　う、うわぁ…、そ、そんなに上手にしごかないで…。だ、だめだぁ…。
「俊は、私が悲しくなるようなこと喋らないわよね…。」
「は、はい。絶対に…、しゃ、喋りません。」
　タマタマまで…。あっ、そ、そこは…。先っぽ…、だ、だめですぅ〜〜。
「俊がバイトしていることも言っちゃだめよぉ…。」
「はい。」
「もちろん、昨晩、俊と浴室でＳＥＸしそうになったことも…。」
「わ、わかってます。」
「あぁぁ…、私の可愛い俊…。こんなに、硬くて大きなオチンチンだったのね。素敵よぉ…、俊。」
「はぁぁぁぁ…。」
　耳元で囁く甘い声と、絶妙な手さばきで、簡単にイってしまった。
「そこ、ちゃんと拭いとくのよ。あと、ついでに洗濯機も回しておいてちょうだい。それと、夕食が冷めちゃうから早く来なさい。あとぉ…。」
　まだあるんですかぁ？
「俊、ちょっとイくの早いし、量が少なくない？」
「…。」
　ユミさんは、洗面台で手を洗うとリビングに戻って行った。今のはいったい、何だったんだぁ？

　ユミさんに言われたことをこなしてリビングに行くと、親父はますます酔っぱらって上機嫌で横に座るユミさんのオッパイに手を当てて飲んでいた。
「ほら、パパ。俊君が来たわよ。」
　ユミさんのオッパイにあった手がユミさんの肩に回った。まったく、息子の前で。
「俊、なんだその格好は。女性の前だぞ。」
　Ｔシャツにトランクス。風呂上りはこれだろう。ユミさんだって平気で下着で歩き回るぞ。
「まぁ、いい。それより話しがある。お前、昨日も今日も学校に行かないで女と遊んでいたそうじゃないか。遊ばせるために東京へ行かせたわけじゃないぞ！！」
　えっ、なんで知ってるの？ユミさん、自分のことは棚に上げで、俺のことだけ喋ったの？

「そうなのよ、パパ。俊君は私にもなつかないし、家にも寄りつかないのよ。だから、パパが心配するような、私と俊君の浮気なんて絶対ないの。本当はパパの子だから浮気しちゃうくらい俊君と仲良くなりたいのに…。俊君、私のこと嫌いみたい…。」
　ちょ、ちょっとユミさん…。話しの意味がわからないんですけど？

「バカなことを。息子との浮気なんて、心配しとりゃあせん。」
「嘘…、いつも電話で言うじゃない。あと、俊君たら、学校の女の子を妊娠させたり、喧嘩で相手に怪我をさせたり、示談金とか慰謝料でお金も大変なの。学費も大幅に値上げになるのよ。ねぇ〜、パパ、毎月のお手当て、もう少し上げてくれない？」
　ユミさん、何の話しですか？毎日、ガソリンスタンドでバイトして毎月３万も俺から奪ってるじゃないですか。お小遣いももらってないし…。授業料も上がるなんて、先生なにも言ってない。

「お、お前は、まだそんなことしてるのかあ！！」
　し、してない。昨日、今日、学校に行かないのは本当だけど、あとは全部、ユミさんの作り話しだから…。

「俊君が色々な問題を毎日のように起こしてくれるから、毎日大変なのよ。お店だってあるし。パパが毎日心配してる浮気なんてしてる暇ないんだから…。」
　ユミさん、俺が東京湾に沈められてもいいんですか？

「私、俊君がいない所でこんな話しするの嫌だから、ちゃんと俊君のいる前で話したのよ。信じてくれるでしょ、パパぁ。今のお手当てで俊君の面倒を見るなんて割りにあわないわよ。」
　ユミさん、オチンチンしごいてくれた代償はこれですか？

「い、痛て！！」
　親父が激怒して持っていた冷酒のオチョコを俺の額に投げつけてきた。そして、料理を何品かひっくり返しながらテーブルを乗り越えると、普段から持ち歩いているステッキで俺の体を殴打してくる。
「キャアーーッ」
　ユミさんが叫んでいる。
「ちょっとやめろよ親父！！」
　親父はやくざの組長なだけあって切れると半端じゃない。俺は数発、殴打されたところで、振り下ろされるステッキを何とか手で握って止めた。
「ハア、ハア、ハア、ハア」
　親父はステッキを俺に握られると、やっと殴打するのを止めてくれた。でも、まだ肩で息をしながら俺を睨んでいる。ユミさんもあまりに急な出来事に、ただ唖然としているだけだ。
「まったくお前ってやつは…。」
「ユミ、迷惑かけてすまんな。こいつも、これで、少しはこりるだろう。」
　さすがにユミさんも声が出ないようだ。両手を口に当て俺を心配そうに見ている。
「俊、学校は直ぐに夏休みだろう。休み中はユミの店で働け。」
「はぁ？」
「お前に夏休みなんか必要ない。きっと、ろくなことせんからな。」
「なに言ってるんだよ親父。」
「ユミ、すまんが、わしの息子とは思わず、遠慮なくこき使ってくれんか？」
　そんな心配いらないよ。ユミさんなら、平気で俺を奴隷のようにこき使うよ。
「ええ、それはいいですけど、俊君が行きたがっていた夏休み中の予備校のほうはどうします？お金はもう、振り込んでしまいましたよ。」
　なにそれ？俺、全然知らないよ。ユミさん、そんな金まで親父からもらっていたのか？
「まったく、お前が予備校に行きたいって聞いたときは心底、喜んだんだが…。どうせ、行っても女を口説くだけだろ。」
「なんだよ、それ！！」
　でも、ユミさんの店で働くのは回避しないと。昼のバイトと夜もユミさんに奴隷のように働かされたら、いつ寝るんだよ。
「お、親父。働くのは分かったけど、俺が昼のバイト探すよ。それに、ユミさんにとっては迷惑だよ。親父の息子を働かせるなんて。」
「そうだな。お前はユミを嫌っとるらしいしな。店にも行かないで、ユミを困らせるだけかもしれん。」
「言いすぎだろ。」
「そうじゃ、勝治がやってるキャバクラでボーイとして働け。それがいい。勝治ならお前になんぞ遠慮もせず、こき使ってくれるだろう。」
「あ、兄きのところ！！」
「そうだ。分かったら、お前はもう自分の部屋に戻って寝ろ！！」
「部屋に行けって…、夕飯は？」
「飯なんか食う必要はない。さっさと寝ろ。そして、明日は絶対に学校に行け！！」
　俺はマジで頭にきた。
「うるせえよ。くそ親父！！こんだけ殴られて学校に行けるわけねぇ〜だろ！！」
「なんだ、その口のききかたは！！」
「パパもう、止めて！！。俊君も早く部屋に行きなさい。すぐに、湿布と食べる物を持って部屋に行ってあげるから。」
　ユミさんが親父を必死で止めている。しょうがない、ここまでこじれたら、ユミさんを嫌ってる問題児になって、せめてユミさんの芝居だけでも完成させますか。
「おめ〜も、うぜ〜んだよ。来るんじゃね〜よ！！」

　俺はやっとの思いで部屋に戻りベットに転がった。体中がきしむように痛い。
「親父のやつ、派手に殴りやがって…。」
　そう言えば、地元の高校を退学になったときは、肋骨が折れるまで殴られたっけ。
「それにしても部屋が暑い。リモコンどこだよ〜〜。」
「俊、探してるのこれ？」
　いつの間にか、開けっ放しのドアからユミさんが入ってきてエアコンのスイッチを入れてくれた。そして、ドアを閉めて部屋の電気もつけてくれた。
「オデコ、痛いでしゅかぁ〜〜。」
　寝ている俺の横に座って、額を優しくなでてくれる。死んだオフクロみたいだ。
「むちゃくちゃ痛いでしゅぅ〜〜。」
「よかったぁ。俊が怒ってなくて。」
「怒ってるよ！！」
「ごめんなさい。でも、俊は頭のいい子だから私と調子を合わせてくれると信じてたんだぁ。」
「やりすぎだよ。お手当てや予備校代はいいとしても、妊娠させたとか喧嘩とかは言い過ぎだろ。」
「俊ちゃ〜〜ん。ここも痛いでしゅかぁ〜〜。」
　トランクスの上からオチンチンを握ってきた。
「もう、いいちゅうの！！」
　オチンチンを握る手を払いのけた。本当にもういい。昼間の美沙で３回、さっき１回で合計四回。もう出ない。
「ああん…。」
　寝ている俺の胸に顔を埋めてきた。ユミさん泣いてるの？
「女が一人、ヤクザの妾になって…、刺青までして…、生きていくのがどんなに大変だか分かる？」
「えっ？」
「パパは他にも愛人がいるし…。今の私が頼れるのは俊しかいないの。私を守ってくれるでしょ。お願い、俊…。」
　ユミさんが泣きながら、こんなこと言うなんて…。ああ、心臓がバクバクする。
「わ、わかったよ、ユミさん。最初っから怒ってないし、協力もするよ。」
「本当に？」
「本当だよ。」
「よかったぁ〜〜。」
　おい、泣きまねかよ！！
「おやすみなさい、俊。怒ってなくて安心した。私はこれから妾として大事な夜のお努めがあるの。じゃあね。」
「じゃあねって…、飯は持ってこないのかよ。湿布はどうしたんだよ。」
「なに言ってるの？私のこと守ってくれるんでしょ。甘えてないで、自分でしなさい。」

（続く）