ずっと愛してます２
羅衣 作
第47話 三井と亜紀


　三井は、亜紀が現役引退する時に会って以来、初めて２人きりで会うので緊張していた。
　やはり憧れの人である「亜紀」には、人一番思い入れがある。
　亜紀から急にホテルの１室に呼び出されたのだ。
　部屋に通されると、亜紀のお気に入りの香水の匂いがフッと香る。
　目の前には、ますます美しくなった彼女の笑顔があることが信じられなかった。
　彼は裏社会の人間でシティホテルに入るにも身なりを整えないと立ち入ることすら憚られる存在である。
　そんな彼にも、亜紀は分け隔て無く接してくれる女神のような女性であった。

亜紀 「剛さん 大丈夫 なんかお疲れの様子」
三井 「まあ なんとか 親父が入院してまして」
亜紀 「かなり悪いみたいね」
三井 「はい」
亜紀 「これはお願いではなくて 命令です」
　　　 「死んじゃ駄目よ」
三井 「えっ。。。。。」
亜紀 「男は女を泣かすような死に方したら駄目よ」
三井 「参ったな 亜紀さんには頭が上がらない」
亜紀 「わたしじゃない 悠希 泣かしちゃ駄目よ」
「あの子は ついて行くわよ」
三井 「それは」
亜紀 「悠希はね 貴方の為に生まれてきた女よ」
　　　 「分かる？」
三井 「はぁ 確かに いざとなると 肝すわってます」
　　　 「ただ最近 羽根 伸ばしているようで」
亜紀 「うふっ 許すからですよ」
三井 「うぅぅぅん 毎日頑張っているんですけど どんどん なんか」
亜紀 「オンナ凄い？」
三井 「はい 負けそうです」
亜紀 「相変わらず不器用なのね」
三井 「はい こればっかりは まあ 悠希を縛り付けたりはしないつもりです」
　　　 「信じてますし ガス抜きして貰わないと こっちも困ります」
　　　 「それに どんどん綺麗になりますし」
亜紀 「あはぁっ そうね 最近特にね うふっ」
　　　 「あっ大っきくしてる」
三井 「だっ駄目ですよ 妊娠されてるのに」
亜紀 「うふっ お口くらい大丈夫よ 久しぶりに欲しいの 大っきいの見せて」
　　　 「いつも わたしに会うと すぐ大っきくするでしょ」
　　　 「ほらっ」
三井 「あっそれは 亜紀さんに会うと 俺は」
　　　 「亜紀さんも なんか結婚して 変わりましたよね」
亜紀 「うふふ わたしもオンナだからね」
　　　 「今でも わたしのこと 好きなんでしょ」
三井 「それは それは あっおうっ」

　三井は神戸ではかなり恐れられている男なのだが、亜紀の手にかかると借りてきた猫のようになってしまう。
　なすがままにギンギンにいきり立った肉棒を取り出されて、フェラチオされてしまう。
　久しぶりに味わう亜紀の口淫に、三井の官能は沸騰した。
　もはや人妻になってしまった憧れの亜紀に、肉棒をしゃぶって貰えるなど夢のまた夢だと思っていた。
　それが今、現実となったのだ。

　亜紀のフェラチオは天下一品で百戦錬磨の男達でも何度も果ててしまうのたが、また味わいたくなる極上の桃源郷であった。
　これを味わうとほとんどの男が無抵抗に身を任せてしまう。
　彼女が現役時代には、それだけで数時間の時を過ごす男は星の数ほどいたほどであった。
　まさに至高のフェラチオテクニックであった。

　三井は全身の力が抜けてしまい、小刻みに身体を痙攣させて快楽の底に落ちていった。
　肉棒が蕩けそうになり、意識が遠くなっていく。
　人妻となったせいなのか、現役時代より更に濃厚で激しいものであった。
　三井の両手がすわっているソファーカーペットを掴んで、女性のように身悶えていった。

亜紀 「剛さん これからは定期的に逢いましょ」
三井 「はぁはぁ 良いんですかぁ あっ」
亜紀 「えぇ これ欲しいの いいでしょ してあげるから ねっ」
　　　 「その代わり 悠希と凌のこと 許してあげてね」
三井 「はい それは あっ 亜紀さんに またして貰えるなんて 幸せです」
亜紀 「うふふ これは わたしのモノよ」
三井 「はい あっぁぁぁぁぁ 気持ちいいぃぃあっ」

　三井の意識は混沌としていった。
　亜紀のフェラチオに溺れた懐かしい日々が昨日の出来事のように思えた。
　あの当時、数え切れないほど彼女の口内に熱い迸りを放ったが、その全てを飲み干されてしまった。
　毎日荒んだ日常の中で、この快楽の時だけが彼の安らぎの時間であった。

　それが途絶えた時、悠希が癒してくれなかったら、今頃自暴自棄になって死んでいたかもしれない。
　三井は喪失感に耐えられず悠希にすがって、彼女の肢体に溺れた。
　彼女は、それを分かって全て受け入れてくれた。
　もはや悠希の存在は、三井にとって無くてはならないものであった。

　悠希は一流ホステスで極上の肢体の持ち主であったが、出会った頃はベットでは普通の女性であった。
　三井にされるがまま、抱かれてベットで舞い続けた。
　毎日する情熱的なセックスは三井もそれまで経験が無かったが、ベットで少女のように喘ぐ悠希が可愛くて夢中になった。
　自分自身でも呆れるほど朝晩休み無く励み続けていたし、一緒にいれば時間があれば抱いていた。
　その結果、日に日に悠希がセックスに目覚めていて、彼女はどんどん貪欲になっていった。
　今では１日でも間があると、不機嫌になってしまうほどセックス依存が強くなっていた。

　三井は尊敬する親父さんこと親分が入院生活を送るようになって以来、家に帰れない日が多くなり困っていたのだ。
　愛妻、悠希が欲求不満になって仕事でもミスする失敗談を聞かされて、三井は責任を感じてしまう。
　そんな中で妻が亜紀に「会」への参加を誘われていることを知ったので、藁にもすがる思いで参加を勧めたのだった。
　悠希を信頼していたし、亜紀を誰よりも信頼していたので、「会」の活動内容は気にならなかった。
　打算とすれば、亜紀と再び愛瀬することが出来ればと淡い期待を抱いていた程度であった。

　それが思わぬほど早く訪れて、夢にもみた至福の快感を満喫していた。
　亜紀の柔らかい指先が生き物のように三井の内股を這いずり回り、玉袋をコロコロと転がされながら肉棒は吸い上げられる。
　柔らかい舌が敏感な亀頭に絡みつき鈴口に食い込んだかと思うと、舌が躍るように亀頭表面を弾く。
　絶妙な舌使いで翻弄されていく。
　思わず鼻から熱い吐息が漏れてしまう。
　首は既に天を仰ぎ、四肢は小刻みに震えて彷徨っていた。
　全ての活力は肉棒を通して、亜紀に吸い取られていく。

　三井の一目惚れから始まった片想いであったが、会えば会うほど惚れてしまう、マジに惚れぬいた特別な存在であった。
　亜紀は、気っぷの良い男前な性格と相まって、荒んだ裏社会で生きてきた男ですら躊躇する場面でも堂々としている度胸は天下一品であった。
　真剣に愛を捧げる三井への態度も商売抜きに１人の女性として真っ正面から受けとめてくれて、残念ながら受け入れてくれなかったが、愛をぶつけたことを喜んでくれて２人の出会いを大事にしてくれていたのだ。
　どちらかといえば恋愛は得意でない三井ではあったが、亜紀が自分の愛を受けられない理由を知っていたので、冷静に受け入れて彼女のそばで生きていくことが出来たのだ。

　三井は神戸の裏社会で紛争が続いた頃も最前線に立っていたのだが、関東地区の組織と和解の場を取り持つ役割を仕切らなくてはならなくなった時に場を和ます役割で女性達の力が必要な局面があり、その仕切り役がいなくて困っていた。
　本来であれば、親父こと組長の妻か、自分の妻が、その任を果たすのだろうが、そのどちらも不在であった。
　場が場であるから、その筋の女達は恐れて遠慮するし、三井も信じて任せることなど出来なかった。
　困った挙げ句に、三井は２０歳になったばかりの亜紀に声をかけたのだ。
　亜紀は、熱心に自分の苦境を伝える三井の姿に危機感を抱いて快諾してくれたのだ。

　三井自身も本気で亜紀が引き受けてくれると思っていなかったし、ただ愚痴を聞いて欲しかっただけであった。
　逆に慌てた彼は、その立場の重要性そしてリスクについて真剣になって説明したが、彼女の決意は揺るがなかった。
　組織の中でも、若い娘を連れて来た三井は狂ったと思った者が多かったし、実際賛否両論であった。
　困った三井は亜紀を事務所に誘い、親父の同意を取り付けることにしたのだ。
　その日は、事務所は異様な熱気に包まれていた。
　集まった者達の思いは様々であった。

　事務所玄関で待っていた三井は、亜紀の姿に唖然とした。
　つい最近任侠映画で見かけた極妻かと見間違えるほどの凛々しい着物姿で登場したのだ。
　素人なら卒倒しそうな異様な圧迫感のある状況の中で、今では組織では語りぐさになっている亜紀の気っぷの良い口上と堂々とした態度が居並ぶ荒くれの男達を圧倒して魅せたのだった。
　親父も彼女のことを素人としておくのは勿体ないと絶賛するほどであった。
　２０歳に過ぎないソープ嬢が裏社会の表舞台に唐突に現れた出来事であった。

　和解の場は、滞りなく和やかに執り行われた。
　亜紀が集めたホステス役の女性達もレベルが高く男達の邪魔にならず、その場の潤滑剤として見事に役割を果たした。
　料理も美味く、配膳のタイミング、そして順番など完璧であった。
　先方の親父の接待役も彼女が見事に果たしてくれて、三井は良い女房を持っているなと絶賛されたほどであった。
　三井はほとんど口出しすることなく、テキパキと取り仕切り、物事を進めていく彼女に圧倒された。
　亜紀を抜擢した三井の評価は大いに高まり、組織内での地位が定まったといっても過言ではなかった。

　亜紀は、そんな活躍を見せながら、翌日には一介のソープ嬢に戻ってしまう。
　三井ですら、本当に同一人物なのか分からないくらいに普通の美しい女の子に戻ってしまった彼女のギャップにたじろいでいた。
　あの日は、姉さん、実力者の風格を醸し出していたのに、今では別人であった。
　三井にとって女の奥深さを思い知らされた出来事であったが、ますます亜紀に惚れてしまい、ほかの女性に目がいかない状態に陥っていた。
　有力者である田原が寵愛して、彼女を大切にするのは当然だとやや諦めにも似た思いがありながらも忘れることができない。

　そんな未練タラタラの三井を受け止めて支えてくれたのが、悠希であった。
　裏社会で荒んだ心を癒やしてくれて、尊敬する親父が不治の病に倒れたときに冷静に対応できたのも彼女のおかげであった。
　日に日に彼女の存在が大きくなってきたのを実感していた矢先に、かつて亜紀が担ってくれた役回りが必要な状況が訪れたのだが、悠希は堂々と見事に果たしてくれた。
　その姿を見た三井は、もう二度と現れないだろう女性にプロポーズする覚悟を決めたのだった。
　三井は自分がひとりの女性を幸せにする自信はなかったにもかかわらず自身の都合と欲求で彼女欲したのだが、頭のいい彼女は察していて、それでも納得してプロポーズを喜んで受け入れてくれたのだ。

　悠希は三井が亜紀を忘れられないのは当然だと思っていた。
　なにより悠希自身が亜紀を愛していたから、その亜紀を忘れられない三井を許せてしまう気持ちが強かった。
　悠希は、そんな感情とは関係無く女として三井のことを愛していた。
　借金取りにつきまとわれて身の危険すら感じていた彼女にとって、三井は救世主であった。
　本来ならば付き合うことすら避けるべき世界の男であったが、彼の心の奥に潜むなにかに心惹かれて、ほっとけない気持ちが強くなり惚れてしまったのだ。
　同じように亜紀も三井と人生を共にしたいという気持ちを抱き苦しんでいたという話を聞かされて、そんな亜紀の想いも託されたのだ。
　悠希の三井に対する愛情はますます強くなっていた。

　三井は、身勝手と自覚があったゆえに悠希に対しては遠慮する気持ちがあったのは事実であったが、すぐに彼女の肢体の魅力に溺れていった。
　亜紀ですら嫉妬する美の化身のような肢体が、男の偏ったセックス観を木っ端微塵に打ち砕いた。
　三井のセックスは、男本来の欲望に突き動かされただけの本能的なもので、あとは職業的な義務感に突き動かされた偏ったものであった。
　どちらかと言えば女性のことを考えない、踏みにじる性格の一方的なものであった。
　弱い者に暴力を振るうことをよしとしないタイプなので、女性に対してはあえて手を上げたりしないだけで女性に興味がある訳でもなかった。
　そんな三井が亜紀に出会って女性を愛する気持ちを知り、悠希を得て女体の魅力を初めて知ったのだ。
　それまでの自分のセックスが、どれだけ稚拙で、一方的なものだったか思い知らされた。

　生真面目な三井は、知人の性調教師の男達に師事して、本格的にベットのマナー、テクニックを学んでいった。
　それもこれも、悠希をより高みに登り詰めさせたいと願ったからに他ならない。
　もともと精力、体力は人一倍強いタイプなので、たちまち男としてのレベルを上げていき、彼女を激しく悦ばせるようになっていく。
　しかし完全にオンナに目覚めた彼女のキャパシティは、彼の想像を超えていた。
　毎日、毎朝毎晩のように激しく愛し合うのに、彼女はもっとしたい様子で、どこまでも貪欲に求めてくるようになった。
　その時になって、女性の性感には限界など無くて、どこまでも底なしの深淵なんだと悟ったのだ。
　同時にますます美しくなっていく悠希を嬉しく思う感情もあり、自慢の妻であった。
　もちろん他の男に渡す気は微塵もなかったが、亜紀達との関係を深めることは悠希を更に美しくすると確信があったからこそ彼女の願いを受け入れたのだ。

　愛しい悠希を差し出す代わりに、三井は亜紀との情事を得た形になった。
　三井にとって不幸なのか、幸福なのかは、その時の彼には分からなかったが、このことが後の彼の人生に大きく影響を与えることになる。
　恩人であり義理の父でもある殉死覚悟でついてきた親父を失った時に、彼は２人の女性のために生き続けることを選択することになるのだ。
　硬派で無骨に、そして不器用に生きてきた人生であったが、４０歳を迎えようとする今、極上のオンナ２人に愛されて慕われるという華やかな第二の人生が幕を開けたのだった。
　この頃の三井は、まだ半信半疑であったし、裏社会で非合法な罪を重ねてきた自分が人として幸せを得るなど考えた事も望んだこともなかった。

　悠希は、どんどん奔放な性生活を満喫していくが、三井への愛情は誰にも負けない意識は強くて、彼が亜紀以外の女性に興味を示すと激しい嫉妬心を露わにして周囲を驚かすことになる。
　それでいて連日アフターで同伴する亜紀の夫、凌に急速に惹かれており、身体を許してしまうのも時間の問題であった。
　その気持ちを亜紀に話して許しを得たが、逆に三井との愛瀬を認めるようにお願いされてしまい受け入れるほかなかった。
　亜紀の提案は、お互いの夫を共有しようというものであり、結果的に悠希自身も望んだことなんだと理解していくことになる。
　悠希は、「夫婦交換」そんな言葉がまさか自分の人生で現実のものになるとは思ってもいなかった。

　三井は吐息を漏らしながら天を仰いだ。
　もはや愛瀬すら許されないと思っていた亜紀に、今、濃厚にフェラチオして貰えているという現実に興奮していた。
　ずっと忘れられなかった、鈴口をチロチロと舌先で舐め回して亀頭を口に含んで貰う感触に酔いしれていた。
　彼女の手が敏感になった内太股を優しく撫でると、絶妙なタッチで玉袋をほぐされていく。
　舌先で玉袋を転がされて、下から一気に竿を舐め上げられる。
　カリの首元を舌が巻き付いて、痛いほど硬くなった肉棒を溶かしていく。
　あまりの気持ち良さに腰が浮き気味になって、情けない声を漏らしてしまう。

　腰を浮かした瞬間、彼女の左手が尻の下に滑り込んだ。
　あっと言う間に指先が菊紋を捉えたかと思うと、細くて柔らかい指がつるんと侵入してきた。
　突き上げるような快感が走り、三井は一気に高みに追い込まれていって口を開けて息を吸った。
　亜紀は、不意にパクと肉棒を咥えると、一気にディープスロートしていった。
　左の指先では前立腺を捉えて、優しく振動を与えていった。

三井 「はぁあぅぅぅぅ あっ あっぐぅぅぅ でっではっ あっ！」

　三井の熱い精は、亜紀の喉奥に向かって解き放たれて注ぎ込まれていった。
　亜紀はクゥと喉を鳴らして嚥下しくと、これでもかと肉棒を吸い上げていく。
　彼女は、この瞬間が堪らなく好きで、これでもかと肉棒を責めたてる。
　肉棒では残留していた精液が吸い出されて、亜紀にとっても懐かしい味が口内に広がっていった。
　亜紀にとって、「三井 剛」は特別な存在であった。
　先に凌と出会っていなかったら、彼女選択は変わっていたかもしれなかった。
　凌と剛の２人は、彼女に自身は女なんだと目覚めさせてくれた存在であった。


　亜紀は高校を卒業と共に、ソープ嬢として生きていく決意をした時に出会った凌に戸惑った。
　当時、彼女は女性が好きなレズビアン一色であり、男性には全く興味がなかった。
　幸いなことに男性を嫌悪するタイプでなかったし、男性に対する貞操感も普通と異にしていたので、男性に身体を許すソープ嬢という仕事に抵抗感が薄かったからこその選択であった。
　そんな彼女に男性としての好意を寄せる凌の存在は、違和感があった。
　凌は地域の実力者であり、逆らえば生きていくのは難しく、皆が畏怖する存在であった。
　彼女の膨大な借金を肩代わりする代わりに、彼女自身を望まれた時の誘惑は強烈であった。

　それでも踏みとどまったのは、亡くなった父親に対する思いと病床に伏せっている母親に対する思い、レズビアンである性癖などが複雑に絡み合った彼女の意地であった。
　凌の申し出を受けるということは、自分が女として生きることを認めるということに他ならない。
　申し出を断り続ける亜紀であったが、彼女を諦めない凌の情熱に圧倒されて抱かれる日々が続いていくことになる。
　凌の気持ちが、よくある若い女性を愛人にしたいという金持ち特有の淫欲とは次第に違うということを感じるようになっていく。
　本気で愛されているという認識と同時に、身体が次第に女としての悦びに目覚めていくにつれて、凌が大きい存在になっていくのは自然な流れであった。
　それでも亜紀は借金と家族の生活を自ら支え続けたのだ。

　そんな中で出会ったのが、「三井 剛」であった。
　任侠の世界に生きる彼が、彼女に寄せる真っ直ぐな想いは新鮮であった。
　そしてすぐに彼が極めて危険な世界で生きる男であり、いつ命を失うか分からない存在であることを知った。
　彼は、純粋で、不器用なまでに一本気な生き方しか出来ない男であったが、女の本能、危険な男に惹かれてしまう壺を強く刺激するタイプであった。
　亜紀は苦悩する。
　もう心の半分以上は凌が占めていて、新たに彼を受け入れることが出来ない自分と彼に惹かれる心が葛藤する日々であった。
　その苦しみから亜紀を救い出してくれたのが、郁美との出会いであった。

　郁美の真っ直ぐなオンナとしての悦びを求める生き方は、亜紀には驚きの連続であった。
　普段は可愛い少女のような笑顔が印象的な女の子なのに、こと色事となると同性である亜紀ですらゾクゾクするほどの色香を醸し出す女性であった。
　彼女は、最愛の人に去られた喪失感からくる渇望から無鉄砲な行動を繰り返し、たびたび亜紀を心配させ続けていった。
　亜紀は、そんな郁美にのめり込んでいった。
　ほっておけない、目を離せない、糸の切れた凧のような彼女を身近に置くために同じ仕事に誘うのは自然な流れであった。
　彼女は凌と亜紀の間にも自然に入り込み、次々と新しい展開を生み出していく。
　彼女の存在が亜紀の気持ちを整理させたのだ。
　オンナとして貪欲に、欲張りに生きる、それが一番素直な生き方なんだと悟ったのだ。

　そして亜紀は凌の妻となった。
　亜紀の周りに、彼女が愛しいと思う女性達が郁美を軸に自然と集まってきた。
　レズビアンとしての自分、愛しいと思う女性達、金銭的に豊かな生活、自分を盲目的に愛してくれる絶倫な夫、そして自分の思うがままになる従順な夫の全てを手に入れた。
　夫の性生活も彼女の手の内に入ったのだ。
　この生活を確たるものにするために、夫が口にはしないがなにより望んでいる子作りに邁進した。
　それは女だけに許された最強の武器に他ならない。
　間もなく、それが果たされる日が迫る中で、彼女の欲望が動き出した。

　女子会で一番美しいという肢体を持つ悠希に夫が惹かれていて、悠希も絶倫な凌に惹かれているのは好都合であった。
　悠希は亜紀と同じくサバザバした男前な性格でありながら、とっても嫉妬深いタイプであった。
　信じられる悠希に剛を託した亜紀であったが、悠希に愛されて以前にも増して魅力的になった彼に興味津々であった。
　悠希も日に日にオンナの華を開かせていく姿に、亜紀は嫉妬して、いつしか２人の間に割って入りたいと思い始めていた。
　亜紀は郁美にも手伝って貰い、オンナの悦びに目覚めた悠希を誘惑し続ける。
　女子会としても、悠希の完全参加は男達を支配するトドメの切り札であった。
　悠希と剛、夫婦の隙間に入り込んだ女子会は肉欲で盲目となった男達を巧みに誘導していった。
　男達は女子会がお膳立てしたとは気がつきもしないで、ご馳走に群がっていった。
　そうして亜紀は、１度は諦めた「三井 剛」との関係も手に入れたのだった。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2017年3月18日掲載
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