ずっと愛してます３


ずっと愛してます３羅衣作
第39話　覚醒の予感　健二は夢中で美しい肢体にむしゃぶりついていた。　もう余裕も計算も打算も無く、突き動かされる肉欲に押し流されるセックスだ。　豊富な経験と知識、そして圧倒的な、強靱な精力を持つ彼でも、今では愛妻、郁美の貪欲さには完全に全く太刀打ちできない有り様であった。　いくら極め尽くした知識の持ち主である５大老達が、郁美に群がっても逆に喰われてしまうのは当然なのだ。　そんな妻を持った健二は、勝ち組であり、妻に負けていることを気にも留めていなかった。　彼女は彼にとって妻であり母であり、守護者なのだ。　しかし、その妻に匹敵する女に出会ってしまった。　もし妻がいなかったら、彼はその女の下僕と化していただろう。　抱き心地、肌感、質感、匂い、味、全てが完璧極上であり、体力が尽きても腰が止まらないのだ。　キスをして唾液を交換するだけで、不思議と精力に活力が蘇るのだ。　瑠璃子は郁美と同じ男を狂わし支配する魔性の資質を継承する女であることは、健二は百も承知であった。　そもそも彼自身は、家柄、身分の違いを理由にして、彼女との距離感を保つ理由にしていたが、実は彼女の資質が怖かったのだ。　何百何千年と続く血統から引き継がれる男を喰らう資質は、当時まだ少女であった瑠璃子の瞳の奥に潜んでいると見抜いた彼はあれこれと理由をつけて問題を先送りしたのが真実であった。　５年ほど経った頃に、その予測は正しかったことを証明する事態が起きる。　彼女の妹、佳子は既に中学生時代から多数の下僕を従える姿を見せており、男達を支配し従える血統のカリスマ性はやはり恐怖に値するモノだったのだ。　当時の佳子は、容姿も、言動も、所作も、絵に描いたような可憐な美少女であった。　それでも同級生の多くの男子達を従え、学校教師を含む周囲の男達を精神的に支配していた。　その実姉が瑠璃子であり、その彼女が覚醒する時は時代が変わるとゼウスが漏らしたのを聞いてしまった健二であった。　隣にいるだけでも強く惹きつけられる魅力に、当時の彼は強がって彼女にもっと勉強してイイ女になれと大人ぶって逃げたのが真相であった。　しかし彼女は、本当に抜群にイイ女になって現れた。　結果論であるが、彼は当時逃げて正解であった。　あの時であれば、瑠璃子に手を出していれば魅力負けて虜になっていただろうし、ゼウスの逆鱗に触れたに違いない。　今は違う。　健二は郁美というある意味最強の妻を手に入れて、魔性の全てを骨の髄まで味わい尽くすという経験を得た。　そして彼女から絶対的な愛情と理解を獲得することに成功したのだ。　今ではゼウスら５大老ですら、郁美の意向を蔑ろには出来ない程の影響力があった。　更に健二には、麻輝と美帆という存在もあり、血統者以外では未だ誰も為し得なかった地位を得たのだ。　そして今、郁美の計らいで、遂に彼自身がパンドラの箱を開けるチャンスを得たのだった。　浴室でのフェラチオ地獄で精力が尽きようかという狭間で、彼を救ったのはやはり郁美であった。　極上の快楽で意識が薄らぐ中、現実に引き戻して挽回のタイミングを教えてくれたのは、間違いなく郁美という思念的存在であった。　一方的に施されていた潜望鏡を耐え抜き、瑠璃子が湯にのぼせて怯んだ隙を見逃さなかった。　一度体勢を立て直せば、女体の弱点を知り尽くしている彼には、まだ経験が不足している瑠璃子では太刀打ちできない。　小さくキャッと可愛い悲鳴を上げて、彼の嫌らしい手淫から逃れよう身を翻す。　彼女の知っている男達は数度連続して射精すれば、ほぼグッタリして動きが鈍くなるだけに、健二のようなタフガイは初めてであったろう。　処女ではなく年相応の性体験もあったようだが、意識的に「会」に関係する男性は避けて一般の男性と恋愛をしてきた彼女には、健二に代表される「会」の男達のタフさとテクニックについて無知であった。　もちろん一般女性よりセックスについては興味もあったし、いろいろと見聞きはしている方であったが、所詮耳年増に過ぎない。　バストトップを摘まれて首筋に顔をうずめられた途端に、彼女の肢体が急に思うように動かなくなった。　背筋に経験したことのない、ゾクゾクとした電流が走った。　つい先程まで逞しい肉棒を掻かれて、続けざまに白い体液を迸らせてアウアウと情けない吐息を漏らした同一人物とは思えない勢いで反撃してきたのだ。　湯にのぼせていたこともあるが、不意に肢体に駆け巡る快感に意識が遠のいた。　朦朧とする意識が現実に引き戻されたときには、もうベットに押し倒されて組み敷かれていた。　口移しで冷たい麦茶を飲まされていた。　喉から食道、胃と臓器に染み渡るような心地よさに身を委ねてしまう。　目の前には、いつもの優しい表情を浮かべた健二の顔が迫っていたが、不思議と照れはなくて彼への甘える気持ちが膨らんでいった。　両腕を巻き付けて無条件で彼に全てを委ねてしまう。　瑠璃子は年上の男達とビジネスで競い合って男と対等でありたいと頑張ってきたので、セックスにおいても今まで無条件に男に身を任したことは一度もなかった。　その彼女が、健二に肢体と心を開いた瞬間であった。「健二　大好きよ　ずっと　ずっと　想ってたの」「おねがい　わたしを　本当のわたしを」「引きだして欲しいの」「健二なら　わたし　いいの」「ずっと待ってた気がする」　透き通るような白い肌、それでいて理想的な女性らしい肉付きが実に心地よい。　首筋から背中に巻き付く細い腕に、健二の劣情は咆哮を上げた。　十数年待ち焦がれた美しい女体を遂に手に入れた。　うるうると艶やかに揺れる瞳に吸い込まれそうになりながら、必死に耐えて優しく抱き包む。　凄まじい吸引力であった。　一度でも吸い込まれて魂を奪われたら、もはや彼女に盲目的に従う下僕に墜ちてしまうであろう。　健二は既に郁美という絶対的な女神がいるだけに、その凄まじい誘惑に抗うことが出来るのが強みであった。「俺は　いける！！　郁美のお陰だ！！」「俺は　遂に　ここまで登り詰めたんだ！！」「がはは　瑠璃子ぉ　逝かしてやるぞ」「２度と忘れられないくらい狂わしてやる！！」「そして　本当の姿　瑠璃子姫を引きだしてやる！！」「その時こそ　お前は俺のものだ！！」　健二は、あえてオーソドックスに優しい前儀から少しずつ攻める方策に出た。　さすがに潜望鏡天国による精力の損耗は凄まじく、無理をすれば中折れの危険があると自覚していたからだ。　３７歳という年齢も加齢による体力の衰えが表面化し始める時期であった。　１０代、２０代の頃のような無理をすれば、無残な中折れをしてしまう危険が大きかった。　男としてのプライドが傷つくようなデリケートな事柄も、健二は郁美によってフォローされて癒されて、この問題を真っ正面から受け入れることが出来たのだ。　だから極めて冷静であり自分の体力と相談して進めて少し時間を稼ぐために、前儀に拘ることにしたのだ。　もちろん経験と才能に裏打ちされたテクニックは、なんら手抜きなどなく、むしろ凄まじい責めの嵐である。　絶妙なタッチで手淫で責められたら、若い情熱的な肢体はあっという間に炎上してしまう。　あえて秘部には一切手を出さない。　吸いつくような肌が手淫の不作法に抗い、健二を肉欲の深淵に引き込もうとするが、そんな誘惑など彼には通じない。　首筋から舌を這わせて、おもいっきり匂いを肺一杯に吸い込む。　鼻腔に瑠璃子が普段愛用している香水インドジャスミンの香りがうっすらと広がる。　その中にうっすらと若い女体の薫りが混じっていることを確認する。　この薫りが強くなるまで、とにかく彼女を責めて高めるのだ。　情熱的な抱擁とキスが、やはり女体のスイッチを入れる基本中の基本である。　そしてキスで彼女の唾液が彼に活力を与えてくれる。　郁美もそうだが、魔性を持つ女の体液は男にとって強壮剤となり得るのだ。　親指で未だ鮮やかな桜色が眩しい乳輪と乳首を弄ぶと次第に彼女の肢体に痙攣に似たものが走り始める。　吐息も荒くなり、ハァンハァンと喘ぎ声もどんどん艶っぽくなっていく。　再び首筋に顔を埋める。　すると発汗と共に溢れ出した女体の薫りが鼻腔を強く刺激するようになっていた。「よし！！　そろそろだな！！」「では　夢に見た　蜜壺を　食べさせて頂こうか！！」「頂きます！！」　すっかりエロエロモードに入った健二は、ずり下がって直ぐに寄り道してしまう。　夢に見たマシュマロおっぱいの頂が目に止まり思わず吸いついてしまう。　上気した白い肌が薄くピンク色に染まっており、それだけでも刺激的な情景なのに、その頂は鮮やかな桜色なのだ。　これを吸わず男といえるだろうか、と問われているような極上おっぱいであった。　思わず両手で揉み上げて、親指で「の」の字状に転がして弄ぶ。　直ぐにツンツンと乳首が硬くなり、立って自己主張始める。　そこを乳首だけ絞って吸いつくいて、ワザと乱暴に引っぱってみせる。「アッアッウェェェェン」「アッアァァァァァアアン♪♪」　彼女の肢体がエビぞりに反り返るように身悶える。　真面目に生きてきた彼女は、セックスも真面目に嗜む程度にしてきたことが分かる素直な反応を見せる。　気が強い彼女が男に弄ばれたことがないことを露呈していく。　恐らく上から目線、抱かせてあげる的なセックスしか経験が無くて、男に愛を捧げたことがないのだろう。　凄まじい潜望鏡フェラチオを駆使した同一人物とは思えない脆さだった。　流れる血に息づく才能のポテンシャルの高さではあるが、そもそも本当の意味で男に愛を捧げたことが無いからチグハグなのだ。　いつものと全く違うセックスの流れに、瑠璃子は翻弄されていた。　健二の前では素になってしまい、意志とは無関係に肢体が熱く燃え上がっていくような錯覚に陥っていた。　急激に燃えさかる淫欲を怖く感じて身をよじって逃れようとするが、全て先読みされて責め立てられていく。　経験したことがないほど顔が火照って、ひどく喉が渇いていった。　彼女が２０数年積み重ねてきた全てが音をたてて崩れていった。　血統に受け継がれる魔性という十字架が怖くて自らを律して生きていたところがあったので、セックスには溺れず仕事に邁進して、血統だけではなく実力で家柄に見合った人物でありたいと生きてきたのだ。　それが揺らいだのはただ１度だけ、大学１年生になって入っていたサークルを通じて知り合ったカレに、初めてを許してしまった時だろう。　彼女は、本気で彼が大好きであった。　だからこそ、ずっと守ってきたものを許してしまったのだが、それが破局きっかけになってしまったのだ。　若い２人は、１度一線を越えると当然の如く毎日のように求め合ってしまう。　次第に瑠璃子が変わっていく。　あっという間に、ベットに入ると清楚で奥手な姿は消え失せて、貪るように快楽を喰らう女になっていく。　そしてお互いのスレ違いが大きくなっていき、別れることになってしまった。　初めてを許した日から彼女の魔性は動き出していたのだった。　うっすらと感じた自分に流れる血の業の深さに気がついて、意識的に目を背けてきたのかもしれない。　失意の別れ以来、瑠璃子は男性に心を寄せることがなくなり、遊びの延長でセックスを嗜むようになった。　何人もの男性が彼女肢体を駆け抜けていたが、誰１人として彼女を満たすことは出来なかった。　日本人男性に失望し複数の外人男性とも経験したが、彼女求めたものは見いだすことが出来なかった。　そんな有り様であるから、純粋に女のアクメに傾注することもなかった。　流離った挙げ句に、結局彼女には岩永健二への想いだけが残された。　まさにそんな時に、健二が結婚したという情報に接したのだ。　彼女は狼狽えた。　実は次回の帰国時に、健二に会って自分の本心打ち明けたいと決心した矢先であった。　とはいえ異国の地で責任のある立場で、身を置いているので、なんのリアクションも出来なかった。　ただ日本に残してきた亀梨弥生に、健二の動向を知らせて欲しいと依頼するのが精一杯であった。　弥生からもたらされる情報に、瑠璃子は愕然とする。　健二の妻、郁美という女性は、「会」で知らぬ者はいないという麻輝と美帆を見事に束ねて協調体制を築き、５大老達、特に祖父ゼウスをすっかり魅了してしまったというのだ。　瑠璃子にとって大切な居場所を次々と奪ってしまう郁美に、彼女は焦りを隠せなかった。　仕事に一区切りつくと、村西薫にすら詳しい話もせず突然の帰国を決めてしまう。　それでも薫の同行を強く願い、日本では弥生と合流を依頼したのだ。　結婚してしまった健二に今更会ってどうするのか、郁美という女性に会ってなにを話せば良いのか、など考えが纏まっていないのだが、行動せずにはいられないという衝動的な行動であった。　そして郁美と会った瞬間に敗北を知った。　彼女は既に魔性のオーラを自然に纏っていたからだ。　自ら避けてきたものを彼女は完璧に身に付けていた。　そして悟った。　自分は女として生まれたのは損だと誤解して生きてきた。　それは損ではなくて、持って生まれた役割が違うだけであり、果たすべき責任が違うだけなのだ。　そして女の方が、実は楽しく、奥行きが深い人生が送れるという特権があるのだと思い知らされた。　名家に生まれて抜群の資質があると謳われた美人姉妹の姉として他人に負けまいと人一倍が頑張ってきたが、気がつけば愛してくれている男性はいない有り様であった。　それに比べて郁美は、健二の愛だけでなく、周囲の男達全てから愛されて、５大老からも女神として愛されているのだ。　それはセキュリティサービスやスタッフの男達も例外でなく、彼女のためならと行動する所作に現れていた。「女の価値はどれだけの男達に愛されるかで決まる」　という古い家訓の言葉に、愕然する瑠璃子であった。　その思いは、田原亜紀という女性を紹介された時点で確信に変わりつつあった。　亜紀は、郁美とは全く違ったオーラ、それも瑠璃子が押されるほどの人を惹きつけるものであった。　祖父ゼウスが持つ支配者オーラに通じるものであり、彼女が関西支部の根幹なのだと理解した。　夫である田原氏もすっかり彼女の魅力に取り憑かれており、彼女が生んでくれた２人の天使に夢中であった。　そう女の最強武器は、子供を産むという女だけに許された能力に起因するチカラであった。　その魅力で男達を完全支配することが可能なのだ。　そういう理解は先祖代々の系譜で瑠璃子は知ってるつもり、理解しているつもりであったのだが、それを行使し実証している姿を目の当たりにすると自分は上っ面で理解していなかったと思い知らされる。　もちろん亜紀は夫を支配しようという意図で彼の子を産んだ訳ではないし、愛する人の子を欲しいという純粋な気持ちであったのは同性だからこそ理解している。　男と女の紡いできた系譜は、そういう純粋な感情が結果的にもたらす心理なのだ。　男にとって最良の血筋を残して育んでくれる女への執着は、何事にも代えがたい影響力があるのだ。　瑠璃子は健二が見つけてきた女性２人の凄さで、すっかり降参気味であったのに、美あんずのメンバー層の厚さに驚いてしまった。　彼女達が敬子を筆頭に郁美と亜紀を中心に一枚岩であり、なにより瑠璃子を焦らしたのが環を中心とした高校生世代の存在だ。　再会した健二は彼女達に囲まれて、かつてのようなギラギラした危険なところがなくなっていたが、それが精錬された大人の雰囲気を醸し出していた。　会話の流れで窮地に陥っても、直ぐに郁美がさり気なく彼を守ってみせるし、何気に亜紀からも彼が愛されているのだと言うことが痛いほどに感じられた。　自分が郁美の代わりに彼のそばにいても、彼にこれほどの環境を提供できるかと言えば無理の一言であった。　ゆえに早々に郁美と亜紀の２人とは対決することは避けて、協調することにしたのだ。　すると郁美の方から彼女の心の奥底に未だ燻っている健二への想いを確かめて、新たに出直すことを勧められた。　初めは同情や憐れみだと辞退したいと思ったが、誤解であり健二を愛する友人として、郁美は本気で瑠璃子に健二に想いをぶつけることを勧めたのだ。　そんな妻がどこにいるであろう。　それが郁美なのだ。　正直、瑠璃子は健二への想いが強くなりすぎて、恋愛に臆病になっていることは自覚していた。　郁美は短期間で瑠璃子が抱えた問題を見抜いていたのだ。　祖父ゼウスが、一貫して彼女のことばかり話す理由を理解した。　ゼウス達は支配者としてささくれ立った心を癒してくれる女神を生涯掛けて探し求めていた。　そして、その期待は瑠璃子に向けられていることも彼女は知っていた。　しかし彼女自身が、そもそも女に生まれたことを不幸だと思い込んでいたので、その期待に応えることが出来ずにいたのだ。　そして学生時代の失意が彼女を袋小路に追い込んでしまったのかもしれない。　経験したことがなかった女同士の悦楽の中で、郁美が語った枕物語が瑠璃子に目を覚ませたのだ。　そしてモヤモヤしていたわだかまりも、一晩の女だけの饗宴が吹き飛ばしてくれた。「女って楽しい」と初めて心底思った経験が、瑠璃子を変えた。「わたし　間違ってた　女って楽しいのね　うふふ」「健二ったら　ズルいわ」「わたしを選ばなかったこと　きっと後悔させたげる」「まずは　ホントのわたし　教えてあげる」　極上の肢体に舌鼓をうつ健二は、その肢体の中で起きている変化に未だ気がついていなかった。　つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
羅衣さんの作品集→
2020年10月11日掲載
Copyright (c) 2020 羅衣 All rights reserved.

▲