ずっと愛してます３
羅衣 作
第42話　王妃の三銃士１


　九条佳子は、ちょっと予想外で狼狽えていた。
　実姉とは実に２年ぶりの再会であり、まさか今回それも神戸の地で訪問を受けるとは思っていなかった。

　彼女自身、亜紀と郁美に完敗を喫してから、体制の立て直しに必死であり、更に大好きな綾小路優貴を郁美に奪われない策を弄することに余念が無かったのだ。
　彼女ほどの女性であっても、郁美は脅威であった。

　そもそも実姉瑠璃子を除いて、他の女性に負けるなど思ったことも感じたこともない佳子が焦るのだから、その狼狽は小さいものでは無かったといえる。
　そこにコンプレックスである姉との再会であるから、油断が生じたのもやむを得ない。
　まさか瑠璃子が覚醒して、オンナぶり全開で現れるとは想像だにしてなかったに違いない。

　異変に気がついたのは丁度ラウンジで紅茶を楽しんでいるところで、ホテル内が突如としてアタフタと騒がしくなった時であった。
　ＳＰの男達と共に、ホテルのスタッフ達が色めき立ち始めて、さらには多くの者達の足が止まったほどであった。
　注目する入口から入ってきたのは身なりに気品が漂うキャリア風女性を２人従えて、颯爽と登場した美女で、それは佳子の実姉、瑠璃子であった。

　佳子は目を疑う。
　そこには彼女の知るビジネスウーマンを具現化した姉ではなく、オンナのフェロモン全開で亜紀や郁美にも負けないほど神々しい姉の姿であった。
　その魅力で、あっという間にその場の者達の心を奪ってしまう。
　その場にいた同性の女性陣ですら、心奪われ彼女から目が離せない有り様であった。

「なになに　瑠璃子姉様に　なにがあったの？」
「あっ　優貴」

　いつの間にか、優貴が瑠璃子の元に駆けつけている様に佳子は焦る。
　今の瑠璃子には佳子は勝てないし、下手をすると優貴すら奪われるとパニックになった。
　祖父ゼウスが心待ちにしていた覚醒を果たしたに違いない。
　しかしここで逃げれれば、優貴を諦めることになると覚悟すらした佳子であった。

「やっぱり　瑠璃子姉様」
「凄いぃぃぃ　わたし　負けそう」
「でも　優貴だけは　わたし」


　
　綾小路優貴は部下から報告を受けており、九条家実質Ｎｏ．２の瑠璃子訪問に備えていた。
　彼にしても、彼女は佳子と共に憧れの存在であった。
　いつも仕事優先で、テキパキしている切れ者の瑠璃子を常々尊敬すらしていたほどであった。
　その彼ですら佳子と同じぐらい驚き、その魅力に圧倒されて飲み込まれていった。
　それでも自然と行動出来たのは、日頃の訓練の賜物でしかなかった。
　唖然としながら、それでも忠実に、機微な動きで、女神様の守護者の役割を果たして見せた。
　ホテルに居てキチンと行動出来たのは彼１人である。

瑠璃子　「お久しぶりね　綾小路さん」
　　　　「いつもながら　完璧ね」
優貴　　「はぁっ！！」
　　　　「瑠璃子様　ご無沙汰しております」
　　　　「今回は　お疲れになったでしょう」
　　　　「佳子様は」
　　　　「あちらでティータイムされておられます」
瑠璃子　「あらぁ　うふっ」
　　　　「じゃあ　そこにお邪魔させて頂くわ」
優貴　　「はぁっ！！　ご案内致します」
瑠璃子　「ごめんなさいね　いつも　わたし達」
　　　　「なんでも突然だから」
優貴　　「問題ございません」
　　　　「それにしても　失礼ながら　なにか」
　　　　「こう　お変わりに成られたような」
瑠璃子　「あらぁ　お感じになるのね　」
　　　　「うふふ　秘密よ」
　　　　「誰にも　他言無用よ」
優貴　　「はい」

　初対面でもない優貴は郁美の時とは違うトキメキに狼狽える。
　背後の彼女に凄まじい存在感を感じて、気になって仕方がない。

「女神だ　瑠璃子様は　遂に目覚められたのだ」
「ゼウス様が　心待ちにされていた時が　遂に」

　押っ取り刀で案内役に徹する優貴であったが、不安げな表情を浮かべる佳子に再び動揺する。
　彼女のそんな頼りない表情は見たことがないのだ。

「うぅぅぅん　昨晩といい　なにか起きているんだ」
「佳子様は　いつもらしくない」

佳子　　「お姉様　お久しぶりですわ」
瑠璃子　「ほんと　お久しぶりね」
　　　　「今回は　なにかお爺さまに言われて」
　　　　「来たんでしょう」
佳子　　「あはぁっ　お見通しという訳ね」
　　　　「でも　細かいことは」
　　　　「お爺さまに聞いて下さいませ」
　　　　「わたくし　他言できないの」
瑠璃子　「まあ　わたしでも？」
佳子　　「お許し下さいな　立場を分かって欲しいわ」
瑠璃子　「まあ　良いけど」
　　　　「あっ　綾小路さん　席外して下さる？」
優貴　　「はぁっ！！　失礼致しました」
　　　　「ご用の時は　いつでも　お呼びを」
瑠璃子　「弥生さんと薫さんを」
　　　　「ちょっと休ませてあげて」
優貴　　「承知致しました」
　　　　「アロマテラピーサロンがございますので」
　　　　「お二人　ご案内致します」
瑠璃子　「気が利くのね　うふふ　よろしくね」
優貴　　「はい」

　優貴は本来は直ぐに場を去らねばならなかったが、事情を知りたかったのと佳子のことが心配だったのだ。
　しかし瑠璃子には体良く追い払われてしまった。
　ただ、いつもなら会話に入ってくるだろう佳子が元気ないのが心配であった。

「佳子様は　焦っておられるのだ」
「瑠璃子様が　覚醒されたとなれば」
「全ての流れが変わるであろう」
「ただ　なにゆえ　今　神戸で　覚醒されたが問題だ」
「それが佳子様を動揺させている根源であろう」
「となると　やはり郁美様かな・・・・・」


　姉妹の会話は終始姉主導のペースで展開して、妹は圧倒され続けた。
　佳子は経験の積み重ねで努力していろいろと身に付けてきたが、姉は一晩で生まれ変わってあっという間に追い抜いていったのだ。
　既に、あの郁美に近接するレベルの色香と亜紀に近接するレベルの人を圧するオーラを身に付けて、神々しいばかりだ。
　佳子だけでなく、あの５大老達ですら間違いなく気後れするだろう。
　キャリアウーマンで、ややもすれば男ぽい所作が目立った瑠璃子はもはや存在しないのだ。
　佳子ですら感心するほどの女力全開の物腰だ。

瑠璃子　「そうそう」
　　　　「郁美さん　ご懐妊されたみたいよ」
　　　　「今朝　判明したの」
佳子　　「えっえぇぇぇぇぇホントですかぁ」
瑠璃子　「もちろんですとも」
佳子　　「それは一大事ですわ」
　　　　「お爺さまにお伝えしなくては」
瑠璃子　「泣くかな　うふふ」
佳子　　「お姉様　面白がってますね」
瑠璃子　「だって」
　　　　「そもそも若い孫のような人妻を狙うなんて」
　　　　「それこそ　笑っちゃうわ」
佳子　　「そう言えば」
　　　　「お爺さまには会って行かれるの？」
瑠璃子　「うぅぅぅん　迷ってるの」
佳子　　「そうなんだ　海外のお仕事終わり？」
瑠璃子　「まだ　半年あるんだけど」
　　　　「どうも　その余裕がなさそう」
　　　　「まあ事情訊かないと　駄目よね」
　　　　「帰って　会って」
　　　　「それで今後決めるしかないようね」

佳子　　「そう　その方が良いと思う」
　　　　「きっと　驚くよ」
瑠璃子　「そうなんだ　なんか楽しみだわ」


「ふうぅぅぅぅぅ　参っちゃったな。。。。。。。」

　佳子は自ら置かれた立場を思い遣って、天井の照明を見上げて考え込んだ。
　彼女だって九条家の女として意地もあるし、誇りもある。
　しかし実姉の覚醒ぶりに圧倒されてしまったのは事実であった。
　その上、瑠璃子は郁美と亜紀の２人と完全に協調関係を築いているのも察しただけに、難しい立ち位置だと感じたのだ。
　その時に視線を感じる。

「優貴　そう　そうよ　わたしには　優貴がいる」
「わたしも　急がないと」
「優貴　わたしの居場所になって欲しいの」

　女打算と共に、男の運命がねじ曲げられてしまうのは世の常である。



　亀梨弥生と村西薫は、優貴が手配してくれたアロマテラピーサロンを満喫していた。

　そして昨日、お互いに起きた夢のような経験を反芻していた。
　未だ余韻が肢体の芯に残っており、自分達が今まで実に底の浅いセックスしか知らなかったことを思い知らされたのだった。

　そして今までは余所事、関わりの無い世界だと思っていた「会」の存在意義を、今頃になって理解したのだ。

　思い出す、考えるだけで、再び女の部分が熱くなり、濡れてきてしまうほどに情熱的な経験であった。

「知ってしまった　もう　以前のわたしに戻れない」
「もう引き返せない」
「どうして　どうして」
「お母さん 教えてくれなかったの？」


瑠璃子　「弥生さん　薫さん　お待たせしました」
　　　　「うふふぅ　気持ちよさそうねぇ」
　　　　「これからの生き方　見定めました」
　　　　「あら　２人とも」
　　　　「あはぁっ　そう　そうなんだ」
　　　　「うふっ　わたしも同じよ」
薫　　　「うふふ」
瑠璃子　「ドイツの件　半年で片付けるわよ」
薫　　　「はい　出来ます　やってみせます」
瑠璃子　「弥生さん　そういうことだから」
　　　　「今しばらく留守をお願い致します」
弥生　　「お任せ下さい」
瑠璃子　「それにしても　弥生さん　本当に大丈夫？」
　　　　「顔色良くないよ」
弥生　　「大丈夫です　ちょっと凄すぎて」
瑠璃子　「なるほど　うふっ　それならいいんだけど」
薫　　　「・・・・・・・・・・・・・」

瑠璃子　「では　善は急げ！！」
薫　　　「かしこまりました」

　瑠璃子達は、駆け足で帰って行った。
　瑠璃子の意識は既に自分達が進む無限の可能性に向いていたのだった。

「わくわくするわ」
「郁美さん　亜紀さん　待っていてね」

　ただこの時点で弥生は深刻な状態に陥っており、瑠璃子はまだその事態に気がついていなかった。




　丁度、その頃、３人の男達が神戸空港に降りたった。
　彼らは九条佳子を追いかける五摂家の子弟達であり、「会」関東本部を席巻している「王妃の三銃士」とは彼らのことである。
　佳子が「美あんず」メンバーを探る目的で、急遽招集したのだ。

　鷹司 翔
　２５歳　身長１８１㎝　Ｏ型　俳優、玉○ 宏似。

　佳子配下、王妃三銃士の筆頭であり、九条家に匹敵する名家の次世代後継者。
　佳子との関係を手かがりに、九条家が主流になっている状勢を覆そうと企んでいるポセイドンの孫。

　西園寺勇人
　２３歳　身長１８０㎝　ＡＢ型　俳優、松○翔太似。

　佳子配下、王妃三銃士の次男坊。
　名家出身であるが権力争いには無縁な三男坊であり、快楽主義者で純粋に佳子が好きで追い回している。

　嵯峨悠真
　２０歳　身長１８３㎝　Ａ型　俳優、岡○将生似。

　佳子配下、王妃三銃士の末弟。
　名家出身である嵯峨家の次世代後継者である。


勇人　「たくぅ　神戸って　僻地じゃん」
　　　「めんどくさいなぁ」
翔　　「なら　帰れよ　なんで来たんだよ」
勇人　「俺は　佳子ちゃんが居るところなら」
　　　「何処にでも行くのさ」
翔　　「なら　僻地とか言うなよ」
　　　「それこそ　めんどくさい」
真　　「早く　佳子ちゃんに逢いたいなぁ」
翔　　「おまえらは　先週逢ったんだろ」
　　　「俺は　半月ぶりだぞ　譲れ」
勇人　「そんなのは　関係無い」
　　　「それは自分の都合だろ」
真　　「選ぶのは　佳子ちゃん」
　　　「僕らの意志なんて関係無い」
翔　　「まあなぁ」
勇人　「そう言えば　滞在先　どこだっけ？」
翔　　「おいおい　たまには人の話　真面目に聞け」
　　　「神戸メリ○ンパーク○リエンタルホテル」
真　　「はい　もうちょっと出逢えるぅ」
　　　「わくわくするな」
翔　　「そう言えば　綾小路のヤツが」
　　　「最近　佳子ちゃんのお気に入りという話」
　　　「知っているか？」
勇人　「ああ　３０歳の親父だろ」
　　　「まさか　それは無いだろ」
真　　「信じたくないです」
翔　　「まあ　養子だという話だしな　無いか（笑）」
真　　「ただ　ゼウス様のお気に入りって話ですから」
　　　「怖いですね　強敵かも」
勇人　「先月だって」
　　　「現総理大臣の長男とお見合い話が」
　　　「あったばかりだから」
翔　　「まあ　佳子ちゃんは」
　　　「今　日本で一番狙われている」
　　　「お嬢様だからなぁ」
真　　「ライバル多し　油断できないし」
翔　　「だな　俺たち以外に負けてたまるか！！」
　　　「みんな気を引き締めるぞ！！」

　彼ら、それぞれが「会」でも有名人であり、「王妃の三銃士」と呼ばれ、若くして「会」デビューした佳子の取り巻きであった。
　彼らの存在があるからこそ、海千山千の男達も女神のような佳子に手を伸ばしたいのに手を出せない状況が形成されていたのだ。
　男達から「佳子親衛隊」と疎まれる存在でもあったが鷹司 翔というポセイドンの孫がリーダー格であって、誰もが正面切って逆らえない状態であった。
　３人とも佳子とは肉体関係があって、その魅力にすっかり魅了されていて正式な夫となるべく競い合うライバルでもあった。
　しかし、まだまだ若く未熟な佳子の良いところも悪いところも理解して、その上で彼女を守って支持していく点においては１枚岩であった。
　だからこそ佳子は今回の任務を遂行するにあたって、迷うことも無く彼らに招集をかけたのだった。


　その３人は、いきなり不快になる。
　彼にすれば伏兵と感じる綾小路優貴が、佳子に同行していたからだ。
　彼らの目からも佳子が、彼に惹かれている有り様がヒシヒシと感じるから尚更だ。
　でも優貴には対抗意識は芽生えても、佳子の思い、行動には一切不満を感じるような考え方はしなかった。

　彼らにとって佳子は女神であり、彼女がライバルに心寄せることを責める考えは一切無く、ライバルに後れを取ってしまった自分たち自身の不甲斐なさにあると考えるからだ。
　だからこそ、彼らにとっては佳子からの依頼に対する姿勢は真剣そのものであった。

佳子　「優貴さん　ありがとう　ここはもう良いわ」
優貴　「はい　それでは　なにかご用がありましたら」
　　　「いつでもお呼び下さい」
佳子　「うふふ」
　　　「それでは　お３人さん」
　　　「わざわざ」
　　　「こんなところまで来て下さってありがとう」
翔　　「とんでもない　我々は　佳子ちゃんの為なら」
　　　「地の果てでも伺いますよ」
悠真　「です　気にしないで下さい」
勇人　「お顔拝見した途端に　癒されました」
　　　「ほんとです」
佳子　「もう口が上手いんだから　まあ　いいか」
　　　「それでは　遠くに来て貰ったから」
　　　「手っ取り早く　本題話すね」

　佳子は、極秘事項を除いて今回の意図について彼らに包み隠さず語った。
　そして姉、瑠璃子が覚醒を果たして、半年後は帰ってくること。
　それによって佳子が置かれる立場についても、うっすら目に涙を浮かべて語ったのだ。

　彼らは佳子が不利な立場に置かれているし、手に余る調査任務を受けて手助けを必要としていることを理解した。
　佳子の一大事は、彼らにとっては最優先事項であり、迷うこと無く彼らは協力を申し出る流れとなった。
　その様子を入口前で待機していた優貴は、唖然としていた。

「佳子様は　男が彼女の涙の前には」
「無力であることを知り尽くしておられる」
「正直　俺でも　逆らえないであろう」
「彼らは　身も心も　佳子様の手の内にあるんだ」



　郁美と亜紀は、佳子が「王妃の三銃士」を招集したという情報に不安を覚えずにいられなかった。
　そもそも意図が今ひとつ予測つかなかったからだ。
　亜紀は自ら動こうとする郁美を制して、「美あんず」メンバーを郁美の病室に再び招集して全員の注意喚起を行った。

　郁美は過保護にもあの日から病院住まいを余儀なくさせられていた。
　健二達が絶対お腹の子を守るんだと騒ぐものだから、やむなく安定期になるまで彼らの言葉に従うことにしたのだ。
　もちろん健二も同行して病院住まいだ。
　ただ病室と言っても、一流ホテルのスイートルーム並みの調度品が整った快適空間であって、なに不自由ない生活が送れる。

　不思議と郁美の妊娠を契機として、「美あんず」はグループとして結束力が高まった雰囲気があった。
　自然とメンバーは郁美の病室に集まる傾向があって、毎日、郁美の周囲は賑やかであった。
　だから集まると、直ぐに議題について語られる。

　亜紀は、特に環を中心とした若手の子達に、より慎重な行動をする様に伝えたのだ。
　そして対応の中心には、敬子を抜擢した。
　これには郁美、紗弥、里奈らが懸念を表明したが、悠希と麻輝らが支持した。

郁美　　「まだ　早くない？　彼らは・・・・・」
敬子　　「大丈夫です　信じて下さい」
郁美　　「もちろん信じてるよ　でも」
紗弥　　「真也に聞いたけど」
　　　　「彼らは関東本部の女性陣ことごとく」
　　　　「口説きまくってるらしいよ」
　　　　「やっぱり　先輩女子を落とすって」
　　　　「警戒した方が」
悠希　　「うふふ　それだけ敬子が大切って」
　　　　「思ってる証拠ね」
　　　　「でも　それは」
　　　　「敬ちゃんには　もう過保護だわ」
佳菜子　「わたしも全力でサポートします」
麻輝　　「敬子さんは　もう立派なオンナですわ」
　　　　「間違いなく　彼らに負けたりしません」
亜紀　　「わたしも　そう思ったの」
　　　　「ここ１年　わたし見てきました」
　　　　「そして全ての懸念を敬ちゃんは」
　　　　「吹き飛ばしてきました」
敬子　　「亜紀姉さん　わたし」
郁美　　「そうかも　わたし　ごめんね」
　　　　「何処かで敬ちゃんのこと」
　　　　「わたしだけのモノって」
里奈　　「参ったなぁ　確かに亜紀の言う通りね」
　　　　「わたし達　敬ちゃんのことになると」
　　　　「冷静でなくなる」
紗弥　　「だって　敬ちゃんは」
　　　　「わたし達の中心だもんね」
敬子　　「わたしなんて」
悠希　　「亜紀と郁美が　頭としたら」
　　　　「敬ちゃんは背骨だもんね」
麻輝　　「そう　若い子達も」
　　　　「他のメンバーを惹きつける軸には」
　　　　「敬ちゃんは欠かせない存在よ」
環　　　「兄だって　敬子姉さんのことになると」
郁美　　「そうね　うふふ　そうでした」
　　　　「ごめんね　敬ちゃん　いつもいつも」
敬子　　「良いんです　いつも感謝してます」
郁美　　「分かりました　亜紀の判断通り」
敬子　　「ありがとう　わたし頑張る！！」
悠希　　「もう　敬ちゃんたら」
　　　　「そういう事言うから　郁美が心配するのよ」
敬子　　「へへへ　気をつけます」
亜紀　　「あとは　彼らが」
　　　　「なにを探ろうとしているかが」
　　　　「気になるところね」
紗弥　　「うん　単に　わたし達が目当てとは」
　　　　「思えないわ」
郁美　　「彼らの背後には　佳子様がいるの」
亜紀　　「そう　先日は」
　　　　「彼女は　なにかを知りたがっていた」
敬子　　「わたし　郁美姉さんのことだと思う」
郁美　　「えっ？　わたし？」
　　　　「なにを今更　わたしのこと　なんて・・・」
亜紀　　「分からないけど　確かに」
　　　　「やたらと郁美のことを　見てた気がする」
郁美　　「そうかな　わたしは亜紀のこと」
　　　　「見てた気がするけど」
悠希　　「そう言えば」
　　　　「武史くんと瑠璃子様会わせないで」
　　　　「とか変なこと言ってたよね」
環　　　「えっ武史　関係あるんですか？」
亜紀　　「分からないのよ　あれって唐突だったわ」
郁美　　「だから　亜紀のことだと思ったのだけど」
佳菜子　「でも　それで」
　　　　「なんで　王妃の三銃士なんでしょう？」
亜紀　　「そうよ　少なくとも」
　　　　「わたし達の肢体が目当てでないことは」
　　　　「間違いないけど」
一同　　「うふふ」
涼子　　「麻輝姉さん達は」
　　　　「彼らとは会ったことあるんでしょう？」
麻輝　　「あるわよ　何度か口説かれたけど」
美帆　　「あらっ　そう」
　　　　「わたしには彼ら近寄ってこなかったわ」
麻輝　　「あはぁはぁ」
　　　　「彼らは　ぶたれるの嫌そうな人達だもん」
美帆　　「ということは　大したことないわ」
麻里　　「でっ　麻輝姉様　どうされたんですか？」
麻輝　　「イイ男だし」
　　　　「試食ありかなとは思ったんだけど」
　　　　「ポセイドン様が焼き餅妬いて」
　　　　「邪魔されて　チャンスがなかったの」
郁美　　「そうなんだ」
　　　　「あのポセイドンちゃんが　焼き餅」
麻輝　　「郁美様に　かかったら」
　　　　「あのポセイドン様も　ちゃんとは」
美帆　　「うふふ」
　　　　「まあ　うざかったり」
　　　　「しつこかったら　ぶっ叩くに限る！！」
環　　　「えっえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！」
美帆　　「間違いなく　あの３人は」
　　　　「女に手を上げない　出来ないタイプよ」
　　　　「そもそも　あの佳子様が許すと思う？」
麻輝　　「確かに」
　　　　「佳子様って　やっぱり九条家のお嬢様よ」
　　　　「彼女より上位の男なんて」
　　　　「この日本には　数えるほどしかいないの」
美帆　　「そう　ほとんどの男は彼女にすれば」
　　　　「みんな下僕なの」
涼子　　「下僕か・・・・・」
敬子　　「なんか　わたし」
　　　　「閃いちゃいました　うふふ」
亜紀　　「あらあら　悪戯っ子みたいな顔しちゃって」
郁美　　「うふふ　まあ　お任せします」
　　　　「敬ちゃんが思う様にしてごらん」
敬子　　「はぁい～！！」
　　　　「皆様　あの例のグッズ」
　　　　「携帯よろしくお願いします」
美帆　　「うんうん　それイイよ」
里奈　　「やっぱり　それいっちゃうんだぁ」
環　　　「わたし　新しいの　欲しいぃ」
麻里　　「わたしも」
涼子　　「ねぇ　新しいの　オーダーして良い？」
亜紀　　「いいわよ」
　　　　「凌が　いくらでも買ってくれるわよ」
一同　　「わあぁぁぁい♪♪」

　意気揚々と現れた「王妃の三銃士」を、「美あんず」は返り討ちにするべく連日連夜謀略討議が行われたのは言うまでもない。

　げに恐ろしきは、女の策謀である。


つづく
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
羅衣さんの作品集→羅衣さんの他作品
2020年11月3日掲載
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