ずっと愛してます３
羅衣 作
第43話　王妃の三銃士２


　鷹司 翔は、佳子と家柄的に釣り合うのは自分自身しか有りないと確信していた。
　もともと御曹司であり、抜群の容姿を兼ね備えた彼は女性にモテまくりの人生を送ってきた。
　その気になれば、どんな女でも振り向かせてきたし、その自信もあった。

　そんな彼の神通力は、佳子には一切通じず翻弄されまくりであった。
　出会った頃の佳子は女子高校生であったが、当時大学生だった彼は可憐な容姿にたちまち心を奪われた。
　名門中の名門お嬢様である佳子は、翔にとって簡単に手に入れられない初めての高嶺の女性であった。
　本気でアプローチしたが、彼女だけは簡単に振り向いてくれなかった。

　そして気がついた。
　彼女にアプローチする男は星の数ほどいて、選ぶ主導権は彼女にあるという事実である。
　抜群の可憐な容姿とは不釣り合いな、ふと漂う妖艶な雰囲気に、知れば知るほど惹かれていった。
　彼は佳子より４歳ほど年上なのだが全てにおいて彼女が上手であり、実家同士の対抗意識に起因する打算も次第に見失いつつあった。
　次第に彼女を手に入れることがいつしか目的になりつつあったのだ。
　そんな中で「会」への参入を意図した佳子の誘惑に負けて肉体関係を持ったのだが、もう骨抜きにされてしまう。

　彼女はベットの中では、一応経験豊富であった彼ですら圧倒する妖艶な天使そのものであった。
　それは正に夢のような経験であって、以来、彼女とのひとときを得るために、彼女に言われるまま活躍してきたのだ。
　そして気がつけば、同様に佳子の下僕と化した西園寺勇人、嵯峨悠真の２人と共に「会」関東本部の有名人となっていた。
　ただ彼らとしては幸運だったのは、女殺しの天才児といわれた三宅真也が不在となったことも大きい。
　結果的に若手の色事師として注目を集めやすくなった側面があったのだ。


　名門家出身の西園寺勇人は、三男ということでお気楽な快楽主義者であった。
　その為、結婚など面倒な野心など全く無くて、純粋に佳子の支持者であったので、一番仲の良い遊び友達の１人であった。
　彼は、佳子の最大の理解者であって、なにがあっても打算無く彼女を常にフォローしてくれる存在であった。

　友達関係から男女関係になってしまったが、それでも適度な距離感を保ちつづるスタイルが結果的に佳子の心を一番掴んでいたのだ。
　綾小路優貴が現れなければ、一番ゴール近いのは彼であったろう。
　ただ本当に、お気楽で快楽主義者なので、女性には手が早くて浮気者である側面があったゆえに、佳子を射止め損なっていると気がついていない男でもあった。
　そんな彼が、佳子の誘いに乗って「会」に関与するのは自然な流れであった。


　嵯峨悠真は、佳子にとって中学生時代からの１年後輩であった。
　彼は当時から美少女だった佳子の大ファンであり、常に追っかけの支持者であった。
　そしてひょんなことから佳子初体験の相手を務める幸運を掴んで、現在に至る。

　彼は、名家出身である嵯峨家の次世代後継者であったことから、実家からも佳子との婚儀を期待される状況であり、ライバルとなった「王妃の三銃士」２人の兄貴分への対抗意識は凄まじいものがあった。
　結果的に、一番積極的に「王妃の三銃士」として活躍している存在でもあった。



　「王妃の三銃士」は、良くも悪くも、男尊女卑傾向が強い関東本部体質の代表格であった。
　だから女王タイプの浅山美帆が大の苦手であった。
　彼らにとっての女王は佳子ただ１人であり、他は必要無かったのだ。
　関東本部をハリケーンのように席巻した美帆が、師事する岩永健二に付き従って、新設される関西支部に移籍してしまうと彼らの行動は自由になった。
　だから彼らは関西支部に首を突っ込みたくないが本心であった。

　今では関西支部の有力幹部スタッフである美帆は、若年ながら最高級性調教師に登り詰めており、彼らにとっては最大の脅威であった。
　ゆえに今回、意識的に彼女に近づくことを避けてしまうのは、致し方ない側面があった。

　佳子のお願いとあれば協力せざるを得ないし、今回の場合はそれほど時間があるわけでも無い。
　彼らは普段通りのやり方ではなく、ありきたりな接触方法で「美あんず」メンバーに近づくことにした。
　主要人物である三井悠希が倶楽部ホステスであることをきっかけにしようと考えたのだ。

　倶楽部ならば面倒なアプローチ策など必要無いし、男尊女卑志向そのままに水商売女性を侮る考えがあったのは否定しようがない。
　彼らは、「会」の場やデートで女性と飲食共にして口説く経験は豊富であったが、盛り場で水商売女性と遊興する経験は乏しかったのだ。
　そもそも彼らには、そのような必要性や機会は皆無であり、彼らの周りにはいつも多くの女性達に囲まれた人生だった。
　だからこそ倶楽部という場に興味津々であった。

　悠希のいる倶楽部を訪れた「王妃の三銃士」は、まずは店があるビルの装飾の華やかに驚く。
　成金趣味だと言えばそうなのかもしれないが、「会」が好んで施す装飾に近いものがあることは正直否定出来ない。
　彼らもキャバクラ程度の経験はあって、その延長線上レベルで考えていたが、間違いであったことを気づかさせる。

　ビル入り口では、どこかの社長さん風でほろ酔い加減の初老男性が、３名の華やかなドレス姿の女性に付き沿われて帰宅する光景に遭遇するが、そこには下品な笑い声やボディタッチなどは存在しない。
　１人の初老男性と腕を組んだ女性が名残惜しげに甘い声でお見送りの言葉を投げかけるだけだ。
　初老男性は彼女がお気に入りなのだろう、優しく穏やかな目線で女性を見つめて言葉を交わしている。

　翔の脳裏に、「大人の疑似恋愛ゲーム」と言う言葉が浮かんだ。
　初老男性は、彼女達との別れを本当に名残惜しそうにして立ち去っていく。
　彼女達は、初老男性が雑踏で姿が見えなくなるまで、その場で見送る。
　自分達は果たして女性にこのように見送って貰ったことがあるのだろうかと、ふと思う。
　恐らく母親だけではないだろうかと思い、思わず苦笑い浮かべていた。

　店の扉を開くと、まずは黒服の男性に出迎えられて案内される。
　来店の経緯と予約などを訪ねられて、自分達は倶楽部の遊び方を知らなかったことに気づく。
　それでも地元企業の紹介だけは根まわししていて、悠希の源氏名「由紀」だけは記憶していたので、黒服に伝える。
　いつもなら前に前に出てくる勇人と悠真は、押し黙ったまま後ろに控えたままだ。

「たく　こういう時だけ年長者扱い　使えない」

　黒服の男性は、「由紀」は人気者ゆえに予約無いと十分なご対応できないがそれでも構わないかと、申し訳なそうに許しを請うてくる。
　こちらが常識知らずであったのにと思うが、まあ今日は偵察で良いかと承知する。
　そもそも初めての来店だし、彼らが知っているようなキャバクラなどは違った空間だと感じるから、丁寧な対応に感銘を受ける。
　全員店内に案内されながらキョロキョロしてしまう。
　そして気がつく。
　自分達は、場に不似合いなほど若輩なのだ。
　これはキャバクラなどでは感じることがない違和感であった。

　彼らを、彼らと同年代のビックリするほど綺麗な美女が出迎える。
　上品でセクシーなピンクベージュ色で、首元がドレープ・オフショルダー風アレンジされたシフォン・タイト・ミニワンピースドレスが、肢体の美しさを引き立てていた。
　佳子も美しいが、彼女は全く違った美しさに彼らは驚く。
　キャバクラでは決して出会えない洗練された大人の物腰で、彼らを優しく席に案内してくれる。

佳菜子　「いらっしゃいませ」
　　　　「本日は　おいで頂きまして」
　　　　「ありがとうございます」
　　　　「初めてで　いらっしゃいますね」
　　　　「遅くなりましたが　わたくし」
　　　　「佳奈と申します　お見知りおきを」
　　　　「ご指名の　由紀　間もなく参りますので」
　　　　「今しばらくお待ち下さいませ」
翔　　　「いや～　こういうお店　初めてなんです」
　　　　「いろいろ　教えて下さい」
佳菜子　「まあ　そうですの　うふふ」
　　　　「失礼ですが」
　　　　「皆様のお名前　お訊きして宜しいですか？」
翔　　　「おっと　こちらこそ失礼　鷹司です」
勇人　　「西園寺です」
悠真　　「嵯峨です」
佳菜子　「皆さん」
　　　　「なんとも格式ありそうな雰囲気です」
勇人　　「はあ　まあ一応古い家系ではあります」
佳菜子　「そうですかぁ　素敵ですね」
　　　　「皆さん　東京から」
　　　　「いらっしゃったのですか？」
　　　　「訊いちゃって　失礼でしたかしら」
悠真　　「大丈夫ですよ」
　　　　「そうです　東京から来ました　」
　　　　「分かりますか？」
佳菜子　「ですねぇ」
　　　　「やっぱりイントネーションが」
　　　　「ハッキリされているから　うふふ」
　　　　「わたし」
　　　　「秋田の田舎者ですから　憧れますぅ」
勇人　　「おお～　秋田美女ってヤツですねぇ」
佳菜子　「まあ　お世辞　お上手ですね」
悠真　　「お世辞じゃないです　見とれました」
　　　　「あはぁはぁ」
佳菜子　「うふふ　申し訳ありません」
　　　　「なんか手際が悪くて」

　黒服達が、次々とアイスピッチャーなど運んでくる。

佳菜子　「今少し　由紀　お待ち下さい」
　　　　「なにか　お飲み物ご用意致しましょうか？」
翔　　　「銘柄はどういうのがあるのでしょうか？」
　　　　「やはりボトル入れた方が」
　　　　「良いのでしょうか？」
佳菜子　「大抵のものはございますし」
　　　　「カクテルなどもご用意出来ます」
　　　　「再度いらっしゃるのであれば」
　　　　「ボトル入れて頂けた方が」
　　　　「リーズナブルではありますけど」
翔　　　「では　今日は記念日なので」
　　　　「値段は気にしないので」
　　　　「佳奈さんオススメのヤツ」
　　　　「１本入れて下さい」
佳菜子　「記念日って？」
翔　　　「僕たちの出会いですよ」
佳菜子　「まあ　うふふ」
　　　　「じゃあ　遠慮無く」
　　　　「オススメ入れちゃいますよ」
　　　　「ウイスキーで　宜しいでしょうか？」
翔　　　「はい　それでオススメを」
佳菜子　「わたし」
　　　　「バランタイン３０年もの大好きなんです」
　　　　「それでよろしいでしょうか？」
翔　　　「おお　バランタイン３０年ですか」
　　　　「渋いですね　お願いします」
佳菜子　「ありがとうございますぅ」

　黒服が更に２人の女性を連れて来る。
　場は一気に華やかになり、盛り上がる。
　男という生き物は、マンツーマンで女性が相手してくれると自然とテンションが上がってしまう業を持っている。
　彼女達は、よく統率されて、女性らしい細やかな気配りで彼らをもてなす。
　「王妃の三銃士」は、互いにアイコンタクトでこの状況を語り合う。

「違う　俺たちが知っているような酒場じゃない」
「ここは　親父達が集う大人社交場なのだ」
「周囲から聞こえてくる会話」
「株がどうのこうの　売り上げがどうのこうの」
「経済的な語らい　彼女達は」
「躊躇いもなく男達の話題につき合ってる」

悠希　　「皆様　お待たせ致しました」
　　　　「ご指名頂きました　由紀ですぅ」
佳菜子　「こちらから」
　　　　「鷹司様　そして　西園寺様　嵯峨様です」
悠希　　「初めまして　ありがとう　佳奈ちゃん」
佳菜子　「はい」
　　　　「それでは　失礼致します」
翔　　　「あれれ　佳奈さん行っちゃうの？」
佳菜子　「由紀さん　来られましたから」
勇人　　「あっそうだ　佳奈さんを僕の指名というか」
　　　　「それでどうですか？」
佳菜子　「ありがとうございます」
　　　　「わたくしを担当指名して頂けるのですね」
勇人　　「はい」
悠希　　「それじゃ　誉ちゃん　代わりに」
悠真　　「待ってぇ　せっかくだから」
　　　　「誉ちゃんも　実香ちゃんも　指名します」
誉・実香　「うふっ　ありがとうございます」
悠希　　「まあ　宜しいのですか？」
　　　　「申し訳ないのですが」
　　　　「お客様お１人に　担当指名１人が」
　　　　「倶楽部のルールなのです」
　　　　「僭越ながら　ご説明致しますと」
　　　　「倶楽部では　永久担当制と申しまして」
　　　　「基本１度ご決め頂きますと」
　　　　「よほどのことがないと」
　　　　「変更ご遠慮頂いております」
翔　　　「えっ　そうなのですか　すいません」
悠希　　「じっくりお考えになられて」
　　　　「お決めになっても　いいのですよ」
　　　　「なので今回は無理に」
　　　　「皆様お決めにならなくてもよろしいかと」
翔　　　「そっそうなんだ」
　　　　「すいません　知識不足で」
悠希　　「何事にも初めてはございます」
　　　　「なので　西園寺様も」
　　　　「私のことはお気になさらず」
　　　　「じっくりお考え頂いて」
　　　　「お決めになって下さいませ」
　　　　「うふふ　でも良い子が当店多いので」
　　　　「決めるの大変かも　うふふ」
悠真　　「誉ちゃん　実香ちゃん　ごめんなさい」
　　　　「ちょっと　待ってね」
誉・実香　「お気になさらず」
悠希　　「なんでも聞いて下さいませ」
勇人　　「俺は　加奈ちゃん確定で」
佳菜子　「ありがとうございます」
　　　　「光栄です」
　　　　「ご期待に添えるように尽くしますわ」
勇人　　「うほっ　よろしくお願い致します」

悠真　　「あぁぁぁ　早技　遅れとったw」
悠希　　「うふふ」
翔　　　「ふむ　こういうことなんだ　納得した」
悠希　　「確かにご友人同士で」
　　　　「指名被りは気まずいですよね」
悠真　　「はい　ちょっと後悔」
一同　　　　（笑）
翔　　　「あっ　確認するの忘れてた」
　　　　「お支払いは　このカードで大丈夫ですか」
悠希　　「はい」
翔　　　「いや～　今日現金持ち合わせ少ないので」
悠希　　「とりあえず　おしまい下さいませ」
勇人　　「記念に　皆さんに」
　　　　「お好きなカクテルプレゼントさせて下さい」
佳菜子　「まあ　うふふ」

　３人共、強がってみせたものの、彼らが知らなかった女の魅力に飲まれつつあった。
　磨き上げた滑らかで白い肌をした腕、胸元、うなじ、そしてキレイに流してみせる美脚に圧倒されていた。
　会話も彼らの話題に躊躇無く合わせてくる彼女達の頭の回転の速さに舌を巻く。
　周囲で繰り広げられる会話もレベルの高いものばかりであるから、彼らも下世話なトークというわけにいかない。

　自然と仕事上の悩みや名家ならでは家族関係の悩みなど、難しい方向にいかざるを得ない。
　そんな第三者では困るような会話でも、彼女達は見事にそつない受け答えもしてくれる。
　選択のアドバイスを求めても曖昧な答えせず、キチンと選択した上で、そう選ぶ理由を明解な形で説明してくれるのだ。
　彼女達は実に良く勉強しているし、知見が広いのだ。

　自分達の親父達が、銀座という酒場に通い詰める理由を初めて理解した「王妃の三銃士」であった。
　彼らの「水商売」という言葉に括られた色眼鏡と偏見は、脆くも崩壊していった。
　彼女達は自らの才覚と精進、努力により自らを磨き上げて、High Societyのステータスまで這い上がろうとしているのだ。

　思えば名門といわれる家系でも純血を守ったことなど無く、逆に衰退する家系を立ち直らせて再興させる原動力になった伝説の女性達は、そのほとんどは外部から、そう彼女達のような才覚に恵まれた女性達なのだ。
　ふとゼウスの言葉が彼らの脳裏に蘇る。

「女には　家柄は関係無い　大事なのは才覚と資質だ」
「そち達も　下らないものに囚われず」
「よき女を娶るのじゃ」
「それが　家をもり立てるコツじゃ」
「まあ　今のそち達じゃ　分かるまいか」


　「王妃の三銃士」は偵察のつもりであったが、情報共有されている悠希と佳菜子には正体がバレていた。
　ただ「美あんず」の大方針が協調融和が基本なので、敵対意識は全く無くて彼らがどのようにアプローチしてくるのか楽しみにしていたのだ。
　彼女達から見ても彼らは若くて有望なイケメン男子であって、ご馳走にしか見えなかった。

　そもそも環達年少組に手を出させることだけは断固阻止だけが共通認識であって、彼らが悠希達に接近してきたことは望ましい展開であった。
　悠希と佳菜子にしても、名家の御曹司という最上級男子に興味津々であった。
　既に人妻となった悠希でさえ、最高の獲物、女が成り上がる最大チャンスに水商売に生きてきた血が騒ぐほどであった。

　基本的に、水商売は楽な商売では無いし、やっぱり社会的にいえば底辺扱いされるものに過ぎない。
　もちろん彼女達も誇りとプライドを持って生きているが、そこは女だ。
　女を武器に、High Societyに這い上がろうという野心が無くては生きていけない戦場でもあるのだ。

　「王妃の三銃士」の考え方や素性は、些細なやり取りで悠希と佳菜子の２人によって身ぐるみ剥がれていく。
　なにせ星の数ほどの男達が繰り広げる虚栄や嘘を見破り、彼らをそつなく持てなしてきた彼女達にとって彼らは若すぎた。
　些細な目の動き、手の動き、足の動きなど所作で、男の思考パターン知り尽くしている彼女達の敵ではない。
　容姿は抜群で、家柄も申し分無い彼らであるが、彼女達は徹という究極の「天性のスケコマシ」を知ってるだけに余裕があった。

　「美あんず」メンバーを１人残らず食べ尽くした男性は、徹ただ１人であり、彼女達は誰１人彼の誘いを拒めない存在なのだ。
　身近に彼の存在があるだけに、「美あんず」メンバーは、あの５大老ですら手玉に取られてしまう男女間の駆け引き上手であった。
　だから５大老は我慢しきれず、半ば男の力で飛び掛かってしまう有り様であった。

　サポートについた２人の若手ホステス、誉と実香にしても、悠希から可愛がられている将来のエース候補であって、先輩達を邪魔しないように場を盛り上げるのに怠りない。
　三宮界隈で超有名で有数に大きい、この倶楽部にあって、売り上げの７割以上を２人で占める悠希と佳菜子は伝説のホステスなのだ。
　もともと悠希は北新地で超有名なホステスで、諸事情で移ってきた経緯があって、当時からの顧客の多くがついてきているのだ。
　本来であれば銀座へと呼び声高い彼女だが、敢えて神戸に留まることで、更に高い支持を集めている背景があった。

　そんなレベルの高い環境で働く、彼女達の成長は著しい。
　彼女達の最大の武器は、まだ素人ぽっさを漂わせる若さだ。
　計算尽くされた隙、胸元のチラリズム、両脚の隙間、腋チラで、男達の劣情を刺激し、単純な男達を翻弄していく。
　もともと女好きで、若く性欲が強い「王妃の三銃士」はひとたまりも無い。

　恐ろしいのは、本当のプロである彼女達は太い顧客となっても、彼女達の方が本気で好きにならない限り肢体を許してくれないという現実だ。
　そう、これが「大人の疑似恋愛ゲーム」の実態なのだが、まだ若い「王妃の三銃士」には分からない世界であったろう。

　この日、３人共全員、彼女達を抱けて楽しい一晩が送れると勘違いしていたのだ。
　気がつけば、しこたま飲まされて、ほろ酔い加減で楽しく店から送り出されていたのだった。

　結果的に「美あんず」を調べるどころか、逆にいろいろ質問されて、彼らサイドの情報をなにもかも洗いざらい白状させられただけであった。

　しかし翌日も、彼らは倶楽部を訪れることになる。

　げに恐ろしや、女の魅力。


つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2020年11月8日掲載
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