ずっと愛してます３


ずっと愛してます３羅衣作
第51話　彩佳から杏へ　達木彩佳は、悠希の以前からの誘い受けて週に２日程度アルバイトホステスとして働き始めた。　かなり以前から話は有ったのだが、色々途中有って延び延びになっていた話がようやく動き出したのだ。　有力な企業人である達木祐司の後妻であって収入的には全く働く必要は無いのだが、若い彼女は暇を持て余していたし夜の商売にも興味があったから立ち消えにならなかったとも言える。　特に三井悠希の生き方に興味があったことも大きな理由である。　一見大人しい感じの容姿の彼女だが、内面はバリバリのヤンキー気質であり気っぷの良さは男勝りである。　それでいて郁美と仲良しで行動を共にすることで、男性への甘える術は怖いくらいに身に付けた「美あんず」では異質なタイプの女性だ。　なんといっても要領が良く、なんでもそつなくこなす彼女だから、悠希の見立て通りホステスという仕事は天職であったようだ。　アルバイトホステスというものはあくまでも腰掛け的な位置づけであり、ほとんどはヘルプ主体の仕事が普通だ。　彼女も元々はそのつもり、気楽な感覚であったろう。　しかし倶楽部に出るといきなり人気が沸騰した。　実は高級な倶楽部となると派手なキャバ嬢のような女性は好まれないものなのだ。　顧客は社会的に成功した高収入な男達であるから、本当に身近に置きたい妻にしたいと思う女性を好む傾向が強いのだ。　それでいて彼らのビジネス的な話題にも会話を合わせられることも求められる。　彩佳はそういった観点で、「美あんず」メンバーの中で一番目立つ存在であった。　「美あんず」メンバーが周りに居るから目立たないのだが、実はかなりの美女なのだ。　そこに祐司をたちまち魅了したトーク力があるが、その内容が他の女性とひと味違う。　ほとんどが経済的、ビジネスに関する内容で、それは常に勉強していないとついていけないものだった。　それは彼女が杉本玲奈と若い時に出会い、玲奈を目標にヤンキー生活から立ち直って生きてきたことに深く関係している。　現在では祐司の妻でありながらビジネスパートナーとして周囲から認められていること、さらには田原凌の事業のアドバイザーとして紗弥と共に活躍していることが証明していた。　里奈、亜紀、紗弥そして遂に郁美まで妊娠して女のとしての幸せを実現している中で、悠希としては焦る気持ちがある。　倶楽部の主軸となっている自分が抜ける、休みということは計画的にしなければならない立場であった。　諸事情で北新地に居られなくなった彼女を守ってくれたのは、今の倶楽部ママであって恩義は小さいものでは無い。　となると彼女が休んでいる間に支えてくれる者が必要であるが、そんな女性は何処の店でも重要な人材であって、おいそれと見つかるものではない。　「美あんず」メンバーの多くが悠希の事情理解して、アルバイトホステスとして協力してくれるとの話にはなっているが、アルバイトはアルバイトであって今少し対策が必要であった。　後継者としては中村佳菜子が成長して頼もしい限りであるが、彼女はゆくゆくは銀座に送り出す話が進んでいる中であるので、もう１人軸となる存在が欲しいところであった。　現在の店には悠希と佳菜子が飛び抜けすぎて、残念ながら２人の代わりを支えられる女の子は居なかった。　そこで悠希が目をつけたのだが、彩佳だ。　大学で経済を学んだ彼女ですから感心するレベルの話題をこなす彩佳に驚き、一気に惹きつけられた。　実は倶楽部ホステスが登り詰め一流になるには、この手のトークを適切にこなすことが不可欠なのだ。　以来、何度も彼女を誘い、夫である祐司に色々とアピールし続けていた。　実は祐司の反対で、彩佳はアルバイト話には参加できないとの話になっていたのだ。　そもそも娘と同年代の年下再婚若妻に、ホステスという仕事をすることを快諾する方が少ないであろう。　女達からは男の身勝手だと捉えられていたが、まあ新婚だから許そうとのことでその場は話が流れてしまったのだ。　しかし悠希にすれば一番欲しい彼女が不参加では困るが本心であったのだ。　その彼女にいきなりチャンスが訪れる。　「会」関西支部立ち上げの日に起きた彩佳の体調不良である。　佳菜子の協力を得て、達木夫妻の同意を得てしまうのだ。　以来、彩佳は研修がてらに祐司と共に倶楽部で遊びに来ていて、次第にノリノリになっていた。　二十代半ばの若妻は、正直暇を持て余していた。　だから働いていないのに、祐司と凌の事業アドバイザーとして首を突っ込んでいたのだ。　彩佳は、初めてホステスに相応しいドレスアップしたのだが、悠希が見抜いたとおり周囲から羨望の溜息が漏れるほどに美しかった。　初出勤を見ようと訪れていた夫である祐司、凌が絶句して見とれていたことが、その衝撃度を物語っている。　その２人を尻目に、伏兵の山田克也が彼女をさらって独占した。　唖然とする２人は、狼狽える。　あの徹の父親、克也は、気がつくと「美あんず」の女達を次々と攻略している息子を未だ凌ぐ名うてのスケコマシであった。　祐司は夫であるから見守るだけであり、動揺してヤケ酒に入る。　凌は先手を取られて敗北を認識して、悔しがりながら酒をあおる。　悠希と佳菜子は、この展開に内心自分達も克也に簡単に食べられてしまった経験があっただけに、つくづく克也の人力に感服する。　学生時代からずっと女遊びしてきた経験値が飛び抜けていて、年を重ねた分だけ口説きのテクニックが達人の域に達している。　そこに徹の元祖天然スケコマシ資質であるから、まさに女ハンターである。　祐司は克也の妻である優衣と関西支部開幕の時に関係を持っていたので、文句を言える立場で無いのが辛く後悔先に立たずであった。　「会」は他者の妻に手を出せば自身の妻を代わりに差し出さなければならない不文律があるし、これと逆に妻達が同様に行動すれば同じことになる。　これがあるから凌は慎重であった。　克也は、巡ってきたチャンスを見逃さない。　優衣の行動で権利はあったのだが、郁美がなにかと妨害してきて何度もチャンスを潰されてきたのだ。　しかし郁美が妊娠して行動が限定的になると、克也は暗躍し始めていた。　もちろん郁美の行動には不満がなく、妨害といっても彼女が相手をしてくれるのでむしろ充実した日々であった。　まさに自由を得た彼は、あっという間に里奈を落としてしまう。　もともと里奈は徹イチオシであったから、その嵌まり方は郁美を動揺させるのに十分であった。　そして遂に彩佳にロックオンしてきたのだ。克也　「いやいや～　やっとゆっくり話せるね」彩佳　「杏　と呼んで下さいませ」　　　「お見知りおきを　うふっ」克也　「おっ　源氏名決まったんだね　杏ちゃんか」　　　「いいねぇ　うん　いい」彩佳　「まず初めに申し添えますけど」　　　「わたくし　仕事モード　固いですよぉ」　　　「うふふ」克也　「おっ　宣戦布告か！！」　　　「よし　男と女のラブゲーム！！」　その日から大人のラブゲームが開幕したのだが、彩佳は悠希が見込んだ以上に巧みテクニックを披露して克也を数ヶ月に渡って翻弄していくことになる。　いくら出勤日が少ないといっても、その男あしらいの上手さ抜きんでいて、一番驚いたのは彼女を夜の世界に誘った悠希であった。　自らホステスとしてベテラン域に達していると自負する彼女ですら半月も経たずに口説かれてしまったのに、彩佳は克也を連日セックス無しで満足させて大人しく帰してしまうのだ。　これは克也に限らず、彼女を指名する顧客達にも全く同様だから凄いの一言だ。　それも露骨な拒否やかわしなど一切無く、連日誘われる同伴とアフターをこなしながらで、もともとナイター遊びに強みがある彼女は彼らが遊び疲れるまでつき合ってみせるから彼らに不満が生じないのだ。　その姿を見て佳菜子の勉強になったのは言うまでもない。　佳菜子から見て、彩佳が凄いと感じたのは彼女の声質が男達の傷ついた心に染み渡ることであった。　男達は、彼女が例え厳しい意見を言ったとしても、その内容を曲解せずに素直に受け取るのだ。　それでいて物腰は決して媚びるところはなく、むしろ男前のサッパリ系だ。　会話の内容も下世話な話から難しい政治経済の話もこなしてしまう教養も高く、日々努力している佳菜子でも驚くレベルであった。　正直、祐司という経済人に相応しい若妻なのだと思い知らされた。　悠希にとっては嬉しい悲鳴が続く。　敬子が彩佳に触発されて、彼女も研修がてらに月に数回程度アルバイトホステスとして働き出したのだ。　もともと女子単独客として訪れていた変わり種であるが、その頃から人気者であっただけにホステスデビューは歓喜をもって迎えられた。　実は徹がこれには大反対で大揉めに揺れたのだが、敬子が半ば押し切った経緯があり複雑な事情もあった。　徹からも泣きつかれて悠希は板挟みに悩んだが、亜紀と意見交換して敬子の意志を尊重しようと一致した結果がこれだ。　彼女も亜紀も、若くして社会に出たことで身に付けたことも多く、過保護すぎるのは自重しようとしたのだろう。　もちろん影ながら警護している者達の存在が現在あるという点も寛容になる理由のひとつであったのも否定出来ない。　いずれにせよ悠希にとっては妊活に専念する環境が整ったことになる。　まさにそんな時、先日の大失敗である。　亜紀と郁美が、いかに苦心したのだろうと思い知ったところであった。　彼女達の回りには魅力的な男達が多すぎるし、その誘惑は凄まじいものである。　人妻でありながら自由にさせて頂いているからには、守らなければならないことがあるのは自明の理である。　田原凌は純粋に女性陣のことを思い遣って設立したであろう「美あんず」専用病院が、結果的には彼女達をますます自由にしたのはある意味皮肉である。　しかしこの病院無くして、亜紀と郁美の成功はあり得ないのではないかと悠希は実感していた。「さてと　後は　うちの人」「その気にさせなくちゃ　うふふ」　彩佳は、自分の天職に出会ってしまったと自覚していた。　出勤すればするほど楽しくなるし、男達との駆け引きがスリル満点でゾクゾクする日々が堪らない。　彼らの会話もレベルが高くて、経済人はそういうモノの考え方するんだと日々感動であった。　彼女とすれば玲奈に憧れてまっとうな社会人たろうと努力して一般会社員として歩んできたが、祐司というHigh Societyの男性に出会い結婚して脱線してしまっただけに忸怩たる思いがあった。　その会社員生活では夢描いたものとは程遠く、玲奈のように抜きんでいる才覚が無いと所詮男性のサポート的な仕事ばかりで失望してしまったのだ。　そんな中で仲良し同期入社の郁美結婚退社、そして郁美の叔父である祐司に出会ってHigh Societyの後妻に逃げた一面があったのは否定出来ない。　もともと男勝りで活動的な彼女は「美あんず」の活動にノリノリであったが、それだけでは退屈していた中でのホステスデビューである。　とはいえアフターまで満喫するタイプで、それは主婦業への影響がありすぎて、夫に迷惑を掛けないように苦心せざるを得ないのは事実であった。　夫祐司は、今でこそ悠希の妊活支援には理解して彩佳のホステスデビューを受け入れたが、まだ悠希が産休してない中での連日出勤には明らかに否定的であった。　彼女にとっては祐司は大切な旦那様であって、彼のそばが彼女の居場所と心の拠り所になっていた。　だから彼のことを最優先にする生活を楽しく送っていただけに、今回の自らの行動が多少なりとも迷惑を掛けてしまうことは不本意ではあったのだ。　遠慮して意見を求めると彼は真逆なこと、彼女の行動を容認するようなことを言ってくれるのだが、彼が無理して大人の余裕を見せていると見抜いているのに、わざとその言葉に甘えてしまう女狡さを発揮してしまう。　今回、祐司の心が特にざわめくのは、妻彩佳が人気者になるだろうと彼が確信していたからでもあった。　サッパリ系で細かいことに拘ったりしない彼女は、持ち前の癒やし系のルックスと男の心に入り込むエンジェルボイスの持ち主でもあり、まさに戦いに疲れた男にとっては天使であった。　他ならぬ祐司自身が、あっという間に心惹かれたのはその魅力にあったことは否定しないし、更にその肢体の魅力も底知れぬほどであった。　日々進化し続ける彼女は、抱けば抱くほど新しい一面を見せてくれる魅力たっぷりな女性なのだ。　彼女の魅力を持ってすればどんな男でも夢中にさせられる破壊力があると実感していただけに、祐司にすれば娘ほど若い年下若妻に捨てられる恐れは日に日に大きくなっていたのだ。　今までは彼女自身が自分を過小評価しており、普通のＯＬから若妻たらんとしているだけで、いつ目覚めて羽ばたいてしまうのかと気が気でなかった。　身近に郁美、悠希など蒼々たる女性が揃っていて、その影響力は以下ばかりかというものだ。　そういう状況にもかかわらず年長の余裕も示さなければならず、強がって見て見ぬ振りもしなければ体面を保つことが出来ないという辛さもあったのだ。　そんな最中のホステスデビューだけに、彼の心は嵐のように不安が渦巻いていたのだった。　若く美しい年下妻を持つ者の共通の悩みでもあるが、祐司ほどの男でも同じなのだった。　「美あんず」の女性達は話し合って統一した訳でもないのに、共通してそれぞれが一番大切にして愛している居場所とも言うべき男達にハッキリと言葉で伝えることを行おうとしなかった。　女達にすれば、そんなことは分かるだろうし、分からないのはお馬鹿さんなだけと嘯いて自分達に都合の良い解釈をしたい放題であった。　残念ながら男達はハッキリ言われないと不安な生き物であり、それが分かっている女達に永遠に翻弄される運命にあった。　女達にすれば男は安心し満足すると手抜きするし、この状況で放置すれば常に努力してくれるので都合が良かったのだ。　出勤のたび繰り返される朝帰りに、祐司の不満も我慢にもほどがあり限界に達しつつあった。　彩佳は彼にとって可愛い若妻であり、本来ならまだまだ独り占めしたい存在なのだ。　「美あんず」に関することは自身も郁美と敬子との関係があったから容認せざるを得なかったが、ホステスは別だと言いたかったが悠希のお願いには負けてしまう自分が情けなかった。　男は肉体関係が出来てしまうと女性は自分のものだと思う生き物だが、そうなると女性のお願いにめっぽう弱くなるので女性は容赦なくそこを責めてくる。「また　朝帰りとは　彩佳のヤツ」「俺は　淋しいんだぞぉ　お仕置きしてくれる！！」　朝帰りして化粧を落とししただけで、シャワーも浴びずに下着姿でベットで眠りこける若妻に全裸になって忍び寄る。　平日なら頑張ってそのまま朝食など用意してくる彼女だが、今日は祝日で手抜きして夫そっちのけの寝姿だ。　スルスルと布団に潜り込みと夜這いならぬ朝這い決行だ。　布団内には彩佳お気に入りの香水と彼女の体臭が入り交じったものがほんのり香るが、それが彼の興奮加速する。　若妻の体臭こそフェロモン満載で、本来なら綺麗好きな彼女が眠気に負けて晒した隙でもあった。　ブラジャーとパンティだけという下着姿だから、あっさりと股下に潜入を果たすと手慣れた手つきでパンティをスルスルと下げていく。　ムッと女の恥臭が強くなり、祐司の目が暗闇の中で光る。　迷いも無く秘部にむしゃぶりつくと、久しぶりに味わう舌先にビリッとする独特の膣味に暴走は止まらない。彩佳　「えっえぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」　　　「やあぁぁぁだめぇ」　　　「だめぇ　やあぁあん　ひぃあん」　　　「まってぇ・・・・・」祐司　「じゅるうぅぅぅぷっぺろぺろぺろじゅる」　　　「ぷっぺろじゅるじゅめじゅるへろっぺっぷる」　彼女自身が体質的に膣臭が強いと自覚しているので、汚れた状態のセックスを嫌う。　セックスが今大好きな彼女が、アフターで絶対身体を許さない理由はここにある。　それはお酒を飲むと特に強くなる、キツくなる傾向があるだけに、特に嫌う傾向があるのだった。　もともと自覚していたが、郁美達と女同士の関係を持つようになるとますます気にするようになっていた。　特に郁美は甘い香りがする特異体質であり、その差はコンプレックスになってしまうのは避けれない。　彼女はいわゆるスルメ系であり、それは極めて一般的な女性に多いタイプの臭いであったが、自身でも気になっていたから辛かったのだ。　それなのに夫祐司は、その臭いを好む傾向があって、シャワーを浴びさせずに彼女を抱こうとするから毎日気が抜けないのだ。　　突然の事態に慌てる彼女の目に、今までかぶっていた布団がスローモーションのように宙を舞う様子が映っていた。　その中から全裸で彼女の股間にむしゃぶりつく獣様な目をした夫がいたのだった。　その瞬間、しまったと悔やんだが、もはや手遅れである。　あっという間にマングリ返しにされて、いいように秘部を舐め回されていく。　急激に高まる女の官能に飲み込まれていく自分の弱さを恨めしく思う。　恥ずかしくて堪らないのに、夫のクリニングスは絶妙であり彼女の肢体はセックスモードに引きずり込まれていく。　背中に当たる固いものの存在に慌てる。　もう夫は臨戦態勢、ギンギンに勃起しているのだ。　いくら連日咥え込んでいる肉棒といっても、桃亀君の破壊力は規格外である。　瞬間湯沸かしみたいにロケットスタートできる男とは違い、女の身体は時間が掛かるもので秘部は直ぐに濡れても膣は簡単には潤わないのだ。　早々強引に挿入されて女が喘ぐと誤解している男は多いが、あれは膣が擦れる不快感で痛くて呻いているだけなのだ。　夫はそれが分からない男ではないのに、我を失って魔棒を愛妻に無理矢理打ち込もうとしている姿にハッとさせられる。　自分が夫へのケアを疎かにしていたことに気づいたのだ。「あれれ　わたし　あん　ごめんなさい　あなたぁ」ズウゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン！！　無言の抗議である一撃が彩佳を打ち抜いた。つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
羅衣さんの作品集→
2020年12月30日掲載
Copyright (c) 2020 羅衣 All rights reserved.

▲