ずっと愛してます３
羅衣 作
第56話　女帝の目覚め３


　亜紀は真っ白な空間から引き戻された時には、全身が性感の塊と化し鋭敏になりすぎて、もはやなにをされても逝ってしまう状態に陥っていた。
　もう突かれるたびに逝ってしまう。
　身体を愛撫されるたびに逝ってしまう。
　もう逃げ場がない。

　重力が失われ浮遊感が凄まじく、咥え込んでいる逞しい桃亀だけしか感じられなくなりつつあって、それが現実に留まる唯一の命綱である。
　そこに再びバストトップを吸われると、あまりに強い快感が電撃のように全身を貫き激しい痙攣が襲う。


　凄まじい締め付けが桃亀に襲いかかり、たまり堪ったものを解き放つ時が訪れる。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉはぁっ！！」

　体内破裂した噴水に、亜紀はもはや絶叫するしか無かった。

「いっやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

　次の瞬間、彼女は目の前が真っ暗になった刹那、気絶してしまった。

　祐司は、涎を垂らしながら白目を剥いて気絶してしまった彼女を優しく抱きしめる。
　この瞬間が堪らない。
　征服したという達成感は何度やっても最高の時だ。
　しかし浮かれず、しっかりと後儀も怠らない。
　彼女が帰還するまで優しく抱き締め続ける。


　店内は静まりかえった。
　男性客の１人が生唾を飲み込む音が響く。
　自身の立てた音が響くことに、彼自身が狼狽えて周囲を見渡す。
　意図せず店内の注目を集めかねない状況に、店内の全員がフリーズした。
　緊張で張り詰めた空気に、皆が押しつぶされそうになる。
皆が息を潜める緊張の時間は実際は数分間の出来事だったのだが、彼らには十数分間に感じたことだろう。
　張り詰めた空気が皆に襲いかかる。


　寝覚めのようなまどろみと共に、戻ってきた亜紀を心地よい疲労感に戸惑う。
　そして自身が抱き締められていることに気づく。
　唐突に強く抱き締められ骨が軋む。
　肢体の芯から溢れ出す悦びが心地よい。
　自身が女なのだと思い知る。

「にぁあん　うふっ」

　至福の時間は彼女が望む限り続く。
　肢体に残る余韻が徐々に拡散して落ち着いていく時間が心地よい。
　優しく頭を撫でられる。
　不意に彼女は焦り出す。
　この男は女の心を食らい尽くす存在なのだ知る。
　このまま余韻で満足してしまうと、このまま心を丸ごと持って行かれると思った。

　意を決して肢体を起こす彼女。
　間髪を入れずに唇を奪われると、再び崩壊した。
　たちまち極上のキスに溺れていく。
　まさに満点回答のお出迎えキスをされては、さすがの亜紀もお手上げだった。

「もう　怖いくらい完璧だわ」


　店内は亜紀の帰還と共に、安堵が広がり平静さを取り戻していく。
　男達は覗き見は終わって、パートナーの女達に興味を移し始めていた。
　女達は祐司の所作に感動し亜紀の余韻に共感し追体験していたのだが、その素晴らしさを全く理解していないパートナーの男達に対して失望しつつあった。

「残念な男・・・・・・・・・・」


祐司　「そろそろ　お出かけしようか」
亜紀　「えっ？」
祐司　「まだ夜は始まったばかりだよ」
亜紀　「うふっ」

　祐司は亜紀を手慣れた様子でエスコートすると、あっという間にシャワーで彼女を洗い清めてくれる。
　熱いシャワーが肢体に染みる感触が心地よい。
　凌、徹、健二達とは全く異なる味わいに感動する。
　下着すら文句なくフィティングされてしまうと、驚きが先に広がる。
　女性下着を完璧に着せられる男の存在がにわかに信じられない。
　そもそもだが女同士でも装着者が望むフィティングはプロでなければまず出来ない。

　気がつけば既にハプニングバーを後にして、北野坂を恋人繋ぎしながら上って歩いていた。
　山手幹線に達すると、当たり前のように彼の専用車が扉を開けて出迎えてくれる。
　走り出した車内で、ふと思う。
　もう２年以上大好きな愛車を運転していない。
　夫が心配して運転させてくれないし、常にドライバーとＳＰがいる生活が窮屈に感じる。
　実際こうして走っている車に数台追従してくる存在を感じる。

　車は神戸ハーバーランドに建つ「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」に滑り込む。
　ここは祐司が一番お気に入りのホテルだ。
　自身の妻彩佳も頻繁に出入りするホテルに、堂々と他人妻を連れ込んで不倫するという感覚に呆れる。
　まして亜紀は有力者の妻で顔は知られている存在なのだ。

スタッフ　「達木様　いらっしゃいませ」
　　　　　「お部屋なのですが」
　　　　　「本日　誠に申し訳ございません」
　　　　　「いつものご利用頂いております」
　　　　　「スイートは満室となっております」
　　　　　「エグゼクティブ デラックス　でしたら」
　　　　　「ご用意できますが　いかがなさいますか」
祐司　　　「急にありがとう　それで頼む」
スタッフ　「承り参りました」
　　　　　「少々　お待ちください」

　さすがフロントスタッフは平静を装うが、チラッと彼女を伺う視線を感じる。
　お構いなしに指を絡めてくる彼に、苦笑するしかない彼女だった。
　ベルスタッフの同行を断り、ルームキーを片手に急ぐように手を引っ張られる状況に次第に心に余裕が生まれる。

「もう子供みたい」

　亜紀も顔見知りの女性スタッフとエレベータ前ですれ違う。
　会釈をしながら、怪訝な表情を浮かべるのが分かる。
　HIGH SOCIETYの乱れた世界を想像しているのだろう。

「そうよね　そう見えるよね」

　部屋に着くと、彼が若い徹と全く同じパターンの行動を見せることに驚く。
　てきぱきとエスコートしてくれる。
　ふと思う。

「今日　お泊まりになるのかしら」
「どうしよ」

　少年のように欲望むき出しの笑顔で、一緒の入浴をおねだりしてくる彼を見て諦めた。

「ごめんね　龍哉　恵梨香」
「ママ　まだ女なの」

　誘われままに連れて行かれた、窓から見える赤いポートタワーが浮かび上がる夜景を背景にした真っ白いジャグジー付きバスタブ空間に感心する。
　思えばこのホテル客室を利用したことがないから、このような設備になっているとは知らなかった。

　いつの間にか用意されたシャンパンを楽しみながら、ジャグジーの泡が心地良すぎる。
　絶景の夜景が女の警戒心を緩め、ジャグジーの泡が女の緊張をほぐし、アルコールが女を酔わせる。
　背後から抱き締められて、一気にセックスモードに引き込まれていく。

「うふふ」


　祐司は驚く。
　後から冷静に考えれば、彼女は浴室の女王なのだ。
　急に積極的な彼女の行動が予測できない。
　気がつけばジャクジーの中で、いわゆる潜望鏡スタイルになり一方的に桃亀は食べ尽くされる事態になっていた。
　巨大な桃亀をいとも簡単にディープスロートされて、不覚にも暴発寸前だ。

　パンパンに膨れた玉袋を絶妙なタッチで愛撫される。
　ジャクジーの泡と音が彼の意識を飲み込んでいく。
　ピンチなのだが、あまり快感に腰は浮力と共に浮き上がり、エビぞりに肉棒をさらけ出さざるを得ない。
　尻の割れ目に白魚のように彼女の指がアナルを犯そうと這いずり回る。

　経験したことがない感覚に、狼狽えるが快感に飲み込まれていく。
　あの凌と健二が密かに恐れている、亜紀のソープテクニックだ。
　一度嵌まると彼女が許してくれない限り、男の精そのもの全てを吸い尽く達人技である。
　アナルを撫でられた瞬間、あえなく桃亀は破裂した。

　迸りを口内で受けながら、濃厚な男エキスを飲み干す彼女の瞳に妖しい炎が宿った。
　急速に萎えそうになる桃亀を絶妙なバキュームを加えつつ、舌先で鈴口をチロチロ刺激し続ける。
　精力絶倫の男達には、底なしの沼に落ちたようなものだ。
　自身の精力が有り過ぎることを悔やむほど極限状態に追い込まれていくのだ。
　出しても出しても再び大きくなる肉棒は最大の裏切り者になるのだ。

　もともと亜紀はソープテクニックの達人だ。
　しかし徹、健二との出会いは彼女に覚醒を促した。
　そして出産を経験して「母」となって母性に目覚めたことが、彼女のセックス観を一変させた。

　出産という大事業は、肢体への負担は想像以上だ。
　ホルモンバランスの状態も大きく変わり、肌つやも激変するし体つきも母親として確実に変化する。
　授乳は正に身を削って、愛する我が子達に生命力を分かつ行為なのだ。
　おまけに彼女は双子の母なのだ。
　その負荷は想像以上のものだ。

　その彼女が急速に復活を遂げて、妖艶なオンナとなって輝き始めたのは理由があった。
　それは男達から生命力である精力を吸い上げることに目覚め、そして貪欲までに実施し始めたことにある。
　幸いに夫である凌は精力絶倫、そして今では定期的に情事を重ねる健二と、精吸可能な環境なのだ。
　たださすがに彼ら二人を食べ尽くすと、さすがに気の毒であるし郁美への遠慮もある。
　そこで郁美と彩佳の理解を得て、捕食する第三の男として祐司に白羽の矢を立てた。

　金の卵でオンナ達のアイドルである徹は、精吸の対象にしないとの亜紀の意思表示でもある。
　オンナ達としても精吸の効果については興味津々であり、精力が過多の夫達を抑制することが出来るのであれば都合が良かった面もある。
　自分たちは恋多き行動を正当化しながら、夫達の欲張りさんな行動には実は嫉妬の炎は燻っていたのだ。
　恐ろしきかなオンナの嫉妬で、共通の目的で結託した体制で男達を監視下に置いている実態がある。

　亜紀は祐司を一気に２連射させて満腹であった。
　今朝も夫を２連射させて意気揚々と出かけてきたばかりであるし、せっかくの桃亀を口淫だけで食べ尽くすのは勿体ないと考えつつあった。
　ほどよく解放してあげて、ベットで楽しみたいと路線変更にすることにした。


　祐司は経験したことがないエンドレスなフェラチオテクニックに翻弄され、精を吸い尽くされると焦っていたが極上の桃源郷の深みにどんどん陥っていた。
　ただ体温が高温で保たれる湯船内での連続射精は、恐ろしい勢いで体力を奪っていく。
　このまま死ぬのではないかと思うが、身体がエビぞりになったまま自由にならない。
　いっそ精力が尽きて萎えてしまえば終わるのに、自身の尽きない精力が恨めしい。

　もう限界かと諦めかけた瞬間、不意に解放される。
　彼女が立ち上がって浴室から上がろうと促してくる。
　笑顔の彼女が、とっさに天使に見えてしまう。
　先ほどまで限界まで追い込んだ存在にも関わらず、自身の分身を情熱的に口淫してくれる女性には男は弱い。
　ふらつきながらも喜びながら、ついて行く。
　呆れるタフさだが、もうベットでの展開にわくわく感が抑えられない。


　夫と同様に鼻息が荒く、もう立ち直った祐司に満足する亜紀であった。
　ふと思う。
　一体いつ頃から男達とのセックスをこうも受け入れらるようになったのだろうと思う。
　中学時代には既に自身はレズビアンなのだと自覚があり、それでも人並みでありたいと多少無理して同級生の男子と初体験を終えたがなんの感情も湧かなかった。
　そうこうするうちに両親を失い、弟と二人っきりで生きて行かなければならなくなった。
　男性になんの感情も興味もなかった彼女に、男達はお金の代わりに彼女の肢体を要求してくる。

　そこで自身の肢体は初めて金銭的価値があるのだと認識したのだ。
　持ち前の気の強さとプライドの高さが、男達の要求に屈して身売りすることを良しとしなかった。
　そもそも男性との幸せなど夢も無いから、失うものは無いに等しかったから迷うことなくお金を手っ取り早く稼ぐために自ら風俗の世界に身を投じた。
　直ぐに自身の判断は間違っていなかったと言えるほどの稼ぎを得る。
　ハイペースで借金を返しながら、余裕で弟の生活と学費を得ることも出来るし、人並み以上の生活も出来るようになる。

　その彼女にも再びしつこく借金元の男達が言い寄ってくる。
　大金を稼ぐ彼女を食い物にしようという意図が見え見えだった。
　その頃には常連となっていたた闇社会の男、三井剛に相談しようか迷っていたが、彼は彼女のためにはかなり過激な暴力的な手段に訴えると察していたので躊躇していた。
　正にそんなときに店の看板となった彼女を一目見ようと現れたのが、店のオーナー凌である。
　店長から実は神戸の実力者だと聞いていたので、彼女は迷うことなく女武器を使って彼の力を借りることにした。

　問題は一夜で解決したが、その代償として凌に気に入られてしまい毎日のように彼が逢いに来るようになる。
　当然のように借金の肩代わりも提案されるし、愛人になることも提案される。
　丁重にお断りしつつ、不思議と彼に対して嫌な気持ちにならなかった。
　彼女を大切に思ってくれているのは分かったし、余計ことも言わずに見守ってくれていたからだ。

　もちろんたびたび求愛されるが、彼女には多大なメリットがある。
　風俗ではお金は豊富にあっても信用がなく、弟の進学や公的なやりとりでは社会的に不利に扱われる事が多かったのだ。
　それが彼のおかげで全て解決した。
　お陰で弟を有数の進学校である灘高校に進学させることが出来たのだ。
　凌には言葉では言えないほどの恩義があり、次第に好意も芽生えつつあり身体を許すようになってしまう。

　仕事以外で男性との肉体関係は初体験以来である。
　まっすぐに愛してくれる彼に戸惑う気持ちもありながら、彼に次第に女の部分を目覚めさせられていく驚きがある。
　自身の性的指向にも矛盾が生じ始め動揺する。
　正にそんなときに郁美と出会ったのだ。
　直ぐに亜紀は郁美に夢中になる。
　そして郁美の存在が彼女のアイデンティティー取り戻すきっかけになるのだった。
　瞬く間に二人は姉妹以上の絆、魂の絆を持つ関係になった。
　そして郁美の存在が凌との関係に変化をもたらす結果となり、彼の愛を受け入れる気持ちになったのだった。

　自身の幸せを放棄して荒んだ人生を自ら歩んでいくと覚悟していた自分が、夫に愛されて２人の子供の母になるという時が来るなんて思ってみなかったのが正直なところであった。
　そして今、自分はあり得ないほどの裕福な暮らしだけでなく、自由奔放な性生活を満喫しているのだ。
　夫とは違う男に抱かれながら、女だけしか味わうことしか出来ないオーガスムスを何度も愉しんでいた。



　翌朝、５時半過ぎに亜紀は飛び起きた。

「あちゃー　やっちゃった」
「双子母　朝帰りってやつ」

　まだ完全に目を覚ましていない祐司にキスすると、いそいそとバスルームに駆け込む。
　ちょっとハメを外しすぎたと反省する。

「凌　ごめんなさい」
「彩佳　ごめんなさい」
「龍哉　恵梨香　駄目なママね　ごめんなさい」

　直ぐに追いかけるようにバスルームにくる祐司と目が合う。
　お互い苦笑いだ。

祐司　「昨晩は最高の時をありがとう」
　　　「でも　ごめんね　引き留めちゃって」
亜紀　「いえ　私こそ」
祐司　「いや　ここは俺が全て悪いんだ」
　　　「亜紀さんが素敵すぎて盲目的になっちゃって」
　　　「俺 でも　後悔してないよ」
亜紀　「まあ　うふふ」
祐司　「とはいえ　善は急ぎましょう」

　急いで身支度は整えたが、どうせなら朝食一緒に取りたいと祐司に懇願されて、ルームサービスで楽しむことになった。

祐司　「ここは　朝食も」
　　　「ご覧の通り　なかなかいいでしょ」
亜紀　「そうね　なんか身体にしみるわ」
祐司　「でしょ　また逢いたいな」
亜紀　「あら　それで引き留めたのねぇ」
　　　「うん　またね」
祐司　「やったぁ　　よし」

　少年のような笑顔を浮かべられると、なんか肢体の芯からホッコリと熱いものが溢れ出す。
　郁美がいつも言う、これが女に生まれて良かったと思える瞬間なのだと思う。
　帰宅を急ぐ気持ちがいったん落ち着く。
　今更焦っても大差ないという開き直りが芽生える。
　余裕が出ると自身のスマホにメッセージが入っているのに気がつく。
　確認すると彩佳からで「お気になさらず」と一言だ。

「ああ　私　甘えちゃった」
「これは　借りだわ」
「早々に 旦那様お返しします」

　魅力的すぎる彼とこれ以上一緒にいると、また一戦始めてしまいそうになるので、多少無理して帰ると立ち上がる。
　悲しそうな彼の顔に、再び心揺らぐ自分に驚くがここは振り切る。
　夫達は揃いも揃って浮気者だし、際限ないほどの欲張りさん揃いだ。
　それに付き合い続けたら終わりがない。

　部屋を後にして、エレベーター内で気持ちを切り替える。
　凌からのメッセージが１件も無いことに、申し訳ない気持ちが一杯になる。
　彼はやせ我慢して、送ってこなかったに違いない。
　とっさに償いとしてなにをするかと思案するが、ひとつのアイディアを実行に移すことにする。



　凌は打ち合わせを兼ねて市長と昼食会だったと記憶していたので、神戸大丸近くのお気に入りブランドショップに直行することにする。
　そこで着ているものを相応しいものに一新して、凌のいる料亭に直行する。

　料亭の待合室にいた夫に間に合う。
　亜紀に気がついた夫は、少年のような笑顔で出迎えてくれる。
　彼は彼女が悪さをしても、なにも言わずいつも笑顔で包んでくれる。
　結婚する前は、全ての干渉から彼女を守ってくれたのも知っている。

　そう亜紀が還る場所は、夫である凌のそばなのだ。
　その居心地の良さに甘えてしまう亜紀だったが、だからこそ夫の為になにかしたいという気持ちは嘘偽りは無かったのだ。

　凌の腕に縋り付きながら、満面の笑みをプレゼントする。
　市長を交えた談笑は、いつにも増して夫は饒舌だ。
　要求ごとが多いから市長も防戦一方になるが、以前から亜紀に好意的な彼はなにげに彼女に助け船を求めてくる。
　亜紀もその意を汲んで、市長が妥協しやすいラインでどうかと夫に助言する。

　もとより議題について普段から夫の目的や考えを共有しているから、実は夫とは共同戦線なのだが、相手は亜紀の存在で無難に話がまとまったと満足しがちなのだ。
　長らく市と懸案だった交渉ごとが、あっさり纏まったので夫はご機嫌だ。

　亜紀は我ながら自分は悪女だと思うが、これがオンナという生き物なのだと思い始めていた。

　第三者目線で郁美の生き様を眺めてきたのだが、いつしか自分自身も全く同じ行動しつつあることを自覚していた。

「そう　これが　オンナなのね」


つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2021年2月6日掲載
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