| ずっと愛してます３ 羅衣 作 |
|---|
| 第8話 オンナ達の思惑２ 悠希は、会場の雰囲気に驚いていた。 男達は一様に興奮して目が血走っており、女性であれば誰でも身の危険を感じる雰囲気だったのだ。 普通ならすぐ立ち去りたい状況であったが、葵からの依頼を放置するわけにもいかないので我慢していた。 祐司が来るのを待たなかった自身の迂闊を悔やむばかりであった。 スタッフに案内されて貴賓席にたどり着いた時、悠希には安堵感があった。 ５大老達は、７０歳８０歳代の老人達であって、その場に押し倒されることはないだろうと思ったのだ。 長老達の傍らには、七海、優月らが寄り添いお持てなしをしていて、会場の男達とは趣が違い落ち着いた雰囲気だったのだ。 中央に１人で座している老人が、恐らくゼウスであろうと悠希は察した。 雰囲気は、いつもお店に現れる資産家のお爺ちゃんと大差ない感じであって、普段通りの接し方で問題ないだろうと考えていた。 ゼウスは、先程まで不機嫌そうな表情を浮かべてバーボンをロックで楽しんでいたが、自身の元に歩み寄る美しい女性に気がつくと手が止まって興味をそそられていた。 そして驚きの表情と共に、目を見開いていた。 彼女が一度会いたいと思っていたビーナス（悠希）だと気がついたからだ。 舐めるように視線を送りながら、彼が数十年の年月をかけても手に入れることが出来なかった数々のものを、弟子健二が手に入れているということに嫉妬していた。 アテナ（郁美）、アグライア(亜紀)だけでも感嘆していたのに、アフロディア（敬子）で呆気にとられたばかりなのに、今度はビーナス（悠希）である。 正直、弟子と立場が入れ替わっても良いとすらゼウスは本気で思ったのだ。 鼻腔に嗅いだことのない、極上の若いオンナの香りが広がっていた。 立ち去ろうとする、ご馳走ともいえる見事な曲線を描くお尻を見た途端、ゼウスは考えるより早く身体が動いていた。 祐司は、悠希を誰かに盗られまいとアタフタと会場入りしたが、彼女がゼウスに襲われている状況を目にして憮然としていた。 葵から簡単な話は聞いていたが納得がいかなかった。 会場は既に乱交パーティの様相を呈していて、遅れてきた祐司は完全にあぶれた形になっていたのだ。 祐司は相手が誰でも良いというタイプではないので、どうするか思案していた。 「うぅぅぅん この気持ちをどうすれば良いのだ」 「葵さんに責任取って貰おうかな」 「彼女ずっと抱きたいと思っていたところだし」 場の雰囲気に影響されて、肉欲を抑えられなくなっていた彼の背後から１人の女性が忍び寄っていた。 優衣は思惑通り祐司が遅れて来場したので喜んでいたが、同伴者が新妻の彩佳ではなく悠希だったので落胆していた。 彩佳ならば郁美の元に向かうはずで、祐司が１人になると予想していたのに、その当てが外れたのだ。 しかし優衣には願ってもいない展開が眼前で展開していった。 今日は仕切り役として活躍している葵が、悠希にゼウスの相手役を早々にお願いしたのだ。 受けた悠希は、ちょっと理解していない様子で、今ゼウスの元に向かったら襲われるのは間違いないところであった。 優衣もゼウスに襲われたのは１度や２度ではない。 優衣ですら子供扱いするゼウスは、まさに女の天敵であった。 彼の腕に捉えられたら、女は無抵抗のままに犯されるしかないのだ。 会場で唖然と立ちつくす彼の背後から、彼女は計画通り声をかけたのだった。 振り返った祐司の表情は、お預けを喰らったわんぱく小僧がふて腐れているものだったので、優衣は噴き出しそうになりながら必死で我慢して平静を装った。 男性の子供のような表情ほど、オンナの母性本能をくすぐるものは無い。 美魔女と讃えられている彼女だが、実年齢でも祐司より年下であるので、正攻法で誘惑していった。 既に挨拶程度の会話している段階から、彼の視線が胸元に流れているのを察していて、トドメとばかり前屈みになって胸元に緩みを作って自慢の美乳で虜にしていった。 山田家、美男美女一家の全ての原点は、優衣の肢体の美しさにあって、子供を３人も産んだ肢体は未だに損なわれていなかった。 それは女として美の意識を全く失わない、そして努力を惜しまない、彼女のモチベーションの高さの証明に他ならなかった。 そもそもゼウスが「関西支部」を設立したいと言い出した理由は、優衣の存在があったのだ。 表向きは関西・九州地区のサポート体制の充実ということになっているが、既に日本政財界を掌握しているゼウス達にとって、地方のことはどうでも良いことだったのだ。 優衣は、５大老の大先輩にあたる関西のドンと言われるご隠居のお気に入りで、その意向に応える形でゼウスは健二を派遣して色々配慮してきた経緯があり、だからこそ彼女には不自由な思いはさせてはいけないというのが５大老の一致していた意見であった。 その流れを受けて関西支部を立ち上げることになったのが真相だったのだ。 結果論であるが優衣の愛息である徹が「会」の天才性調教師としてデビューするきっかけとなったのだから、関西支部設立は当初の目的を果たしたことになり、ゼウスの評価はかなり上がることになったのだ。 動機はどうあれ、健二はゼウス達ですら脱帽の体制を構築してみせた。 健二がパートナーとして選んだ「田原 凌」の評価も高く、それもこれも彼らの妻達への評価が飛び抜けて高かったことが重要であった。 彼女達の人脈が５大老達だけでなく、ご隠居達を夢中にさせていたのだ。 彼女達は２０歳代の若妻達だが、その上には優衣と玲奈がいて、逆に下には美少女揃いの現役高校生達が徹を慕って控えているという圧巻の陣容であった。 これに「会」始まって以来、最高の人気を誇る麻輝と美帆が加わるのだから、全く死角無しであった。 徹は、亜紀とのキスに陶酔していた。 亜紀はキスが達人なのではないかと思うほど、美味しいキスが得意なのだ。 なにより男の欲望、欲求を知り尽くしていて、舌が意志を持った生き物のように巻き付いてきて、すぐに意識を奪われて夢中になってしまう。 これは男性陣一致した意見であったが、実は亜紀がレズビアンであったことが理由だと気がついている者はいなかった。 同性愛に目覚めていない繊細な感覚を有する女性を解きほぐすキステクニックは、亜紀にとっては初歩の初歩に過ぎないが、男達にとっては魅惑のテクニックに見えたのだ。 産後の体調が良くない亜紀にとって、今できる最大限の励ましがキスであった。 それは立ち会った里奈と紗弥が嫉妬するほどに、惹かれあった男女の濃厚なキスに見えた。 徹は可愛い妹分である敬子の夫であり、郁美が手塩にかけて育てた最上級オトコであった。 亜紀は基本的には男性関係に一歩距離をとる姿勢であったが、徹に対しては別人のように積極的であった。 付き合いの長い里奈は、そんな亜紀の様子を敏感に感じていた。 徹と２人きりの時の愛し合う亜紀の姿は女子会のメンバーが見たら目を疑うこと間違いなしの乙女そのものであった。 徹だけにしか見せない、素の、亜紀のオンナとしての痴態があったのだ。 亜紀は徹の腕の中で、蕩けてしまうのだ。 そんな自分だけしか知らない年上女性の姿に、徹が惹かれないはずがなかった。 徹の中で、敬子と郁美、亜紀の存在の大きさは比較できないほど大きいものであって、優先順位などつけれないほどであった。 彼女達に負けないほど徹への愛情を胸に秘めている里奈と紗弥にとって、その現実は複雑な感情を呼び起こしてしまうものであった。 亜紀は二人にとって心酔する対象であって、亜紀を徹に盗られたという思い、そして逆に愛しい徹を亜紀に盗られてしまったという真逆の思い、などとオンナの嫉妬に纏わる感情は複雑怪奇であった。 しかし意気消沈した徹を蘇らせるのは、郁美と亜紀の２人しかいないだろうことは女子会の誰もが認めることであり、事実、亜紀のぬくもりが徹をあっという間に元気づけたのだ。 里奈も紗弥も、ほかに愛する男性がありながら欲張りにも気になってしまうのは「徹」だったからであった。 彼女達ほどのオンナ達にとっても、徹は眩しくて堪らないオトコだったのだ。 若い男の劣情は単純なもので、つい先程まで精神的に萎縮して肉棒も小さくなっていたのだが、たちまちチカラが蘇ってギンギンになっていた。 鼻腔を擽る亜紀の香りが彼を瞬間的に活性化させた。 徹は彼女を抱き寄せると、かつてないほどキツく抱きしめた。 「亜紀さん 僕は ずっと ずっと 淋しかったんだ」 「１年が こんなに長いなんて 思いもしなかった」 「僕には 郁美と敬子がいるのに」 「亜紀さんがいないと駄目なんだ」 「贅沢なのかもしれない でも 愛しているんだ」 亜紀の華奢な肢体が軋みほどのキツイ抱擁であった。 鍛え上げた徹のチカラは強すぎるくらいであったが、正直、亜紀は肢体がしなる痛みを感じていたが耐えていた。 やむ得ないこととはいえ妊娠出産という期間は、さすがに夫以外の男性を遠ざけるしかなかったからだ。 結果、亜紀自身も徹とのひとときが過ごせない苦しんだし、淋しかったのだ。 今この時、徹も苦しんだ、淋しかったのだということを思い知った。 「ごめんね 徹 そんなにも想ってくれて嬉しいわ」 「あなたの前だけで わたし 素の女の子になれるの」 「愛してるわ」 徹は不意に我に返って、抱擁を緩める。 不作法を決して非難しない亜紀の意図を察して、じっと彼女の瞳を真正面から見つめ続けた。 亜紀も逃げずに見つめ返す。 ２人の間には言葉など必要無かった。 瞳でお互いの気持ち、考えていることを伝え合ってしまう。 それでも徹は、敢えて言葉にして亜紀に愛を伝えることに迷いはなかった。 徹 「亜紀さん 亜紀 僕は」 「ずっと ずっと 愛してます」 「この１年 どんなに淋しかったことか」 「この時を どれほど心待ちにしていたことか」 亜紀 「徹 うふっ ありがとう」 「わたしも 徹のこと 愛してるわ」 「わたしも 淋しかったの」 徹 「あきぃ～」 亜紀 「とおるぅ」 徹の凄さは、真っ直ぐな愛を言葉にすることが簡単にできるところにあると女子会全員一致していた。 女は言葉で愛を確認したい生き物であって、それが苦手な日本人男子に不満なのだ。 ただでさえモテモテの徹は、更に女達をメロメロにしてしまう天性のスケコマシであった。 そして亜紀ですら、分かっていても、その言葉に蕩けてしまう。 里奈と紗弥は、すっかり蚊帳の外に追いやられてしまった。 ２人も徹への想いは負けないつもりであるが、正直なところ徹と亜紀の間には入り込めないと諦めの気持ちがあったのだった。 心配していた徹が元気を取り戻したことだし、身重の２人にとっては長居は無用の場所でもあるので、早々に帰路につくことにした。 と思ったら２人の行動は早い。 あっという間に立ち去ってしまった。 それほど徹と亜紀のラブラブ空間は、同じ男性を愛するオンナ達には居づらかったのだ。 そして思い知ったのだ。 「はぁん 分かっていたのに」 「１年間我慢しなきゃいけないって辛い」 「亜紀の気持ち 今更 分かっても ・・・・・」 里奈は、第一子出産後、すぐに夫と愛し合ったが、子供が出来るはずもない体質の夫を彼女なりに気遣い、未だにその現実を夫に話していなかった。 いや、そう自分すらも欺瞞で誤魔化していたのかもしれない。 妹分の郁美が育てた若者は、ソープ嬢という女としては究極の世界に身を堕とした彼女にとって、本当の王子様に見えていたのだ。 夫に望まれて結婚して、どん底の世界から抜け出した彼女にとって、その後も一番大切な人は亜紀であった。 里奈が精神的に破綻せずに、楽しくソープ嬢という仕事を乗り切れたのは亜紀という存在があってこそであった。 その亜紀ですらメロメロにしてしまう若者は、里奈が心の奥底に封じ込めていた筈の乙女心を、あっという間に蘇らせてしまったのだ。 里奈は、その気持ちをオンナらしい形で誤魔化して、ある意味自己中心的で残酷な方法で対処した。 若者、徹が夫と同じ血液型Ｂということを知った時から、オンナのそろばんがはじき出した結果が一連の妊娠出産であった。 亜紀をはじめ、女子会のメンバーも平然と黙認して、むしろ応援してくれた。 これは台風の目が徹だったからなのだが、複雑な女心と感情が渦巻く状況の中で、そのあたりが全く理解出来ない徹だけがビクビクしていた。 徹の子供を非公式にも産んでいる里奈は、結果的には徹とのことには余裕があったので我慢出来たのだ。 紗弥は、少し欲求不満気味であった。 もちろん最愛の人は真也だと思っていたが、王子様たる徹は別格であった。 そして凌への愛情も小さいものではなかった。 徹と凌の２人との出会いがなかったら、今の充実した仕事環境は無かったし、これほど精神的に落ち着いてもいられなかっただろう。 その２人と１年半ぶり再会して肢体を重ねられない、じれったさは小さいものではなかった。 避けて通れない道であるが、せめて半年は余裕が欲しかったのが正直な気持ちであった。 真也との再会の熱情から１夜にして身籠もるとは、迂闊だったと反省しきりであった。 「もう わたしって 相も変わらず 迂闊者」 「郁美が大変なときのお手伝い出来ない上に」 「こんなに身体が疼くなんて」 「あん 徹 わたしの王子様」 優衣と祐司は、女子便所の１室で絡み合っていた。 このようなシチュエーションを２人がなぜ選んだのかは、当の本人達も分かっていなかった。 会場には開いたボックスシートはたくさんあったし、他にも使えるプライベートベットルームも星の数ほどあったのだ。 恵まれた２人だからこそ、全てが不自由な状況に燃え上がった。 優衣は、噂の桃亀に期待していたこともある。 祐司は、美男美女と言ってよい徹と環の母親ということで興味津々であった。 実際、祐司は初めて優衣と会った時の衝撃は小さいものではなかった。 男という者は、２０歳代の若者の母親と思えば、「オバサン」をイメージするものだ。 優衣は、ありきたりな男の想像を木っ端微塵に粉砕して、その美しさと肉感の迫力で祐司を圧倒した。 彼女からは微塵も生活で擦れたところは感じられず、オンナは母親になっても美しくいられるのだという生ける証拠であった。 お世辞抜きに３０歳代前半の大人の色気を漂わせた女性に見えていて、とても実年齢の４０歳代半ばと思えない容姿であった。 関西地区では、もっとも人気のある人妻の呼び声高い存在であるのは納得であった。 彼女を抱きたいと思った男達は星の数ほどいた筈であるが、そのチャンスは彼女のお眼鏡に適う男性だけであって、その枠に入るのは至難の業であった。 祐司ですら高嶺の花だと思わせる、その存在感は圧巻であった。 彼女の娘である環の裸身を目撃したことがあって、そのあまりの美しさに魅了されていた。 環をデートに誘ったことは１度や２度ではないが、彼女をとても可愛がっている郁美の妨害で叶えられずにいたのだ。 バレたときの郁美の嫉妬は凄まじくて、このまま衰弱死するのではないか、腹上死するのではないか、というほどの激しいお仕置きされて怯んでいた。 もし再び繰り返せば、郁美と完全に通じている愛妻彩佳からも同様のお仕置きを喰らうことは明らかなので、ビビってしまった。 祐司ほどの男でも、オンナの嫉妬ほど怖いモノはなかったのだ。 徹を囲むギャル会の少女達に手を出すことは、女子会全員を怒らす恐れがあってタブーだという認識が、祐司だけでなく男達全員にあったのは事実であった。 実際、その禁を破った健二から妻である郁美の機嫌を取り戻すのを相当苦労したと聞かされると、ますますビビってしまうのは致し方ない。 そもそも女子会の女性陣は美女ばかりで、既になに不自由ない性生活の中で、あえてリスクを犯す必要性が全く無かったからだ。 そうなると興味の中心は優衣に集中することになる。 健二から彼女と出会った馴れ初めとか聞かされると、興味が無いといったら嘘になるが、日頃から最強のライバルとなっている徹の母親であり、複雑な心境であるのも事実であった。 優衣と祐司は、会場の喧騒が性に合わなくて、プライベートルームにしけ込むつもりであった。 途中、身なりを整えたいとする優衣の女心が事態の歯車を狂わしてしまったのだ。 すっかりエロモードに入っていた祐司は、もう荒削りな少年のような悪戯っ子であった。 こういう子供ぽい顔を持っている点が、中年世代でありながら女性陣から慕われる理由のひとつであった。 これは凌も似た部分があって、ベットの上で子供じみた行動が逆に女性陣の母性本能をくすぐってしまうのだった。 これもオンナの摩訶不思議な部分で、男には理解出来ない部分かもしれない。 祐司は、ちょっと待ってとお手洗いに入ってしまった優衣が不満であった。 正直、もう我慢の限界で、不意に忍び込んで犯したいという、どす黒い欲望に囚われていた。 成熟した優衣ならば、絶対受け入れてくれるという身勝手な思い込みがあり、乱交現場と化した会場のピンク色の空気は少年と化した男の理性を完全に狂わしていたのだ。 「へへへ １度 こうして女子トイレに忍び込んで」 「犯してみたかったんだ」 そっと扉をあげて忍び込んだ祐司の耳に、何度も夢見た聖水が迸る音が聞こえてきたのだ。 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉこれは！！」 しゃあぁぁぁ～♪♪しゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ～♪♪しゃあぁぁぁ～♪♪ カラカラカラカラカンッ！！ ゴシュルン♪♪ カラカラカラカンッ！！ ゴシュルン♪♪ ドグゥグウシャオォォォォォォォォォォォォォ！！！！ガウルプッグフン！！ ガチャガチャン！！ 祐司 「優衣ぃさん しよぉ！！」 優衣 「キャアッ えっうそぉぉぉぉぉぉぉ」 祐司 「はあぁはぁあ しよぉ！！」 祐司を「パンツの穴」的な素朴な性衝動が突き動かした。 未だ純粋な子供だった頃に漠然と神秘的存在と感じていた女性への熱い想いが、放尿音と共に蘇り、彼を一瞬に悪戯っ子に変えてしまったのだった。 彼の顔は、もはや子供そのものの屈託無い笑みに満たされていた。 結果的に、このことが優衣の抵抗する意志を奪うことになるのだ。 トイレの個室というものは、人にとっては束の間のプライベート空間であり、唐突の乱入には拒絶感が強いものだ。 特に女性は、残り香が気になったりするものだ。 そこに、これからエッチするだろう気になる男性が入ってくることに、強い抵抗感があるのは当然である。 実際、扉を開けた途端に押し込まれた優衣は、パニック状態に陥った。 本能的にレイプと同質の危険を感じて、動揺を隠せない。 すぐに顔を見て祐司だと認識して恐怖心はなくなったが、心の中に土足で踏み込まれた様に感じて不快であった。 ムッとした表情を浮かべて抗議の意志を示して見上げた彼女を、祐司の悪戯っ子そのものの顔が出迎えた。 女という生き物は不思議だ。 少年のような顔を見た途端、一瞬で怒りの感情が氷解してしまい、悪戯ッ子に対するような温和な感情に包まれていた。 一般的には、これを母性本能というのだろう。 女にこういう感情を抱かせる表情、笑顔を見せることが出来る男は、いわゆるモテる男であった。 これは意識して出来るものではなく各個人の資質の問題であり、これが出来る出来ないで男の一生は決まると言って過言ではなかった。 そして出来る男は、意外と少ないのだ。 気がつけば、２人は情熱的に唇を重ねていた。 モテる男は、このように言葉も必要無く、これといった作戦工夫もなく、女は落とすことが出来るのだ。 モテない男には、どんなに努力しても到達し得ない、持って生まれた資質の差であった。 更に、モテる男は、キスだけで女の淫欲のスイッチを入れてしまう。 モテない男は、女の淫欲スイッチすら見つけることが出来ないという、残酷な劣勢遺伝子の宿命を背負っているのだ。 優性遺伝子を持つ男は、優性遺伝子を持つ女を強く惹きつける様に出来ている。 その法則通りに、淫欲が極限まで溜まりに溜まっていた２人なので、１度火がつくと簡単には終わりそうもなかった。 つづく |
| 【前頁】/【次頁】 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
羅衣さんの作品集→ |
| 2020年3月7日掲載 |
| Copyright (c) 2020 羅衣 All rights reserved. |