ずっと愛してます4
羅衣 作
第18話　大失態


　その日、彩佳は紗弥の代理として大阪市内の百貨店巡りをしていた。
　同行者は美咲の夫、小林大輝だ。
　先方にすれば彼女はアシスタントの女性だと誤解しがちだが、名刺交換すると彼女が執行役であることに驚くが「達木彩佳」という名で色めき立つ。
　それは無理もない。
　ここ一年での関西地区業界ＶＩＰ顧客売り上げランキングベスト３に入っている注目の顧客だからだ。
　どこの百貨店も懇意にしたい存在だ。

　今回は取引関係において逆の立場だが、彼女の存在は破壊力抜群だ。
　百貨店としては新参ブランド品を扱うには、それなりの事情があり簡単ではない。
　そのあたりは彩佳達も承知していて、常設出店したいわけではなくブランドオープンに合わせて期間限定店を設けたいという交渉であった。
　それでも恐らくは本来はＮＯの回答だったと思われるが、経営サイドの圧力で店舗編成サイドの判断が覆ったのだ。

　意気揚々２人は帰路につく。
　百貨店サイドに遠慮して直接車を乗り付けたりしなかったが、運転手付きの黒いAudi A3 Sportback３台の車列だ。
　真ん中の車後部座席に彩佳と大輝が乗っている。

　大輝は初めはこの環境にかなり驚いたが、達木氏が長者番付の常連なのでHIGH SOCIETYはそういうものなんだと無理矢理理解して次第に慣れっこになり始めていた。
　それより彩佳が妙にフレンドリー接触してくれるのが拷問で悩んでいた。
　彼女は妻と同じ年齢で妻とは全く別なタイプの美女だが、なにより達木氏の妻なのだ。
　ただの人妻とは訳が違う。
　彼女にはＳＰが常時居るし、手を出したりしたら何があるか分かったものではない。

　もちろん彼女は仕事中はクールビューティで良いのだが、仕事終わってリラックスムードになると急にエロくなるのだ。
　会話しながらやたらとスキンシップしてくる。
　もともと超がつく女好きだから、悪い気はしないのだがいかんせん彼女の夫は会社のオーナーで相手が悪すぎる。
　ふと妻、美咲が達木氏秘書的な仕事をしていて、彼としては寝盗られ願望状況と関係があるのではと妄想してはいたのだ。

「ひょっとして　夫婦交換？　誘われてるのか？」


　彩佳は彼が入社以来ずっと観察していた。
　仕事は関心するほど出来るし、決断力も実行力も飛び抜けている。
　もともと彩佳は履歴書もほぼ見ないで小林大輝は好みど真ん中なので、気に入り彼に１票投じた確信犯だ。

　彼は彼女の大好きな俳優斎○工似の文字通りイケメンだ。
　彼の妻である美咲と紗弥のエピソード聞いた時には、自分もそこいたらバトル参戦したのにと思ったほどだ。
　美咲があらゆる手を使って彼をゲットした気持ちを誰よりも分かっている。

　だから小林夫婦の「会」方面引き入れ担当に実はノリノリだったのだ。
　同じ年齢で同性だから分かるが、美咲は超がつくほど男好きする女と見なしていた。
　男性の吸引力は郁美に匹敵すると思うし、肢体の破壊力は「美あんず」メンバーでも真っ青だと思う。
　彼女が誘惑したら耐えられる男性は稀だと思う。

　正直、夫と美咲の関係は普通の感覚では許したら駄目だと思うと考えていたが、そのリスクを冒しても大輝への興味が優ったのだ。
　既に夫は姪っ子である郁美にぞっこんだし、超がつく女好きであることは今更変えようないし、自分も自由にイイ男を満喫している事情が背中を押したのだ。

　ただこのままでは事態が進まないことは彩佳は理解していた。
　どんなに誘惑しても彼には立場もあるし守るものもあるし、なによりＳＰがいるから、軽率に跳びかかってきたりはしないだろうし出来ないだろう。
　なにかしら彩佳の方から具体的に誘うほかないのが現実だ。
　いずれにせよ夫と美咲の方が進行してからだろうと待っていたのだ。

「うふっ　それまで触っちゃお　かっこいいわぁ♪♪」



　組んずほぐれつ狂ったように愛し合った２人。
　余韻も楽しみつつ抱き合っていた。
　気持ちいい一発を決めた祐司は大満足。
　経験したことないアクメを極めた美咲はうっとり。
　とはいえコンドームの多量に出た精子を溢したらマズイとばかりに撤退するやや小さくなった桃亀。

「！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」
「えっ！！」

　真っ白になる祐司。
　桃亀に対応するために特注しているコンドームがペチャンコだ。

「なんで？」

　秘部からはダラーと多量の白い逆流物が出てくる。

「えっえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「はっ　破裂してるぅ・・・・・・・・」

　さすがに祐司はパニックだ。

　その日は朝時間がなくて彩佳との一戦はお休みしたから、間違いなく通常の倍ほど濃厚な子種を発射した自覚がある。
　事故とはいえ他人妻に多量の中出し状態だ。
　紗弥と彩佳から中出し厳禁と言われていたのに、初歩的な大失態だ。
　授乳期の女性にアフターピルは基本使えないし、彼女がピルを服用している筈もない。

　とっさに彩佳が愛用している膣内洗浄器「プチ○ャワー・セペ」の存在を思い出し、自分たちの寝室洗面室にフルチンで全速力で走って行く。
　途中、保育士の山本真理ちゃんに遭遇して、彼女が黄色い悲鳴を上げるがそれどころではいない。
　「プチ○ャワー・セペ」の箱を片手に持ち帰路走っていると、なぜかまだ彼女が廊下にいるが、今度は悲鳴も上げずフルチン主人をガン見している。
　ふとこの子は若いのにエロい女だなと思うが、それどころでない。

　美咲を促しトイレか浴室に行き膣洗浄すること進めるが、なんとダルイしもう良いわと開き直り動かない。
　未だに余韻真っ最中で、すっかりまったりしてしまっている。
　ベットの上でする他ないから、浴室からバスタオル３枚ほど持ってきて準備するが、彼女はそれすらする気がない。
　祐司もいざしようとするが勝手が分からない。
　バイブの要領だと自分言い聞かせるが、固まってしまう。
　その時に彩佳がゲストルームに入ってくる。

彩佳　「もう祐司　なにバタバタしてるの？」
祐司　「これこれ　して！！」
彩佳　「はあぁ？　えっ？　マジ？」

　祐司は「プチ○ャワー・セペ」を持って必死にアピールする。
　察しの良い妻は直ぐ事態を理解する。
　そして冷たい視線が突き刺さる。

彩佳　「もうあれほど言ったのに」
　　　「最低！！　ルール違反よ！！」

　そう言いながらも動かない美咲を誘導しつつ、膣内洗浄してくれる。
　しかしまた怒られる。

彩佳　「なにこれ　どっぷり出したの？」
　　　「しゃれにならないわ」
　　　「もう１本しないと・・・・・はあぁ」
祐司　「いや　なんだ　これは事故だ」
彩佳　「はあぁ？　美咲　ごめんね」
　　　「もし出来ちゃったら　責任取るからね」
美咲　「うふふ」
彩佳　「あらぁ　そうなんだ」
　　　「美咲は　悪くないからね」
　　　「さて　祐司　これは　どいうこと？」
　　　「言い訳あるの？」

祐司　「これ　破裂しちゃったんだ」
彩佳　「それがなにか？」
　　　「それ何度目かな？」
　　　「私でも　もう５回は破裂してる」
　　　「言ってるでしょ　我慢汁多いから」
　　　「途中替えるかしないと　危ないって」
祐司　「それは・・・・・・」
彩佳　「私の場合は　まあ良いけど」
　　　「他の人では　注意しないと駄目よ」
　　　「男の人　子供父親誰って気にするけど」
　　　「それって女だけに責任なすりつけるのは」
　　　「違うのよ」
　　　「男の人も ちゃんと協力してくれないと」
　　　「女だけでは防止無理だし」
　　　「もしそれ要求するなら」
　　　「私たちは夫以外拒否するしかなくなる」
祐司　「ごめんなさい　反省します」
　　　「大失態です　以後徹底します」
　　　「そして　この経験　男性陣で情報共有します」
　　　「恥さらして　この罪を無駄にしません」
美咲　「はぁん　彩佳さん　許してあげて」
　　　「私が色々ねだっちゃったから」
彩佳　「まあ　分かってくれているとは思うけど」
美咲　「それより　私たちの不貞行為は無し？」
彩佳　「ああ　ちょっと今から事情話すね」
祐司　「俺　ちょっと　向こう行ってる」
彩佳　「あらま　逃げたか」

　２人になると彩佳は大まかな「会」という存在の説明とそれに伴う夫婦交換事情など話した。
　そしてそれに自分たち夫婦だけでなく真也紗弥夫婦も参加していることを明かした。
　ただこれは公にしてはならないことは当然だし、大輝美咲夫婦にも参加して関わって欲しいと考えていることなども話した。
　美咲は黙って聞いていたが、夫絡みで夫婦交換サイトなど色々見ていたので理解が早い。

美咲　「そうなんだ　もう私　やっちゃったし」
　　　「大輝のこと　いろいろ言う前に私先走ってる」
彩佳　「祐司が　ガオーって来たんでしょ？」
美咲　「そういうことにしておきます　うふっ」
彩佳　「はい　そういうことで」
　　　「いずれにせよ　美咲と祐司の件は」
　　　「わたし承認しますから お気になさらず」
美咲　「あれっ　そうしたら　大輝・・・」
彩佳　「はい　私　大輝さん興味ある」
美咲　「うう　そうなんだね」
　　　「そうか　そうなるのか」
　　　「大輝　盗らないでね」
　　　「彩佳さん　美人だから心配」
彩佳　「うふっ」
美咲　「というか　浮気者の大輝が心配」
彩佳　「だから妻として旦那躾けないと駄目」
美咲　「うんうん　そういうことか」
　　　「帰ったら頑張ります」
彩佳　「うふっ　よろしくね」
　　　「ところで私たち妻が集まって」
　　　「「美あんず」という集まり作っているの？」
　　　「美咲にも参加して欲しい」
美咲　「分かりました」
　　　「まだ分からないこと多いけど」
　　　「それは　その都度で」
彩佳　「はい」

彩佳　「そういえばさっきの避妊の話だけど」
美咲　「ふぅん」
彩佳　「祐司居たから　敢えて言わなかったけど」
　　　「今美咲が思っていること　その通りよ」
美咲　「え？」
彩佳　「実は女にとっては　多少食い違いあっても」
　　　「誰が父親だろうが」
　　　「どう転んでも　全部自分の子確定」
　　　「男性陣には悪いけど」
　　　「女はそこまで深刻に考えていないという現実」
美咲　「うふふ　そうですよね」
　　　「だって　エッチ許すって女にとって」
　　　「この人の遺伝子欲しいかなって」
　　　「動物的感覚ですよね」
彩佳　「そう」
　　　「まあ　旦那さんこと愛してるし大事だから」
　　　「私たちも意識して努力してるけど」
　　　「女だけでは　この環境では無理」
美咲　「と思います」
　　　「確かに　男性陣には　この本音言えないよね」
彩佳　「そうなんです」

美咲　「あ！！　さっきの「会」云々」
　　　「私から大輝に話して良いの？」
彩佳　「それ待って欲しい？」
美咲　「分かりました」
彩佳　「大輝には　私からベットで伝えるから」
美咲　「えっ　そういうこと　なにこの気持ちって」
　　　「あぁぁぁん　私に　それ言う資格ない」
　　　「彩佳さん　今回のこと　謝りますわ」
　　　「自分が感じること　彩佳さんにしてしまった」
　　　「恥ずかしいぃ」
彩佳　「分かってます」
　　　「私　未だに　男の寝盗られ願望って」
　　　「よく理解できない」
　　　「女は　喪失感と裏切られた怒りしかないよね」
美咲　「です　なんだろうねぇ　はぁ」
　　　「私　自ら入っちゃったのね」
　　　「なんか複雑」
彩佳　「まあひとつ言えるのは」
　　　「イイ男は旦那だけではない　ということ」
美咲　「それは　祐司さんで納得しました」
　　　「もう引き返せない　戻れない自分感じます」
彩佳　「そうなのよね」
　　　「きっといろいろあるけど」
　　　「どんどん自分が変わっていくわよ」
美咲　「分かる気がしますぅ」

　美咲は桃亀の余韻が強すぎて、未だに女に生まれた喜びを実感していたのだった。


つづく
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2021年8月1日掲載
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