ずっと愛してます4
羅衣 作
第25話　　even if ３


「あっあぁぁぁん♡　はあっあっあん　あん♡」
　ジョルプゥジュブゥゥゥゥゥゥジュルッ♪♪

　亜紀は従姉妹の味わいに感心していた。

　佳子は自分や瑠璃子と違う星を持つ存在なんだと気がついたのだ。
　亜紀は五摂家ではない外部で育ち、レズビアンという性癖ゆえに全く異質な審美眼を持っていた。
　彼女は女性の味わいで、その女性の資質を一発で見極めるチカラを有していた。
　そのチカラを自覚させてくれたのが、郁美という最強のパートナーだ。

　なにゆえ「美あんず」のメンバーを亜紀が軋轢も無く統率していける秘密は、このチカラに集約されているのだ。
　亜紀はメンバーの性格から性癖まで正確に把握して、各自が最も得意としていて望んでいる立ち位置を割り振ることが出来るのだ。
　女性にとって、それは実に居心地の良い環境に他ならない。

　それもわざわざ意思表示して言葉で伝えなくても全てを察してくれるし、なにかしら不都合があっても会えば直ぐに手を差し伸べてくれる存在が亜紀なのだ。
　そしてその亜紀と今や実の姉妹以上の連帯感で繋がっている郁美の存在が「美あんず」メンバーを惹きつけて放さないのだ。
　本来は女は３人も集まれば嫉妬や確執は日常茶飯事なのが普通なのだが、亜紀と郁美という２人の絶対的な女神が存在することで「美あんず」ではそのような現象は皆無だった。

　同性だからこそ佳子が真のチカラに覚醒しない理由も瞬時で見抜いてしまう。
　同時に佳子という存在との対比で、自身に潜む資質にも気がついてしまった。
　瑠璃子と愛し合っているうちに、なんとなく感じていた資質であるが、それが確信に変わったのはこの日だったのだ。

「そう　わたしも　持っているのね」




　綾小路優貴は、佳子が心配で堪らない。
　もとより自由気ままなのは妻の魅力なのだが、結婚して毎日妻と愛し合っていると、もう妻が大好きで気持ちを抑えられないのだ。
　もう政略とか、野心とか、もうどうでも良かった。
　彼女と結婚して、孤児院から努力して頑張ってのし上がってきたのはこのためだったのだと心底満足していたのだ。

　自分は実の両親も、実の名前も、血筋も分からない捨て子という出自であり、自分は何者なんだと実は他人より自分自身が知りたいという欲求は死ぬまで消えることが無いだろう。
　小学生の頃、体格恵まれ目立つことと孤児院ということで、激しい虐めに晒されていたが、目には目をという性格で多人数相手でも負けず腕力で上級生を叩きのめす暴れん坊だった。

　圧倒的な番長状態であったが、もう全てが敵に見えていたから相手が屈服しても暴力に明け暮れていく。
　相手が１０数人居ても圧勝するほどに、既に敵無しで悪魔のような子供になっていた。
　もう狂犬病にかかった状態であった。
　そして中学に進級目前に教師を３名ほど複雑骨折させるほどの傷害事件に発展する。
　普通なら少年院送りであろう。

　偶然、その孤児院は九条家の関係者が福利厚生で関わっている施設で、そのような事件はあってはならないとされたとされたのだ。
　その介入にゼウス自らやってくる。
　ゼウスは優貴の瞳に宿る資質に惚れ込む。
　周囲が止める言葉にも耳を貸さず、彼を引き取り全ての事件を無かったことにしてしまう。

　その日を境に彼の人生は一変する。
　学びたいこと、やりたいこと、全てが自由になる生活が保証されたのだ。
　周囲の大人全てが自分に対して敬語の生活が訪れる。
　子供ながらにゼウスの強大な権力が次第に分かってくる。
　ゼウスから求められたのは、「誰よりも強くあれ」の言葉だけであった。

　もう武道も一通り学んだが、天賦の才能で恐ろしい速度で全てを極めていく。
　彼は手加減というものを知らないし、実際強すぎで防具ですら破壊し相手が負傷することが頻繁に発生する。
　すると相手が逃げ始めるが、容赦なく技を炸裂させる日々。
　相手は怪我してもゼウスが免罪符を与えているから全て泣き寝入りになっていく。
　そんな状態であるから、直ぐに武道だけでは物足りなくなる。

　そしてとうとう防衛大学校に進学する。
　もう入学したときから突出した身体能力と学力だ。
　首席で卒業しながら自衛隊には入隊せず、国家上級試験にパスして警察官僚になる。
　もうそこからは通常ではあり得ない速度で組織を駆け上がっていく。
　そして警部の階級に昇進したときに、綾小路家を継いだのだ。
　その頃に九条佳子に出会った。

　彼には雲の上のような天使であった。
　そして彼女の警護の任務とか与えられるようになると憧れの気持ちが膨れ上がっていく。
　それでも大恩あるゼウスの孫娘だし、自分のように出自不明の男では到底釣り合わないと自覚し自分を戒めていたのだ。
　そんな彼に佳子は実にフレンドリーで、彼女から再三誘惑される。
　夢のようであったが、彼は自制心が優っていた。

　それなのにゼウスはそんな自分と佳子との結婚を認めてくれたのだ。
　息子のように思えると寵愛してくれたのは、誠の愛だったと思い知らされたのだ。
　その結果、ゼウスと九条家への感謝の念は、そのまま絶対的忠誠心という形になって表れた。
　佳子という妻は彼にとっては女神そのものであった。
　彼女と映画を見に行ったり、食事に行ったり、幸せで満ち足りていたのだ。


　佳子からすれば、優貴は才能溢れる夫だ。
　女の彼女が出来ない全てのことが完璧に実行できる男だし、彼ならなにがあっても自分を守ってくれると確信していたのだ。
　そして思いっきりルックスが好みだったのだ。
　おまけに自分を愛してくれるし、性格も物事への考え方も相性ぴったりであったから大好きだ。
　なにより彼には彼女の周囲の男達には感じないギラギラした野心を感じる。
　佳子はそういう彼の本質に惚れているのだ。

　彼の出自は気にしていないし、彼は彼だ。
　そんな負の要素など、自分を妻としたことで消し飛んでしまうし、彼に不自由など決してさせないと堅く心に刻んでいたのだ。
　まして自分は女系次女だから、本来は政略結婚などの道具扱いされるのが関の山だから、自身が好きになった野心溢れる男性を夫に出来た事に満足していた。
　それに彼となら一波乱起こせるだけのチャンスもあるし、彼には他の男達が持っていない器量があると確信していたのだ。


　急いで空港から田原家を目指す。
　優貴から見ても、亜紀と郁美は別格の存在であった。
　あの瑠璃子が認める２人なのだ。
　なにより亜紀はもう九条家の絶対者であり、彼女の意向は何者も変えられないのだ。
　優貴は佳子が他ならぬ自分の為に背伸びしていると感じていたから、もう佳子の顔を１分１秒でも早く見たくて仕方がなかった。
　


　西園寺勇人は「美あんず」病院着くなり、妻となった佳菜子にベッタリだ。
　郁美に「いつから佳菜子の子供になったの」と言われるほどの愛妻家ぶりだ。
　自身も夫である健二が毎日朝晩とやって来てかなりベタベタする方法だが、勇人佳菜子夫婦のラブラブぶりには苦笑だ。
　ただ周囲の環境が特殊なだけに、佳菜子としては夫がよそ見しないか心配で堪らないのは理解していた。

　だから彼女は夫が傍に居て欲しいことをさりげなくアピールして、夫を誘導しているのだ。
　そこは夜の酒席で日々疑似恋愛ゲームを演じて、駈け引きについてはもはや達人の域だ。
　正直、遊び人の達人でも無い勇人には太刀打ちできるレベルでは無いから、妻から発せられる傍に居てアピールに吸い寄せられてしまう。
　ここまで目の当たりにしてしまうと、さすがの郁美も脱帽であった。

　佳菜子にすれば、自分自身も肉体関係がある夫達が複数いる状況で環境が特殊なだけに夫がよそ見することについては諦めに近いものはあったのだが、せめて自分が妊娠中はやめて欲しいというのが正直なところだ。
　実際、郁美にバレないように健二が相当気を遣っているのを目撃していただけに、彼女ですら夫のよそ見に対する拒絶感は凄いのだと見ていたのだ。

　自身が妊娠してお腹で新たな命を育んでいると、自分がそれまでとは全く違う思考に変わっていくのが実感としてあるのだ。
　もう理論、理屈じゃなく、動物的なものだと思う。
　その手の話題については無意識に攻撃的になり、普段では考えられないほど感情に起伏があるのだ。
　郁美は自分たちの立ち位置も理解しているし夫の仕事にも人一番理解あるにも関わらず、それでも知りたくないから分からないようにすることを健二に要求したと聞いている。

　佳菜子は自分自身はまだ郁美ほどの度量がないと自覚したから、自分なりの方法で夫を拘束する手段に出たのだ。
　そもそも傍に居る郁美は男性の吸引力が凄まじいから彼女も必死だ。
　もちろん郁美も妊娠中で本人もその気がないのだが、もうこれは無意識なオーラだから制御不能だ。
　実際、病院の男性スタッフは、もうみんな彼女に過剰なほど親切だし、勇人もなにかと彼女への配慮してしまうのだ。



　佳子は全く知らなかった世界が華開いてしまい、正直狼狽えていた。
　当たり前の話だが、女同士であるから恐ろしいほど的確に肢体の淫欲を引き出されてしまう。
　絶妙のタイミングで焦らされて、ますます燃え上がってしまう肢体の渇望に焦りまくる。
　あっという間に「佳子姫」も引きずり出されてしまい翻弄され続けていく。
　快楽の渦の中で亜紀の中に潜む存在に気がつくが、既にチカラの差がありすぎて為す術もない。

　不意に亜紀が笑う。
　急に男性の存在を感じるが、もうされるがままだ。
　秘部に凄まじい圧迫を感じる。
　巨大な男根が押し入ってこようとしていると気がついた刹那、ズゥゥゥンと鈍い衝撃体内走る。
　咄嗟に深く押し入れられると女の本能で身構えるが、コリンコリンと異質なものが女芯を蹂躙しながら侵入してくる感覚に圧倒される。
　強い刺激で肢体に走る痙攣が抑えられないから、もう男に屈服して抱きついてしまう。

「あっあぁぁぁぁぁぁぁん♡　すごぉい　あん♡」
　ジュルプゥゥプップッフゥ♪♪ジュルプッフゥ♪♪
「こんなぁのってあぁぁぁん♡　だめっ♡」
　ジュゥプフゥングチュルブゥ！！ジュルプゥゥ♪♪
「あっあぁぁぁんいっちゃうぅ♡　あっはぁいくぅ」

　佳子は意識が跳んでしまう。


　凌は腕の中で可憐な佳子が逝ってしまったので、大満足でニヤついていた。
　愛妻が考案したコラボレーションセックスは最高だ。
　愛妻の元には次から次と美女が吸い寄せられるように集まってくるから、自分は妻のお手伝いで彼女たちを抱き放題になったのだ。
　彼女たちを思うがまま美味しく食べ尽くしても、妻はニコニコしている。
　妻も当事者だから妻への配慮も後ろめたい気持ちも皆無だし、続いて妻と好きなだけセックスするのだから最高だ。

　実は妻とのセックスもなぜか今の方が超刺激的で燃えるから、もう病みつきと言って良い。
　妻の性癖とマッチしているからだろうが、なんと言っても妻のエロさが桁違いに凄いのだ。
　そういうシチュエーションに妻が自分を加えてくれたことに感動していたのだ。
　だからこうして違う女性を抱いていも、常に妻の方に意識が向いていて、今では妻の表情見るだけで、なにを望んでいるか分かるようになってきたのだった。

「分かったよ　亜紀　もっとだね」

　おもむろに佳子の両脚を肩にのせる。
　種付けプレスの体制に持ち込むと、半分ほど肉棒を引き出す。
　衝撃、彼女の意識が戻る。
　容赦なくゆっくりと螺旋パールを蜜壺に擦り込んでいくのだ。
　未だかつてこれに耐えた女は存在しない。

　ジュゥルップッパァッ！！プッパァッジュゥルッ！！
「ぬあっあっあぁ♡♡　ひいぃあっあん♡あっあぁぁぁ」
　プッパァッジュゥルッ！！ジュゥルップッパァッ！！

　亜紀が近寄ってくる。
　凌はグイと佳子を抱き上げつつ、騎乗位に誘導する。
　すかさず亜紀が跨がってきて佳子と正対し抱き合う。
　丁度２人が凌の上で騎乗位状態だ。
　もうトロンとした佳子を亜紀がディープキスで征服していく。
　呼応して凌は腰を小刻みに上下させて、佳子の蜜壺を楽しみ続ける。

　両手は亜紀のプリプリでスベスベなお尻をなで回す。
　亜紀の両手はもはや淫具のように佳子の全身を這いずり回る。
　凌には亜紀のテクニックはよく分からないが、妻が楽しく満足なら彼も満足なのだ。
　佳子が何度も肉棒を痛いほど締め付けてくるから、彼女が逝きまくりだということだけ分かる。
　跨がった２人の美しい裸身を見上げているだけで、このような場に立ち会える男は自分だけなのではと思う。



　やっとの思いで到着した優貴であったが、当たり前だがアポイントも取らずにやって来たから、さすがの彼でも入ることが出来ない。
　それでも気を遣ったスタッフが権限のあるスタッフに取り次いでくれる。
　エレベータが降りてきて、１人の女性が現れる。
　亜紀の腹心、飯田佐紀子だ。

佐紀子　「まあ　綾小路様　突然のご訪問ですね」
優貴　　「佐紀子さん　申し訳ありません」
佐紀子　「奥様をお捜しなんですね？」
優貴　　「はい」
　　　　「佳子がお邪魔しているかと思うのですが」
佐紀子　「ですよね」
　　　　「はい　いらっしゃっておいで　です」
　　　　「ただ今は　亜紀姉様とご歓談中です」
優貴　　「なるほど」
　　　　「待たせて頂いてよろしいですか？」
佐紀子　「はい　もちろんですわ」
　　　　「どうぞこちらへ」

　優貴は焦って取り乱した雰囲気を見られてしまったと思い、ちょっと恥ずかしかった。
　佐紀子は年下の女性なのだが、落ち着いていて全てに余裕を感じるのだ。
　彼女は人目引くチェックパンツスーツはさりげなく着こなしているが、仕事柄衣服に目敏い優貴ですら関心するほどのかなり高級品で「ALEXAN○ER McQUEEN」というイギリスを代表するハイブランドのものだ。
　彼女は今では九条家当主代行となった亜紀の実質的な執事に相当する立場になっていたのだ。

　優貴の元にも彼女についての報告書が着ていたが、自分と同じ匂いを感じるから親近感がある。
　生い立ちや経緯は色々あったようだが、一番大事なのは現時点の能力だが彼女は抜群の評価だった。
　誰よりも努力家であるし、なにより察する能力が際立っているから現場調整力は素晴らしい。
　亜紀が彼女を常に身近に置いて頼りにするのは当然であり、あらゆる面の腹心であり参謀なのだ。
　公安のプロ中のプロである優貴ですら、彼女の瞳に宿るチカラに怯んだのだ。

　事実、彼女は多くのことを話さなくても、優貴の来訪の意図を見透かしてしまった。
　そして入館の許可を誰にも連絡せずに行ったのだ。
　それは亜紀から全幅の信頼を貰い、かなりの権限を彼女に与えている事の証明だ。
　田原家の私設ＳＰは元警察官や傭兵出身者が多いのだが、彼らも彼女に対しては主人に準じる接遇なのだ。
　それにしても田原氏のマンションセキュリティはレベルが破格で政府の建物より設備が整っていているから、かえって人員を効率よく配分できるから経費節減できる見本のようなところだから感心してしまう。

　やたら広い応接室に通されると、今しばらく待つように言われるから不承不承座って待つことにする。
　飲み物をと訊かれたので、ブラックコーヒーをお願いしてしまう。
　しばらくする佐紀子がお盆片手に現れる。
　てっきりスタッフが対応してくれると思っていたから恐縮してしまう。
　そしてやたら接近して、彼女が左側に座ってくる。
　鼻腔を良い匂いがくすぐるから、ちょっと動揺して彼女を見ると視線が合ってしまう。

　優貴はもともとかなりモテるタイプで普段から女性からのアプローチは日常茶飯事で慣れっこで、その回避の仕方やいなし方は無意識で出来る域だし、公安としての護身の心構えとして間合いを常に意識しているのだ。
　その彼が一瞬にして懐に入られてしまい、驚いてしまう。
　思っていた以上に近くて、彼女の吐息が感じられるほどだ。
　目が大きくて美形な彼女にそんなに見つめられたら、優貴ですら心がぐらつく。
　そんな彼の動揺を見透かしているのか、耳元で囁くように話しかけてくるから堪らない。

佐紀子　「綾小路様って一途なタイプなのですか？」
優貴　　「エッ？　そう見える？」
佐紀子　「ふふ　奥様　追いかけて来られたからです」
優貴　　「まあ　そうだけど」
佐紀子　「ご心配ですか？」
優貴　　「否定はしないよ」
　　　　「気まぐれ　気ままなのは分かってるけど」
佐紀子　「そうなんですね」

　更に顔を近づけてくる彼女に怯む。
　瞳に映り込んだ照明の光がゆらゆら揺れている。
　思わず見とれてしまう優貴。
　
　スーと近づいてくる彼女がキスしてくる。
　思わず受け入れてしまう優貴。
　ベリー系のリップの香りが鼻腔をくすぐる。
　優貴は思わず抱きしめたくなる衝動をグッと我慢すると、急に彼女が離れていく。
　突然感じる喪失感に困惑する。

佐紀子　「あはぁっ　しばしお待ち下さいね」

　良い残り香を残して、彼女はあっさり別室に立ち去ってしまう。
　なんともいえない後悔の気持ちが広がる。

　ふっと思う。
　自分は試されたのだと気がついたのだ。

　彼女は来訪者を見定める重要な役割を担う立場であるが、それだけで先程のような行動をしたのではないだろう。
　男としての器量を見られたのだと感じたのだ。

「まいったな・・・ここは亜紀様が作ったオンナの城」
「佳子　君も　亜紀様と行動を共にするのかな？」



つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2021年10月9日掲載
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