ずっと愛してます4
羅衣 作
第39話　ホステススタッフ


　佳菜子の産休期間を活用して、彼女が銀座進出した際にサポートして警護するホステス兼ＳＰスタッフを養成することになった。
　これは悠希の発案なのだが亜紀が凌と相談して具体化したプロジェクトで、綾小路優貴の協力を受けて日本全国の女性警察官を中心に選抜が行われた。
　ＳＰとしての能力も満たし、容姿端麗で佳菜子に近い若い年代の候補が７名選出された。
　最終的に個人面談を行い最終的に２名が選ばれた。

・上条美琴（みこと）　新○優子似の２４歳
・松本莉佳(りか)　　　新○優愛似の２５歳

　２人は一般女性警察官で共に刑事志望であったが、警察機構のカリスマである綾小路優貴の誘いで今回のプロジェクトに参加したのだ。
　ＳＰ出身ではなかったが、ハードな警護任務ではないのでホステスとしての素養と容姿も重視しての人選であったのだ。
　銀座では女の嫉妬による嫌がらせや関西からの進出を良く思わない者達の攻撃が予測されることへの対処が主な任務だ。

　同時に彼女たちには一人前のホステスとしての技量も習得して貰って、佳菜子の片腕となることも求められたのだ。
　銀座での隠密な情報収集力強化という目的もあるから一種の潜入捜査なのだと優貴から直々の意向もあり、彼女たちは実に真剣だったのだ。
　ただ彼女たちは国家公務員でありながら、特殊任務の特例としてホステスとしての収入も得ることは不問とされたのだ。
　つまり事実上副業ありと認められたのだ。

　悠希のいる高級倶楽部に配属入店した２人は初めはピンときてなかったようだが、直ぐに報酬優遇の美味しさを思い知る。
　自分たちの基本給の十数倍が直ぐに手に入り始めるのだから、正直びっくりしたに違いない。
　悠希が吟味の上に吟味して人選した２人は期待通りの素養を見せる。
　もともと現職の警察官だからハキハキして行動力もあるし、人を見極める訓練もしているから実は即戦力になる２人だった。

　２人ともモデル級に容姿端麗であり、実はかなりのお酒好きで男性も大好きでそつなく甘え上手なところがあり、悠希の評価は上々であった。
　正直のところ、若手中の若手でバリバリの稼ぎ頭であった佳菜子の産休は倶楽部には痛手あった。
　佳菜子を指導監督する悠希としては、倶楽部の損失はフォローする義務があるから、新戦力ということでオーナーママに許して貰って２人を呼んできた流れであるから彼女たちの活躍は内心にんまりであった筈だ。

　実は彼女たちがＳＰスタッフ候補生だと知っているのは、田原夫妻と「美あんず」メンバーの女性陣だけで夫達には知らされていなかった。
　ゆえに祐司ら男性陣は彼女たちに興味津々であった。
　やはり悠希と両輪の華であった佳菜子の不在は皆が淋しく感じていたのだ。
　若く抜けるように肌が白くスタイルもモデル級で、顔立ちも美人の王道をいくタイプの彼女は１度掴んだ男達の心を鷲掴みにしてしまっていたのだ。

　期待の彩佳は色々多忙で週末しか出勤していない状況であったし、人材不足は深刻であった。
　キャバ嬢であれば、容姿とト－ク術、空気を読んで察する技術が人並み以上にあれば、あとは根性すら持ち合わせていれば一流にのし上がれるであろう。
　しかし高級倶楽部のホステスは、同程度では普通にしか成れないのだ。
　もちろん真面目に普通の会社勤め感覚で働いても、到底一流になれないのだ。

　容姿は大切だが、キャバ嬢と違って決して突出していない容姿でもナンバーワンになる一流ホステスは数多くいるのだが、ここに高級ホステスという仕事に難しさがある。
　高級倶楽部の顧客は、一流の経済人がほとんどだ。
　その彼らと、ちゃんと会話を成立させ、そして楽しませる場を作り出す事が求められる。
　当然、株価格の動向や経済ニュースにも通じていないと駄目だし、顧客を惹きつけるウンチクのひとつも言えるレベルでないと駄目だ。
　プライベートで経済人の宴会の場に顧客に同行することすらあるのだ。

　同伴出勤やアフターにしても、ただ食事を食べてご馳走様じゃ駄目だ。
　連れて行ってもらった店で、店の方に高評価を貰う言動や行動が出来るかが問われる。
　連れて行ってくれた顧客が、行った先の店で自慢できる女でありつづけることが出来るかだ。
　抜群の容姿があれば、そこで最初は楽をすることは出来るが、容姿は２度３度すればみんな見慣れるので、容姿だけなら飽きられるからお誘いが無くなっていく。
　ある意味、女として、そして人間としての総合力が問われるのが、高級倶楽部のホステスなのだ。

　悠希クラスになると会社社長から、経営上の２択をどちらか良いか意見を訊かれることがある。
　それも単純選ぶのではなく、選択した理由も明快に述べることが必要だ。
　そんな社外秘のことを話して貰うというのは、それだけの信頼を勝ち取る必要もあるし、なにより倶楽部ホステスには契約書こそ無いが守秘義務があるというのが暗黙のルールだ。
　このように夜の女に経営判断を選択させて参考にする会社社長は実に多く、酒の席であるが公然の秘密だ。
　日本では経営は未だ男社会だが、このように実は見えない形で女目線の経営判断が入っているのだ。
　そしてそれが煩雑に行われているのが銀座という聖地なのだ。


　ゆえにそれを出来る子が稀少なのだ。
　今の店で悠希が見つけたのは佳菜子ただ１人だ。
　これはもう才能でしかなく努力では掴めない能力だ。
　悠希の結論としては、そういう金の卵を初めからホステスになりたいという人の中から探すのは難しいという結論だった。
　そういった意味で、上条美琴と松本莉佳の２人は興味深く見つめていたが明らかに秀でている。

　まず顧客の名前と顔を一発で覚えるし、ちょっとした仕草も見事に観察していて覚えて対応したリアクションが直ぐ出来るという特殊能力を発揮する。
　考えて欲しい。
　例えば数ヶ月前、出張絡みでたった１度だけ高級倶楽部に行ったとしよう。
　そこで対応してくれたホステスが心地よかったので、名刺をもらう、もしくは名前を聞く。
　そして再度、来店したときにその時のホステスを指名すると、そのホステスが自分のフルネーム間違わずに覚えてくれていて、まるで数ヶ月前の続きのように持てなしてくれたら、きっと感動して以後毎回そのホステスに逢いに行ってしまうはずだ。

　彼女たちはそういった展開で、どんどん担当指名客を増やしていく傾向が顕著だった。
　若くて綺麗な子に、そのように持てなされて気に入らない男はめったにいない。
　２人とも刑事志望だから、もともと世の中の時事については日頃から勉強に余念がないから多少経済的なことに知識が足りなくても顧客に楽しい時間を提供することに苦労しない。
　面白いことに２人とも年上の男性に興味津々なタイプだったので、顧客との距離感も近いから彼らにもしかしたらという期待感を持たすのだ。

　悠希から見たら２人は逸材で、本来の隠密ＳＰでは勿体ないと考え始めるほどだ。
　ただ当の２人も似たように心境に変化が生じつつあったのだ。
　まず収入がびっくりするほど増えて、本来の収入では買えないようなブランドモノのバックがキャッシュで買える生活だし、それ以前にプレゼントされることが頻発する。
　激変した収入に若い女子の心は揺れてくる。


　彼女たちの素性を全く知らない祐司は、美琴に食い付いた。
　祐司にすれば、もう仕事終わりの息抜きの場がこの倶楽部通いなので佳菜子のお休みは淋しかったのだ。
　結果的に悠希もますます多忙になってしまい、佳菜子がいたとき以上に席に長く居てくれない状況なのだ。
　そんな時に入店した美琴ことミレイを気に入って、次第にどっぷり嵌まっていた。
　ハキハキ話して察しが良くて明るい性格で、次第に天賦の才能を見せ始める。
　そこに祐司はド嵌まりだ。

　美琴にすれば、祐司を代表とする「美あんず」の夫達は素性が分かっている安全牌だから気を許している。
　祐司に至っては週末一緒に働く彩佳の夫って知っているから尚更だ。
　ただプレゼント攻勢も凄いから、次第に口説かれていってしまう。
　かつての月収の数十倍するハンドバッグとか貰ってしまうと気が引けるし、同伴して貰うとご馳走も楽しめるのだ。
　警察官とはいえやっぱり若い女の子だから、HIGH SOCIETYの生活に憧れがないと言ったら嘘になる。

　まして「会」の諸事情は教えられているから、彼に不貞リスクが無いことを知っているから歯止めがかからない。
　いつの間にか芽生えた同僚、莉佳へのライバル心も祐司の存在で優越感を満たされる。
　よほどの太客でも無い限り肢体の安売りはＮＧと習ったが、数年も彼氏がおらずセックスは好きな方だから男が恋しいのが本音だ。
　本来の職業柄、なかなかワンナイトラブには踏み切れないし、彼の下半身の噂に興味津々だ。

　ネット無修正動画で腰を抜かすほどの黒人俳優の巨根は見たことがあるが、いくらなんでも日本人ではそこまでは無いだろうと高をくくっていた部分もある。
　酒場の疑似ラブゲームに毒されていく彼女は、高額なプレゼントもたくさんくれるし美味しい食事もたくさんご馳走してくれる祐司に、お礼に身体を許しても良いかなという意識になっていく。
　一応、同僚でもある彩佳にも気を遣い、彼女が昼間の仕事で博多出張で不在の日に行動に出る。

　祐司は愛妻が不在だから、やたら淋しがる。

　そこに計ったようにアフターデート中に隙をつくる美琴に遠慮無く食いついた。
　既に予約していた神戸ハーバーランドに建つ「ホテル ラ・スイート神戸○ーバーランド」にさっさと美琴を連れ込んでしまう。
　ラブホテルを想像していた彼女は、いきなりのラグジュアリーホテルのスイートに感動してしまう。
　調度品から窓から見えるオーシャンビューに心奪われてしまう。
　一般家庭に育った彼女にすれば、これは映画の中だけの世界に思えるのだ。

　シャンパンや果物が届けられて、もううっとりしてしまう。
　正直、彩佳のシンデレラストーリーが心底羨ましいと思ったのはこの瞬間だ。
　瞳は既にハートマークになっていたと、後で自分が恥ずかしくなるほど大人の女としてのガードは消失していた。
　彼女の知っている男は、二人っきりになったらガツガツ押し倒してきてセックスする男ばかりだが、疑似ラブゲームの流れで口説いている祐司は過程に拘る。

　バルコニーソファーに彼女を誘い、神戸港の夜景というシチュエーションを最大限に利用して口説きまくる。
　最高の環境で、女の子を高揚させる言葉のシャワーを浴びせて、口説かれる過程にプレミアム感を演出する。
　その上でのキザな台詞は破壊力満点だ。
　もとより受け入れるつもりの美琴は、彼にしな垂れ掛かってキスを積極的に受け入れてしまう。
　ここでも小一時間は抱き合って濃厚なキスをお互い楽しむからゆったりとした時間が美琴を包んでいく。

　もうすっかり美琴の中は祐司への気持ちで溢れんばかりになっている。
　大人のHIGH SOCIETY男性への憧れが溢れ出す。
　部屋に戻ろうかと言われた時に、迷うこと無く入浴したいと自ら言ってしまう美琴だった。
　浴室に案内されて、再び驚く。
　オーシャンビュージャグジーバスなのだ。
　一緒に入ろうかと言われてしまうが、雰囲気で断れない。

　やはり明るい部屋で、男性に裸身を晒すのはまだ戸惑いがある。
　様子で察したのか、彼がダウンライトしてくれる心遣いがとても嬉しい。
　彼が全裸になると同時に、彼女も裸身を晒す。
　彼の視線が恥ずかしいが、彼が手を優しく引いてくれてシャワーをさっと浴びさせてくれる。
　クイッと引っ張られて彼の胸に抱かれる。
　思わず見上げると自然にキスに流れていく。
　
　うっとりしていると手を引かれてジャグジーバスに誘われる。
　どうしてもホステスという仕事は脚がむくみやすいのだが、水流のバブルが想像以上に心地よい。
　自分で思わず脚をマッサージしてしまうのだが、彼が自然と優しく解してくれる。
　初めて裸身を晒しているのだが、バブルが結構視界を妨げるから彼女も大胆になれる。
　ここでもゆったりした時間が美琴を包む。

　そろそろ上がろうかと彼が目の前で立ち上がった瞬間に美琴は金縛りに遭ったように固まる。
　眼前に想像だにしない巨根がそびえ立っていた。
　唖然とするが同時にキュンとしてしまう美琴だった。
　久々に見た肉棒は芸術的な亀頭を有した巨根だ。
　引き起こそうとする彼に抗い、思わず桃亀に手を伸ばしてしまう。
　人生で初めて肉棒が欲しいと意識した瞬間だった。

　彼女の動きに固まる祐司。
　気がついた時にはパクッと彼女が桃亀に食い付いていた。
　思っていたよりエロい彼女に苦笑いだ。
　しばし彼女の技量を確かめたくなったので、バスの縁に座ってしまう。
　決して上手いという訳ではないが、一所懸命さが感じられるから楽しい。
　彼女を傷つけないように、幾つかリクエストする。

　思った通り研究熱心な女の子だ。
　伝えたことを確かめつつ、こっちの反応を見つつ舌の動きなど変化をつけてくる。
　こういう子はパートナー次第で、急激に伸びるタイプだ。
　彼女がのぼせると困るので、やや無理矢理中断させて引き起こしてディープキスする。
　ベットに行こうかと話しかけると、可愛く頷く。
　もうギンギンに硬くなった桃亀を揺らしながら、彼女の手を引いてベットに移動する。
　彼女はしっかりバスタオルで身体を拭いて、祐司の身体も拭いてくれる。

　こういう時にも女の子は几帳面だなと思う。
　ベット傍で急に振り返り、思いっきり彼女を抱きしめる。
　ここまで来るのに３ヶ月位は掛かっているから、感動一塩だ。
　キスをしながらベットに押し倒す。
　この瞬間、必ず女の子は小さく「きゃぁ」と漏らすのだが、それが大好物の祐司であった。

「いだだきまぁぁぁすぅ！！」



　莉佳は、祐司という安心できる太客を掴んだ美琴に後れを取ったと感じていた。
　もちろんたくさんの指名を頂いて忙しくはしていたのだが、昨年結婚を意識した彼氏と別れてしまいセックスはご無沙汰だったのだ。
　やっぱり女の悦びを知ってしまうと、欲求は抑えるのは大変だ。
　そんな不安定なところを悠希につかれて、女同士の関係に引きずり込まれてしまう。

　もともと高校生時代に女同士のキスは経験していて、少しその気は自覚していたのであっさりどっぷり落ちていってしまう。
　悠希に亜紀を紹介されたあたりから正直記憶が途切れ途切れだ。
　気がついたら凌に抱かれて、とにかく乱れ狂ったとしか覚えていない。
　亜紀凌夫婦との逢瀬は１度覚えると、もう週に何度も通い詰めてしまうほど夢中になっていく。
　
　しばらくするとびっくりするような待遇が待っていたのだ。
　凌からブラッククレジットカードをプレゼントされたのだ。
　初めは遠慮していたのだが、凌から日頃のお買い物は全て使って自分のお金は使うなとまで言われて開き直った。
　初めは好きなブランドショップでいろいろ買ったが、悲しいかな庶民感覚があるから直ぐ息切れする。

　そんな彼女が驚く変化が起こっていたのだ。
　今では亜紀から可愛がれている妹分の１人として認知されて、将来的に銀座進出チームを組む佳菜子とも頻繁に面談する機会が増えていく。
　上司である綾小路優貴と再会すると、いつの間にか莉佳に対して彼が自分に対して「さん」付けがされるようになるから自分の立ち位置に変化が生じていることを認識する。
　この変化に申し訳ない気持ちがあるから、やや強引に優貴をお店に引っ張っていく。

　優貴にすれば悠希と彩佳もいるから気を遣う場であったし、正直仕事任務以外で倶楽部など行かない堅物だから遊び方が不勉強だ。
　そもそも莉佳も同じ堅物から始まっているから、彼にも同じ空気を知って欲しいから一生懸命サポートする。
　莉佳はこの任務を引き受けた理由は、なにを隠そう優貴に憧れの気持ちがあったからだ。
　最近凄い美女と結婚したのは知ったが、別に不倫したいわけではなく素敵な男性への憧れだ。

　正直、亜紀凌夫妻によって、新しいピンク世界が華開いていて、肉体的快楽は満ち足りていたのだ。
　既に性的なことではここに来た頃とは比較にならないほど余裕がある。
　もう凌におねだりすれば、欲しいものはなんでも手に入るHIGH SOCIETYの生活にどっぷり嵌まっていたし、何人かの「美あんず」夫達とも楽しいデートを満喫すらしている。

　莉佳はこういう凄い任務に抜擢してくれた優貴に感謝していたから、彼のためにチカラになりたいと思っていたのだ。
　女目線で痛いほど分かるのだ。
　これから優貴は亜紀をはじめとする女性陣との連携が欠かせないから、もっと女の裏の顔を知った方が良いとの分析だ。
　もちろん奥さんも助力するだろうが、自分は亜紀とも直接交流したことにより多くのものを得たので、直属の上司である彼に伝えるのが責務だと思ったのだ。
　伝えるためなら彼との肉体関係もいとわないし、亜紀からも彼とのパイプ役をお願いされていたのだ。


　優貴はゼウスの極秘命令で亜紀の素性調査した張本人だ。
　彼女の素性はすぐに判明して血統は超一流ながら、その生き様に彼は自分に通じるものを強く感じて感服したのだ。
　そして強く惹かれた。
　何度か隠密で彼女に接触して話す機会も得た。
　一目で彼は心を奪われてしまう。
　人生初めての一目惚れであった。
　既に彼女は結婚して人妻であったから、正直諦めたと言って良いほどであった。

　以来、その想いは心の奥底に封印していたのだ。
　佳子が自分のことを見初めてくれて好かれているという認識があったこそ、彼女に逃げ込んだという側面もあったと自覚していた。
　この想いと迷いは妻となった佳子には見抜かれてしまったが、彼女はその全てを包み込んでくれたのだ。
　結果的に佳子と結婚できたことに感謝していたし、もうなにがあっても彼女に尽くす覚悟も本心だ。
　佳子は自らのプライドを捨ててまで自分への愛を優先してくれたという認識はもう感謝という言葉だけで足りないほどだ。

　とはいえ自分は男だから、そこは自信がないから意図的に亜紀との直接的交流は最小限にしていたのだ。
　しかし彼女が九条家当主代行となってしまったので、そうともいかない状況に陥ったので困惑していたのに佳子の方が先に亜紀の手中に落ちてしまったのだ。
　もう既に妻を通して、何度かお誘いを受けていて任務にかこつけて逃げてきたのだが、それも時間の問題であった。

　妻から自分に対しての亜紀の想いも伝えられていて、彼女も自分と似たような感情を抱いていたと知り、魂同士が惹かれ合っているのだと気かついてしまう。
　妻は従姉妹である亜紀との関係は問題ないよと言ってくれるが、それは女目線の事情で男の自分はそれどこではないと焦っていたのだ。
　正直、亜紀と郁美は、もう異次元の存在であって、彼女たちに逆らえる男なんて存在しないのだ。
　間違いなく亜紀と肉体関係が出来たら、自分は彼女に溺れてしまうと認識していたのだ。

「佳子　俺は・・・・・・・・・」


つづく
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2022年4月16日掲載
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