ずっと愛してます4


ずっと愛してます4 羅衣作
第48話　絢音の暗躍　田原グループからの「会」スタッフである金子瑛翔の妻である絢音(あやね)も、葵や美羽と同じく人生が激変してしまった女性だ。　「会」関連の施設が増えるに伴い、総務のプロである瑛翔は多忙だ。　妻である絢音も「会」運営に深く関わる流れになっていたのだが、もともとセックスに対する考えがフランクなタイプであったから、一緒に勧誘された葵を初めとする５人いた妻達の中では最も早く順応したのが彼女だ。　結果、一夫一婦制に繋がる道徳観の重石が消失してしまうと、あっさり奔放な女性に化けてしまった。　それが彼女の本質だったのかもしないが、葵と共に女性スタッフの要として大胆すぎるほどの活躍を見せていた。　実際に、女性スタッフで初めて「第二回関西の集い」ではオープニングショーに登場し絶賛を浴びたのだ。　もともと経験豊富な彼女は、「美あんず」メンバーからも一目を置かれるほど男性のセックス技量への評価がシビアであった。　したたかに多くの男性を楽しみながら、多忙な夫をベットで魅了しつつ盛り立てることに余念がないのだ。　夫が有利になるのであれば、枕営業もサラッとこなすタブー無しのスタイルは関西支部では異彩を放っていたのだ。　敬子により意気消沈してしまって、「会」での居場所がなくなってしまった黒人ＡＶ男優ダニエルを優しく包み込んで蘇られさせて関西支部の看板竿師にしたのは他ならぬ絢音だ。　彼女自身は徹のファンであることを公言するが、立ち位置をわきまえて適度に楽しむ範囲に踏みとどまっていた。　彼女にすれば愛すると決めた夫へのケジメであり、夫を盛り立てていくという女の意地だった。　そんな流れで郁美とシンパシーを通じ合って最も意気投合した女性スタッフだったが、あえて「美あんず」と一歩距離を取って現在に至る。　「美あんず」と距離を取ることにより、絢音はあらゆることから自由になった。　結果、「関西支部」スタッフでありながら、持ち前の美貌を武器に「関東本部」に浸透して、今では「会」運営幹部に匹敵するほどの立ち位置になった。　「美あんず」の看板が無かった為に、「関東本部」の男達には関西から来た普通の若妻と認識され、彼らはその美貌とスレンダーな肢体に魅了されてしまったのだ。　男達は肉体関係が出来ると女は自分に靡いたと思いがちであるが、彼女の様な女性はその数段上を行く。　巧みにピロートークで彼らを味方につけて、目的を達成していくのだ。　そもそも黒人ＡＶ男優ダニエルを「関西支部」に定着できたのも彼女の根回しの結果だ。　「関西支部」総務責任者である夫、瑛翔は、妻の暗躍もあって絶大な評価を受けて、まだ２０歳代にも関わらず、もう数百名の部下を統括する立場だ。　　彼女は「会」を通して、その裏にある支配層の存在を知って明確な野心を抱いた。　それは夫と共に、支配層に食い込みたいという途方もないものだ。　それには彼らのことをよく知らなければならない。　物事には表と裏がある。　表は郁美が十分すぎるほど見聞きしていたが、裏の部分が見えないことを郁美達「美あんず」は不満だったのだ。　しかし女の立場でそこを知るのは、女自身にそれなりの経験と器量が無いと逆に飲み込まれてしまう。　「美あんず」メンバーでは華やかになりすぎて、もはや裏の世界を覗くことすら難しい状況だった。　そこで絢音と郁美との間で利害の一致をみて、そのまま隠された協力関係が成立したのだ。　以来、絢音は暗躍し始める。　絢音は、既に５大老全員と肉体関係を持って彼ら全員を楽しませた結果、「関西支部」のスタッフなのに「関東本部」を顔パスで自由に出入りできる存在に化けていたのだ。　５大老全員と関係がある女性は、後にも先にも郁美と絢音の２人だけだ。　郁美が懐妊すると５大老達には一様に喪失感が漂っていたが、開幕の日に近衛家出身大老アレスをもてなし一夜で彼を魅了した絢音が彼らの前に現れたのだ。　もちろん郁美からアレスに絢音を手助けして欲しいとの根回しがあったことも一因であったが、アレスが絢音を気に入っていて寵愛していたことも大きい。　気つけば５大老が郁美に逢いに神戸に来る際には、絢音が常に彼らをお世話するようになっていたのだ。　５大老から見れば郁美に極めて近い女性と認識がありながら、やはり「美あんず」の看板が無い彼女の存在が手を出しやすいという感覚があったのだと思われる。　セックスでのタイプは、絢音は郁美とは真逆だ。　そのまま淫欲に溺れて彼らを驚かすほど貪欲に燃え上がり逝きまくり、正直、彼らですら彼女は発狂してしまうのではと心配するほどなのだが、翌朝起きるとケロッとして普段通りの彼女に戻ってしまうタイプなのだ。　精神的にタフなのか謎ではあるが、とにかく規格外の女性だった。　結果、縛って吊して色々責め抜いて、抱いて大満足できる彼女に彼らは郁美とは違った意味で魅了されてしまったのだ。　郁美と真逆なのは、それだけで無いところが彼女の摩訶不思議なところを際立たせている。　グラマラスな郁美とは正反対に、絢音はスレンダーな肢体でバストまわりもＢカップという貧乳で、お尻も決して大きいタイプではないのだ。　それなのに彼女は、女への細かい要望が多い５大老の面々を満足させただけでなく、気に入られて寵愛されていくことになる。　彼女が賢いのが、当初から支援してくれたアレスを大事にして最優先する態度を貫き通したことだ。　これは五摂家の中では近衛家は劣勢であった事情もあったから、アレスのプライドを満足させるだけにとどまらず、五摂家内での発言権を強める効果を生んでいくことになる。　結果、絢音はあらゆるトラブルや怨嗟からアレスの庇護を受けることに繋がり、最終的には周囲が驚く展開をみせて彼女の野心を達成することになるのだった。　　５年ほど前に妻を亡くしたアレスのプライベートは孤独で、身近には家臣しかいない状況で愚痴のひとつも言える者の不在な隠居老人には最大なストレスだ。　それでいて些細な発言でも家臣達は過剰とも言える反応をして、世の中の流れにまで作用してしまうほど影響力のある立場なのだ。　郁美との出会いは、そんなアレスには天の恵みであった。　彼女に出会うまで、どちらかというと書斎に籠もりがちであったのだが、今では活動的で近衛家本家にも定期的に顔を見せるほどであった。　そんなアレスが風邪をこじらせて発熱して寝込んだのだ。　郁美に直ぐに急報がもたらされて、彼女は心配でいても立っていられない。　彼女は絢音にアレスを慰問し必要なら滞在して看護して欲しいと依頼したのだった。　同様に驚いた絢音はその日のうちにアレスの元に駆けつけた。　高齢ということもあるが、高熱が続いていたので危機を感じて近衛家本家も騒然としている真っ只中だ。　絢音は近衛家本家に面会を拒絶されそうになるが、郁美の名代だとごり押しして強行突破して、アレスの元に辿り着いたのだ。　そして郁美と絢音が最も懸念した状況を目の当たりにする。　医師や看護師はたくさん常時傍に居るが、家族の姿は見当たらないのだ。　その日から３日間、絢音はつきっきりで寝ずの看病をしたのだった。　なんとか峠を越して、アレスはベットから絢音のお尻を触るほど回復する。　そこに郁美から高齢で病床にいる彼に最適なように工夫を凝らした愛情たっぷりの料理が届けられる。　アレスは絢音の介助で料理を食べながら涙する。　この出来事で、絢音はアレスから絶大な信頼と寵愛を受けるようになる。　それは実家である近衛家本家の者達を凌ぐ勢いだ。　絢音と郁美は純粋にアレスの身を案じただけの行動であったが、この出来事は瞬く間に５大老の間で伝わっていくことになる。　周囲の者達も五摂家の者達も、５大老達は若い女の色香にたぶらかされていると思っていて事態の深刻さに気がついていなかったのだった。　高齢の老人で権力者であるが、その前に現役の男なのだ。　彼らの身体を誰よりも真剣に心配して、誰よりも労ってくれる孫娘のような若い女性が２人も現れたのだ。　彼らがもっと生きたい、彼女達と楽しく余生を一日も長く過ごしたいと考え始めるのは避けられない。　彼らは絶対権力者であるから、彼らにとってはそれを邪魔する者は敵対者と見なすようになっていく恐怖の展開が訪れようとしていたのだ。　絢音はアレスが回復して元気になりしきりにお触りしてくる状況を上機嫌でスルーしていた。　まだ体力が十分に回復していないのに、エッチに発展したら腹上死させてしまうと注意していたのだ。　８０歳なのに、もう幼児のような駄々っ子と大差ない状況であり、宥めるのに忙しい有様だ。　今度楽しいことするから今日は我慢しようねと言い聞かせても、今度っていつなの？と食い下がるのだ。　五摂家の者達より早く敏感に５大老の意向に反応したのが「会」の者達だ。　先に郁美が登場して彼らは時流の流れが変わったのだと認識していたし、５大老の寵愛を受けている女性に対して些細な粗相も許されないのだと痛いほど思い知ったばかりなのだ。　そこに現れたのが絢音だ。　彼女の背後には郁美と亜紀の存在が見え隠れしているし、アレスが実の孫を凌ぐ寵愛ぶりが凄い。　そんな状況では男尊女卑がまだ強い「関東本部」の者達は、絢音の扱いに困惑した。　彼女からのお願いごとに困惑しながら応えなければならない。　異を唱えれば、直ぐにアレスから恐ろしいまでの叱責があるのは疑いようもない。　絢音は「関西支部」で大人気になっている黒人ダニエルに続く人材調査で物色していたのだ。　コンテンツとして黒人竿師は身体的な優越性は抜きんでているし、女性に与える性的なインパクトも大きいのに加えて、見ている男性陣に与える視覚的迫力も他には無いものなのだ。　暴力的な作品がＡＶに多いことで、なにより誤解されているのだが黒人男性は紳士的でナイスガイ多いのだ。　なので二人目の黒人スタッフ候補探しから始めていたのだ。　ただ実際問題ダニエルを越える人材となると、なかなか見当たらないのが現実だ。　そんな中、面白いカテゴリーの人材を紹介された。それは数年前に話題になり盛り上がったリラクゼーション系のタイ古式マッサージセラピスト「サーコン・パッタラクンワニット」だ。　タイ古式マッサージは、無形文化遺産に登録されたヨガ・指圧・整体などの流れをくむタイの伝統医学の一つで、その歴史は古く約 2500 年前に仏教とともにタイに伝わり現在まで受け継がれたものだ。　サーコンは、タイ国出身でタイ国男優ジェー○ス・ジラユ似の超イケメン３６歳で、タイ本国の総本山から３年ほど前から来日していて、タイ古式マッサージの日本での普及に尽力していたのだ。　彼は日本での普及活動に一区切りと考えて帰国を考え始めた時に、偶然知り合った知人を通じて「会」に招かれた。　そこで日本人女性の美しさに魅力を感じて、帰国を取りやめて日本人女性の肢体開発に取り組みたいと考え始めたところだったのだ。　正にそのタイミングで、「会」から最適な女性がいると絢音を紹介されたのだ。　早速彼は自身のプライベートサロンに彼女を招く。　彼にすれば「会」出会った女性達は４０代から５０代中心であり、既に肢体的に熟成して開発尽くされた世代が多くて意図するタイ古式マッサージで行う女体開発には若い女性を求めていたのだ。　ただ一般でそのような行為を行うと、犯罪となってしまうので踏み出せずにいたのだ。　そういった意味ではアラサーの絢音は待ちに待った素材だと認識していたのだ。　絢音は、タイ古式マッサージというものが経験が無いだけに、期待半分不安半分だった。　ただサーコンの写真を見せられて、あまりのイケメンに違う意味でトキめいてしまっていた。　初対面も実に爽やかな印象であり、マッサージ施術の説明も正直上の空で聞いていた。　サーコンは日本語が達者で、ますます気を許してしまった部分もあったろう。　ロビーの空間もいわゆるエステサロンの様な作りであるし、タイをイメージするようなアロマが漂う実にリラックスする環境だし、ソファーも適度なホールド感があって実に心地よい。　１５９cmという日本人女性としては平均的な身長の彼女からみて、サーコンは１８４cmあって胸元までしかない身長差があるから夫との違いがリアルだ。　タイ古式マッサージは頭の先からつま先まで全身くまなくマッサージを行い、施術者は手の平やヒジやヒザ、足など体の色々な部分を使い筋肉を刺激して、センと呼ばれる人体を流れるエネルギーラインをゆったりとしたリズムで刺激し、こり固まった筋肉をゆるめていくことにより、血流が促され、自律神経のバランスが整い、人間が本来持っている免疫力や自然治癒能力を高める効果があると説明される。　そこに彼が考案した新たな手法は、女体しかないツボを効果的に刺激するようにマッサージし女体に秘められたアクメのリミッターを解放して、新しい女体の魅力を引き出し開発するのだという。絢音　　　「まあ　なんか凄そうな施術ですね」サーコン　「凄いというより　蕩ける感じです」絢音　　　「なんかドキドキします」サーコン　「一応　名称はオーガヨガと呼んでいます」絢音　　　「・・・・・・・・」サーコン　「施術には妙薬入りオイルとスチームを」　　　　　「使いますので」　　　　　「１度経験したら　もう虜ですよ」絢音　　　「期待させすぎ」　　　　　「では是非体験させて下さい」サーコン　「では　あちら施術室の奥に」　　　　　「シャワー室ございますので」　　　　　「こちらを着て施術室でお待ち下さい」絢音　　　「まあ　この下着　紙製？」サーコン　「はい　施術は全裸で行いますので」絢音　　　「そっそうなんだ・・・」サーコン　「ご心配なく　私も全裸なので」　　　　　「お互い様で　恥ずかしくないですよ」絢音　　　「そう意味でないんだけど　そうなんだ」サーコン　「これがタイ古式の流儀です」絢音　　　「・・・・・承知しました」　絢音はシャワーを浴びて紙製の下着を身につけてみたのだが、ほとんど申し訳程度で動けば肝心な具はポロリしてしまう代物だ。　さすがは「会」が推奨するエロマッサージ師だと感心してしまうが、さすがに初対面でその姿は気恥ずかしいので、その上にバスタオルを巻いてしまう。　施術室に戻るとダウンライトされていて、独特な雰囲気だ。　室内はタイのテイストを感じる調度品で整えられていて、畳状のマットが敷き詰められた床にはタオル地の施術マットがセッテイングされており、いつの間にか大きいスチームマシンが２台稼働していて今まで嗅いだことがない官能的な芳香が室内にたちこめている。　戸惑っていると、白いガウン姿のサーコンが透明ガラス製のティーポット状のものを持ってやってくる。　容器にはウーロン茶のような濃い色したオイルがはいっており、ラメが入っているのかキラキラ光るものが添加されているようだった。　施術マットに横たわるように促されて従うのだが、いつも通っているエステとは全く違う雰囲気に戸惑う。　室内は更にダウンライトされて黄色い電球色の優しい光源に調整されると、唐突に顔にスチームが吹き付けられる。　カーと頬が熱く火照っていることに気がつくと、今まで感じたことのない胸騒ぎがざわめく。　そのまま言葉巧みにバスタオルを外されてしまうと、もうほぼ全裸状態だ。　やっぱり恥ずかしいからモジモジしていると、タオルを顔に掛けられて視界を奪われる。　するとタイ楽器の演奏が低い音量で流れてくる。　鎖骨のあたりにオイルがかけられて、彼の手で塗り広げられていく。　視界を奪われているから彼の手の動きに全てを支配されていく、ゆったりした時間が絢音を飲み込んでいく。　まず両腕を隈無くマッサージされて、あまりの心地よさに心奪われていく。　絶妙なチカラ加減だし、確実に腕が解きほぐされるような感覚は初めての感覚だ。　既にこの時点で、胡散臭いエロマッサージとは違うのだと納得したのだ。　ただしドンドン肢体が芯から火照ったように熱くて、次第に呼吸が荒くなっていくことに戸惑う。　当たり前のように両腋も揉みほぐされると、当たり前のようにバストも揉みほぐされ、気がついたらバストトップも指で挟まれて好き放題にマッサージされていく。　急激に高まる経験したことの無い熱い感覚に動揺すると、下半身に妖しい変化が起きていることに気がつく。　バストからウエストもマッサージされると、ゾクゾクと強い刺激が肢体を貫く。「あっあぁぁぁぁぁぁなにこれっ！！　ヤバい！！」　高まった期待を見透かしたように、腰付近をマッサージが素通りする。　思わずじれったい気持ちがモヤモヤするが、お構いなしにそのまま肢体をうつ伏せに返されると彼がお尻上に馬乗りになってくる。　もちろん体重をモロにかけていないので圧迫されているわけでないが、想像していない展開にちょっと困惑気味だ。　片脚ずつ足の裏から太ももにかけて丁寧にマッサージされていく。　定期的にたっぷりオイルが塗布されるから、なんとも言えないヌルヌルが経験したことが無い感覚だ。　次は首筋から背中、脇腹、腰にかけてマッサージされていくのだが、もう気持ち良すぎて変な声が出てしまうことが我慢できなくなってく。　もう下半身は火がついたように火照ってムズムムズして、正直落ち着かないから両脚を摺り合わせてしまう。　男性による施術とは思えない繊細で絶妙なチカラ加減なのだ。　不意に引き起こされて胡座の姿勢に誘導されると、彼が背後に密着してきて抱きしめられる。「えっ！！　！！　！！」つづく
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2022年10月1日掲載
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