ずっと愛してます5
羅衣 作
第29話　女の心変わり


　ポセイドンの変化に真っ先に気がついたのは「会」関西支部５大老接待担当の金子絢音であった。
　５大老が来神した際には彼らに密着してあらゆることをお世話にするのだが、かなり長期滞在するポセイドンにはいろいろと心砕いてお持てなししていたのだ。
　そんな彼が日に日に絶倫になっていく急激な変化にモロに晒されたのは彼女だった。
　あまりの激しさに腰が抜けそうになって数時間立って歩けなくなることが続くと、さすがの「鉄マン」を自称する彼女も焦り出す。

　相手は８７歳の高齢者なのに若い現役世代の男たちを圧倒する絶倫ぶりを発揮されると、その蓄積した卓越した女を狂わす知識と技の完成度は破壊力満点なのだ。
　まさに彼に掴まるとひたすらやりまくりになって、もはや足爪の垢まで舐め尽くされて身体芯まで犯されつくしてしまうのだ。
　そして実際、絢音は次第に彼とのセックスにどハマりしだしていたのだ。
　それでも快楽は快楽、自身の立場と立ち回りは区別するだけの精神的骨格と郁美とあうんの呼吸で連携できるオンナであったから冷静に考えられたのだ。

　ポセイドンの絶倫化と若返り現象をもたらしたのは、間違いなく「魔性のエキス」の多量摂取そして日常摂取しか考えられない。
　神戸にはそんな女性は郁美と亜紀の２人しか「会」では認識されていないし、郁美は出産直前の妊婦であって状況的にポセイドンが密会している様子は考えられないし、亜紀はもはや異次元の天女でありさすがのポセイドンであっても手が出せない存在となってるのだ。
　絢音にすれば存在を知らない「魔性」を持つ女がいると知って驚き焦ったのは間違いない。

　「魔性」の女は同じ女にとって同胞でありながら、その女を手に入れた男が魔王と化す脅威にもなるのだ。
　絢音はポセイドンに抱かれながら秘密を探ろうと必死で抗ったが、意識を何度も跳ばし逝かされまくって連日彼の軍門に屈服され続ける。
　強力なのは彼が効果的に使ってくる媚薬だった。
　違法薬物を越える効用がありながら、それでいて危険な副作用を一切排除した合法薬物という日本薬学技術の粋を極めたものなのだ。

　絢音は「会」関東本部に出入りして、その幻の媚薬の存在を知ったが、その全貌は５大老達が独占していて五摂家の人達ですら存在は知れど手には入れられない秘薬中の秘薬なのだ。
　ある意味、５大老が現役を退いても五摂家の最高権力者であり続ける象徴的な立場独占でもあるのだ。
　５大老は体力が衰えても、いつても欲しい女が現れたらその媚薬を駆使して現役世代を圧倒して奪うことが出来る立場確保していたのだ。
　それを知った絢音は身の危険を感じたのは言うまでもない。

　絢音とて薬物のセックスにおける中毒性は認識しているから、彼らが独占する媚薬はオンナにとって危険なものだとよく理解していたのだ。
　絢音はアレスに近衛家媚薬を体験する機会をおねだりしたが、彼は絢音心身のこと本気で心配して使うことを渋り続けていたが体験する機会を得たのだ。
　その結果は凄まじくもともと淫乱に乱れる彼女ですら限界を越えて絶叫して逝き乱れて白目剥いて涎塗れになってしまったのだ。
　しかも中毒性が凄まじい。
　以来、アレスにおねだりして度々満喫するように堕ちてしまったのだが、彼が使用量を抑えて彼女を守ってくれたから無事だったと言って良い。

　そのお陰で絢音は郁美と同様に耐性が出来て、いつしか媚薬を楽しめるオンナに化けていたのだった。
　これによりポセイドンの媚薬による翻弄に負けることがなくて、むしろ積極的に乱れて荒れ狂ったのだった。
　当初はポセイドンは驚いたことだろうが、アレスが寵愛している絢音はアレスの本当の庇護を受けているのだと知ってある意味納得したのだ。
　特定の５大老に寵愛された女は特別な女たちで、他の５大老はそれを尊重する絶対的な不文律があるのだ。

　ポセイドンは若かりし頃を彷彿とされるエネルギッシュな血潮に身を焦がし肉欲が爆発寸前で、紗弥は週に数度しか逢瀬出来ないから煩雑に限界無しに相手をしてくれる絢音が欲しくて仕方がないから遠慮無く彼女にむしゃぶりついたのが真相であった。
　都合の良い絢音と連日心ゆくまでセックスすることが楽しくて仕方がなかったのだ
　彼の豊富な経験をもってしても、「魔性」の女たちは例外として性的快楽を破壊的に与えて精神崩壊しない女性は絢音が初めてなのだ。

　それが５大老達が彼女にどハマりした理由でもある。
　彼らのように道楽はセックスだけで退廃的行為を繰り返してきた性癖は、もはや病的で普通のセックスでは満足しないほど狂っていたのだ。
　ポセイドンが異常なほどサディスティックを好むのも一例だが、彼らが高齢で精力が年齢相応に衰えているからこそ現在程度の秩序で済んでいるというのが真相だ。
　その秩序を壊す存在が実は「魔性のエキス」なのだ。
　
　絢音は郁美が絶賛する強欲なオンナであった。
　だからポセイドンの迸る精力を吸いまくり媚薬を使われても絶叫し逝きまくり快楽の桃源郷を満喫しながら、彼を飽きさせず自身に夢中になるように演技と工夫を懲らし努力を片時も怠らない床上手は天下一品であった。
　彼女はスレンダーな肢体を武器にして男たちを魅了して彼らの富も権力も自らの元に引き寄せる究極の悪女なのだ。


　ポセイドンは紗弥との関係を極秘にしていて、側近ですら知ることも許さず知った者には少しでも漏らしたら粛正すると鬼の形相で抑圧していたほどであった。
　そんな彼も絢音には甘かった。
　彼にとって口答えしたり周囲を詮索したりして許してしまう存在は３人の女性しか存在しないのだ。
　もはや郁美は盲目的に可愛い存在で、亜紀は憧れの女帝であって老骨に鞭打って見守りたい存在なのだ。
　そして第三の女としてしっかり食い込んでいるのが絢音となっていたのだ。

　そういう流れもあって、媚薬という脅威にも負けずに虎視眈々と秘密を解き明かそうとし続けられた存在は間違いなく絢音しかいなかったであろう。
　ポセイドンとすれば秘密を探りたがる絢音は悩ましいが、アレスが寵愛する彼女を臣下のように威圧する訳にも行かず、有り余った迸る肉欲を満たしてくれるのは彼女が最高の存在なのは否定できず彼女を遠ざけるなんて出来ない有様だったのだ。
　激しいセックスの後、ネットリと至福のお掃除フェラをしてくれる絢音は彼にとっても特別な女になっていた証でもある。


　女にとって子育ては夫たちが考えている以上に重大事と考えているし、そこには一切妥協したくないという拘りがあるのだ。
　多くの夫たちがつい妻に任せぱなしになったり、都合の良い時だけ手伝ったりして自身も子育てしていると自負しがちだ。
　特に真也に至っては母親の愛を知らない父子家庭で育っただけに、家庭内の愛に不慣れで自らの仕事に逃避してしまうところもあったのは間違いない。
　そこに晶子とのことがあって、真也と紗弥の夫婦関係に微妙な隙間風があったことも否定できない。
　これは若夫婦であれば必ず経験する過程であろう。

　ポセイドンは巧みにその隙を効果的に突いて、紗弥に忍び寄ったのだった。
　齢８７歳に達する長老で３周回った人生経験を持つだけに子育て中の若妻が抱える不満など知り尽くしているし、妻と母親の間を揺れる女心も理解している。
　ゆえに母親としての彼女を讃えてこれからの支援を約束して優しく抱き包んでいく。
　実際、彼女に鷹司家の子女並みのあらゆる支援体制を用意してしまうのだ。
　専属の乳母が着任して彼女の子育てにおける負担はほぼ皆無になっていくのはあっという間であった。

　紗弥とて夫真也の生い立ちを知っているし、晶子とのことも理解しているから彼を愛する気持ちはなんら損なわれていない。
　それでも女は欲張りなのだ。
　全てを理解して優しくフォローしてくれるポセイドンに急速に心が傾斜していく自分に歯止めが効かないし、いつしか強い愛情が芽生えていくのだ。
　それは逢瀬して抱かれれば抱かれるほど強くなっており、祖父並みの高齢の彼であったが既に１人の男性と意識している自分の存在に気がついていたのだ。

　当初は媚薬に惑わされて自分を見失っているだけと考えて、必死で自分を取り戻そうと彼女なりに抗った。
　聖乳を我が子と競うように吸われて、次第に彼女の中で経験したことがない未知の感情が芽生えていく。
　なに不自由なく欲しいままに人生を送ってきた筈のポセイドン本来の姿は、未だ人生を諦めておらず生への執着する１人の男に過ぎないというものだった。
　そこで初めて真の意味で５大老達が郁美に執着する意味を理解したのだ。

　同時に自身の影響でみるみる若返っていく彼の姿に、改めて自分が持つ「魔性」のエキスの凄さを実感する。
　当然のことながらポセイドンの悪意のある意図にも襲われたあの日から早々に気がついているのだ。
　彼が自身を手に入れるためなら何を行うかの近未来予測は容易なことだった。
　彼はタダの老人ではないのだ。
　自身を弟子から強奪しようとする行動に潜む危険にも気がついていたのだ。

　次第に諦めの感情が芽生え始めると共に、自らのエキスで絶倫と化した彼の卓越益したセックスの奥深さに為す術も無く深淵に転落していくのだった。
　それは以前郁美が語っていたこと、卓越したセックスを披露する男に女はあっさり心奪われてしまうという女の本質とも言える業の恐ろしさであった。
　愛されてアクメを極めて逝かされてしまうと肢体の芯に入り込まれて抗えなくなってしまうのだ。


　紗弥はとある日も多忙の中で時間を作って昼下がりに彼の元を訪れる。
　ポセイドンは午前中訪問してくれた絢音で散々楽しんだ挙げ句の逢瀬だったが、嬉々として若い肢体にむしゃぶりついていた。
　もはや青春の日々を彷彿とさせるほどに湧き上がる熱い下半身に持て余していたのだ。
　その全てを蘇らせてくれたのは足繁く通ってくれる女神のような美しい裸身なのだ。

　いつものようにベットに押し倒すと鼻息を荒くしてワンピーススカートに潜り込む。
　既にスカート内は発情した女臭で充満している。
　ポセイドンをもう既に蜜壺がヌレヌレで心待ちにしているのだった。
　紗弥は彼を訪れる際には下半身は下着など身に付けずにやってくるとこが恒例化していたのだ。
　これは彼が指示したわけでもなく彼女が自発的に行っていることだ。

　ポセイドンはスカート内で見えないことを良いことにもはやエロ爺そのものの破顔ぶりで若い肢体にむしゃぶりつくのだ。
　既にたっぷりとエキスがプンプンとする女蜜が太もももに伝わっているから、ネットリとそれを粘質に舐めとっていくのだ。
　そしてスカート内に充満する若返りの芳香を鼻腔を膨らまして思いっきり吸い込んで手に入れた女体の素晴らしさに舌鼓を打つ至福の時間なのだ。
　そんな彼の緩慢な動きがじれったいのか、彼女が彼の頭部を自身の股間に押しつけるように両脚で押しつけてくるのだ。


　紗弥は自分自身が堕ちてしまったと自覚がある。
　出産後も女としての顔を取り戻そうと努力して、夫真也も情熱的なタイプでそれなりに夫婦生活は復活して仕事と子育ても両立して充実した毎日を送っていたのだ。
　ただ真也が一概に悪いわけではないのだが、やはり子育ての負担は彼女に重くのし掛かっていたのは事実だ。
　もちろん「美あんず」保育園など充実した環境があって、一般的にはその負担は大幅に軽減されているのだがそれでも夜泣きの対応などは地味に蓄積してくるのだ。

　性の差で乳児の泣き声に対する検知能力は天と地ほど違い、隣で泣いていても夫は目を覚まさないなんて普通に起こるが妻は別部屋でも検知して反応出来るのだ。
　当初は呑気な夫に不満が爆発して喧嘩してしまったのも１度や２度ではない。
　それも大先輩の里奈や晶子から、性の差で視聴覚の違いがあって乳児は母との繋がりが強くて夫たちが反応鈍いのは致し方ないとアドバイスされて以来頭では理解して妥協して受け止めていたのだ。
　子育て若夫婦がどこでも経験する些細な不協和音だ。

　その若妻が抱える僅か心の揺れを不意打ちで突かれてしまったのだ。
　彼女の場合、「魔性」を意識的に抑制してきたキャリアウーマンという弱点が潜んでいたのだ。
　ポセイドンの卓越した知識と技術そして強烈な媚薬が彼女の理性が作り出した封印を木っ端微塵に破壊してしまったのだ。
　これまで抑制してきただけに性的快楽への欲求が制御不能になって爆発してしまったのだ。
　丁度、起業した会社の正念場であり、真也はどうしても比重がそちらになって妻の緊急事態を見過ごしてしまったのだ。

　ポセイドンは５大老随一のクンニ帝王であり、紗弥はあっという間に彼のテクニックの虜になってしまった。
　粘質に情感たっぷりに壺を押さえて執拗にしてくれるクリニングスに彼女は屈服して転落してしまった。
　気がつけばクンニだけして欲しくて僅かな短い時間でも彼を訪ねるほどの堕ちっぷりであった。
　正直、自慰行為を遥かに超える快感であって、ムラムラと火照る覚醒した肢体が理性とは関係なく欲しくて堪らなくなってしまうのだ。
　予備知識として郁美などから卓越した男たちはその手のテクニックを駆使して女を陵辱してくるからと教えて貰っていたのに、心のどこかで油断があったのは認めざるを得ない。

　理性で作り出した自制というバリヤーを強制的に剥がれてしまうと、彼が紡ぎ出す性的快楽の凄まじさに肢体が勝手に歓喜の声をあげて狂ってしまった。
　自分自身でも嘲笑気味に頭で考えているのに、肢体の渇望は凄まじく公然と嘘をついて多忙の中で時間を作ってポセイドンの元に勝手に足が向いてしまうのだ。
　初めは媚薬のせいだと冷静に受け止めていたが、次第に祖父を超える高齢の老人に抱かれている自分に経験したことの無い背徳感に萌えていると自覚してしまった時から深淵に自ら堕ちてしまったのだ。

　彼の肉棒も最大径５０ミリに達する極太の逸物で竹のように複数節がある特徴的な魔棒であって、受け入れてピストンされるとどんな体位でＧスポットを絶妙に擦られて、嵌められたら前後不覚に狂ってしまうのだ。
　郁美も危険な肉棒三選に挙げていた古刀であったが、年齢もあって落日の気配があったのだにもかかわらず自らのエキスで完全復活させてしまったことを気づきなながら紗弥はミイラ取りがミイラよろしく魅了されていったのだった。

　ポセイドンはこれで彼女が手に入らなければ、間違いなく弟子である真也の命を奪いかねない状況でもあったし、実際２人の関係を知った臣下を想像を絶する威圧ぶりを目撃してしまったのだ。
　ポセイドンは本気であり、絶対権力者としての権力に留まらずあらゆるチカラ行使する気満々なのだ。
　彼は自分を手に入れるためなら手段を選ばないということは臣下達への彼の態度で明らかで彼らの怯え方で容易に推察がついたのだ。
　もはや自分自身も心引っ張られている状況では下手に抗っても好ましい未来は訪れないと感じ始めていたのだった。

　女は何事にも自身が納得する理由を作りたがる。
　急速に膨らむポセイドンへ雌としての傾斜は、次第に彼女の中で彼から夫である真也を守りたいという想いと結びついていく。
　気がつけばその理解が彼女の中で正義になり、夫に相談無く勝手に自身を悲劇のヒロインよろしく決断してしまうのだ。
　そして密かに芽生えた女だけに許された悪女として誘惑に負けてしまうのだった。
　

　まさにそんなタイミングで絢音にポセイドンとの親密な関係を見つかってしまうのだった。

　さすがに「美あんず」は騒然とする。
　そんな喧噪をよそに紗弥は思い切った行動に出る。
　離婚届を置いて真也の元を去りポセイドンの保護下に身を寄せてしまうのだ。
　慌てる真也であったが相手は師匠であり絶対権力者であったから、為す術も無く呆然として日々を過ごしていくことになるのだった。
　彼にすれば突然起こった妻の裏切りであった。

　紗弥のそれからの行動は冷淡そのものだ。
　平然とそれまでの情熱そのままに仕事も出社しこなしつつ、平然と真也とも仕事のやり取りをこなしていき晶子も含めた会社の皆も三宅夫婦の破綻に誰も気がつかない状態だったのだ。
　真也は困惑しながらも会社では彼女に接しつつ失ったモノの大きさを実感するのだった。
　間もなく彼女の名刺表記が「三宅紗弥」から「達木紗弥」に変わったことで皆が驚くことになるのだった。
　それでも真也は紗弥を責めることが出来ずにいたのが真相であり、妻では無くなったが引き続き身近にいて自身を支えくれる彼女の存在を受け入れていくしかないのだった。


　郁美は騒然とする中でなにも発言しなかった。
　そんな郁美を紗弥は訪ねてくる。

紗弥　「ごめんね　郁美大変な時に騒動起こして」
郁美　「大丈夫よ　それより本当に良いの？」
紗弥　「真也を守るには　これしかないの」
　　　「冬輔は本気よ　誰の言葉も聞かないから」
郁美　「冬輔・・・そうポセイドン様をそう呼ぶのね」
紗弥　「ごめんね」
郁美　「私に謝らなくて　よくてよ」
　　　「そうポセイドン様に　運命感じたのね」
紗弥　「郁美が以前言ってこと」
　　　「初めて　分かった気がする」
　　　「そして女に　私が生まれた意味と運命を」
郁美　「私こそ　ごめんね」
　　　「もっと　いろんなこと話すべきだった」
紗弥　「ううん」
　　　「これって女１人１人自身で学ぶべきこと」
　　　「真也には　残酷だと理解している」
　　　「でも　いつか　いつの日か」
郁美　「これも　わたし達の宿命なのかもね」
紗弥　「筋違いかもしれないけど」
　　　「真也　助けてあげてね」
郁美　「それはね」
　　　「でもね」
　　　「それは紗弥も見守ってあげて欲しいかな」
紗弥　「うん」
郁美　「彼だけに留まらず」
　　　「夫たちの動揺が凄くて」
　　　「それが　ちょっとヤバい」
　　　「だって」
　　　「妻の心変わり　恐ろしさ目撃したんだもん」
紗弥　「そうかぁ　そうだよね」


　半年後、彼女はポセイドンこと鷹司冬輔の後妻として鷹司紗弥となり、彼の愛情を欲しいままに君臨し始めると恐ろしいまでの悪女ぷりを発揮し始めると鷹司家は騒然とすることになる。

　突然現れた若い後妻に長い歴史を持つ名門一族だけにいろいろと異議を申し立てする者現れるが、彼らはその危険性に気がついていなかったのだ。
　そもそもだがポセイドンは紗弥が本心から自分に対して愛情だけで身を寄せてきたとも考えていないし、犠牲を払っても自分の我が儘を受け入れてくれただけと考えていたのだ。
　それゆえに彼女に代償として全身全霊の愛情と自身の持つ全ての富と権力を与えると誓っていたのだった。

　それによってポセイドンが得たものは、最高齢の５大老でありながら今では現役世代に匹敵する若々しさと精力的な活動力にあった。
　結果、彼女のことについてあれこれ意見する者は全て反逆者と見なし、紗弥が懸念した通りの冷酷な暴虐武人ぶりを発揮して次々と残忍な粛正が始まり名実共に抹殺していくことになるのだ。
　その魔の手は当主であったポセイドンの実子である鷹司和輔にまで及んで当主剥奪そして廃嫡という戦国時代さながらの事態に発展する。

　他の五摂家はこの事態を驚愕しつつも見て見ぬふりして静観を決め込んだ。

　実際他のゼウスをはじめとする５大老達もかつてないほど元気であり改めて「魔性」の女の破壊力を見せつけていたのだった。


つづく
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2024年4月28日掲載
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