ずっと愛してます5
羅衣 作
第３話　女帝降臨３


　アグライアの目配せで、瑠菜はたっぷり溶け貯まった赤蝋燭２本を躊躇いもなく傾けた。
　生け贄の局所に一気注がれる赤蝋にいきり立ったモノはあっという間に赤く包まれていく。
　皮膚的に弱く鋭敏な部位に、いくらプレイ用の蝋とはいえ相当熱く痛いはずだ。
　バタ狂いながら、局部は未だおっ立ててる様は滑稽でもある。

　アグライアが魔杖を操作すると、生け贄の肢体に小刻みな痙攣が走り始める。

　次第に泡を吹き始める生け贄の様子を３人の女王達は虫けらを見るような目で見下ろしていた。

アグライア　「これって つまらない」
マリア　　　「一気に電圧上げて」
　　　　　　「丸焼きにしたら　どうでしょう」
瑠菜　　　　「アグライア様　もう逝ってます」
アグライア　「あらっ」

　アグライアは退屈だったらしく、右手手首だけで「どけろどけろ」と再びジェスチャーする。

　２人目犠牲者も黒服達に担架で運び出されていく。


　どよめきと共にザワつく場内。
　３人目犠牲者に皆が興味津々のようであった。

　Ｙ形状の拘束具に括り付けられた生け贄は、皆誰もが知る現職の若手国会議員であった。
　それまでの２人とは違い完全の全裸であり、立派な逸物が滑稽なほどいきり立っている様が印象深い。

アグライア　「ほおぉ　そなたは清く正しくじゃない」
生け贄　　　「あぐぅ　おぉっおしおきぅうぉぉぉ」
瑠菜　　　　「彼は　アグライア様に禊ぎを」
　　　　　　「与えて頂きたいと願っております」
マリア　　　「あら　ただの変態かと思った」
アグライア　「なかなか経歴　良き」
瑠菜　　　　「彼は若き日　好きな人と別れたことを」
　　　　　　「悔いております」
アグライア　「ふむ」
　　　　　　「それとて本人の意思ではなかろう」
　　　　　　「大人事情であろう」
　　　　　　「それは　責めに値せぬ」
生け贄　　　「ふっおしおきぅうぉぉぉ」
マリア　　　「憐れな」
アグライア　「よかろう」
　　　　　　「それを罪と自身が言うのであれば」
　　　　　　「罪と認めようぞ」

　バシィチィィィィィィィン！！

「いがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁくぅぅ！！」

　バシィチィィィィィィィン！！

　穏やかなトークとは裏腹の容赦ない鞭打ちが行われる展開に会場には戸惑いが流れる。

アグライア　「それほど恋しいか」
　　　　　　「愚かな　一生に１度しかない出会い」
　　　　　　「今頃知ったか！！」

　バシィィィィィィィン！！

「あぐぅぅっ　あがぁぁぁはぁぁぁ」

　バシィチィィィィィィィン！！

アグライア　「人の一生は短い」
　　　　　　「そなたが未だ悔やむ別れ」
　　　　　　「それがそなたが一生背負う定め」
　
　魔杖で生け贄の腹を乱暴に突く姿に会場が静まりかえった。

アグライア　「そなたは　それでなにを得た？」
　　　　　　「良き男よ」
　　　　　　「自らを罰する為に　ここに来たのか」
　　　　　　「ならば 真の悦びを与えん」
　　　　　　「プラグを持て」
瑠菜　　　　「かしこまりました」
マリア　　　「うふふ　それは素敵です」

　会場の皆が固唾をのんで見つめている。

　瑠菜が黒いアナルプラグのようなものを手に会場に戻ってくる。
　魔杖を突き出すアグライア。
　瑠菜は手慣れた手つきで魔杖の先端に持ってきたプラグを取り付けた。

マリア　　　「すごいぃ　もうお披露目なのね」
アグライア　「いざ電撃プラグ試さん」

　マリアが乱暴に生け贄をＹ拘束具から引き離して、首と両手首を固定する枷に拘束する。
　嫌々する生け贄に容赦なく膝蹴りをする様がサディスティックそのものだ。
　会場の皆が興奮している空気感がそれを加速させていくのだ。

　瑠菜がおもむろに持っていた巨大な浣腸用注射器を男の肛門にぶっ挿すと、表情を変えずじわじわとピストンを押して中の液体を注入していく。

生け贄　　　「がぁっうぐぅふぅぅぅぅぅがっあ」
アグライア　「整ったか」
マリア　　　「さあ　尻を出すのよ」

　バシィチィィィィィィィン！！

「あがぁぁぁはぁぁぁ！！」

　容赦なくプラグをアナルに押しつける。
　潤沢にローションを注がれたアナルにプラグはめり込んでいく。
　生け贄は必死で逃れようと腰を振る。

マリア　　　「動くな！！」

　バシィチィィィ！！　ドスゥッ！！
　ドスッ！！　バシィチィィィ！！

「ぐぎぁっあっあぁぁぁぁ」

　マリアの制裁は乱暴で過酷だが、それを皆が望んでいるのだ。
　生け贄が怯んだ隙に、プラグがずぅんとアナルに吸い込まれていった。

アグライア　「ふむ　どうか？」
生け贄　　　「はがぁぐぅはぁあはぐぅ」
アグライア　「はて　これでどうじゃ！！」

　おもむろにガンガン魔杖を突き始めると、圧迫された生け贄が悶絶する。

アグライア　「ほおぉぉぉ　立派なモノが」
　　　　　　「見事に　お立っておるではないか」
　　　　　　「そうか　そんなに良いか」
　　　　　　「では　これでどうじゃ」

　アグライアがなにやら魔杖を操作すると、生け贄の肢体がヒクヒクと痙攣し出す。

マリア　　　「電撃って　ヤバぁい　あはは」

　瑠菜がオナホール持ち出すと、躊躇いもなく生け贄のいきり立つ肉棒を差し込むと無表情に扱き出す。

生け贄　　　「はぁはあゎあゎあっはぁはぁ」
マリア　　　「まあ　大サービスねっ」
アグライア　「人は　経験で成長する」
　　　　　　「悔やむ心　悪くない　逝かせよう」
マリア　　　「かしこまいりました」

　猛然と鞭を振り始めるマリア。

　バシィィン！！　バシチィィィィィィン！！

　瑠菜に鞭が当たらないように絶妙なコントロールで縦横無尽に振る舞われるマリアならではの鞭の妙技だ。
　普通なら鞭の恐怖があるだろう瑠菜の立ち位置だが、マリアに絶大な信頼があるのだろう。
　瑠菜は平然と生け贄の一物を扱き続けている。

　バシィィン！！　バシチィィィィィィン！！


　５大老達は全員総立ちで大興奮状態であった。
　
　　　　　　「場違いであろう」
　　　　　　「もう良い　逝くが良い」

　バシィッーーーーーーーーーーーーー！！

　青白い閃光と共に焦げ臭い肉が焼けるような臭いが会場に広がる。

　アグライアは悲しげに「連れて行けと」とジェスチャーする。

　３人目犠牲者も黒服達に担架で運び出されていく。


アグライア　「禊ぎも良かろう」
　　　　　　「皆も心して聞くが良い」
　　　　　　「このアグライアは　常にここにいる」
　　　　　　「いつでも申し出るが良い」

　それを言い残すとアグライア達は退場していく。

　会場は皆息を止めて見守っていたが、アグライア達の姿が見えなくなると急にザワつきが広がる。
　皆がアグライアを讃える言葉を発していた。

　妻達は口々にアグライアの降臨に感動の言葉を発していたが、最後の生け贄にアグライアが見せた慈悲の心に賛同の声も多かった。

「アグライア♪♪　アグライア♪♪　アグライア♪♪」

　会場に鳴りやまないコールが余韻に酔いしれる観客達の心情を示している。


　バックヤードに戻った亜紀を健二が出迎えた。

健二　「亜紀様　お疲れ様でございます」
亜紀　「もう　跪かないで健二さん　やめてぇ」
健二　「今こそ悟りました」
　　　「亜紀様との出会いは 偶然ではなかったと」
亜紀　「さあ　立ち上がって下さいな」
　　　「郁美に怒られちゃうから」
健二　「本日のステージ　頭が下がる思いです」
亜紀　「はいはい　分かりましたから」
健二　「はぁあ　恐縮です」
亜紀　「嫌だわ　もうこういうのは止めて」
　　　「良いですか？」
　　　「そういう臣下のような行いは　もう禁止です」
健二　「しかし　それでは・・・」
亜紀　「それより　お疲れってギュッと抱きしめて」
健二　「あっ　しかしそれでは」
亜紀　「それ以上駄々捏ねると郁美に言いつけるわよ」
健二　「はあっ！！　申し訳ありません」

　腕の中に飛び込んでくる亜紀に思わずギュッと抱きしめてしまう健二であった。

亜紀　「にやぁん　うふふ　これよ」
　　　「健二さん　私　九条家のことあったけど」
　　　「初めて出会った頃となにも変わらないよ」
　　　「これからもね」
健二　「亜紀・・・さん♡」
亜紀　「うふっ」
　　　「さてと　いざ最愛の夫の元に行かん」
　　　「今回の企画　色々と助力ありがとうね」
健二　「お言葉　恐縮です」
　　　「ですが　そのまま行かれるのですか？」
　　　「お着替えは？」
亜紀　「あはぁっ」
　　　「夫にたっぷり見せずしてどうするの？」
健二　「なるほど　羨ましいです」


　田原 凌は貴賓席で周囲の「会」重鎮からの労いの言葉に包まれ恐縮しきりであった。
　もともと関西地方だけの有力者というだけの立ち位置であったのだが、妻である亜紀が九条家という名門出自ということで一変してしまったのだ。
　会場から観客達が退席していく流れの中で貴賓席だけは未だ興奮がさめやらない様子であった。
　そんなところにボンテージファッションのままで亜紀がやってくることになるのだ。

亜紀　「凌！！」
凌　　「お疲れ～　そのまま来たのかい？」
亜紀　「うふっ」
　　　「だって　凌にまだちゃんと披露してないもん」
凌　　「なる～」

　亜紀の唐突な再登場に貴賓席の雰囲気は一変する。
　多くの者達が頭を垂れている。
　貴賓席の変化は退場が続いている一般席の観客達にも伝わり皆が足を止める事態に発展する。
　亜紀にすれば、ただ夫の元に還ってきただけであるからそんなことは予測していない。

　１万人もの観衆の前で行動することは初めてであるから、亜紀とて精神的にもプレッシャーもあるだろう。
　亜紀は若妻として年上の夫である凌にあらゆる意味で依存しているし甘える顔はしっかり持ち合わせている。
　だから皆が居てもお構いなしに夫に甘えてベタベタしてしまう。
　これも凌と郁美の２人との出会いが彼女を変えたと言えるだろう。

　５大老達ですら凌に嫉妬していた。
　五摂家が待ち望んでいた存在である亜紀の愛情を受ける栄誉を彼は独占していることを見せつけられたのだ。
　だが５大老達は凌の存在が亜紀を守護して覚醒させたのだとも理解していたからこそ敢えてなにも言葉にしなかったのだ。
　結果、亜紀が凌とのひとときを満喫して落ち着く迄待ってから、２人の元に歩み寄って亜紀に対する賛辞の言葉贈ることをことになる。

ゼウス　「アグライアよ　見事であった」
　　　　「予は　満足じゃ」
亜紀　　「お爺様　お恥ずかしい姿お目にかけました」
ゼウス　「おお　お爺と呼んでくれるか」
亜紀　　「はい　素直に思います」
　　　　「父上様　そして母上様の分まで」
　　　　「孝行させて頂ければと 思う次第です」
ゼウス　「おお　なんと嬉しい言葉か」
ポセイドン　「なんとも羨ましい限り」
亜紀　　　「ポセイドン様」
　　　　　「ヘパイストス様」
　　　　　「ヘルメス様」
　　　　　「アレス様」
　　　　　「本日は ありがとうございます」
　　　　　「まだまだ未熟者ですが」
　　　　　「次回は　もっと良いものを」
　　　　　「ご覧に入れるつもりですので　よしなに」
アレス　　「素晴らしい　今日も良かったぞ」
ポセイドン　「そうじゃ　見事であった」
亜紀　　　「ありがとうございます」
ヘルメス　「ますます長生き　しとうなったぞ」
ヘパイストス　「アグライアは五摂家の希望だと」
　　　　　　　「感じたぞ」
ポセイドン　「ふむ　そうじゃな」
ゼウス　　「まあ　皆　そろそろアグライアを」
　　　　　「田原伯に　返してあげようではないか」
ヘパイストス　「同意」
　　　　　　　「ではアテナの顔でも見に参るかのう」
ゼウス　　　「ふむ　アテナは毎日逢いたい」
　　　　　　「恋しいのう　　皆もか」
ヘルメス　「はい　あの笑顔見ているだけで」
　　　　　「癒やされるのじゃ」
亜紀　　　「うふふ」


　凌は亜紀が示してくれた行動が嬉しくて仕方がない。

　彼女はどちらかというと以前は淡泊でクールなタイプだったのだが、２人の母親になって以来どんどん女らしくなり彼を頼りにしてくれるし愛情表現を積極的にしてくれるようになってきたのだ。
　以前であれば人前で夫とベタベタするような行動するなんてあり得なかった。
　ゆえにただでさえ若妻に夢中だったのに、今では盲目的にベタ惚れになっている自分に歯止めが効かない。

　先程までのステージで見せていた凜とした表情とは別物のラブリーな笑顔で腕に絡みついてくる妻が可愛くて仕方がない。
　ホスト役として５大老達が退場する案内を夫婦でしながらも妻は楽しそうに傍らで笑顔を振りまく。
　そして男同士だけで感じる５大老からの羨望のまなざしを感じる。
　そこで実感する。
　既に妻は名だたる５大老達を虜にしてしまい、いつの間にか絶大な影響力を発揮しているのだ。


　亜紀にとっては凌の存在はもはや精神的支柱であったし、自身の出自を好意的に受け入れることが出来たのは彼の存在があってこそなのだ。
　彼が示す我が子２人に示してくる愛情溢れる姿に、妻として自身のそれまでの行動に反省しきりだ。
　だからコラボレーションセックスのように、妻として夫が喜ぶように行動したいし彼の利益になるようにしたいのだ。

　そして夫にとって自身の肢体が最高のご褒美であることも認識しているし、その魅力を磨き上げることに精進することを意識している。
　だから５大老達を労いつつ送り出す後ろ姿を思いっきり夫に披露するのだ。
　ざっくり背中が露出したボンテージファッションはお尻の割れ目が見えるほど大胆なものだ。
　磨き上げた白い柔肌が見る者の心を奪う。


　５大老達が亜紀と別れの挨拶をした際の所作に、周囲の者達に衝撃が走る。

　５大老は正真正銘の天上人で、彼らにとって目上は天皇陛下が司る皇族しか存在しない。
　その５大老全員が亜紀に対して、跪いて手にキスして別れの挨拶をしたのだ。
　まず初めにヘパイストスが行ったので慌てて亜紀が引き止めたのだが、続く５大老達も終始笑顔で続いたのだった。
　それは名実共に５大老が亜紀を女帝として認めたということに他ならない。

　ゼウスは終始ご機嫌で、美しく凜々しい孫娘にすっかりメロメロで破顔ぶりが驚くべくレベルであった。
　それは孫娘が右を左と言えばゼウスも同調するのだということを意味している。
　なにより周囲が驚愕したのは、なにかと九条家とライバル関係にある鷹司家のポセイドンすら亜紀に心酔しており、いまだかつて無いほど上機嫌であった。
　他の３大老達も同様であった。

　なにより亜紀は良くも悪くも高級風俗嬢経験があるから、老人達への労いと心が行き届いた所作に全く隙が無いから別れの挨拶ですら余韻を残して彼らの心の隙間忍び込むことは無意識に出来てしまうのだ。
　これは五摂家の娘達と決定的な差となるのだが、郁美も無意識にしている所作であって、実は亜紀も郁美も自覚していないのだった。

　亜紀は５大老を見送るとクルッと振り返り、凌に駆け寄ると抱きついた。
　もはや躊躇いもせず夫を喜ばす行動をすることが出来るオンナ全開であった。
　たちまち周囲から凌への羨望のまなざしが集まるが、それが実に彼の自尊心を擽るのだ。
　それでいて、どこか凜とした気品を兼ね備えているのが彼女の魅力だ。

　彼女は両親には良家子女に相応しい気高い人格として育てられたが故に、両親を失い苦境に陥っても他人の風下に立つことを嫌い自らの裁量で乗り切ったのだ。
　例え社会の底辺に落ちても、彼女の本質には何らダメージは無かったのだ。
　そしてあっという間に超高級店の売り上げダントツナンバーワンに登り詰めると、そのまま引退するまでトップに君臨し続けたのだ。


　その店がたまたま田原グループ事業における接待に活用しやすいように、凌が自らサイドビジネスで経営しているところであった。
　福原界隈では有名な超高級店のひとつであり、入店以来飛ぶ鳥を落とす勢いで稼ぐ彼女はもはや伝説嬢であった。
　凌はその噂が気になり彼女に会いに行くが、一目で夢中になってしまった。
　なにより亡くした前妻和美に似た容姿が衝撃的であったのだ。

　ただ凌もいい大人であり、前妻に似ているだけで惚れた訳ではない。
　亜紀は凜とした気品が際立っており、彼女は普通ならこのような場に来るような人ではないと見抜いたことも大きな理由であった。
　直ぐに人を使って彼女の素性を調べさせると、彼の推察通り亜紀はいわゆる芦屋のお嬢様だったことを知る。
　そして彼女がそこまでしてお金を稼ぐ事情も知る。

　初めは彼女の苦境に同情し手助けしたいという気持ちが最初であったろう。
　ただ金銭的援助と申し出ると、愛人になれと言っていると誤解されしまいギクシャクしてしまう。
　両親の負債は自ら稼いで清算するというスタンスを頑なに堅持する姿勢に、逆に感銘を受けてしまう。
　そして気がつけば彼女に本気で夢中になり、妻にしたいと追いかけ回すようになっていくのだった。

　凌にすれば追いかけ回してやっと手に入れた若妻は天使であった。
　悲願だった我が子を２人も産んでくれたし、郁美を初め美しい女性達にたくさん引き合わせてくれたのだ。
　彼女と結婚してからの日々は刺激的で楽しいに尽きるし、あらゆる面で充実の日々なのだ。
　そして驚きの出自で、今また刺激的な人生に導いてくれる女神様のような妻であった。


　その亜紀は今回のイベントである意味覚醒した。

　夫には愛妻として、目上の５大老達に女神として、そして「会」の者達に対しては女帝として、振る舞い魅せるオーラの使い分けと行使の案配を身につけた、いや本来の資質が目覚めたのだ。

　結果、夫に至高の笑顔を振りまきながら、彼女の周囲では「会」スタッフだけに留まらず一般観客達の皆が頭を垂れていたのだった。


　この日、五摂家が数百年に渡って待ち望んだ女帝が遂に降臨したのだ。
　

つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2023年3月19日掲載
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