ずっと愛してます5
羅衣 作
第43話　萌衣４


　恋が見つけてきて自らの人脈を使って抜擢した若干２２歳の女の子は達也が会ったことない才能の化け物だった。

　萌衣はスケジュール管理に留まらず物事をトータル把握してコントロールする能力が抜きんでいて彼らへの報連相は的確かつ簡潔明快なのだ。
　そして物産商社で異例なほど活躍していたという話は嘘偽りなく幅広い機器や案件への概要把握が並外れていたのだ。
　早々に恋に泣きついて彼女を自分の秘書も兼任させるようにしてしまった程だ。
　すると彼女が要求してきたものがあった。
　軽く億円を超える高額の最新ＡＩ情報通信統合分析アプリの導入だった。

　達也は彼女提案のアプリが峰ホールディングス成長の足枷になっている各種問題を解決しうると瞬時理解したのだ。
　そこで導入を同意しつつ、彼女に導入に関わる全てを一任したのだ。
　導入が進むと恋達也夫妻の日常は一変した。
　１日あたりの面談企業数も大幅に増え、こなす仕事量も目に見えて増えて、それでいてプライベート時間が増えてしっかり確保できる様になったのだ。

　気がつけば萌衣は自動的に峰家に留まらず峰ホールディングス全体を統括調整する存在となった。
　達也は萌衣が主導するＡＩ情報通信統合分析アプリにより彼女が同行しなくてもタブレット１枚あれば彼女の完璧なサポートを２４時間受けられるようになってしまったのだ。
　交通機関のチケットなどもタブレットを翳せば、それだけで彼女が完璧すぎるスケジュール管理してくれてストレスなく利用できるのだ。
　凄いのは達也のプライベート女遊びもしっかり手厚くサポートしてくれるのだ。

　そして今現在では峰ホールディングスの事実上Number３と広く認知されているのが他ならぬ荒木萌衣だった。
　もちろん峰ホールディングスとしては新人で血縁関係でない彼女を信頼し権力を与えることはリスクがあるのだが、もうしっかり恋と女同士の関係を構築し亜紀からも認知されて恋の腹心となってしまった状況で誰もそこは指摘しなかった。
　そしてなにより達也も萌衣の色香にしっかり調略されてしまい、もはや半分愛人みたいな部分もあって彼女を特別扱いしているのだった。

　萌衣が峰ホールディングスに齎したのはＡＩ情報通信統合分析アプリによる企業活性化だけでなかった。
　グループ企業ならでは不協和音、行き違いにロスが急激に解消されて、グループ企業経営陣からいつしか萌衣は女神様と呼ばれるのに1ヶ月も掛からなかったのだ。
　しかしその要はＡＩ情報通信統合分析アプリを変幻自在に使いこなす萌衣の才能あってのことなのだ。


　萌衣は虎視眈々と龍聖との再会の機会を伺っていた。

　膨大な仕事、役割を自ら引き受けたが、達也がＡＩ情報通信統合分析アプリ導入を承認してくれて更には導入責任者を任せてくれたことで彼女は無敵になった。
　早々に導入するとアプリ開発会社が驚くほど直ぐに使いこなし、次々と出してくる改善要望に驚かせ続けられる。
　その全てがアプリ開発会社が実現したいという課題ばかりだったのだ。
　結果、萌衣はアプリ開発会社の開発パートナーに指名されてしまうことになるが、それが更に彼女を最強にしていくことになる。

　萌衣はＡＩアプリに対象案件ことにキーワード設定を適切に割り振りすることで、膨大にある書類・報告書の中から必要なものだけをリアルタイムに瞬時に抽出しその全てに目を通して対処するだけなのだ。
　だから彼女自身も驚くほど時間に余裕があって、恋達也夫妻からの不規則なビデオ通話もほぼリアルタイムに対応出来るほどなのだ。
　実際、１０数人の秘書がいてもこなせないであろう仕事を彼女はたった１人で半日程度でそれも最高品質で済ましてしまう状況だった。

　萌衣の待遇は異次元だ。
　達也が彼女は絶対誰にも渡したくない人材と評価している証でもある。
　衣食住は完全に会社持ちで、与えられた権限は事実上専務に相当するほどのものだ。
　住まいは峰家ペントハウスがある高層マンションの１階下の５ＬＤＫの丸ごと一室、そして当初は５０万円程度だった給料も既に数百万円という増える一方の厚遇ぶりで、彼女には既にＳＰと専用運転手が付く「美あんず九州」における恋腹心主軸メンバーとして地位を確立していたのだ。

　萌衣のストレス解消は美容でエステなど幅広くて自らの肢体への投資はいつもお金を惜しまない。
　もともと裕福な家庭で育った彼女は、父からの愛情を一身に注がれ短大生時代の頃からエステなど美容に傾注していたのだ。
　もう自らの肢体が最強の武器だと認識して、それを更なる高みを目指していたのだ。
　ただひとつ拘っていることがある。
　それはナチュラルであることだ。
　その結果、腋などのムダ毛処理はすれどアンダーヘアは最低限整えるのみで、メスを入れるような美容医療にも一切手を出していないのだ。


　久々に再会した龍聖はやや疲れているように見えた。
　自分自身が彼の元を去ってしまい、不本意にも彼１人に仕事の負荷を押しつけてしまったと後悔がある。
　そして彼の境遇に同情する気持ちもある。
　彼は女に愛される最上級に素敵な男性なのだ。
　萌衣は彼がもし妻に捨てられることがあれば絶対彼を癒やして彼を支えていきたいと考えていたのだ。

　その後の妻晶子の状況を立場的に知ることになる。
　晶子は結局達也らに夫婦生活の空白状態をつかれてオンナに目覚めさせられてしまった境遇で、それでもなお夫龍聖への執着を見せているというのだ。
　萌衣はそれで以前の自分の認識は間違っていなかったと再認識して、そのような結末の未来は訪れないと分かっていたに違いない。
　だからこそこの間隙を縫って彼との絆を確定したいと衝動的に行動した。

　元部下の萌衣にすれば龍聖の宿泊先などとっくに把握しているし、彼女の手にした権力があれば簡単に彼が宿泊する部屋番号など調べられるのだ。
　ドアをノックする時のワクワク感が抑えられない。
　あれから男断ちしていたが達也に口説かれ抱かれてしまい、ある意味激しいセックスの究極をタップリ教えられてしまったが、龍聖との経験が彼女になにかをもたらしたようで純粋にそのセックスを楽しむ余裕となったのだ。

　達也とのセックスが「動」とすると、龍聖とのセックスは「静」であって対極にあるもので、どちらがオンナに嵌まるかは好みの問題かもしれない。
　晶子も萌衣も頭ではなく肢体で「静」である龍聖を選んで心底愛しているのだった。
　もちろん彼女たちは達也のもたらす天国旅行は病みつきになって忘れられないから求められれば肢体を預けてしまうが、その彼の妻となって生きたいなんて考えもしないし望んでもいないのだ。
　彼女たちの中には龍聖という男を愛している、一緒に生きていきたいという願いが息づいていたのだった。

　だから萌衣は久々の再会だが、彼に裸身を見せることに迷いも無かったし更に進化した肢体を見て欲しかったのだ。
　パンティストッキングを脱ぐ様子をチラチラ見ている彼が可愛い。
　お楽しみは後ほどって感覚で後ろを見せてパンティとプラを一気に脱ぐと浴室に駆け込んだ。
　彼が下着を見て嗅ぐことも当然気がついている。
　もう彼の性癖は知り尽くしている。

　下着に興味を持たれる経験は初めてないが、以前は嫌悪感しかなかったが龍聖には真逆な感情しかないのだ。
　女は愛している男にはどんな変態的なことでも寛容だし好意的なのだ。
　シャワーを浴びて浴室から出ると案の定彼が萌衣のパンティを裏返してクロッチ部分をクンクン嗅いでいる。
　一応、嫌って言いながら決して怒っていないのだ。

　妄想真っ盛りの彼を促してベットに仰向けにさせる。
　ガウンをはだけさせると彼はガウン下は全裸だった。
　もう肉棒はギンギンそびえ立ち先端の亀頭がヌラヌラ濡れている。
　萌衣は瞬時セックスモードになる。
　一気にバスタオルを捨て去り全裸になると肉棒に食らいついた。
　室内は照明全開だが、彼にむしろ自慢したい肢体を見せたいから戸惑いは無い。

　義務感ではないオンナが奉仕するフェラチオは情熱的かつ粘質的だ。
　萌衣は数々の男たちに求められ奉仕してきたが、自らフェラチオを絶対したいと前向きにしたのは龍聖が初めての男性だ。
　それは彼がそれに補ってあまり余るほどウットリするくらい優しく静かに深く長く抱いてくれるというご褒美があるからなのだ。
　高まりに負けそうでモジモジする彼が可愛い。
　ピクピクして涎を垂れ流す肉棒が異様に愛しい。

　彼が萌衣の体位を変えようと動く。
　待ってましたと萌衣は彼の眼前に蜜が溢れ出して大洪水となった股間を晒す。
　彼は萌衣が知っている男たちの中でダントツにクンニが上手いから実は心待ちにしている瞬間だ。
　蜜を逃すまいと太ももから丁寧で舐めていってくれる彼にキュンとしてしまう。
　こうしてまた彼に蜜壺を舐めてもらってすごく幸せなのだ。

　舌先でお豆を絶妙なチカラ加減で転がされるだけで、もう軽く逝かされてしまう。
　どっと溢れ出る蜜を舌で掻き出されてツンと吸い出され、その度に口内にある肉棒の硬さが増すのだが、それだけで女に生まれて良かったと思うのだ。
　彼とのシックスナインは絶品なのだ。
　本当はずっとずっとしていたい行為なのだが、彼の性癖は暴走して彼女を組み敷いて舐め回していく。

　軽く１時間を越える彼の前戯は異次元であり、味わった萌衣はもはや彼への執着を隠そうともしていないほどだ。
　深い逝きは激しい疲労をもたらすが、軽い逝きの絶え間ない繰り返しは心地良い気怠さが肢体に広がるが体力的な負担が最小限でとにかく逝きの快楽をエンドレスにもたらしてくれる桃源郷に達するものだったのだ。
　もうこうなると萌衣は前後不覚で逝きまくるしかないのだった。

　もう気がついたら彼と繋がっている状況。
　そして先程を上回る繋がることによる性交がもたらす快楽が永遠に続くかと思う度、彼の熱いものが肢体内に留まって優しく熱く硬く恐ろしいほどゆっくり掻き混ぜられてしまうのだ。
　１回戦で数時間に達するセックスは普通女性は膣にダメージを受けて痛みを感じるものだ。
　彼との繋がりはそんな負担は全く無くて、ひたすら蕩けるような時間なのだ。
　彼は連続するようなピストンのような行為はほとんどしなくてとにかく深く貫いて掻き混ぜていくスタイルだった。

　彼には取りたててテクニックが凄いとか、肉棒が大きいとか、パワフルとか、動きが凄いなど一切無い。
　特徴と言えば数時間勃起し続けられる絶倫ともいえる持続と女体に対する凄まじい執着と過剰なほどの優しさがあるぐらいだ。
　しかし彼はそれで数々のセックス巧者達を凌駕する男だったのだ。
　萌衣は再びそのセックスを味わい、完全に彼に堕ちてしまった。

　オンナはどこまでも貪欲になっていく。
　魅惑の数時間が終焉を迎えて彼が賢者タイムになっても、この日を心待ちにしていたオンナはもはや遠慮しなかった。
　磨き上げた肢体を惜しげもなく披露して彼を再戦させようとあの手この手でおねだりするのだ。
　もう彼とのセックスに夢中だった。


　龍聖は賢者タイムになって我に返る。
　自分は懲りずかつて部下であった若い肢体に溺れてしまったのだ。
　しかし彼女の肢体による破壊力は彼の理性をいとも簡単に粉砕するのだ。
　熱帯雨林が眼前に迫ると、もう獣のように舐めてしまう生粋の舐め犬なのだ。



　龍聖は体重を感じて目を覚ます。
　心地良いセックスを満喫した朝は久しぶりだ。
　腕にある女体が妻でないことに罪悪感を感じるが、もう萌衣を愛おしいと思う気持ちもしっかり自覚しているから彼女から逃げてはいけないと考え始めていたのだ。
　優しく頭を撫でてあげると、彼女もモゾモゾ起き出すこの時間が実に楽しい。
　いつもは凜として活動的な彼女だが、ベットでの朝の彼女は子猫のような感じでずっと手放したくないタイプだった。

　キスをしながらグダグタ過ごす時間がゆったりと進んでいく。
　しかし予定の時間は迫ってくるから起きねばと思うのだが、抱き心地最高の肢体が彼の行動を緩慢にする。
　すると彼女のスイッチが急に切り替わった。
　エイヤーと動き出すとあっという間に浴室にいってしまうのだ。
　こういう時、男は切り換えが鈍い。
　彼女の居た空間に残された残り香に喪失感のようなものを感じてしまうのだ。

　彼女はシャワーから慌ただしく出てくると彼に同じくシャワーを浴びるように促してくるが確かに時間がないから彼も浴室に向かう。
　そして出てくると彼女はバスタオル身に纏った姿で、そのままでなんと達也氏とテレビ電話をしている真っ最中だ。
　その様子は出来る秘書そのものだ。
　達也氏は楽しそうにしているが彼女の報連相は簡潔しかし明快で横で聞いても爽快なほどだ。

　そして唐突に達也氏から質問がある。
　彼女が誰かと一緒に居るのかという質問だった。
　明らかに彼の言葉尻に焼き餅の感情が乗っているくらいのことは龍聖でも分かる。
　萌衣は驚きの行動を取る。

萌衣　「はい　私が大好きな　かつての上司と」
　　　「熱く楽しい夜を過ごしました」
　　　「はい　彼です」

　龍聖は驚いて絶句するが、カメラを向けられて半裸のまま超優良顧客である会長相手に挨拶するハメになる。
　どう考えても重大事故案件だ。
　取引関係のある会社相互の担当窓口が男と女の関係だとバレたのだから無事で済むはずもない。
　しかし達也氏の反応は、そんなことは眼中になくて萌衣の心が自分に靡かないことを嘆くものだったのだ。
　キョロキョロオドオドするしかない龍聖の激動の１日はこうして幕を開けたのだった。


　ビジネスホテルを出た龍聖はまた驚く。
　白いロールスロイス カリナンが彼女を待っていたからだ。
　車は夜通しずっとここで待っていたに違いない。
　彼女に促され同乗すると車内とは思えない豪華な空間であって、彼が生まれて初めて見るHIGH SOCIETYな世界であった。
　萌衣は隣で２つのタブレット驚く速度で同時に操りなにやら次々情報を自在に動かしているようで、彼女はもはや宇宙人なのでは思うほどだ。

　再び例の施設本部ビルに到着すると、複数の男女が萌衣を出迎えようと走って車に駆け寄ってくる。
　挨拶を交わしつつ彼らから複数の案件について指示を仰がれているかつての部下が別の存在に思えるのだ。
　横から聞いていて内容が分からなくても、萌衣が歩きながらで矢継ぎ早で指示を出している姿は凄すぎて唖然としてしまう。
　昨晩の妖艶な姿とどうしても一致しない。
　もう彼女は峰ホールディングスの大幹部社員なのだ。

　玄関ホールではあの大田が彼女を待っていたようで、駆け寄ってくる。

大田　「荒木様　おはようございます」
萌衣　「おはようございます」
大田　「急ぎの案件　３つほどございまして」
　　　「ご決済頂きたいのですが」
萌衣　「ああ　この３件ですね」

　萌衣はタブレットを彼に見せて確認する。

大田　「はい　もう見て頂いたのですね」
萌衣　「基本オーケーだけど　このＢ社」
　　　「見積　ちょっと甘くない？」
大田　「はい　私もそう思いまして」
　　　「昨晩　確認しましたところ」
　　　「ほかで色々厳しいらしく」
　　　「先方から　ここはなんとかと」
　　　「申し出がありまして」
萌衣　「分かりました　大田さんにお任せいたします」
大田　「はい　承知いたしました」
萌衣　「部長　ごめんなさいね」
　　　「バタバタして」
　　　「では　お仕事よろしくお願いいたします。」
龍聖　「はい　ではまた後ほど」


　それから２時間ほど各種納品と機器の動作確認でバダバタするが、大きなトラブルもなく全て終えた。
　そのタイミングを見計らったように萌衣が現れる。

萌衣　「お疲れ様でした」
　　　「はい　検収完了書です」
龍聖　「ありがとうございます」
萌衣　「まだ紙伝票至上主義なんですね」
龍聖　「そうなんですよ」
萌衣　「うちでは　あのアプリ導入して頂いたので」
　　　「もうほぼペーパーレスですし」
　　　「事務職の人員も数分の１になっています」
龍聖　「凄いなぁ　あれやっぱり効果あるんだ」
萌衣　「はい　営業固定費も半減しますからね」

　龍聖は思う。
　もし自社で彼女の提案通りあのアプリ導入に踏み切っていたら今頃どうなっていたのだろう。
　
萌衣　「部長　お帰りの新幹線決まっていますか？」
龍聖　「いえ　今日は成り行き次第で考えていたから」
萌衣　「では　もう数時間お時間頂けますか？」
龍聖　「はい　今日は直帰なので」
　　　「本日中に帰れる時間であれば問題ないです」
萌衣　「では　まずはお昼ご一緒しましょう」
　　　「ここの食堂　美味しいんですよ」
　　　「１度食べてみて欲しいんです」
龍聖　「おお　ありがとうございます」
　　　「そろそろ　コンビニ弁当も飽きたところです」
萌衣　「うふふ」

　一緒に対面の形で座って食事するとまだ彼女が部下だった頃が懐かしい、まだ去年の出来事なのに遠い思い出のような気がして不思議な感覚だ。

　話していてもあの頃のままの屈託ない笑顔を見せてくれるこの時、この時間が如何に貴重な時間だったのかを思い知るのだった。

　２人の関係は真逆になった。
　取引先担当者と営業担当者の関係、そして男と女の関係、これほど変わったのに彼女の笑顔はなんら変わらないという事実に龍聖はなんかホッとしてしまうのだ。

　食後一息コーヒーブレイクすると、彼は萌衣に案内されて一生忘れられない経験をすることになるのだった。


つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2025年3月29日掲載
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