ずっと愛してます5
羅衣 作
　第47話　魔女


　気怠い寝覚めだった。
　萌衣は半身肢体を起こして横に寝ている男の胸に頭を乗せて彼の顔を見つめる。
　記憶は途切れ途切れだが彼に好き放題抱かれて逝かされまくったことは覚えているのだ。
　肢体に残る極太デカマラの感触が生々しい。
　まだ乳首が腫れぼったく彼の身体に当たるだけでビクッと反応してしまう。

　大田はひいき目無しイケメンで出来る優秀なスタッフの１人で、だからこそ達也は彼を重用し峰ホールディングス拡大のキーマンであった。
　萌衣が来てからはいろいろ内心は思うことあるだろうに、とても親身に手伝ってくれて彼がいなければこんなに短期間で萌衣は実績作れなかったと感謝していたのだった。
　だから以前からなにかの機会にお礼したいと思っていたし、イチ男性として興味もあったのだ。
　それにかなり以前に彼は自分の肢体に興味津々であることも気づいているから、今回自分もムラムラしてたから自らの肢体をご褒美にしてしまっただけであった。

　結果は大満足。
　彼は絶倫で経験豊富なだけに一方的に逝かされまくってしまったのだ。
　ただ彼が使いたがった媚薬はやっぱり過剰で不必要だったというのが正直な感想なのだ。
　クリ○ャップだけで感度数倍で彼ほどのテクがあれば女は逝き狂ってしまうし、そこに媚薬だと逝きまくりではあるがほとんど意識が跳んでしまい萌衣などは正直記憶が無くてつまんないのだ。
　男は女のアクメを彼ほど経験があっても未だ分かってないことが多いというのは興味深い発見だった。

　ふとベットサイド椅子背もたれにぶら下がっているものを数える。
　７本の使用済みコンドーム。
　そこで萌衣は７回戦もしてしまったことを知る。
　彼の絶倫ぶりに他人事のように感心してしまう。
　でもなんかそんなに楽しんでくれたなんて女として嬉しい気持ちもあるから妙にホッコリしてしまう。
　萌衣は腰が妙に重いが肢体に残るセックスの余韻は決して嫌いではない。

　ハプニングバーでよく知らない男達とのセックスは肉欲だけで余韻は最悪だし、まだパートナーがいない萌衣にとっては大田俊哉は有力なセフレ候補と言って良い好ましい存在だったのだ。
　萌衣は正直、龍聖と晶子の今回行われた企画で失恋気分だったのだ。
　萌衣はこういう時に「魔女」のような顔になって寝ている男の顔を男が起きるまで見つめ続ける。
　そして男を呪縛に落とし入れて男の心に深く忍び込んでいくオンナなのだ。
　これを男たちは誰１人気づかないし知らないのだ。

　中指で大田の胸をツーツーとなぞり始める。
　それはなにか魔法陣を書くような動きであり、男が起きるまでずっと描くのだ。
　そして次第に男の寝息と呼吸リズムまで奪っていく。
　実は起きなければ起きないほど彼女の呪縛は強まる傾向があるのだ。
　これは彼女とセックスした男たちは毎回知らないうちに晒される魔の時間であった。
　龍聖などは数回の指なぞりで脱したのだが、大田は精力を出し切った結果１時間近くされてしまうのだった。

　そして彼女は男たちに試練を仕掛ける。
　起きて彼女に気づいてどの様に反応するかで、彼女の男に対する評価が一変するのだ。
　おおよそ男の反応は２つに分かれる。
　まずは驚いてオドオドするタイプ、そして笑顔になり抱き寄せたりキスするタイプだ。
　もちろん龍聖などは後者で萌衣の評価はすこぶる高いのだが、案外こちらのタイプは少ないのだ。

　前者は女を肉欲でしか見てないタイプが多く、これになると一撃で萌衣に見放され２度ご褒美にありつけないどころが公私共に無視され冷遇されるのだ。
　そして今の萌衣はそれによって簡単に公私共に不合格者を排除できるのだ。
　大田は寝ながらニヤついていたが、萌衣の最終品定めを課せられて試練の時を迎えていた。
　萌衣は好きか嫌いかで言えば、大田は好きな好印象のある男だから、この最終試験をクリアして欲しいとは思っているのだ。

　そしてやっと起き出す大田。

俊哉　「ふあぁぁぁ　おっ夢じゃなかった」
　　　「おはよう♪♪」
萌衣　「おはよ　よく寝てたね？」
　　　「あひぃ」

　萌衣を抱き寄せキスする大田。

俊哉　「無念　寝ずにするはずが　知らないうちに」
　　　「寝落ちしたらしい・・・」
萌衣　「あんなにしたのにぃ」

　７本の使用済みコンドーム。

俊哉　「なんのこれしき」
　　　「今日はお休み　まだ時間あるでしょ？」
萌衣　「そうだけど　なに？」
俊哉　「今から寝覚めの１発　するとさ」
萌衣　「えっえぇぇぇあっ　だめぇ」
　　　「まだ敏感なの　待ってってあんあっ」

　大田はご馳走の彼女をまだ食べ足りないようだ。
　知らないうちに合格印をゲットした彼はそのまま延長戦の権利を手に入れたのだった。
　「嫌っ　駄目」と連呼しながら喘ぎまくるが、実は肢体が敏感すぎて怖いのだが気持ち良いのも本音。
　彼の思う壺で再び抱かれてしまうのも悔しいのたが、彼がことごとく試練を突破してきているのも事実。
　そんな逡巡も直ぐにアクメに飲み込まれていく。

　大田は萌衣を食べ尽くす気満々だった。
　正対座位で好き放題突き上げ混ぜまくりおっぱいも心ゆくまで吸って舐め回すのだ。
　その全てが憎たらしいほどツボに入っていて彼のテクに屈服していくしかないのだ。
　彼に抱きつき彼には顔を見られない状況になると彼女はチラチラ本性が顔に出る。
　喘ぎながらも彼の背中や腕を指でなぞり続けるのた。
　それはさながら彼の身体中に魔法陣のようなものを描いている様に見える動きなのだ。
　
　萌衣は1975年代から流行したホラー漫画『エコ○コアザラク』コミックに中学生時代に出会って以来熱心な読者で、それをきっかけにして黒魔術に魅せられていて数々の知識を貪欲に学んで実践して身に付けているのだった。
　当初は遊び悪ふざけであったろうが、次第それは現実化する頻度が高くなりつつあり、特に異性関係については彼女の性的成長と共に精度が高まりつつあったのだ。
　大田はじわじわと彼女の駆使する黒魔術の実験台になっていくのだった。
　いつの世も可愛い花にはトゲが有るものなのだ。

　実は彼女が駆使する情報アプリ、各種キーワード設定にも彼女の黒魔術エッセンスがふんだんに盛り込まれていて男たちを無意識に誘導していくことに長けていて、それはアプリ開発会社も認識するところでアプリが凄いのではなくてアプリを１２０％使いこなしてしまう彼女が凄いのだと評価されて、彼女は懇願されてアプリ開発会社顧問になってしまうのだった。
　彼らには彼女が設定するキーワードの９割は理解可能だったが残りの１割は全く意味不明なのだった。
　しかしその１割が無いとアプリの効率は半減してしまうのは紛れもない事実なのだ。


　萌衣は大田のテクニック攻勢に逝かされまくってしまう。
　大田はあっという間に萌衣の肢体の弱いところをリサーチし尽くして、これでもかと責め立てて狂わしていくのだ。
　その上でタフガイ過ぎて正直ビックリだったが、長いセックスは決して嫌いでないから次第に夢中になっていく。
　気がつけば後背位で好きなように突かれて逝かされても許して貰えず更に激しく突かれて肢体に走る痙攣が止まらなくなる。

　汗ばんだ背中をペロペロ舐められて味を楽しまれて困惑していると、唐突にシャッター音がして慌てる。
　そこで気がつく。
　ハメ撮りされているのだ。
　嫌々するがお構いなしにハメ倒されていく。
　大田にすればこれで萌衣は思いのまま抱けるようになったと確信していたはずだ。
　そして男は女は逝かせて満足させれば自分に靡くと大なり小なり思っているものた。
　特に萌衣はいくら優秀といっても所詮若い女であり、それほど凄い男を知っているとは思えないからだ。

　大田は大きな読み違いをしている。
　萌衣は既に達也の魔の手が伸びて抱かれているという事実を知らなかったのだ。
　さすがに妻である恋が連れてきた萌衣に達也が早々に手を付けるなんて思いもしなかったのだ。
　萌衣は達也そしてあの凌ですら散々楽しませた挙げ句気がついたらミイラ取りがミイラよろしく彼女に骨抜きにされていたのだった。
　ご馳走を食べれば当然代金を求められるのが資本主義経済というものだ。

　大田は忘れられないセックスを満喫してしまう。
　当たり前だが、直ぐにまた食べたくなる。
　戦果の写真を見ようとスマフォを弄るが有ったはずのデータが無い。
　誤って消してしまったかと半泣きだが、ハッタリで萌衣にまた逢いたいと連絡すると半笑いの彼女にまた頑張ったらねとスカされてしまうのだ。
　ハメ取り画像有っても平然としている女なんてめったにいないのに、実際失っているから悔しい。
　そうこうするうちに１度味わったご馳走が恋しくなりだんだん必死になってしまう。

　そしてある日気づく。
　あの写真データが彼女のタブレットにあることを。
　彼女が横で作業をしている際に偶然見かけたのだ。
　思わず凝視して固まってしまう大田。
　彼女はそれに気づいてワザとフォルダを開いて見せてくると確かにあの写真なのだ。
　すると彼の耳元で囁いた。

「駄目よ　勝手にこんな写真撮るなんてルール違反」
「だから　これは没収」

　呆然とする大田。

「わたしは」
「あなたたちの端末全ての情報管理者なのよ」
「それに　わたしのお願い」
「達也会長　なんでも聴いてくれることお忘れ無く」
「なんて顔してるの？　うふふ」
「もう悪さしないって　言いなさい」
「そしたら　またご褒美上げるから　うふふ」

　そこで大田は悟ったのだ。
　この若い女は本当の魔女なのだと。

　大田は結果的にこの日から萌衣の都合の良い性奴隷にされていってしまうのだった。



　萌衣自身は女は性的に弱者だと理解しているし、彼女自身も意思に関わりなくたびたび肢体を乗っ取られて屈服してしまったことは１度や２度ではないのだ。
　それにも関わらず彼女が名だたる男たちを手玉に取ってきたのは、抱かれた瞬間に相手となった男が望んでいる女に直ぐ化けられる天性の才能にあるのだ。
　それを最強にする武器が磨き上げた肢体なのだ。
　もちらん貧乳好きの男性に相手には対応は出来ないのは自明の理であるが、そもそもそのような男性がグラマラスな彼女にアプローチしてくる筈もないし、そこに応えられなくても彼女は容姿以外にも武器はあるのだ。

　実際に彼女を抱いた男は皆忘れられなくなり、彼女を失うと失意の深さは深刻なのだ。
　歴代元カレ達は皆彼女に捨てられた男なのだ。
　１度彼女の関心を失うと２度と取り戻すことは不可能なのだが、したたかな彼女はそれすらも武器にしてしまうのだ。
　彼らは彼女との復縁の為であればなんでもする男たちに化けているのだ。
　彼女自身それが悪女の形だと自覚しているが、身勝手な男が多いからそれがなにが悪いと考えている確信犯であったし今ではそれが病みつきだ。

　もちろん彼らがストーカーとして身に危険が及ぶこともあるが、まさにそのようなリスクを摘むために達也の様な権力者と肉体関係に発展したのだ。
　いざとなったら彼に邪魔者は抹殺して貰えば良いという打算があるのだ。
　その打算の中に大田はしっかり組み込まれていて、日頃のあらゆることが今まで以上に融通が利くと計算尽くなのだ。
　彼女はここまでしたたかなオンナに成長したのは誰に学んだ訳ではなく自らの才覚だった。

　彼女は幼稚園生幼女の頃からハッキリと男と女の違いを意識していたのだ。
　女の先生がアフターにデートある日とない日での些細な違いも認識して、大人になったら男と女は惹かれ合うのだと学んだのだ。
　そして男たちが女の肢体に興味津々なのだとずっと幼い目で見つめていたのだ。
　当時の彼女は不思議でしょうがなかったに違いない。
　それは自身の成長と共に謎が解けていく。

　女は産む性であるゆえに腕力的に脆弱で守ってくれる男無しでは危険が一杯なのだと知った。
　それらは先人達の歴史で学んだ。
　昔は女の人生は一族であったり男たちの所有物の様に扱われて風下に立つことを余儀なくされてきたのだ。
　そんな中でも女たちは心優しき男たちを自身の魅力で操ることで男社会に何度もアンチテーゼしてきたのだ。
　現代社会では女の自由度は改善されているが、実際に好きな様に女が生きようとしても代償が求められるのは変わっていないのだ。
　
　男たちは好きな様に生きて仕事に生きている女を表面上は持て囃すが、そんな女を妻にしたいと考える男はかなり少ないのが現実なのだ。
　萌衣はそんなことを母親や周囲の女性達から学んで成長した結果、自身の本性はひた隠しにすることを覚えたのだった。
　そんなことより大人達が興じるセックスへの興味津々だったのだ。
　中学生時代に１学年先輩と初体験して期待と全く違う内容に肩透かしを感じる。
　ただ下腹部が痛いだけで感動とはほど遠い。
　もちろん先輩は当時大好きだったし、周囲より早い経験は彼女に精神的余裕をもたらしたのは間違いない。

　先輩が卒業すると彼から引き続き交際継続を懇願されるが、彼女は断り別れを選択する。
　彼と試行錯誤の繰り返しであった青春に彩られたセックスは確実に彼女を成長させていたが、まだこんなものでは満足できないと感じる本性が顔を覗かせ始めていたのだ。
　高校に進学した彼女の次なるターゲットは大人の男性で大人気の若手理科教師に狙いを定めた。
　彼は女癖はかなり悪くて同僚の女教師に複数に手を出していると噂があるタイプだが、女子生徒の人気もかなりあるのだ。

　既に萌衣の肢体は成熟しグラマラスで破壊的だった。
　若さもあって怖いもの無しで２０、３０歳代女性には負けない自信もあって、性体験もそれなりにあるから既に男の喜ばせ方も心得ている。
　まさにそんな時に彼が美人と評判の国語教師と婚約したと聞かされたのだ。
　彼女の選択は略奪だった。
　成績優秀で容姿端麗な萌衣は学校自慢の生徒でもあるが、それは同時に非常に目立つ存在であることを意味し最強女子高生とは彼女と皆が思う存在だった。

　そんな生徒から煩雑にアピールされて女好きの彼は満更悪い気がしないが、タブー中のタブーの相手だから必死で相手は子供なんだと嘯いてスルーし続ける。
　萌衣のようなタイプは早熟で精神年齢も高く男の劣情も見透かしているから、自慢の胸の谷間とお尻でガンガン誘惑の連続で彼のささやかな抵抗は次々突破されていくのだ。
　そんな彼はとある日曜日の早朝に自宅を彼女に急襲されて陥落してしまうのだ。
　たちまち彼は萌衣の肢体に夢中になってしまう。

　文字通り彼は萌衣の肢体を食べ尽くす。
　萌衣は情熱的な彼のセックスで初めてアクメを極めて本当のセックスに病みつきになる。
　彼女にすれば期待したとおりの展開だ。
　ずっと耳年増で前のめりに性技をあれこれ勉強していた彼女にとっては実践で試す機会に恵まれたのだ。
　どんどん成長してエロくなっていく彼女に心を奪われていく彼はもはや萌衣のものだった。
　大人女子に勝ったという経験は彼女を一回りも二回りも成長させていく。

　高校卒業時には彼にプロポーズされるが、彼女はあっさりこれを断り彼を捨ててしまう。
　彼女にとって彼はあくまでも青春の１ページを飾る想い出の登場人物に過ぎなかったのだ。
　それでも彼女は短大生になるとアルバイトキャバ嬢に化けた途端、先輩と教師の元カレを顧客に引きずり込んで自分の手中から逃れることを許さなかったのだ。
　キャバ嬢も初めはアルバイトだったのにたちまちナンバー争いする人気嬢になって次々と派手な恋愛を繰り返して、色んな経験をしながらも男たちを翻弄しながら成長進化を止めない魔女であった。

　色んな男たちと出会い、色んなセックスそして色んな男と女の情欲の世界を一通り経験したのだ。
　そして次第に男たちをあらゆることで縛り付けて彼らを操る術を身に付けていく。
　それに黒魔術の知識が次第に身に付けていき、自身の肢体が男たちにとってマタタビのように生かす策謀に長けていくのだった。
　教師との肉体関係というタブーすら出身高校の校長をたぶらかして闇葬ってしまうに至って彼女は男社会を生き抜いていく自信を得ていたのは間違いない。

　天職に思えたキャバ嬢を封印して、両親の意向通りに普通に就職する彼女は良家の子女としての分別を身に付けていて、両親からすれば可愛くて仕方がない娘であり彼女は見事にその期待に応え続けていたのだ。
　成績優秀な彼女が平凡な短大に進んだのは、早く社会に出たかったからだ。
　そして彼女の眼鏡に適う白馬の王子様捜しにいち早くに取りかかるべきだと考えていたのだ。
　キャバ嬢していれば成金的な金持ちに出会うが、お世辞にも良質な男に出会うなんて夢のまた夢だと思い知ったのだ。

　彼女自身は非常な裕福な家庭で育ちお金に苦労する人生なんて無縁であったからお金は大して重要な意味を持っていなかったのだ。
　新しいもの好きの彼女は関西で有力な商社に就職するが、周囲の女達のモチベの低さに呆れる。
　半年も経たずに１０年先輩の女子ですら凌駕して圧倒していく。
　それは女社会で軋轢を巻き起こすが、彼女は直ぐに社内で最強の後ろ盾を作ってしまう。

　イケメンで仕事の出来る出世頭の上司須藤龍聖との出会いだった。
　その彼は彼女が出会ったことのない良質な男だったから、生まれて初めて彼女は女として本気で好きになった存在に出会ったのだった。

　それが彼女にとっても龍聖にとっても運命の出会いになるなんて、当時の２人は知る由もないのだった。

　男と女、摩訶不思議な赤い糸が複雑に縺れ合う始まりだったのだ。


つづく
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
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2025年6月8日掲載
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