ずっと愛してます5
羅衣 作
第７話　美桜３


　敬子には、美桜と圭太の関係に積極的に関わる明快な目的意識があったのだ。

　自分達はこれから「会」で本格デビューして活動していくことになるが、それには密接に協力できるパートナーカップルを必要としていたのだ。
　これは郁美のある考えから出たアドバイスに基づいている。
　そのパートナーには数々の条件があるのだが、美桜と圭太のカップルはその全てを満たす最高の存在だった。

　敬子の意図は言葉が無くても徹は察して連携して動いてくれる。
　早々に美桜の心は結婚に傾いていることを把握しているから、２人で圭太を誘導することに遠慮などしなかった。
　それはあらゆる手を使う。
　まずは自分達のモテテクをあからさまに見せつける。
　男と女を結びつけるのは男が抱く嫉妬と独占欲に訴えかけるのが一番強力な接着剤なのだ。
　同時に自分達のラフラブぶりを見せつけるのだ。

　女と違い男は思考傾向として楽観的に出会いは次があると思いがちで、特に圭太のようなモテ男は尚更だ。
　女は普通は心に決めたパートナーに固執するが、心が離れた途端記憶から相手の存在は抹消してしまう。
　この男と女の違いは、第三者から見てお似合いベストカップルでも簡単にすれ違いを引き起こす。
　女には伴侶と決めるタイミングが期間限定で存在し、これを見逃すと２度とチャンスは無いのだ。
　これは恋愛経験値が高い男女であればあるほど先鋭化するし、共に恋愛経験値が低い場合は「長すぎる春」で結ばれない結果となるのだ。

　男は結婚というと人生を縛られると考える。
　女は結婚というと生涯の伴侶と結ばれて子供を育むと考える。
　既にそこから意識がすれ違っているのだ。
　その考えを根底から覆し男女をあらゆることから解放し自由にするのが、「会」の存在意義なのだ。
　退廃と言われようと世の中男と女しか存在せず、女にとっては究極の世界があるとしたらこの道しか無いというのが郁美と亜紀の考えなのだ。
　敬子はその考え一番の信奉者であった。


　徹は敬子の意向を察して動く。
　自身ではこうしたいなどという主体的な考えは無い。
　ただ魅力的な美桜が自分達の領域に引き込むことが出来れば美味しいと思うだけであった。
　もとより彼の周りは美女のセックスパートナーだらけであり、敬子と郁美の管理範囲であればやりたい放題なので幸せそのものであった。
　ただ同年代で同性の同志が欲しかったのは本心だ。
　圭太はなにかと波長が合い一緒に行動しても気が許せる友人であったから、その彼が美桜と結婚したら素晴らしいと思っていたのも事実だ。

　なにより徹は敬子の成長ぶりに驚きが先にある。
　敬子は普段色香のオーラを上手く抑えているのだと知った時の驚きは小さいものではない。
　圭太を煽るためとはいえオーラを開放した敬子に、夫である徹でもドキドキしてしまうほどなのだ。
　実際、倶楽部でひときわ輝いて皆の注目を欲しいままにしている有様に、一緒に働いている美帆が笑っているほどだ。
　郁美が期待していた敬子の資質が既に開花しているのだと、そこで再認識した。

　その瞬間、健二が郁美に再会して抱いていた感情を初めて理解したのだ。
　あの時、健二が郁美を見つめる目を徹は未だに忘れられない。
　そして今自分が敬子を見つめる眼差しは全く同じなのだと自覚したのだ。
　自身にとって唯一無比の女に出会った喜び、そんな経験できる男は稀なのだ。
　脳裏に健二の言葉が走馬灯のように蘇る。

　彼の言葉聞かされた時は自分に対する当てつけのような惚気だと思っていた自分の未熟さを恥ずかしく思う。
　妻に対する憧れと眩しいばかりの輝きに惚れ惚れしてしまい、思わず健二と同じ言葉を漏らしてしまうのだった。
　そんな言葉を聞かされた圭太も以前の徹のような表情を浮かべている様子に、内心彼も近い将来同じ思いをするんだぞと見ていたのだった。
　とはいえ途端に徹は余裕が無くなった。


　圭太は普段の敬子を知っているから、別人のように妖艶な彼女に圧倒されていた。
　そして心底、徹を羨ましいと思ったのだ。
　同じ男として敬子のような妻を持つということは勝ち組だと感じたのだ。
　無意識で彼女を目で追っている自分に気がついて動揺してしまう。
　だが彼女の夫である筈の徹の挙動が自分と全く同じであると見て取って驚きが広がる。

　店内では彼は夫であることは非公開ということで、妻が男たちに色香を振りまく様子を我慢して見守らなくてはならないのだ。
　いつの間にか徹へ同情のような感情が芽生える。
　可愛い妻が他の男たちの視線に晒されている状況はある種の拷問だと思ったのだ。
　ふと思う。
　もし美桜がこのような状況で働いたら、自分はどうなるのだろう。
　経験的に女は化けると知ってる。

　そんなタイミングで、徹がお手洗いで席を外した瞬間に敬子がやってくる。
　胸元が深いＶで開いた大胆なドレスで、いつになくドキドキしてしまう。
　普段仕事柄キャバクラなどにも行くのだが、経験したことの無い感情の揺らぎに動揺する。
　やはりプライベートのラブリーな姿を知っている女性のギャップある変貌した姿に惹きつけられてしまうのだった。

敬子　「あら　小泉様いつもと雰囲気が違いますね」
圭太　「いや　なんか　いつもと違いすぎて」
　　　「とっても　綺麗です」
　　　「惚れそうです　あっスイマセン」
敬子　「謝らないで　うふっ　ありがとうございます」
　　　「でも　よそ見はまだ駄目よ」
圭太　「えっ？」
敬子　「女って　いつでも変われるの」
圭太　「・・・・・・・・」
敬子　「私だって　ここで働いたときだけの顔になる」
　　　「一応　私　まだ学生ですからね」
圭太　「なるほど」
敬子　「１つだけ　私からアドバイスして良いかしら」
圭太　「是非お願いします」
敬子　「女は常にアップデートする生き物なの」
　　　「だから　欲しい　逃がしたくないと」
　　　「思ったときは　迷わずハンティングするのが」
　　　「オススメよ」
圭太　「ハンティングですか・・・」
敬子　「そう　明日でイイや　は後悔の元です」
　　　「女って一貫性が無いの」
　　　「今日のイエスは　明日以降はノー　って」
　　　「普通にあるの　男の人分かってないけど」
　　　「まあ　魚釣り　だと思えば良いかも」
圭太　「釣り？！」
敬子　「そう　実はチャンスは 偶然で一度きり」
　　　「男女恋愛って　そうだと思いませんか」
　　　「一度すれ違うと　簡単な話なのに」
　　　「元に戻せないこと しばしばでは」
圭太　「むむ　そういうモノですかね」



　圭太は勤務が終わっていつものラブリーなモードに戻った敬子を路上で唐突に抱きしめる徹を眺めていて苦笑い浮かべるしかない。
　そのタイミングで敬子と目線が合うと、彼女は想定範囲なのか夫を冷静に宥めている様で優しい笑顔を浮かべていたのだった。
　そんな出来事の帰路、タクシーの車上でたった１人の時間が妙に長く感じる。
　次第に敬子の言葉が脳裏に蘇ってくる。

　敬子と美桜はプライベートで仲良くしている関係だから、これはなにかのサインなのだ気がついたのだ。
　思えば敬子も徹も自分達カップルへの好意と善意で色々と協力している存在なのだ。
　まして美桜と出会えたのも２人のお陰だ。
　ならば素直に彼らの言葉を信じるのが普通だろうし、徹の清い決断を見習うのはアリだと感じたのだ。
　急に美桜に逢いたくて逢いたくて堪らなくなる。

　思わずLINEで「逢いたい」と美桜に送ってしまう。
　深夜２時近いのに直ぐ既読が付くと返信が来た。
　何度かやり取りの後、電話で話すことになる。

圭太　「ごめん　夜中に」
美桜　「どうしたん？　急に」
圭太　「今日　さっきまで徹と」
　　　「敬子さんがアルバイトしてる店に居たんよ」
美桜　「お酒　飲んでるの？」
圭太　「うん　ごめん」
美桜　「うぅぅぅん　良いよ」
　　　「今週末　逢えなかったから」
　　　「淋しくなった感じかな」
圭太　「逢いたいよぉ」
美桜　「うふっ　ありがと　嬉しいよ」
　　　「今どの辺りなの？」
圭太　「うぅぅぅ　タクシーで春日野道過ぎた辺り」
美桜　「えっタクシーで帰るの？」
　　　「遠いのに」
圭太　「もうこんな時間だからね」
美桜　「どこか泊まれば良いのに」
圭太　「ああ　徹が家に泊めてくれるって言ったけど」
　　　「帰ろうかと」
美桜　「そっかぁ　じゃあ　逢おうか？」
圭太　「えっ？」
美桜　「今日　遅くなったから」
　　　「いつものホテル居るの」
　　　「自宅じゃ無いから　両親居ないよ」
圭太　「マジ？　でも遅いし　疲れているでしょ」
美桜　「戻ってきて　私も圭太に逢いたいよぉ」
圭太　「良いの？」
美桜　「うん　着いたらまた電話してね」


　圭太はタクシーを大Ｕターンさせて、急いで戻ったのは言うまでもない。
　人気の無いホテルロビーに駆け込むと美桜が待ってくれていた。

圭太　「えっ待ててくれたの？」
美桜　「うん　私も少しでも早く逢いたかったし」
　　　「実は私も来たばかりなの」
　　　「あっ！！」
　　　「ちょっと　ねぇ　あはぁ」

　辛抱堪らず美桜を抱きしめてしまう圭太。

圭太　「ごめん　ちょっとだけ良いでしょ」
美桜　「うふっ　良いけど　酒くさぁ」
圭太　「結構　飲んだ」
美桜　「部屋　行こうよ」
圭太　「えっ　良いの」
美桜　「うん　もう手続きしたよ」
　　　「今日は　圭太もここにお泊まり」
圭太　「マジでぇ」
美桜　「早く行こ」

　部屋に着くと思い切り抱きついて美桜をベットに押し倒してしまう。

美桜　「もう　今日はどうしたん？」
　　　「おかしいよ」
圭太　「かも　ごめん　もう少しだけこうさせて」
美桜　「良いよ」
　　　「私だって　逢いたかったもん」
　　　「ごめんね　時間とれんくて」
圭太　「いや　俺が我が儘なだけ」
　　　「今　正念場だもんね」
美桜　「あと数ヶ月くらいで」
　　　「落ち着くと思うんだけど」
　　　「私　今回　やり遂げたいの」
圭太　「だよね　なんか　こんな気持ち初めてなんだ」
美桜　「あら　それって　ガチなやつ？」
圭太　「です　良いかな　２人の将来考えて」
美桜　「良いけど」
　　　「酔った勢いで言って欲しくないんけど」
圭太　「確かに　ごめん」
　　　「でも気持ち聞かせてくれて　ありがとう」
　　　「ちゃんと　素面で言うから　待って欲しい」
美桜　「うん」
　　　「ところで　初めてのお泊まりだね」
圭太　「ホントだ　ごめん　良いのかな」
美桜　「あはぁ　今それ言うの」
圭太　「ごめん」
美桜　「もう　謝ってばっか」
　　　「ねぇ　一緒にシャワー浴びよ」
圭太　「えっ　良いの？」
美桜　「うふっ　今日来てくれたご褒美よ」
圭太　「おっおぉぉぉぉぉぉ」
美桜　「私も　逢いたかったのぉ」
圭太　「明日　俺休みだけど」
美桜　「ああぁ　午後から出社すれば大丈夫」
　　　「朝　マッタリ出来るよ」
圭太　「なんと　来て良かったぁ」
美桜　「うん」
圭太　「それにしても　この部屋　広いな」
美桜　「今日　急遽だったから」
　　　「この広さしか空いてなかったの」
圭太　「これって　俺　ついてる？」
美桜　「うん　いつもシングル空いてるのに」
　　　「今日　初めて偶然　この広い部屋」
圭太　「ラッキー！！」


　圭太にとって、この日一緒に浴びたシャワー経験をずっと忘れられない記憶となった。
　彼女が愛おしくて一生傍に居たいと思ったのだ。
　既に心が惹かれ合っているだけに、濃厚に絡み合ってしまうのは自然な流れだ。
　圭太は早く上がってベットに行きたいが、美桜はしっかりボディソープで汗を流したいと攻防する。
　酔いも手伝い圭太はエロエロモードだ。
　彼女の背後に回って洗うのを手伝うにかこつけて、好き放題彼女の肢体をなで回す。


　そんな圭太を可愛いと思う美桜。
　正直、美桜自身は圭太に惹かれすぎて、２人の関係が怖くなり始めていたのだ。
　既に圭太無しの人生を考えたくないし、かといって出会ったばかりで彼が結婚という形に考えてくれるはずもないと心揺れていたのだ。
　それなのに酔っているとはいえ、彼が２人の関係を具体的に考えてくれると知って嬉しくて仕方がない。
　だから今までは嫌がっていた一緒の入浴をご褒美として解禁したのだ。

　なんとなく圭太の考えが結婚という形に傾いたのは、徹と敬子がいろいろ動いてくれた影響もあるのかなと察していたが、そこは素直に便乗することにした。
　そこまでお膳立てしてくれたのだから、後は自分自身で彼の心にがっつり忍び込んでゲットしてしまうのだ。
　美桜は恋愛経験豊富であればあるほど、男と女の別れも知っていて絆が失われる際のあっけなさも痛感している。
　だから自分自身が圭太を人生の伴侶したいと確信したからこそ、早々に彼を自分だけのモノにしたいし縛りたいのだ。

　そのためなら手段は選ばない。
　早々に敬子を味方につけて色々根回しを着々と進めていたのもそのためだ。
　肉体関係が深まるにつれて急激に彼に惹かれ、過去の恋愛では感じなかった熱い想い。
　彼とずっとそして少しでも長く一緒に居たいと思うのだが、自分の仕事が多忙で逢える時間を少なく障害となっている状況、しかしそれが逆に余計に燃えるのだ。
　しかしそれは自分自身だけでなく圭太の方も同じだと察していたから、自分はぐっと我慢してその状況ですら彼が渇望するように追い込んだのだ。

　だから常に圭太の動向には注意を払っていたので、彼からの普段無い深夜LINEメッセージに機敏に反応したのだ。
　そして彼女の期待通り圭太は美桜に会うなりメロメロであった。
　もう内心は作戦勝ちだとウキウキだったが、そこは冷静に彼の心を奪いきるラストスパートに邁進する。
　出来る女はチャンスを逃さないのだ。
　とはいえ美桜も痩せ我慢しているから裸で抱き合うと一気にセックスモードになっちゃうのはご愛敬。
　圭太は前戯が濃厚で美桜はどハマりしている。

　探索好きな圭太に目覚めさせられた性感帯は幾つもある。
　代表的なのは左の耳たぶだった。
　既に気がついている彼は背後から執拗にペロペロしてくるから、美桜は目を開けていられないほど反応してしまう。
　腰には硬いモノがガンガン当たって、どんどんエッチなモードに引きずられていく。
　このままではいつものパターンで、乱れすぎて後悔してしまう。

　濃厚な肉体関係に早々に成ったことに自分を安売りしてしまったと彼との関係を真剣に感じているから後悔しているのだ。
　とはいえもはや彼は美桜の弱いとこを知り尽くしてくれるから、彼女をその気にさせようと総攻撃してくる。
　いつものツーリングでホテルに寄ることを建前として渋るのは彼女の複雑な感情の結果であるが、それが彼の肉欲を加速させているのは皮肉な話だ。
　全裸で抱き合った時点で、美桜には既に主導権は無かったのだ。

　あれよあれよと肢体に火入れされて、いつものように快楽の誘いに負けてしまう。
　ズルズルとベットに連れて行かれると、あっという間に押し倒されて肢体の隅々まで可愛がれ食べ尽くされてしまう。
　圭太の情熱的で濃厚な前戯はテクニシャンで、美桜は何度も逝ってしまうし彼ほど上手い男性は初めてであった。
　正直、以前の美桜であれば、それで満たされてしまうほどの気持ち良かったのだ。

　そんな状態であったから彼と結ばれてからのセックスで経験したことがないほど逝き狂ってしまったのだ。
　初めて知る深いアクメの世界に怖くなってしまうが、一度知ってしまうと病みつきに成っていく。
　もう理性と肢体が覚えた欲望が矛盾しているのたが、急激に彼とのセックスに溺れていったのだ。
　もう脳が溶けてしまうのではないかと思うほどで、生まれて初めて体験するアクメに密かに夢中だった。

　女子は同性間でのセックスに関する情報交換で耳年増で、お互いの経験を共有しているから大抵はこれがと記憶を反芻していることが多い。
　その知識を超えた領域があることを知って、そこまで自身を導いてくれる彼に固執するのは自然な流れだ。
　だからこそ彼女はかつてないほどベットでは淫らになるし積極的になる。
　夢中になりすぎて喘ぎまくってしまうし、乱れ狂ってしまうことにも遠慮しなくなった。
　なにより彼がそんな彼女を見て興奮して何度も何度も愛してくれるのだ。


　圭太は美桜の肢体の隅々までたっぷり楽しんでいた。
　いつも暴走してしまい何度も彼女の限界を超えて前戯で逝かしてしまうのだが、反応が良い彼女が可愛くて仕方ない。
　手慣れた手つきでコンドームを装着すると、正常位で覆い被さる。
　痛いくらい硬くなった肉棒が女肉に飢えてヒクついている。
　ワザと蜜壺をかするように滑らして彼女の反応を楽しむと、期待通り欲しがって自ら招き入れるように腰をくねらすのが超嬉しい。

　何度も経験しても至福の瞬間だ。
　狙いを定めて肉棒をグット押し出すと、女肉がヌルんと口を開き分身を優しく包み込んでいく感覚が最高だ。
　もうエロいセックスモード全開である彼女の両手両脚が巻き付いてきて、その破壊力は凄まじい。
　蜜壺も妖しく律動して肉棒を喰われそうな程だ。

　圭太は急激に高まる快楽に我を忘れた瞬間、経験したことがない感覚に見舞われるのだった。

「あっ！！」

☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
(￣ー￣(。-_-。 )ゝ ！！！！！！！！！！！

「あぁん♡」


つづく
【前頁】/【次頁】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
羅衣さんの作品集→羅衣さんの他作品
2023年5月29日掲載
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