| 5 「ティッシュ使うだろ」 離れに戻った陽二は俺に言った。 「ごめん。また、やっちゃった」 ティッシュの箱を受け取りながら俺は答える。 「あのまんまにしたら、お前。ずっといそうだったから・・・」 「うん・・・」 「俺もそうだったんだ。電気が消えても、ずっと義姉さんのこと覗いてて朝になっちゃったこともある。だから、お前の気持ちわかるよ」 「うん・・・」 「義姉さんがバイブレーター洗いに行くタイミングで戻らないとズルズルになっちゃうだろ」 「うん・・・」 俺は生返事を繰り返す。 「そう、ふてくされるなよ。明日も見せてやるからさ」 「ほんとか？」 「あたりまえだろ。親友だって言ったじゃないか。明日だけじゃなく、見たいときには来いよ」 「やった。サイコーだ」 「ったく、現金な奴だな。それより写真撮れたのか？」 陽二は舞い上がる俺を見てニヤリと笑う。 「あっ、そっか、忘れてた」 俺はポケットからカメラを取り出した。 再生ボタンを押すと背面液晶に美由紀さんの姿が浮かび上がった。あの淫靡な雰囲気が甦った。しかし、拡大してみるとシャッタースピードが遅く美由紀さんが動いてブレているものがほとんどだった。 「ダメだ・・・やっぱ動画が撮りたいな・・・」 「動画だったらちゃんと撮れるのか？」 ガッカリしてる俺を慰めるように陽二が言う。 「うん・・・でも、あの通風口からじゃきびしいかも・・・」 「じゃあ無理じゃん。それとも他に方法でもあるのか？」 「あっ・・・」 「なんだよ？」 陽二に言われて閃いた。俺はオヤジとマウンテンバイクをやってて、ヘルメットに付けられる小型のカメラがあったのを思い出した。あれなら数時間撮り続けられるし、うまく隠せればいい絵が撮れるはずだ。 「あのさ、明日、ちょっと早めに来て調べさせてよ」 「なにを？」 「カメラを隠せる場所がないか」 「いいよ」 「やった。でもさ、美由紀さんって、いつもあんな恰好でオナニーしてるの？」 「あんな恰好って、うつ伏せになってってこと？」 「そう」 「だいたい、そうだね。きっと後ろからされるのが好きなんだ」 「ひぇ〜、そうなんだ。この写真なんかすごいもんな」 俺はカメラを陽二に見せた。比較的きれいに写っている一枚で、バイブレーターが突き刺さっている様子やお尻の穴がはっきりと見えた。 「おっ、すごいじゃん。じかに見るのもいいけど、こういうふうにすると自分のものって感じがするな」 「データやるよ」 「俺、パソコン持ってないもん」 「できないの？」 「興味がないワケじゃないけど、俺んちって母さんがああだから、買ってくれって言えないわけよ」 「だったら俺が前に使っていたやつをあげるよ。だったら美由紀さんがいないときでも楽しめるだろ」 「ほんと？」 「親友じゃないか。っていうか、せっかくお前のおかげでいい思いができたんだから、俺ひとりしか楽しめないのは嫌なんだよ」 「わり〜な」 「悪いわけないだろ。俺ができることはなんでもするよ」 「ほんとはさ、お前んちでネット見てて、俺も欲しいなって思ってたんだ」 まったく陽二は気のいい奴だ。恩に着ているのは俺の方なのに、古いパソコンをやると言っただけでよろこんでる。 「しかし美由紀さんってすげぇな。きれいだし、エロいし、あんな義姉さんがいて、お前ってラッキーだよ」 「でもさ・・・」 「なんだよ？」 「見るだけっていうのもなぁ・・・」 「ゼ〜タクな奴」 「だってさ、飽きはしないんだけど、これだけ見ちゃうと触ったり、もっと先のことがしたくなっちゃうんだよ」 「そりゃ、そうか・・・でも、見れるだけで今の俺は満足かも・・・ってか、もっと見てぇ〜っ！」 俺と陽二には時間の差が生み出す温度差があるみたいだった。でも、そのときの俺は盗撮の計画に夢中で、そんなことを考える余裕はなかった。 |
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| 2013.2.2掲載 |
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4話（2013.2/2時点）
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