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「しかし……あれだけ堅物だった君がこうも簡単に脱ぐとはね。長澤仁美にはそれだけの価値がある……と、いうことかな」
「はい。彼女は間違いなく大物になりますわ」
　見透かされた伊達メガネをはずしながら、凛とした態度で高島が答える。
「ほう、これはまた一段と美しさを増したようだ」
　インテリっぽく、一見冷たそうなキリッとした顔も、メガネをはずしだけでガラリと雰囲気が変わった。
　そもそも視力の良い高島は、業界に入りたての頃はメガネなどかけていなかった。それがどうして趣味の悪い黒ぶちメガネなんてかけるようになったのか。それは、鬱陶しい男性らからの誘いを何とかして減らしたいと考えたからであった。

「ふむ……均一のとれた良い身体だ。それに、油の乗りも申し分ない」
　釣り上げていた白眉をスッと下ろし、眉間に険しく皺をつくりながら高島のボディをジッと凝視する。
「なにかスポーツでもやってるのかね？」
「いえ、特にはなにも」
　津上の視線はなんとも粘っこかった。
　頭をわずかに下げ、脚の先からムチッとした太ももの上まで視線を這わせていく。その動きは、まず股間の膨らみあたりでいったん止まった。
「知才の美人マネージャー……まさかあの高島優子を抱けるとわな。こりゃ、岩瀬に感謝せねばならんかな」
　津上が低く笑いながら、ふたたび視線を上へ這わせていく。
「そんなにジロジロ見られると、なんだか恥ずかしいですわ」
「下着姿ぐらいで照れるな。そんな初心でもなかろう」
　言いながら、津上の眼はブラの中で窮屈になっているたわわなバストをとらえた。
「おっぱいが苦しそうだ。ブラジャーなんか取ってしまいなさい」
　津上の言葉に、高島の綺麗な柳眉がピクッと反応する。
「そうですね……」
　どうせ抱かれるんだったら早く済ませたい……高島は即座に手を後ろへまわし、ブラホックをはずした。そして、片方の手で乳房を覆いながら肩紐を抜き、そのままポトンッと下に落とした。その動きには少しの迷いも見られなかった。
「んっふっふ、さすがは高島さん！　潔いなぁ。んっ？　手が邪魔だ。おろしなさい」
「は、はい」
　高島の細い腕が、ゆっくりと胸元の先端から離れていく。全貌をあきらかにした美人マネージャーのバスト……胸元に垂れた二つの丸みは美しい釣鐘型で、その量感ある乳椀を張りつめた肌がしっかりと支えている。先端部分にある乳輪と乳首はやや色素が薄く、三十路の女とは思えぬほど初々しい。高島の乳房は、津上の期待をけっして裏切らないものであった。
「うーん、見事なおっぱいだ……まさに熟れた果実だな」
　けっして大きすぎない膨らみが、揉みごたえの良さを醸し出している。充分な成熟美を湛えながらも、あくまで全体の鮮度は瑞々しいのだ。バスローブの中で、津上の一物がドクドクと血流を荒くしていく。これまで簡単には勃起しなかったものが、なにやら若い頃のエネルギッシュな感覚を取り戻しかのようである。津上は、微かに嘆息をつきながら手にあるブランデーを一気に飲み干した。押し倒してしまいたい衝動をグッと堪えたのだ。
「んっ、ごほんっ。次は……後ろを向いて尻を見せてくれ」
　津上がブランデーを注ぎながら言った。なんとも軽い言い方だった。
　高島のストリップは、まるで酒のつまみにでもされているかようだった。
　別にそれでも構わない……高島は、どんな指示にも従順な態度を取るつもりでいた。

　直立したまま脚をスッと交差させ、姿勢よく背筋をピンと伸ばして美麗な後姿を晒してやる。津上がおもわず唸った。力を籠めた眼はあいかわらず威圧的なのだが、口元はだらしなく緩んでいた。
　キュッと締まった足首に筋肉質な脹脛……まるでカモシカのようなしなやかさ。が、しかし、みっちりと張った太ももが実に悩ましい。その太ももから滑らかに膨らんでいく双臀のヒップラインは、綺麗な丸みを保ちながらキュンッと形良く釣り上がっている。また、とてもインテリ才女とは思えぬほどの大胆な下着は、津上をおおいに喜ばせた。
「んふふっ、まさか君がTバックを愛用してるとはな。こういうギャップは非常に好きだ」
「喜んでもらえて嬉しいですわ。Tバックのほうが動きやすいんです」
　ヒップの深い縦裂にグッと食い込んだTバック生地の紐。高島のヒップは、この時点でほとんどが露出していた。
「おい、ちょっとこちらへ来なさい」
「えっ？」
「どうした？　はやく来なさい」
「し、しかし……」
　このとき、ずっと冷静を保っていた高島が初めて動揺をみせた。
「もったいぶるんじゃない！　その覚悟で来てるんじゃないのかね？」
「は、はい。そのつもりです」
「だったら早く来たまえ」
「…………」
　高島は焦った。
　仕事を終えて直でここへきた為、まだシャワーを浴びてはいない。裸にされようが弄くりまわされようが、それはそれで覚悟ができている。なんの問題もない。だが、お風呂に入っていない身体を提供するというのは、さすがに抵抗があった。
「あの……先にシャワーを使わせてもらえないでしょうか？」
　高島は祈るように言った。
「なぁにを言っとる。そんなもったいないことができるか。本来の君の体臭を石鹸などで汚されてはたまらん。早く来なさい」
「つ、津上さん、お願いします。まずはシャワーを……」
「コラッ！　津上さんじゃないだろう！　ご主人様と言え！　君はちゃんと取り引き内容を把握しとらんようだな」
「あっ、いえ、す、すみません……」
　凄む津上にやや圧倒されながら、機嫌を損ねぬよう深く頭を下げる。高島は、どうしようない状況に陥っていることを瞬時に認識した。
（ふう、私の判断ミスね……この人がただのスケベ親父じゃないことぐらい分かっていたはずなのに……やはりシャワーだけは浴びてくるべきだったわ）
　別に奴隷として扱われる理由はどこにもない。どうしても受け入れられない要求であれば退席したらいいのだ。おそらく津上も無理強いはしないだろう。だが、ここで引き下がってしまっては何の問題解決にもならないし、なにより、プライドさえかなぐり捨てて決意したことが無意味になってしまう。
　高島は、ほんの少しだけ迷った。
　そして、伏せた美貌にわずかな屈辱を忍ばせながら、キリッとしたいつもの表情で津上の前へと歩み寄っていった。
「うん、それでいい」
　初老の顔が無邪気に微笑み、身を乗り出しながら腕を伸ばす。
「うっ、……」
　手が丸出しの乳房をギュッと掴んだ。
「痛いか？」
「いえ、大丈夫です……」
「そうか？」
「んくっ、……」
　分厚い手が、鷲掴みにしている片方の乳椀をギュウッと力いっぱい握り締める。
「下がるな！　しっかりと踏ん張ってるんだ！」
「は、はい……クッ」
　津上はもう一方の手も伸ばし、両手できつく美乳を絞った。
「ふふ、お前の口からご主人様という言葉がでてくるまで絞り上げてやる」
「そ、そんな……」
　美しい高島の顔がじわじわと苦痛に歪んでいく。
　綺麗に施されている柳眉が片方だけ釣り上がり、ぽってりとした唇の端が小さく揺れる。雪のように白かった肌も、淡いピンク色を滲ませてきた。
（こ、この人、ただ普通に抱くつもりじゃなさそうだわ……うっ、痛ッ！）
　年齢を感じさせない尋常ならぬ握力……本当に握り潰されてしまうんじゃないかという恐怖が沸々と脳裏に湧いた。
「うっ、ううぅぅ……ご、ご主……あうっ」
　あまりの痛さに耐え切れず、おもわず屈服の言葉を吐きかけたとき津上の手がふっと力を抜いた。だが、安堵感は一秒にも満たなかった。すぐにまた力を籠めてきたのだ。
「どうだ？　まだ我慢できるか？」
「あうぅ……い、痛い……」
「ふん、痛い……か。まだまだ奴隷の自覚がないようだな。頭のいい君だったら分かるだろう？　奴隷としてどういうふうに接するべきなのか」
　津上が憎々しそうに言いながら、緩めた手で再び双方の乳椀を掬い取って絞り上げる。
「あっ、うっ、うう、」
　津上は、気丈に振舞おうとする高島の様子をどこか楽しんでいるようにも見えた。

　堕ちない女―――
　絶対に媚びない女―――
　男をも凌駕してしまうほど気位の高い強い女―――

　このような類の女を手篭めにできるというのは、男にとって最高の至福なのかもしれない。それは津上とて例外ではないのだ。
　歳は老いてもまだまだオスの本能は持ち合わせている。ましてや、いま手篭めにしようとしているのは高島優子という業界きっての敏腕マネージャーであり、これまで数回の誘いをことごとく断ってきた女なのだ。それだけに、言葉ひとつで服を脱ぐという状況がなんとも堪らない。表面には出さないが、内心ではありとあらゆる情欲の塊が思考をも狂わせんばかりに渦巻いている。津上は、牛の乳でも搾るかのように、きつくきつく何度も高島の美乳を揉みこねた。
「あっ、くうぅ……も、もう……許してください……い、痛いです」
「んん？　よく聞こえなかったが、なんと言った？」
　ギュッと眼を閉じ、高島がもう一度口を開く。
「ご、ご主人様……も、もう許してください」
　高島の口から、ついに服従の言葉が吐き出された。
「なに？　もう一度言いなさい」
「ご主人様、ど、どうか……もう、お許しくださいませ」
　気丈な女の哀願に、津上がニンマリしながら大きく頷いた。が、しかし、掴んでいる乳房を離そうとはしなかった。
「ご、ご主人様……あ、あの……」
「離してもいいのかね？」
「えっ？」
「お前……感じてるんじゃないのか？」
「そ、そんなこと……」
「感じてはいないというのか？　それじゃあ、これはどういうことかね？　これだけ乱暴な扱いをうけながら、どうして乳首がこんなにもビンビンに起ってるんだ？」
「ま、まさか、そんなこと……あっ」
　閉じていた瞼をパッと開け、恐る恐る自身のバストに眼を向けてみる。そこには、無残な形に揉み潰されている嗜虐の乳房があった。そして、掌から食み出している先端部分を見ると、確かに乳首はかたく尖っていた。