| 人妻加奈子の奴隷生活.67 祐平は出勤したオフィスで秘書から書類を受け取った。その中に自分に宛てられた手紙を見つけた。差出人は日本にいる妻、加奈子だった。 プライベートな手紙、それも妻からの手紙が会社のオフィスに届く事に違和感を感じた。アメリカでの自宅の住所も知っている筈だし、普通ならそちらに宛てて出すだろうと。 開封すると中には妻の字で綴られた手紙と、一枚の薄い紙が入っていた。薄い方の紙は何かの書類だとすぐにわかる。 祐平は加奈子からの手紙に目を通す。 『祐平さん、あなたとまなみに残酷な裏切りをする私をどうか許してください。私はあなたとまなみを裏切り、ある男性と関係を持ち、そしてその人を愛してしまいました。 そしてその男性との子を宿し、産みました。翔はあなたとの子供ではありません。私はあなたに殺されても仕方ないし、命を捧げてでも償うべきだと思います。しかし、翔には何の罪もありません、そして私も翔を残して死ぬわけにはいきません。だからどうかお許しください。 その他の償いはどんなにかかってもしていくつもりです。あなたとまなみのこれからが幸せであるように祈っています。 さようなら 加奈子 』 祐平は手紙を落とすと、もう一枚の書類を手に取った。薄い緑色の文字が印字されたそれは離婚届だった。そして、加奈子の名が旧姓で署名、捺印されている。 その横にある祐平の名を記入する欄が空白になっている。それは妻から置いていかれた、祐平の今を象徴しているかのようだった。 離婚届を握り締める祐平の表情は血の気が失せて青白い。妻加奈子からの別れというには余りにも一方的で短い手紙に納得できるはずも無く握り締めた拳は震えていた。 アメリカの祐平の下に加奈子から別れを告げる手紙が届く数時間程前、澤田は汗にまみれながら白い裸体を貪っていた。 激し体をぶつけ合う二人。豊満な乳房から母乳を撒き散らしている。 「すぐにでも種付けしてやるからな…」 澤田は母乳を浴びながら腰を激しく突き上げる。拒否の言葉もあげる余裕もなくただ翻弄されるだけだった。 澤田が胎内に精を放ち、ぐったりとする白い女体の横でタバコの煙をくゆらせている。 しばらくすると女は体を起こし、澤田が放った精液が股間から流れ出るのをティッシュで拭った。 祐平は空港を出るとタクシーを拾い、加奈子のマンションへと向かう。 エントランスに入り部屋番号を押し、インターフォンを押そうとした時、 「どちらに御用ですか？」 祐平は声の方へ振り返る。管理人室の窓から老人が顔を覗かせていた。 「あ、もしかして野々村さんの所かな？」 「え？あ、はいそうです…」 「ああ、やっぱり…見た顔だと思ったんだ…」 人の好さそうな笑顔で語りかけてくる。 「忘れ物引取りに来たんでしょ？」 「あ、いえ…」 「違うの？てっきり忘れ物かと…」 祐平は老人が言う忘れ物の意味が理解できなかった。 「あの…忘れ物とは？」 「あ、ちょっと待ってね…」 老人は管理人室に入り、二つほど紙袋を手に出てきた。 「これとあと、管理人室にあるんだけどベビーベッドだけ部屋に残ってたんだよ…処分していいものか迷ったんだけど取りに来てくれてよかったよ…」 「あの…どういう事でしょうか？妻は今留守なんですか？」 「え？留守？ここの部屋はほら奥さんの勤め先の社宅か何かになってたでしょ？やっぱ社宅としては贅沢ってんで他所に移るって社長さんが…」 「それでその社宅ってのはどちらですか？」 「いや、そこまでは…奥さんに聞いてないのかい？」 「え、ええ、ちょっと急な帰国だったもので…」 管理人の老人は祐平の様子から何か訳有りだろうと思った。 「これどうする？どうせあと一週間もしたら処分されるもんだけど…」 「僕が引き取ります…」 祐平は老人が持ってきた受取証のようなものにサインをするとマンションを後にした。 まだ時差ぼけが残る頭でこれからの事を考える。加奈子の行方に関することは何もわからない。 祐平は会社に顔を出した後、近くのビジネスホテルにチェックインした。 そこで加奈子の行方を辿るには何をすればいいのか考えた。手紙の事もあり焦る祐平は日本に残った加奈子と一番関わりのある人物を思い出す。 マンションを引き払った張本人、澤田だった。彼からもらった名刺を頼りに会社へと向かう。 名詞に記された住所の付近に来たところで前方から走ってきた車にふと目が行く。運転しているのは澤田だった。その助手席にも誰か乗っている。祐平がそちらに視線を移すと窓ガラスの反射の具合でシルエットしか見えなかった。ただそれが女性だと言う事はわかった。振り返り車を目で追うがすぐに他の車の陰になり見失ってしまった。 祐平は一瞬見た女性のシルエット、それが妻加奈子のように思えたがそれは自分の焦る気持ちがそう錯覚させたのだと言い聞かせた。 祐平は携帯を取り出すと加奈子の携帯をコールする。しかし、手紙を読んだ時点で何度もかけた時と同じく電源が入っていないか電波が悪いというガイダンスが流れるだけだった。 次に澤田の携帯をコールするも結果は同じだった。 とりあえず澤田の会社に行けば何かわかるかもしれないと、彼の会社へ急いだ。 初めて訪れる澤田の会社。小さいながらも受付には女性社員がいる立派なものだった。 澤田との連絡を取りたい旨を告げるが出張で連絡が取れないと言う。出張が本当なら、さっき見た女性が妻ならば、出張に同行したのではないか… 祐平は加奈子について尋ねると信じられない言葉が返ってきた。 「当社にはそのような者は在籍しておりませんが…」 どういう事だ…祐平は自分の中で信じていた妻の姿が崩れていくのを感じた。 妻が日本に残る理由は澤田の会社で任された仕事をやり遂げたいからだった筈だ。もしかして退職したのでは？と尋ねてみるも、最初から加奈子がこの会社で働いたと言う記録は残っていなかった。 妻の失踪の手がかりを得るために訪れた先で更なる謎を抱え込んでしまった祐平に旅の疲れが一気にのしかかる。八方塞がりの状況に一旦ホテルへ戻った。 そして重い体をベッドに投げ出すと深い眠りに落ちていった。 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
| 2008.7.26掲載 |
|
全８０話
|
| 【61】 【62】 【63】 【64】 【65】 【66】 【67】 【68】 【69】 【70】 |
徳利さんの作品群→ |