| 人妻加奈子の奴隷生活.70 祐平は木下が言うように澤田の身辺調査を興信所に依頼する事にした。 木下がいくつかピックアップしてくれた事務所の中から一番近いものを選び、訪ねた。 「こんにちは…」 扉を開け中を覗くと何人かの人間が事務仕事をしており、小さな会社のようだった。 「はい何でしょうか？」 いかにも事務員と言った感じの中年女性が祐平に気付き応対をした。 調査を依頼したいと告げると奥の応接室に通された。お茶を出され、しばらく待っていると扉がノックされ、一人の男が入ってきた。祐平は立ち上がり挨拶をする。 「お待たせしました…私、当事務所の代表の長谷川と言います…」 お互いに名刺を交換し、席に座った。 「え、野々村…さんですか…調査をご依頼との事ですが…」 祐平は目の前の男を見て自分がイメージしていた探偵とは随分印象が違うなと思った。 探偵はテレビで見るような子汚い事務所にハードボイルドタッチな探偵像…それが祐平のイメージだった。しかし目の前の男は至って普通のサラリーマンといった感じだった。 「あの…ある人物の身辺調査をお願いしたいのですが…」 今までの経緯と知る限りの情報を話した。 「奥様の調査ではなく、え〜、この、澤田氏の調査でよろしいんですね…」 「もちろん彼の調査の過程で妻のことがわかれば…と思っています…」 調査を引き受けると言う長谷川と簡単な打ち合わせと見積もりを立て、数日中には開始するとの事で別れた。 探偵事務所を出た祐平はその足で澤田の会社に向かった。しかし澤田はまだ出張から戻らないと門前払いを食らう。 戻り次第すぐに連絡をくれるように伝言を頼むと今度は会社に向かう。 そしてアメリカ支店との連絡をとったりその他の雑務をこなした。無理に休暇を取り、日本に戻ってきたが支店を任された責任を放棄するわけには行かない。 会社を出る時ちょうど木下から電話がかかってきた。木下の子供たちにと土産を買って帰る。 昨日は祐平が訪ねた時は二人とも夢の中だったが、今日は起きて、祐平と夜遅くまで遊んだ。しかし冴子にしかられて渋々ベッドに入った。 子供部屋から戻ってきた冴子はようやく大人の時間だと言わんばかりにそれまで触れもしなかった加奈子の事を聞いて来る。 木下と冴子は加奈子が澤田にレイプされ、それからも関係を強要されていた事にショックを隠せないでいた。 「奴らは加奈子と彩美さんを弄んだんだ…」 「そんな…」 口を覆った冴子の目には涙が浮かんでいた。 「彼女が言うには産まれた子供は澤田の子供らしい…」 「状況で言えば…だろ？」 木下は精一杯の気休めを言った。 「…そうだな…それにあの子は僕の子だ…あいつなんかに渡さない…」 その夜、祐平はどこからか聞こえてくる赤ん坊の泣き声を辿って歩いてた。家の中にいる筈なのに外にいるように広く感じる。その家は見知らぬ家で間取りもわからない。しかし、誰かを呼ぶように泣き続ける赤ん坊を探さずにはいられなかった。 次第に近くなってくる泣き声…そしてある部屋の前でその声は一番大きくなる。 「ここにいるのか？」 祐平はドアを開け中に入るとベッドで泣きじゃくる赤ん坊がいた。しかし顔がよく見えない。ベッドに近付き赤ん坊を抱き上げようとしたその時、 「やめて！」 突然の声に振り返るとそこには加奈子が立っていた。 「その子に触らないで…！」 加奈子は自分の方を睨み付けている。その背後に影が現れる。 「どうした加奈子…？」 「あなた…私たちの子供をあの人が…」 背後の男は澤田だった。 「何だ、お前…捨てられたくせにまだ未練があるのか…？」 「そうよ…もう私たちには構わないで…邪魔をしないで！」 祐平は目の前で起こっている光景に愕然となった。 「加奈子!!」 叫ぼうとするが声が出ない。 二人を見ると先程まできていた筈の服は無く、全裸だった。 「加奈子…また子供を作ろう…」 「はい…」 二人は目の前で生々しく絡み始める。 「やめろッ…やめろ！」 声にならないが必死に叫ぶ祐平。 「あぁん…いい…すごくいいわ…」 妻の聞きなれた声が響き渡る。その様子から目を逸らすことも出来ない。 「加奈子…いくぞッ…俺の子種を受け取れ…」 「はいッ…ください！あ…いく…」 澤田の腰が止まり、二人は抱き合ったまま動かなくなった。しばらくすると澤田がゆっくりと腰を引いた。加奈子は立ち上がると澤田に寄り添うように立った。 その太股を白い精液が伝う。しばらく自分の腹部を撫でていたが、 「あなた…赤ちゃんが…」 澤田ににっこりと微笑む加奈子。その腹部は見る見るうちに膨らみ、臨月の妊婦へと変貌を遂げる。その姿はどこか神々しかった。 妊婦姿の加奈子はそのまま床に座ると祐平に向かって大きく股を開いた。苦しそうな表情を浮かべたと思うと、股の中心にある膣穴から羊水が流れ出ると膣穴が大きく開き、赤ん坊の頭が見える。 「うぅ…うう…ッ…」 加奈子は必死に赤ん坊を産み落とそうとしている。しばらくして、ずるん…と赤ん坊が胎内から産み落とされる。 そして二人は産み落とされた赤ん坊を抱き上げると部屋を出て行ってしまう。 「加奈子ぉッ…！」 渾身の力を振り絞って叫んだところで目が覚める。 額の汗を拭いながら深呼吸をする。 「加奈子…キミは今どこにいるんだ…」 行方の知れない妻の身を案じた。 夢の中の自分は恋に破れた男が未練タラタラ付きまとっている様だった。加奈子に会うことが出来たとして、その結果が決して自分に良いものとは限らない。むしろ悪い方向に進むのではないかと言う気配すら漂っている。 最初は加奈子の気持ちが本気ならその時は身を引く…そのつもりだったが、今になってそれは自分のただの虚勢に過ぎないことに気付かされた。 不吉な夢の事も有り、自分がどれだけ妻を愛しているのか改めて認識させられた。 「絶対にヤツには渡さない…」 祐平は心に誓った。 翌日、ホテルに戻った祐平は澤田に関する情報がもたらされた。 その情報は調査を依頼していた探偵からではなく意外な人物からのものだった。 |
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| 2008.8.13掲載 |
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全８０話
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