１４　とうとう実兼に涼子を抱かせてしまう

　後深草院は涼子（りょうし）の上にのしかかっていかれ、涼子のくちびるをお吸いになっている。
　口を吸いながら、おっぱいを揉まれる。
　そして、下衣（パンティ）の布地の上からおさね（クリトリス）を撫でられている。
　しかし、涼子がうれしそうな顔をしないのである。
　院は、上半身をやや起こして、小首を傾げておられる。
　院は、下衣（パンティ）のわきから中へ指を突っ込まれて…。
　茂みの奥へと、指を進められ…。
　やはり、泉はほとんど湯水を湧き出していないのである。
　院は悩まれている。
（われは技巧がへたなのであろうか。涼子はわれとではなく、君子とまぐわいをしたかったのであろうか？）

　院は、再び、涼子のからだの上にのしかかっていかれる。
　そして、耳元でささやかれる。
「そなたは濡れておらぬ。どうしたら濡れてもらえるのだろうか？」
「うーん、もぉっ、だから、わたくしは誰かに見られていないと…」
「ウン？」
「御所さま、わたくしには、この衝立が邪魔なのです」
　そう言いながら、涼子はむっくりと起き出して…。
　衝立を上の方に片付けてしまう。
「あっ！」とばかり、院と実兼は、隣どおし、顔を見合わせてしまって。
　共に、きまりのわるいこと、この上もない。

　それに、涼子といえば、院のいる寝具の上には戻ってこないのだ。
　涼子ときたら、君子のところに行き、君子のくちびるを吸い、そして君子の乳房を愛撫しているのである。
　実兼は、なすすべもなく、あっけにとられた顔をして…。
　院も、情けなさそうな顔をして、おんなどうしのからみを見つめておられる。
　実兼とて、相手の君子から放っておかれているのだ。
　院は、実兼がかわいそうになられて。
　実兼に声を掛けられる。
「そんな、ぼーっとしていないで、そちも加わらぬか」
「はぁ？」
｢涼子が君子の上半身を愛撫していれているのだ。そちは、君子の下半身を愛撫してやらねば…｣
「えっ？」
「だって、そうであろう。君子にしてみれば、一人よりは二人でやってもらった方が気持ちがいいであろう」
「…？…？」
　実兼は腑に落ちない顔をしている。
「一人よりは二人の方が。とすれば、二人でやるよりは三人でやる方が君子はいいかもしれぬ…」
　院は、そうおっしゃって、君子を横向きにされた。
「実兼、しゃんと（しっかり）、気合いを入れて、君子の下半身をば、愛撫いたせよ」
「御所さま、わたしはアニマル・浜○ではありません」
「いや、世の中、すべて、気合いじゃ、気合いじゃ」

　実兼は、御所さまの様子を見ている。
　なんと、御所さまは、君子の背中に回り、背筋に唇を這わせておられる。しかも、よく見ると、手をお尻の割れ目に宛がって、その割れ目をこすっておられるようであった。

「西園寺さま、はやく！」
　涼子が実兼の手を取り、そして、その手を君子の股間に導いている。
　実兼は、涼子の手にあやつられるままに、君子の股間を撫でている。
　しかし、その自らの指が濡れてくる。
　君子が、股間を濡らしているのだ。
　実兼は、驚いている。
　他人に見られ、女ひとりと、男ふたりにからだをいたぶられて（さわりまくられて）、それでも君子は感じているみたいなのだ。君子というおんなのたくましさに、実兼は感心してしまっている。
　と、実兼は、起き出してきた涼子に唇を奪われてしまった。
　涼子は、巧みに、舌を差し入れてきて。
　そして、涼子は股間に手をやって。
　ねっとりと、涼子の舌先が、実兼の口蓋の上っつらを撫でる。
　そして、実兼は涼子に舌を吸われる。
　実兼は、手を取られ、涼子の股間に導かれる。
　涼子の股間はすでに、十分潤っていた。
　実兼は、おのれの股間のモノがビックンと立ち上がったのを感じた。
　涼子は、まるで、さっきまで君子にしていたように、実兼のからだの上にのしかかり、実兼のくちびるを吸いつつ、平べったい胸を触っていた。

　後深草院は、君子のお尻を撫でておられた。
　君子の前の玉門は、実兼の愛撫に任せようと、手を前に差し伸べることはされなかった。
　しかし、君子のお尻の穴まで淫液で濡れてくる。
（実兼のやつ、なかなかやるではないか）
　院は、そう思われつつ、君子の前にいるはずの実兼の顔を見てやろうと、少し、体を横向きに起こされた。
　が、実兼がいない。
「ウン？」
　涼子の白い背中が見える。
「あっ！」
　なんと、実兼が、涼子によって、涼子のからだの下に組み敷かれているではないか。

　実兼は、涼子に胸を揉まれ、そして、涼子に手で股間のモノを揉みしごかれているみたいであった。
　院は、ゴクンと生唾を飲まれる。
　実兼がうらやましかった。
　それに、おのれの股間のモノが疼く。
　しかし、今、涼子に『そのようなこと、やめよ』とは言う考えは毛頭なかった。
　意外にも嫉妬心が湧かない。
　これがあがこなら、別かもしれない。
　涼子がさほど好きではないのかもしれない。
　涼子のことが好きなら、そんなことをするなと叫び、涼子をこちらに呼び寄せ、涼子を掻き抱いているであろう。

　しかし、涼子が実兼の体に覆いかぶさり、おいしそうに実兼のくちびるを吸っているのを見ると、院には、もう股間のモノをビックン、ビックンと脈打たせになるのだった。
　
　涼子が、手を下に伸ばし、実兼の股間のモノをしごいている。
　院は、もうそこから視線を移された。
　おのれの、破裂しそうなばかりに巨大化した股間のモノを始末するのが優先されるのだ。

（早くに、この膨張したるモノを納めいでか！）
　院は、君子の玉門を濡らすことに専念されはじめる。

　院は、君子を仰向けにされ…。
　おのれは、股間に顔を近づけられて。
　君子のおサネをくちびると舌で愛撫される。
　そして、君子が涼子にしていたように、院も、指をゆっくりと君子の玉門に差し入れられる。
　かつて君子と涼子のからみを見たとき、君子の指は、まるで魔法のように器用で、なめらかな動きをしていた。それは琴を爪弾くときよりも優雅で、音律をさえ感じさせるほど、すばらしいものであった。
　院は、それを思い出しながら、おサネを舌で舐めつつ、指の差し入れを続けられる。
　君子が身をよじり、そして、玉門に、淫液をしたたらせる。
　院は、もう我慢をなさることができなかった。
　君子の足をさらに広げさせ、膝を折らせ、君子の股間に腰を進められる。
　固くなり、天を仰いでいるモノを押さえつけるようにして、君子の股間に。
　君子が、腰を持ち上げる。院が腰を上から打ちつけになる。
　股間のモノがスルリっと、君子の中に入っていく。
　君子の中が熱い。
　しかし、院は大きく腰を使って、長い振幅の抜き差しをおはじめになる。

「あああ、あああっ・・・」
　君子のあえぎ声ではない。
　院が、隣りを見られる。
（ああ、涼子が実兼にヤラれている！）
　さっきまで、涼子は実兼の体の上にいたのに。
　今は、もう、実兼が涼子を組み敷き、抜き差しをしているのだ。

　院は、君子の上で、急に動きをやめられる。
　院は頭の中が白くなって。
　涼子が実兼にヤラれている、というのが衝撃（ショック）なのである。
　君子の中に入っている固いモノが、元気を失くしていく。
　君子が気づく。
「どうなさったの？」
「ああ、すまない」
　股間のモノは勢いをなくし、君子の玉門の中から、スルリと抜け落ちる。
　君子が起き上がる。
　君子が今度は、院を仰向けに寝かしつける。
　君子は、院の股間に顔をつける。右手で、ふぐり（陰嚢）をやわらかく愛撫しながら、くちびるでしなびた竿（陰茎）に気（元気）を与えようとしていた。
　君子は、一生懸命、股間のモノが元気になるようにと、愛撫をしてくれている。
　しかし、再生しないのである。
　院は情けなく思われて。
　思わず、涙が出そうになり、目を瞑られる。
　すると、何か、おのれの唇が、やわらかなくちびるでふさがれたような。
　薄目をそっと開ける。
（ああ、涼子。涼子が来てくれた！）
　院は、股間のモノがビックンと、勃（お）っ立ったのを感じられる。
　涼子の頭をしっかりと抱え込まれて。
　そして、涼子の差し入れた舌をチュウチュウとお吸いになる。
　涼子がそれに応えている。

　院は、さっきは実兼に抜き差しをされて、ウンウン、スースーとよがっていた涼子を、もうお許しになっていた。
　院は涼子を下にして、涼子のからだの上にのしかかられる。
　院の頭の中に、君子はない。
　涼子の股間をしっかりとお開きになり、その間におのれの腰を入れられて。
　早くも、涼子の中に、固くなったモノを押し込めようと、躍起になられて。
　コッツン、コッツン。
　院の祈祷部、いや、変換ミスの亀頭部が、涼子のおサネを叩く。
「涼子、涼子、どこなのだ！」
「もっと、下よ」
「ああ、入れて、入れておくれ！」
　院は、涼子に甘えておられる。
　涼子はブスッとした顔をしながらも、手を下に伸ばして。
　コッキン、コッキンに固くなった院の亀の頭（かしら）をしっかりとつまんで、玉門のところへ。
　院は気ぜわしく、腰を押し込まれようとなさる。
「ああ、まだよ、まだだわ、そんなにあせらないで！」

　涼子にたしなめられる。
　それで、院は、少し腰を持ち上げられて。
　亀の頭が、玉門の口に宛がわれたような。
「さぁっ、御所さま、来てっ！」
　院はゆっくりと腰を落とされる。
　亀の頭（かしら）がヌルッと涼子の中に入り込む。
「ああっ！」
　涼子のあえぎに、院の股間のモノはさらに硬度を増していく。
「ああっ、いいっー、はぁっ、いっいっーーー」
　院は、腰を上下に、しっかりとお振りになり、そして、時々、左右にもお揺らしになって。
「ああっ、いいわ、いいわっ、もっと、もっとよっ」
　院は、涼子の要求に応えようと、深く強く、強く深く、玉門の奥をお突きになる。
　と、院には、玉門の奥で、亀のかしらが、ギュッと締め付けられたような気がされて。
「ああ、涼子、もう、だめ、ダメになりそぉっ！」
「いやいや、もっと、もっと続けて。まだよ、まだよ、しっかりがんばって、あなた」
「ううっ、もう、だめ、ダメェーッ！」
　院は、もうがまんできず、体を反らしながら、うめき、精を吐き出してしまわれて。
　がっくりと、からだを涼子の上にかぶせられていく…。
「涼子、すまない」
「うーん、いやいや、もっと、もっとよ」
　院は仕方なく、少し、体を起こされて。
　涼子の左側の寝具の上に身を置かれ。右手で涼子の首をかき抱かれ、左手を涼子の股間に。
　涼子のくちびるをお吸いになり…。
　そして、玉門に中指をお入れになる。
　まだイかぬ涼子をイかせるために、中指をぐちゅぐちゅ、クニュクニュと掻きまぜられる。
「アッアッ、いいっ、いいわ、いいわ、もっと、もっと」
　涼子の玉門は濡れに濡れている。
　院の中指もびっしょり濡れている。
「欲しいわ、欲しいわ」
　涼子が、院の股間をまさぐっている。
　しかし、院の股間は、しなびている。
　さっき、精を出したばかりなのだ。

　院は、申し訳なく思われる。
　院が顔を挙げられると、そばに実兼と君子がふたりで、こちらを見ている。
「実兼！」
　院は、思わず、実兼に声を掛けられる。
　自然のうちに、実兼に手招きをされている。
「実兼、実兼、すまぬが、涼子を喜ばせてやってはくれぬか…」
「……」
「さぁ、君子、そなたからも、お願いをしてみてくれぬか」
　君子が、実兼の肩を抱くようにして。
「ねぇ、西園寺さま、御所さまがそうまでおっしゃっているのだもの。涼子のことをかわいがってあげてっ、ねっ、ねっ！」
「しかし…」
　君子が、有無を言わさぬばかりに、手で西園寺実兼の股間のモノをしごいている。
　それは、天を仰ぐほどに固くなっていく。
　院は、それを見られて、再度、実兼に頭を下げるようにしてお頼みになる。
「実兼、さぁ、ここに来て、涼子のために…」
　実兼が、院に手を引かれて…。
　やっと実兼が、涼子の股間に体を入れる。
　しかし、実兼はまだ躊躇しているような。
　君子が、涼子の足を膝のところで曲げさせる。そして、実兼に、腰を前に進めるよう促している。
　それでも、実兼は、苦虫をつぶしたような顔をして、じっとしている。
　しかし、君子が実兼の股間のモノを摘まみ…。
「ああ、痛いっ！」
　実兼が叫ぶ。
　あそこは敏感なところなのだ。
　実兼は君子に引っ張られるようにして、腰を前に進めざるを得ない。
　君子は、実兼の亀頭部を涼子のおサネのところに当てて。
　亀頭部がおサネを擦る。
「はぁ、ウーン、いいわ、いいわ」
　涼子がうめく。
「さぁ、西園寺さま、早く、涼子を喜ばせてやって」
　君子が亀頭部の位置を下げる。
　実兼が、院を横目でちらりと見る。
　院は、しきりに頭を上下に振っておられる。
（院は頭を横には振っておられぬ。ということは、ヤってもいいということだ）
　実兼はついに、ズズーッと腰を進めた。
　ズルッ、ズルリッと陰茎が、涼子の玉門にめり込んでいく。
「ああっ、いいっ、いいっーーっ！」
　涼子がくるしそうだ。でも、うれしそうで、そのくちびるが笑っているように見える。
　院は涙が出る。
　なぜか、わからない。
　好きなおなごが、自分以外のおとこに犯されているのだ。悲しいことにはちがいない。
　しかし、それだけではないような気がする。
　涼子がうれしがっているのが、こちらとしてもうれしいのだ。

　涼子が、
「あなた、あなた」
　と声を発している。
　院は、涼子が自分を呼んでいるのだとお思いになる。
　それで院は涼子に近づき、涼子の手をにぎられる。
　涼子が目を開ける。
　院の顔を見て、にっこりと笑い、院の手をにぎり返してくる。

　院は涼子がいとおしく思われる。
　院は、涼子の右のおっぱいを手で揉まれ、もう一方のおっぱいを口で吸われて。
「ああっ、イクイク、死ぬ死ぬ、死ぬぅぅぅ………」
　涼子は、下半身をしっかりと実兼に攻められている……。
　涼子の悶えが伝わってくる。
　そして、実兼の息づかいすらも、院の耳にも届くのだ。
「あっぐぅぅぅぅーーー」
　涼子が身を反らし、身を震わせている。
　院は、その涼子の上半身をいとおしむかのように、しっかりと掻き抱いておられた。

　院は、涼子の顔ばかりを見られていた。
　実兼の方は見ておられない。
　しかし、実兼も、涼子の中で果てたようであった。

　涼子のそばに、実兼は、うつぶせになって寝そべっているようだ。
　しかし、院には、実兼の汗ばんだ背中を見ながら、『涼子のために、よくぞがんばってくれた』と感謝したい気持ちになっておられた。

　涼子は軽い寝息を立てている。
　院は、涼子の肩口に顔を寄せて寝ておられた。
　隣りの、衝立の向こうにいる兼嗣と立子も、えらく静かであった。

　と、院の首筋に、女の吐息が。
　院が振り向かれると、そこに君子がいた。
　君子が言う。
「さっきは何よっ、中折れなんかしてぇ〜」
「ごめんなさい」
「名誉挽回をしてね」
「ああ…」
　院は、体を反転させて、君子と向かい合わせになられる。
「さっきは、実兼を導いてくれてありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
　院は、突き出してきた君子のくちびるをお吸いになる。
　院は、君子を横抱えしながら、一生懸命、君子の背中を撫でておられる。
　なにしろ、君子は実兼に勇気を与え、涼子を抱く気にさせてくれたのだ。
　院は君子に感謝しておられた。
　恩返しに君子を喜ばせたいと考えておられた。

　涼子は下ツキであった。だから、背中から攻め、お尻の方から入れると、とても具合がよかった。
　その点、君子は上ツキであった。だから向き合ったままでスンナリと入る。
　それに、君子はおサネがとても感じるらしい。
　腰をくっつけて、グリグリッと腰を回してやると、ぐっしょりと濡れてくるのだった。
　おっぱいは、涼子より大きめであった。
　しっとりとして、おとこにとっては揉みごたえがあるというものだ。
　しかし、おっぱいを揉んでやっても、君子は、身をよじるほどには感じていないようであった。
　それよりは、腋の下を押したり、背骨のところを指で押してやったりすると、身をよじって喜ぶのだった。
　院は、君子の股間に身を入れられていた。
　君子は、両足を院の腰に巻きつけてくる。
　院は、深々と君子とつながり、そして、腰を使われる。
　君子のおっぱいを揉みしだきながら、君子のくちびるをお吸いになっていると、その唇をはずすようにして、君子があえぐ。
「ああ、御所さまっ、イクイクッ、来てっ来てっ！」
　その声に堪らず、院には、また激しくドクドクドクーッとばかり、気をおやりになるのであった。
（つづく）

（注）この翻案小説を書くにあたり、下記の図書を参考としました。
　　「女西行――とはずがたりの世界――」　松本寧至　著　　　勉誠出版（株）刊
　　「とはずがたり」　　　　　　　　　　　富岡多恵子　著　　講談社　刊