２　院に犯されるあがこ

　部屋には、四隅に燭台（灯り）が四つ、灯っていた。
　あがこ（雅子）は、院の唇が執拗に迫ってくるのを見ていた。院の唇が重なってくる。
　しかし、今、院の目は閉じられていた。
　あの狼のような、怖い目はない。
　その代わりに、やさしい院の睫（まつげ）が、あがこ（雅子）の目の中に入ってきた。
　院の唇は、ひどく濡れた唇だった。
　そして、ぬらりと、院の唇が、口の中に入ってくる。
　あがこは、ゾッとする。
　気持ちがわるくて、背中に、虫唾（むしず）が走る。
　院は、執拗に舌をからめてこられるのだ。
　あがこ（雅子）は、息苦しくなる。
　下から手を突っぱねて、院を突き放してしまう。院は、あがこの横に寝転がってしまわれる。
　あがこは逃げようとした。
　誰も助けてくれようとはしないのだ。
　部屋を飛び出し、屋敷を飛び出すしかないと思う。
　しかし、あがこは、しっかりと背中から、両肩を抱きしめられていた。
（すごい力！）
　と、あがこは思う。
　もはや、身にまとっているのは薄衣しかないと、あがこは悟らされる。
　なにしろ、院が力任せに抱こうとなさっているのだ。院の腕が、あがこのやわらかい腋の肉に食い込んでくる。
　薄衣（うすぎぬ）を通してではない。直接、院の腕が皮膚や肉に食い込んで来るので、あがこはとても痛いのだった。
「御所さま、おやめください」
「あがこ（雅子）、愛しているのだ、おとなしくして欲しい」
「いやいや」
　院は、あがこの肩に手を置き、あがこを寝具の上に押し倒そうとされている。
「いやいやっ、何をなさるの！」
　あがこは、からだをよじり、院の攻めから逃れようとする。
「ベリッ！」
　薄衣（うすぎぬ）の裂ける音がした。
「乱暴になさらないで！」
「われは、何もしていないのに！」
　それはそうかもしれない。
　院としては、あがこの肩に手を置いているだけのおつもりなのだ。
　しかし、あがこはその手から逃れようと夢中であばれているのだ。
　あがこが後ろへ逃げようとしたから、薄衣（うすぎぬ）が裂けただけかもしれない。
　あがこは、裂けた薄衣を肩に引っ掛けたまま、半裸の状態で、部屋の中を這いながら逃げ回る。
　院は、あがこを追い掛けになる。
　背中から、院はあがこの肩を抱かれた。
　逃がさぬように、しっかりと肩を抱き、あがこのからだをこちら向きにねじられる。
　そして、しっかりと、あがこのくちびるをお吸いになった。
　そして、院は、からだにまとわりついている薄衣を取ってしまわれる。
　あがこの真っ白なからだがあらわになった。
　しみひとつない、きれいな柔肌であった。
「おおおっ、おーっ！」
　院が感嘆の声をお漏らしになる。
「いや、いや、そんなに見ないで！」
　しかし、院は、しっかりと、あがこの腕を取り、それを広げつつ、あがこの胸のふくらみを見ておられる。
　その美しい、紅（くれない）の乳首に、院は、口をつけられる。
「アアアッ、アッン！」
　あがこは、声を上げる。
　あがこは、胸が苦しいのだ。
　なんと、実兼の顔が、そして、悲しそうなまなざしが、あがこの目の前に現れる。
『実兼さま、助けて！』　
　あがこは、助けを求めている。
　でも、相手は、権力者の上皇さまなのだ。
　あがこは、とても悲しかった。
　実兼さまとて、権力者の上皇さまには叶わないのだ。
『実兼さま、許して！』
　心の中で、あがこは叫んでいた。
　あがこは、院に、畳の上を引きずらされていた。寝具のところまで、引っ張られる。そして、抱えるように寝具の上に乗せられ、仰向けに寝かされる。
　あがこは、薄め目を開けていた。
　院も、もう、薄衣だけになっておられた。
　そのとき、院の手が、あがこの内腿に宛がわれる。
「いやッ！」
　あがこが、股を閉じようとする。
　院は、しかし、あがこの股に、無理矢理手を差し入れられて。そして、強引に、股を開かせようとなさる。

　あがこは震えている。
　寒いのだ。
「あがこ、震えているね。怖くはないんだよ」
　院の声がする。
　院は、まるで添い寝でもするかのようにぴったりとあがこの横に身を置いておられた。
　そして、院の手が、あがこの大切なところへそっと置かれる。
「あっ、いやいやっ！」
　院は、あがこの肩に左手を置き、あがこを起こさないようにしながら、片方の右の手で、あがこの草叢をしきりに撫でておられる。
　あがこは、気持ちがわるくて、身を上へ上へと、逃れさせようとしている。
「あがこ、怖くはないよ、がまんして。そのうち、気持ちがよくなるからね」
　あがこは、肩の肉が痛い。
　院にしっかり上から押さえつけられているからだ。
　見ると、押さえられているのは片方の手だけなのだ。
　片手なのに、何という力なんだろうと、あがこはあきれている。
　院は、片方の手では、しきりにあがこの股間の草叢を掻き分けておられるのだ。
　そして、院は、あがこのコリッとしたおさねをお捕らえになった。
　コリコリッとふたつの指先で揉まれる。
「ウッ！」
　あがこは、うめく。
　痛いような。疼くような。
　こんなところを、実兼さまに見られたらと思うと、あがこは恥ずかしくて、しっかりと目を瞑る。
　そして、あがこは顔を自分の両の手で覆う。
　院は、執拗に、じわりじわりと、草叢の中のおサネを指で、いじくっておられる。
　あがこは、痛い。痛みを感じている。
　痛くて腰を浮かせてしまう。
　でも、なんだかくすぐったい。
「ああっ、あ〜ん」
　何だか、わけのわからない、じーんとした気持ちになる。
　そして、両膝の力が少し抜けてしまって。
　そのとき、スッと、院の手が、閉じられていたはずの、あがこの股座に入ってくる。
　腿のあたりに、なにか、こつんこつんと、当たるものが。
　何だろう、固いような、熱いような、筒状のもの……。
　あがこには、それが、何か、絵巻物で見た、男の魔羅（大陰茎）のような気がする。
　と、院が、上体をかぶせて来られたような。
　院は、なんと、乳首に手をおやりになる。その指で、乳首を揉まれる。痛いような、それでいて、何やら、くすぐったいような。
　院が、乳首を口に咥（くわ）えられると、むずがゆさが増してきた。
「あっん、そんなぁっ！」
　院が、乳首から、唇を離される。
「アンッ！」
　むずがゆさは消えて。
　でも胸が熱い。乳首の先が燃えるように熱い。
　もっと、しゃぶっていて欲しいような気もしてきて。
　乳首の先を指先で、揉まれて。
「ハァ、ウッ〜ン！」
　何か、気持ちがいいみたい。
　乳首を、院に舌先で、舐められ、草叢のおさねをクリクリッと撫でられて。
「ハンハン、いやいやっ！」
　あがこが、腰をよじっている。
　あがこは、腰の後ろのあたりから、ジンジンと、何やら、むずがゆいような快い痺れが、沸き起こってくるのを感じていた。
　あがこは、小さな腰を左右に揺らしている。
　その小さな腰の揺れを、院は、目を細めながら、ご覧になっている。
　そして、院はいたずらっぽく、草叢の突起物を触られ、そして、優しく親指の腹で、固くなった突起物をお揉みになる。
　あがこは、つい、また、お尻を大きく振ってしまっていた。
　と、院は、あがこの股ぐらに、深く手を差し入れられ、股を大きく開いてしまわれた。
　院は、からだをあがこの股のあいだにお入れになる。
　そして、院は、自らの下帯すら解いてしまわれ、丸裸になられた。
　院の下半身のものは、すでに屹立していた。
　院は、開いた股座（またぐら）に顔を近づけていかれる。
　そして、鼻先を若草の茂った草叢にあてがい、クンクンとばかり、まるで子犬のようにあがこの匂いをお嗅ぎになる。
　院は、指先にて、やさしく草叢を掻き分けられる。そして、指先にて、コリッとしたおサネを、こりこりと撫でさすられている。
　そして、そのコリコリッとしたものに誘われるように、唇をそこに寄せ、舌先を出して、ペロリとおサネをお舐めになった。
「ハァゥ、ハァウ、ハァっ、ハッ、アアアアッ！」
　あがこは、お尻を上げ、そのお尻を左右に揺らせてしまう。
　そして、こともあろうに、股座（またぐら）にあった院の頭を、内腿にて、挟んでしまう。
　それでも、院は、おサネを吸うことをおやめにならない。
「ハァ、ヒィ、はぁ、ひぃっ！」
　あがこは、むずがゆく、そして、胸が苦しい。
　でも、何か、胸が疼くような。
　得体の知れない気持ちになる。
　上にずり上がろうとする。
　しかし、院は、腕を下からあがこの内腿を通して、両脚をしっかりと抱かれていて、あがこは上にずり上がれない。
　いや、むしろ、思い切り、引きずり下ろされてしまう。
　すごい力。
　あがこは、院がうらめしい。
　そして、ずごい口の吸引力で、おサネに吸いつかれてしまう。
「アーン、ダメダメ、だめよ――ッ！」
　あがこは腰をよじるのに、院は、すごい力を出して、あがこの太ももをしっかりと抱き止めになる。
　院は、あがこが可愛くてたまらない。
（あがこには、ひょっとしたら、好きなおとこがいるかもしれない）
　院は、胸が痛んだ。
　あがこだって、好きなおとこに抱かれたかったろうに。
　しかし、一方では、もう、他の誰にも、あがこを渡したくないという気持ちがある。
　その誰にも渡したくないという気持ちが、院を凶暴にさせるのだ。
　院は、あがこのお○んこに自分の口をおつけになった。
「アッ、ギャーッ！」
　あがこは、お尻をひっくり返さんばかりに、あばれる。
　院は、それでもあがこの太ももをお離しにはならない。
　あがこの両膝を胸に抱え込むようにして、あがこの下肢をしっかりとだき抱えられているのだ。
　院は、顔を上下動させつつ、口をせわしなく使われる。
「アッギュー、アッ、ギュー、ハァッ、ハァ、ギューッ！」
　院は、とうとう舌を、あがこのお○んこの中に差し入れになる。
「アンアン、イヤイヤ、イヤーッ！」
　あがこは、お尻を上げる。そして、なにやら気持ちよくなって、お尻を下に降ろす。
　すると、あがこは、お○んこの奥から、何やら、ヌルヌルッとしたものが染み出してくるように感じられた。
　恥ずかしくて、下肢を閉じる。
　頬が熱い。
『ああっ、実兼さま、ゆるしてぇぇ−−っ！』
　院は、半身を起こされたような。
　院は、草叢を今度は、手で撫でられ、そして、おサネを揉まれる。
「アッ、ギュッ――ン！」
　あがこは、足を突っぱねてしまう。
　指を院によって股座に差し込まれていた。
「痛い」
　と思う間もない。
「ハァッ、ウーン、ウンウン」
　院は、手で股間を開き気味にしながら、指だけを折り曲げるようにして、あがこのお○んこを指で穿（ほじく）りまわしておられるのだ。
　そして、また、お口を、おサネに当てられる。
　おサネをペロペロと院は舐められて。
　そして、そんなことをしながらも、同時に、指で、ぐちゅぐちゅと、お汁のにじみ出る壺を掻き回されている。
「ペチャペチャ」
　と音がして。
　あがこは、その音が恥ずかしくて。
　薄闇の中で、顔を真っ赤にしているのだった。
「あっ、あああ・・・・、ああっ、もっ、もうっもうーーーーっ！」
　あがこは、涙が出そうで。
　いや、あがこは、泣き出していた。
　その泣き顔を院は見つけられる。
「あがこ、そんなに泣かないで」
「いやいや」
「どうして？」
「わたしは、物ではありません」
「えっ！？」
「わたしは、物ではありません、それなのに、御所さまは、わたしを物のように扱って」
「そのようなことはない。そなたはわたしのいとしい女なのだ。わたしがそなたを物のようにあつかうなんて、そんなことは決してない」
「でもでも…」
「わたしは、いとおしい。だから、少し、乱暴だったかもしれないね。でも、少しは辛抱して欲しい。最初は、誰でも、痛いものだから」
「痛いのは、いやーよっ！」
「でも、貫くときは、どうしても、痛いものだよ」
「いやいや」
　院は、聞き分けのないあがこにあきれておられる。
　されど、ここでやめるわけにはいかないのだ。
　もう院の股間のものは、どこかに収まりたくなっており、かつ、白い液をどこかに吐き出さねばどうにも治まりがつかなくなっているのだから。
　院は、あがこの心を無視されるかのように、再び、あがこの股間を自らの口で攻められる。
「アアッ、アアッ、アンアン、イヤイヤッ―――！」
　院の口の周りはべとべとになっていく。
　あがこの蜜液が、奥から漏れ出て来るのだ。
「アーン、アアア、アアアッ！」
　院は、口による攻撃をおやめになった。
　院は、腕を立て、少し、からだを起こされる。
　もう、院の股間のモノは、ぴったりとおなかの肉にくっつき、その先端からは、よだれのような白い液が滲み出ていた。
　院は、上半身を大きく起こされている。
　院は、あがこの腰のあたりに、小さな蒲団をたたんで、差し入れられる。
　そして、さらに、院は、まるで赤ん坊のお尻を包むかのように、白い布をあがこのお尻の下に敷かれる。
　院は、この白い布が、赤い血で血まみれになるのではないかと恐れられた。
　血まみれになると、あがこがかわいそうなのだ。
　されど、この股間のものが、おとなしくしてはしておられぬのだ。
　院は、あがこの足首を持って、あがこの腰を高く持ち上げられる。あがこの腰が上がり、あがこのお○んこが剥き出しされたようにあらわになる。
「あーん、いやいやっ」
　あがこは、腰を思うさま持ち上げられ、自分の最も恥ずかしいところを院の目の前に晒されて、恥ずかしくてたまらない。
　それなのに、お○んこの奥からは、じくじくと、お汁が滲み出るので、あがこには何が何だかさっぱりわからないのだ。
　自分の頬が真っ赤なことだけしかわからない。
　院は、手をあがこのお○んこに添えられ、そろりとお撫でになった。
　そして、あがこの切れ込んだ割れ目に、指をあて、その指をグニョグニョと、動かしておられる。
　やがて、その指が、あがこの蜜汁で、濡れそぼれる。
「さぁー、あがこ、がまんしてね」
　院が腰を、あがこの股間に、にじり寄せられる。
　院が怒号した硬いモノの先っぽをお○んこに宛がわれる。
　そして、グッと差し込まれる。
「痛いーーーっ」
　あがこは、腰をぴょこんと振り上げた。
　ズルッと院の股間のモノが抜け落ちてしまう。
「ああっ、だめじゃないか。あがこ、おとなしくしてないと」
「いやよ、いやよ」
「わがままを言うんじゃない！」
　あがこは、情け容赦のない冷たい声に、胸が凍る。
　なんということだ。
　院の、なんという怖いお声なのだろう！。
　あがこは、身を縮め、固くしていた。
「バチーン」
「ああッ！」
　あがこは何が起こったのか、一瞬わからなくて。
　しかし、なんと、院に頬を張られていたのだ。
「あがこ、いいかげんにするのだ！」
　院の顔が怖い。
　目が釣りあがっているのだ。
　院に叱られたのだ。
　あがこの目から涙が滲む。
　なぜ、わたしが叱られなくてはならないの。
　なぜ、西園寺実兼さまではなくて、院に抱かれなくてはならないの。
　わたしは何もわるいことはしていないのに。
　くやしくて、くやしくて。
　あがこは、泣いている。

「あがこ、観念しなさい！」
　上から、院の声がした。
　あがこは、ふてくされていた。
　手で顔を覆っている。
　ふたたび、院は、あがこの切れ込んだ割れ目に、手を当てられた。
　あがこがまだ泣いているように、院には思える。
　あがこがかわいそうに思える。
　そして、股間のものが萎え始めているのだ。
　しかし、院は、あがこの股間の裂け目をいたぶりなされているのだ。
　院には、執拗に、今夜は、あがこを自分のものにしなくては、という意思が頭をもたげていたのだ。
　院は、あがこのことは考えてはおられないのだ。
　股間の、怒張しているものを収めたくて収めたくてたまらないのだから。

　院は、あがこの股間の奥に指を突っ込み、ほじくられる。
　そして、時々は、差し入れをなさる。
　そして、おサネを、根気よく、揉まれている。
　すると、あがこのお○んこの奥から、じわじわっと、陰汁がにじみ出る。
　その陰汁を院は嗅がれる。
　青臭い匂いが、鼻腔を刺激して、院は、また、股間のマラ（大陰茎）を、大きくなさった。
　ぐちゃぐちゃ、クチュクチュという卑猥な音で、院の指は、踊っていく。そして、卑猥な音は、院の大陰茎をギンギンに張らせていくのだった。
　院は、ギンギンに血走ったおおマラを、再び、濡れそぼったお○んこに宛がわれる。
　グッと腰を入れられる。
　下にいるあがこは、何か、熱く熱せられた鉄の棒を股間に差し込まれたような。
「ギャ――ッ！」
　目から火花が飛び出る。
　しかし、逃げられない。
　院が、両の手を腰のくびれに置いて、しっかりと腰をにぎっておられるのだ。
　それにしても、股間が焼けるように痛い。
　それであがこは、上に逃げようとする。
　しかし、逆に、下へ引っ張られるのだ。
　痛くて、痛くて、目から涙が出る。
　と、院が、上からおおいかぶさって来られた。
　重い！。
「あがこ！」
　院の声が耳元でする。
「あがこ、がまんするのだよ」
「いやいや、痛いっ、痛いっ！」
　あがこは、よじるようにしてからだを上へ上へと上げようとする。
　しかし、院は肩に手を置いて、あがこを上から押さえつけているのだ
「痛いっ、やめて、やめてぇぇぇ」
　しかし、院はやめてくれない。
　それどころか、腰を余計にグイグイと押し付けて来られる。
　しかも、院は、肩の肉に指が食い込むくらいに、上からあがこを押し付けて来られるのだ。
「あがこ、いい、いいっ。わたしはいいのだ。だから、お願いだ、じっとしていて、じっとしていて、もう、しばらくだから」
　しかし、かといって、あがこにすれば、硬いモノが股間のあいだに挟まれ、それだけではなく、股間のモノはさらに大きく広がっていくようで、自分の股間が張り裂けるように、かつ、焼けるように痛いのだ。
　あがこは、上に乗っかっている院を振り落とさんばかりに、からだを左右に揺り動かしている。
「あああ、アン、イヤイヤ」
　痛みは止まらない。
　動けば動くほど、股間の痛みは大きくなるばかり。
「あがこ、あがこ、もうちょっと、もうちょっとだけ」
　院は、鼻息も荒く、あがこの肩先に、さばりついて来られる。
　そして、院は、よじって、痛がっているのに、あがこの腰をしっかりと抱きとめ、小刻みながら、ぴょこんぴょこんと上下に腰をお動かしになるのだ。
「アッアッ、アアアッ、もうヤメテ、やめて、痛い、痛い！」
　でも、院は、お構いもなく、奥へ奥へと、固いものを突っ込まれる。
「ああ、アッ、ギャーっ！」
「うっ、ううううっ、はぁー、はぁ、ああああー」
　院は深い息をされている。
　しかし、下に組み敷かれたあがこは、股間が痛くて、あばれている。
　目に涙が滲む。
「あがこ、あがこ、気持ちいいよ―――」
「いやいや！」
「うっ、ううううっ！」
「痛い、痛い、痛いわ！」
「あがこ、あがこ、もう少し、もう少し、がまんして」
　あがこは歯を食いしばって耐えている。
　もう、院のことも実兼さまのことも頭にない。
　ひたすら、この痛みから解放されることを願っていた。
　院は、それでも残酷に、腰をお使いになる。
「あっあああ、いいっ、いいっ、出る、出る、出るぅぅぅ―――」
　院は、一瞬目がくらみそうになり、瞬間的に背を弓のように反り返された。
　逸物が深く打ち込まれる。そして、その逸物がぎゅっと絞られる。
　脳天を快感が突き抜けた。
「アッ！」
　院はそう叫ばれて、また、あがこの上半身に覆いかぶさりになった。
「ああっ、あがこ、あがこ！」
　院があがこの肩を抱きしめながら、呻かれたとき、
『グビィ、グビィ、グビィグビィグビィ――――ッ！』
　と、院の下腹部の筋肉が躍動した。
　院は、あがこの上で、激しく気をやられ、したたかに、何度も自分の精を、あがこのお○んこの奥深くに打ち込まれて行った。

（つづく）

（注）この翻案小説を書くにあたり、下記の書物を参考としました。
　　　新潮日本古典集成　「とはずがたり」　福田秀一　校注　　新潮社　版
　　「女西行――とはずがたりの世界――」　松本寧至　著　　　勉誠出版（株）刊
　　「とはずがたり」　　　　　　　　　　　富岡多恵子　著　　講談社　刊