３８　淫らな涼子を折檻なさる

「ごめんなさい、御所さま…」
　涼子は、頭を垂れてあやまっている。
　しかも、泣いているようだ。
　しかし、御所さまは涼子が許せないのだ。
（この女は、どうして、男が好きなんだろう。どんな男であろうとも、その肉棒でアソコを突っつかれると簡単にイッてしまう女なのだ）

「涼子、そなた、本当にわるかったと思っているのか？」
「はい」
「そうか。それなら、今から、あの物を用意しなさい」
「えっ？」
「男どもがいないとき、そなたと君子が使う、あの物じゃ」
「ああっ、はい…？」
「ちゃんと、その中には、湯にひたした綿をしっかりと詰め込んでくるのじゃぞ」
「はい」
「ああ、それから、ふたつ、持ってくるんじゃぞ」
「ええっ？」
「太めのモノと細めのモノと、ふたつじゃぞ」
「えっ、そんな…」
「そなたは、ひとつでよいのか？」
「……」
「前の穴だけでよいのか？」
「そんな…」
「後ろの穴も塞いでもらいたいのであろう？」
「ええっ、まぁ…」
「とすれば、ふたつじゃ」
「……」
「よいな、ふたつじゃぞ」
「はい、わかりました、御所さま…」
「そなたはよい子じゃ」

　御所さまは、待っておられた。
　何となく、落ち着いておられる。
　涼子が素直に従ってくれたからであろう。
　と、涼子が戻ってきた。
「おおっ、早いのぉ。そなたは、こういうことになると手早い」
「まぁっ、そんなこと、おっしゃらないで」
　
　涼子が手にしていたのは、水牛の角でつくられた張形（はりがた）であった。
　涼子の話によれば、大昔は、擬似の男性器、すなわち張形は、女人（にょにん）の自慰（かわつるみ）用として、石や木でつくられていたという。しかし、奈良時代になると、朝鮮半島の百済（くだら）から来た職人たちが、中国大陸の呉の国で採れた、水牛の角でつくりはじめたという。
　が、ともかく、その角の空洞部にはお湯に浸した綿が詰めてあるので、ふっくらと、やわらかく膨らんでいて、涼子はそれをアソコに入れると、とってもいい気持ちになるのだという。

「さぁ、涼子、ここに仰向けになりなさい。これで、とってもいい気持ちにしてあげるからね」
「まぁ、御所さまって、いやらしい…」
　涼子はそれでも、うれしそうに横になり、そして、手足を伸ばして仰向けに…。
　白い寝着の着物の、紅色の紐をお解きになる。
　腰に巻いた赤っぽい布切れをお取りになると、真っ白な涼子の肢体が現れる。
　この白い、のびやかな肉体が、男たちの心をくすぐるのだ。御所さまの口元も、思わずほころぶのであった。
「さぁ、涼子、足を開いて」
「いやっ！」
「いいではないか、ここには、そなたとわたししかいないのだから」
「でも…」
「でも、も、くそもない。さぁっ、はやくっ」
　御所さまは、おのが体を涼子の足もとに移されて…。そして、両手で涼子の足首をにぎられ、涼子の足を左右に大きく開かせになられる。
　そして、にぎった足首に上向きの力を入れられると、涼子の両脚は膝のところで折り曲がり、涼子の股間がより露わ（あらわ）になる。
　御所さまは、上体を折り曲げながら、おのが顔を涼子の股間の割れ目に近づけられる。
　涼子の草叢の中の、ひときわ長い陰毛が、御所さまの鼻の穴を刺激する。
　それで、御所さまは、指先をおのが口の唾液にて濡らし、それでもって涼子の陰毛をなでつけながら、左右に掻き分けになられる。
　と、草叢から、見事な、紅色をした門構え（小陰唇）が姿を現してくる。
　チュっ、チュっと、まずは唇で愛撫し、やがて、口より舌をお出しになり、涼子の門構え（小陰唇）の固い肉片を、ぺろりぺろりとお舐めになる。

「あーん！、いや〜ン！」
　気持ちがいいのか、わるいのか、涼子が股ぐらをすぼめようとする。
　涼子の両の内腿が、御所さまの頭を挟みつけてくる…。
「これこれ、それでは、わたしが困る…」
「でも…」
「そなたは、わたしの言うことを何でも聞くと言ったではないか…」
「でも…、わたし…」
「そなたがわたしの言うことを素直に聞いてくれれば、先ほど、そなたが約束を破ったことを許してやってもいい…」
　涼子の股の力が緩む。
　御所さまは、うれしくなられて…。
　あとはもう、やり放題。
　舌先を丸めて、舌を涼子の玉門（膣）の中に差し入れたり。
　鼻の頭のところで、涼子の敏感なオサネをこすったり、と。
　涼子は、腰をよじり、うめいているというのに。

　涼子の玉門（膣）の奥からは、ジュクジュクと淫汁が湧き出してくる。
　頃はよし。
　御所さまは、水牛の角を手にお持ちになる。
　それは、ふたつのうち、太めの方であった。
　長さは、５寸（１６センチ）ばかりか。
　太さは、最も大きいところで、１寸半（４．８センチ）はあろうか？。
　湯に浸した綿が中に詰められているせいか、にぎると、暖かい。
　それに、水牛の角とはいっても、その表面はつややかであった。
　職人たちの丹精を込めた仕事ぶりがしのばれる。
　そして、たぶん、涼子と君子がこれまでに股座の中に差し入れて、かなり使い込んでいるのであろう、表面はテカテカと光っている。
　その水牛の角を御所さまは口の中に入れられて…。
　おのが唾（つばき）で、十分に、擬製の魔羅（男性器）をお濡らしになる。
「涼子、参るぞ」
「ハァ−、うっーンっ、いやいやっ」
　涼子は期待しているのであろうか、腰をちょっと持ち上げ、少しひねった。
　そのひねりが何とも悩ましく映る。
「これ、涼子、じっとして。さもないと、角（つの）をば、後ろの穴に差し込むぞ」
「いや〜ん、御所さまの馬鹿、バカっ！」

　御所さまが背を丸めて、涼子の中を覗き込まれると。
　涼子の玉門からは淫液が滴り…。そのしたたりは、お尻に通ずる会陰部まで達している。
　その淫汁の多さに、御所さまは内心、感嘆なされて…。
　御所さまは、一呼吸置かれ、それから涎を流しながら、水牛の角でできた魔羅（マラ）を。涼子の割れ目に。先っぽをグッと…。
「あっ、あっ――ン！」
「まだ、先っぽしか、入れてはおらぬ…」
「はぁーん、でも、でも、きもっちっ、よぉっ・くぅっ・てぇ〜〜……」
　御所さまは、まだ、ゆっくりと差し入れを…。
　涼子が腰をもじもじしている。
「ハァーン、ああ、アンア−ン…」
　涼子が欲しがっている、全部の魔羅（ペニス）を。が、所詮、ニセモノのマラであるというに…。
　が、御所さまは、涼子をじらしながら、ゆっくりと差し込んでいかれる。
　涼子の苦痛とも快楽とも言えぬ顔つきが、何とも、淫らな男心をくすぐるのだ。
　それにしても、そのマラは埋没していくのではない。
　まるで、壺の中に吸い取られていくかのようである。
　蜜壷の肉襞が生きているのだ。
　その円筒状の生き物は、餌である肉棒を咥えこみ、徐々に蟻地獄のように、その餌を中へ中へと吸い込んでいるかのようであった。
　御所さまは、力を込めて、角（つの）を突っ込んでおられるのではない。
　手に持ったままなのに、涼子自身の肉襞が、角を中へ中へと引き込んでいるのだ。
『涼子のやつは、好きものよのぉ。われに劣らず…』

　涼子は無意識ながら、水牛の角を股の中に深く深く、もっと深く吸い込もうとしている。
　それで御所さまは意地悪をなさろうと…。
　魔羅（ペニス）である角を掴み、これ以上は中に入らぬようにと、止められて…。
「あっ、ハァーん、あああっ、いやーん！」
「欲しいか、欲しいか、もっと欲しいか！」
「はぁ、止めないで、止めないで。もっと奥に…」
　涼子が吸い込もうとする。
　で、御所さまには、そうはさせじと、しっかりと、水牛の角をにぎられて。
　と、スポっと、角が涼子の玉門から抜け出て…。
　涼子が尻をすぼめ、玉門に力を込めたせいなのだろうか？。
　ともかく、御所さまが抜かれた、ということでは決してない。
「あっ、ハァあーんっ・・・」
　涼子がさも、残念そうなため息をつく。

「涼子、欲しいのか？」
「はい…」
　涼子が頬をぽっと赤らめている。
　浮気症な涼子をにくんでおられるのに、そんな素直な涼子が何ともかわいらしいとお感じになっている御所さまではある…。
　御所さまは、また、その水牛の角を涼子の中へ。
　さして、力を入れないのに、ずぶずぶと中へはまっていく…。
「はぁ、はぁーん、いいわ、はぁーん…」
　涼子は上半身すら揺らして…。

　御所さまは、股ぐらで擬似魔羅の差し入れをしながら、上の方にある涼子の顔を見られる。
　とってもいい顔だ。
　涼子は何でもいいのだ、玉門の中に、何か入っていれば…、それで…。

　御所さまは、さして、水牛の角をおのが手で抜き差しをされたわけではない。
　六、七度も抜き差しをしただろうか。たったそれだけしかしていないのに、涼子ときたら、股ぐらに水牛の角を嵌めたまま、「うーん」とばかり下半身を突っぱね、ピクピクと内腿の肉を痙攣させながら、イッてしまったのである。

　御所さまにはまだゆとりがあった。
　涼子は、ピクピクとおなかの肉まで震わせながら、イッたばかりなので、寝具の上に、手足をだらしなく伸ばしたまま、口を半ば開け、呆けたように眠っている。

　御所さまにしたら、まだまだ、涼子を許す気にはなられないのだった。
　もっともっといじめなくては、腹の虫がおさまらない。
　たとえ、涼子にきらわれても。
　仮に、涼子からも、二条あがこからも、きらわれて、ふたりを失うことがあったとしても、まだ何かをしなければ、気持ちが収まらないのであった。

　御所さまは、涼子を抱きかかえるようにして、仰向けの姿勢からうつ伏せにされた。
　涼子は眠っているのか、疲れているのか、ともかく、御所さまのなされるままになっていた。
　御所さまは、涼子のお尻の後ろに陣取られる。
　ふたつの白い、ふっくらとした山が目に入る。
　御所さまの目が、キラキラ光っている。
　御所さまが身をかがめるようにして、涼子の股ぐらを見られると、股間には黒い草叢がびっしりと生え茂っている。
　その黒い草叢の、淫靡な生（は）え様に、御所さまは股間のモノを、びっくんとばかり上へお持ち上げになった。

　御所さまは、双臀を手の平で撫でさすっておられる。
　手の感触がよく、その臀部にむしゃぶりつきたいような気になられて…。
　激しく淫らな視線を、涼子の双臀部に…。
　と、もはや、涼子は気がついたようで…。
「いゃーっ、そんなに見つめちゃ…」
「いいではないか」
「だめよ、だめだめ。こちらに来て」
　涼子は仰向けなのだが、首を上げつつ、細い腕を伸ばしてくる。
　御所さまは、そんな涼子がいじらしくて、かわいくて…。
　本当なら、涼子のからだにのしかかり、肩を抱き寄せ、涼子の半開きの濡れたようなくちびるを吸いたいのだが……。
『いや、いや、いかん。今は涼子を折檻しようとしているのだ。淫らな涼子をいじめてやらなくては…。ここで甘やかしたら…』
　
　御所さまは非情になられて。
　股間のモノは涼子への想いで膨れ上がっているというのに、わざと心の中では冷たくされ、涼子の要求には応えられない…。
　このままでは、涼子の調子（ペース）に乗せられてしまう。
　そこで、御所さまは、涼子にはくっついていかれず、むしろわざと突き放すように、肩に手を置いただけで、涼子を裏返しにされて。
　そして、涼子の両手を後ろに回させて。後ろ手に両手首のところを紐で結ばれる。
「御所さま、なんで、こんなことをなさるの？」
「折檻するのじゃ」
「どうして？」
「そなたが、すぐに戻って来なかったから…」
「でも、あれは…」
「言い訳は聞きたくない。いずれにせよ、早く戻って来なかったというのは、わたしをないがしろにしている証左。どうしても許せぬ…」
「いやいや、許して。あの方たちには小さい頃からお世話になっている、って言ったでしょ」
「いや、だめだ」
　御所さまは、涼子が嫌がっているというのに、手を縛るだけでなく、もう一つの幅広の紐（ひも）でもって、猿轡（さるぐつわ）をされるのであった。

　涼子は、うつ伏せにされ…。そして、腹のところに、折った布団を入れられ、その布団を抱かせられて。すると、お尻だけが高く上がってしまって、みっともない格好に…。
　御所さまは、真っ白な双臀に、ごくりと生唾を飲み込まれ…。
　ムギュとばかり、両のお尻の肉をにぎられて。そして、お尻を左右に開かされ。そのお尻の谷間からは、薄茶色をした菊の紋が見えて…。
　それで、御所さまは、今度は、やや細身の水牛の角（疑似男性器）を手にされる。
　それを口でねぶられて。たっぷりと唾液をそれの突端部や茎に付けられる
　その濡れたモノを、涼子のお尻の穴にゆっくりと差し込んで。
「ムッ、ギュー、あ゛あ゛ぎゃーっ！」
　涼子が呻く。
　そして、背を落とし、それとは逆にビックンとお尻を跳ね上げさせる。
『何とも、敏感な…。さはいえ、何とも愛（う）いやつじゃ』
　御所さまは、うねる若い女の肢体に何とも言葉を失っておられる。

　と、御所さまは、自分を取り戻され…。
　冷静になって、お尻の谷間をさらにお広げになり、涼子の後ろの穴に気持ちを集中されて…。
　最初は、細身の角を半寸（１．６センチ）ばかり入れて、抜かれ…。
　次は、１寸（３．３センチ）入れて、抜かれ…。
　その次は、１寸半（４．９５センチ）入れて、ゆっくり抜かれ…。
　愛（いと）しい涼子が痛がらないように、徐々に、擬似の魔羅をお尻の穴（アナル）に差し入れられるのであった。
「はぁ、はぁー、はぁ〜ン・・・」
　猿轡をされている涼子は、苦しいのやら、気持ちいいのやら、何やらわからぬ声を発している。
　
（こんなことで、このおんなが、くたばるわけもない）
　御所さまは、そうお思いになりながら、今度は太めの水牛の角を手になさる。
　その擬似魔羅（ペニス）にも、ご自分の口の中でたっぷりと、生唾をお付けになり…。
　そして、お尻から玉門に至る会陰部を左の親指の腹で撫でつつ、会陰部の下にある玉門（膣）の中に、擬似魔羅を突っ込まれる。
「ジュブ、じゅぶ、ジュブぅ・・・」
　難なく、擬似の大魔羅が嵌まっていく。
　御所さまは内心感嘆されていた。何故なら、涼子の玉門の中がびっしりと淫液で濡れていたからなのだ。
　うつ伏せにされ、後ろ手に手を縛られ、しかも恥ずかしい後ろの穴に、水牛の角を差し込まれているのだ。
　それなのに、涼子のやつときたら、玉門をびっしょりと濡らしているのだ。
　後ろの穴と、前の穴に、両方、魔羅を差し込まれ…。
　前の穴に差し込まれた魔羅に至っては、魔羅の茎に淫液をびっしりと垂れ流しているのだ。
　これを淫乱と言わず、何と言うのであろうか？。

　御所さまは、もっともっと、涼子をいたぶってやりたいと思われた。
　それで、玉門の中に差し入れた、擬似の大陰茎を抜き差しして、もっと玉門の中の襞肉に刺激を与えてやろう、とお考えになられたのだ。

　と、その時だった、
「もし、もし」
　という声が耳に届き…。
　御所さまは、ギクッとなさる。
　御所さまは、確かに絶対的な権力者にはあらせられるが、内実は、さほど気の強いお方ではない。むしろ、肝が細いといってもいいかもしれない…。
「もし、もし」
　その声は女の声であった。
（盗賊ではなさそうだ）
　御所さまは、ほっとなされる。
　立ち上がり、その声の方に向かって、歩をお進めになるのであった。

（つづく）
（注）この翻案小説を書くにあたり、下記の図書を参考としました。
　　「とはずがたり」　新潮日本古典集成　　福田秀一　校注　　新潮社　刊
「女西行――とはずがたりの世界――」　松本寧至　著　　　勉誠出版（株）刊
「張形と江戸をんな」　　　　　　　　　田中優子　著　　　洋泉社　刊