３９　涼子の心を確かめるために

「もし、もし」
　と、部屋の外から、女の声がして…。
　御所さまは、寝着をひっかけて、立ち上がり、その声の方に向かって行かれる。
　廊下には、うっすらと朝の日が差しているようだ。もはや、夜が明けようとしているのだろうか。
　引き戸を開けられる。
　女が立っていた。白い寝着を身につけて。
「ああ、君子か！」
　御所さまはほっとされる。
「もう、夜明けが近いようじゃな。ところで何か用事でもあるのか？」
「はい。涼子はどうしたのかと思いまして…」
「何か？」
「涼子は、いつもなら、あの方たちを見送るのに。今朝は姿が見えなかったゆえ、心配して…」
「あの方たちというのは、ひょっとして、白髪頭をした年配の者たちのことか？」
「はい」
「ああ、そうか。しかし、心配ない。涼子ならこの部屋にいるぞ」
「そうでございましたか…」
「ところで、あの年配のお二人は、もうこの屋敷を後にされたのか？」
「はい、そうでございます」
「そうか、そうか」
　御所さまはご機嫌がよい。
　それは、この屋敷に、もう邪魔者はいなくなったとお思いになったからだった。

「君子、すまぬが…」
「何でございましょう」
「われの牛車の者たちに、伝えて欲しいのじゃ。もう帰ってよいと。あと、夕刻に迎えに来て欲しい、とな」
「はい、かしこまりました」
　君子は、立ち去っていく。
　何とも素直である。
　君子にも、宋銭や反物を贈っている。それが効いたようである。
　しかし、御所さまは、急に思い立たれたように、君子の後を追われる。
「あれっ、何か？」
　振り向いて、君子が…。
「いや、気にしなくてよい。そこまで送る」
「そんな…」
「気にしなくてもよい。つまり、そのぉ、そなたがわたしの用事を済ませたら、また、わたしの許に帰って欲しいからじゃ」
「えっ？」

　御所さまは、君子と、中庭に架った丸い橋のところで別れ、そして、その橋のたもとのところで、君子の帰りを待つことになさった。
　御所さまは、何となく、君子を利用して、涼子に復讐をしてやろうと考えなされたのだ。

「あっ、御所さま…」
　君子が戻ってきた。
「ああ、帰ってきてくれたのだね、うれしいよ」
「えっ？」
「そなたに逃げられなくて、よかった」
「……？？」
「さぁ、あの部屋に戻ろうね」
「でも…」
「でも、何だい？」
「あの部屋には、涼子が眠っているし…。御所さまと涼子の邪魔になっては…」
「よいではないか。涼子とそなたは友達ではないか…」
「でも…」
「さぁ、一緒に参ろう」
　御所さまは、君子の手を取られて…。
　御所さまには自信があった。君子を手篭めにしても君子は決して逃げないであろうと。

　暗い廊下を歩きながら、御所さまは君子を口説かれる。
「君子、わたしは涼子が好きなのじゃ」
「……」
「でも、涼子は、わたしよりは、あの白髪頭や薄毛頭の男たちが好きなようじゃ」
「……」
「それで、わたしはいつも、焼き餅を焼いているのだ」
「そんなこと…」
「だから、涼子の気持ちが知りたいのだ、わたしは…」
「どうなさりたいのです？」
「つまり、涼子の前でそなたを抱きたいのじゃ」
「まぁっ！」
「それで涼子が嫉妬をしてくれたなら、脈があるというもの…」
「もし、涼子が焼き餅を焼いてくれなかったら…」
「しようがない。もう、そなたに乗り換えるしかあるまい」
「まぁっ！」
「だから、協力して欲しい。涼子の前で、わたしに抱かれて欲しいのじゃ。そして、感じなくても、感じたふりをして、いっぱいいっぱい、声を上げて欲しいのじゃ。むろん、あとで、涼子には内緒で、そなたにはたくさんの宋銭や反物を贈るから…」
「でも…」
「これも、友人のためだと思って…」
「ほんとに、御所さまって、おわるいお方…」
「よいではないか、取って食おうとしているのではない。お互いにまぐわい（セックス）の快楽を味わおうというだけ話なのだから…」

　部屋に戻る。
「ウっ、むむむっ」
　涼子のうめき声だった。
　涼子は起きていた。
　それに、うつ伏せのまま、後ろ手にされ、しかも、その両手首には紐が掛けられていて。
　涼子がとてもかわいそうで。
　でも、御所さまは、あの白髪頭や薄毛頭の男たちにアソコを突かれ、悶え、うれしがっていた涼子の顔を思い出され、冷たく、邪険にしてやろうと思い定められていた。
　御所さまは、太めの紐で、涼子に目隠しをされた。
　君子とのまぐわい（セックス）を、恋しい涼子に見られるのは、やはり、何とも恥ずかしかったから。
　そして、御所さまは、涼子の両足も、膝のところで、紐でしばられた。
　君子とのまぐわいを、万が一にでも、涼子に邪魔をされたくなかったから。涼子の動きを少しでも封じておきたいと思われたのだ。

　君子は、ポカーンとして立ち尽くしていた。
　が、寝具の上におられる御所さまに手招きをされると、何だか、それに逆らえなくて。
「ああ、君子、よく来たね。涼子も好きだが、そなたも好きだよ」
「まぁっ、そんなこと…」
「さぁ、こちらにおいで。あとで、たくさん、ごほうびをあげるから」
「……」
　御所さまは、いやがる君子を抱き寄せられている。
　そして、肩をしっかり抱かれて…。
　唇をそっと、君子のくちびるに、軽く重ねられる。
　君子が逃げようとする。
　しかし、しっかりと抱きしめられているので、君子は逃げられない。
　重ねられているだけなのに、君子がくちびるをもぞもぞさせている。

　やがて、御所さまは、唇を強く君子のくちびるに押し付けられ、君子のくちびるを開かせられた。
　唇が、君子の歯に当たる。
　なかなか、君子が口を開かせない。
「君子、さぁ、舌を出してごらん」
　君子がおそるおそる、舌を出して来る。
「ああ、かわいい顔だね。そなたの顔は…」
　君子が突き出してきた舌を、御所さまは、おのが唇でチュウチュウとお吸いになる。
　そして、君子の舌をどんどん、おのが口の中に取り込み、舌もくちびるもお吸いになっていく。

　君子の舌を、歯で噛まぬように、おのが舌で愛撫されていく。
　と、君子の舌が絡みついてくるような。
　御所さまは、それに応えられる。
　舌と舌とで、御所さまと君子は、戯れを増して…。
「ああ、君子、とってもいいよ」
「ああ、御所さま。いけない人…」

「君子、とってもよい匂いがしてきたぞ」
「ああっ、あああっ」
　君子が顔をのけぞらせる。
　すかさず、御所さまは、口を君子の耳元に近づけて、
「今度は、そなたに、良い香を持ってきて進ぜよう」
　と、ささやかれる。

　そうささやきながら、次には、おのが唇で、君子の白いうなじを攻められて…。
　君子の背中をゆっくりと撫でられる。
「ああ、御所さま・・」

　君子のお尻を撫でられると、なんと、とっても丸くって、こりっとして手ざわりがよい。それに、手のひらにすっぽりと納まるような。
　涼子のお尻に比べ、君子のそれは小さいようである。
　御所さまは、その小さなお尻を、大変可愛く想われ、まあ〜るく、やさしくお撫でになる。
　君子も気持ちがいいのか、からだをくねくねとさせて…。

「さぁ、君子、仰向けになろうね」
　御所さまは、君子の後ろの頭に手を掛けて、ゆっくりと、君子を夜具の上に寝かしつけになる。
　御所さまは、おのが寝着を取られて。
　そして次に御所さまは、ゆっくりと君子の寝着をお取りになる。
　ゆもじ（腰巻）はなく、真っ白な、ほっそりとした裸身が現れる。股座をちらりと見られるが、草叢は涼子ほど濃くはないようだ。
　しかし、君子の肌の艶は、涼子に負けてはいない。
　君子のお乳を下から揉むようにして。
　すべすべとした肌。その感触を楽しまれる。
　そして、お口をお吸いになる。
　と、もう、はしたなくも、股間のモノがビックンと天を仰いでしまっていた…。

　唇から君子のくちびるを離すと、
「はぁっ、はぁっ」
　と、君子が息を荒くする。
　乳首が立っている。
　それを、軽く、親指と薬指で…。
「あっ、あああ、あんっ」
　指で挟んでいるだけなのに。
「ああっ、そなたは、ここが感じるのだね」
　御所さまは、そのおっ立った乳首を口に含まれる。
「あっ、アンアン」
　舌先で乳首の突端をころがされると、君子は、お尻を振り上げんばかりにして反応する。
　唇で乳首を愛撫しながら、御所さまは、手のひらにて、お乳の下のあたり、おなか、そして、おへその下と、可愛がっておられる。
　そして、その手は玉門（膣）には直接行かず、いきなり、下肢の内腿に。
　その下肢も、涼子のものに比べ、ほっそりとしている。
　内腿の肉を撫でられる。
　その肉がやや湿っぽいのはなぜなのであろうか。
　ひょっとしたら、君子は緊張のあまり、汗を掻いているのかもしれない。

「君子、気持ちを楽にしなさい」
「……」
「さぁ、少し、足を開いて」
　君子は、素直だった。
　下肢の力を少し抜いたようだ。
　それに乗じるように、君子の下肢を広げ、その間に、御所さまは、おのが体を差し入れられるのだった…。

　君子の足をさらにお広げになる。
　そして、御所さまは、背中を丸め、君子の内腿に唇をお這わせになって…。
「あーん、いやいやっ」
　御所さまは、君子が股を閉じようと抵抗してみても、お怯みにはならない。
　しっかりとまた、君子の股ぐらを無理矢理、お開かせになって。手で内腿の肉を揉み。そして、唇と舌先で、内腿の皮膚をお攻めになるのだった。

　そして、御所さまは、玉門（膣）の額（ひたい）の先にある、ふっくらとしたお餅のような陰阜（いんぷ）を指の先でお撫でになる。
　春の草叢のような陰毛が指先に当たり、その指ざわりの良さに御所さまの目尻が垂れ下がる。

　御所さまは、君子の股間に、さらに顔をお近づけになる。
　陰毛を掻き分けられると、そこには、真っ白な小豆（あずき）大の陰核が姿を現す。
　それは、涼子のモノより大きめで、しかも硬そうであった。
　がしかし、いくら硬くて大きいものであろうと、直接、指を当てるのはかわいそうに思われて。
　御所さまは、そっとそれに唇を当てられる。
「あああっ」
　君子がうめき、お尻をびっくんと跳ね上げる。
　御所さまは、両手でしっかりと君子の内腿をおつかみになる。
　君子の下肢をしっかりと押さえつけられると…。
　そのおいしい、硬い小豆を、しっかりと口にお含みになられて…。
　クチュクチュとお吸いになる。
「あっ、あああっ、ダメっ」
　と、君子がいやがるのに、今度は舌先でチロチロと陰核をいたぶられるのであった。

　そして、御所さまは、口をさらに、下の方へ。
　と、下の唇が濡れる。
　そして、君子の、雌の匂いが鼻をついてくる。
　御所さまは、御口で、君子の玉門より湧き出ずる淫液をお掬いになる。
「ああっ、アアアッ・・・」
　君子が、身も無きように、からだを捩って。
　御所さまは、しっかりと君子の内腿を両腕で抱えつつ、玉門を口で、陰核を鼻頭で、こすられる。
「ああっ、御所さっ・・まぁっ…」
　玉門と陰核を同時に責められて、君子があえぐ。

　と、そのとき、衣ずれの音が。
　横を見やると、なんと、うつ伏せにさせられた、そばの涼子が、寝具の上で身もだえしているではないか。
　ひょっとしたら、涼子のやつ、君子のあえぎ声に、淫気を催されたらしい…。
　御所さまは内心、ほくそ笑んでおられる。
（そうだ、君子をいじめてやれば、それだけ涼子も、いたぶることができるやもしれぬ）

　御所さまは、君子の股間のところで、上体を起こされる。
　そして、上向きになった、おのが股間のモノを見られる。
　股間のモノは、すでに、先っぽのところから、透明な淫液を垂れ流していた。

　御所さまは、上向きになったそのモノを下向きにされ。
　その先っぽの裂け目（鈴口）を、君子の硬く大きくなった、白い小豆に当てられる。
　そして、腰を前後に揺すられて、陰核を責められるのだ。
「あっ、あっんぅぅ、アン、イヤイヤぁー」
　君子が腰をよじる。
　鈴口を当てているのに。それは、陰核からはじかれて。
「ああっ、君子、じっとしていてくれぬと。そうでなければ、このわれのモノが、せっかく、気持ちよくなりかけているというのに…」
「ああ、そんな…」

　君子は下半身のもじもじをやめない。
　仕方が無い、左手で、しっかりと、君子の腰を押さえつけて。
　右手では、しっかりと大魔羅（ペニス）の茎をにぎり、先っぽの鈴口を君子の陰核に宛がい。
　君子の陰核を、先っぽを縦に上下動させながら、こする。
　先っぽからは、透明のオスの淫汁が沁み出ている。
　御所さまが腰を使って、大仰に、陰核をこすられるほど、君子は、
「ウーン、フーン、はぁ、ハァっ・・・」
　と、今にも泣きそうなぐらいによがっている。

　御所さまは、上体を起こし、まずは、正座をされる。
　そして、足の指を曲げて足を立てられる。その足のかかとのところにお尻を乗っけられる。
　そして、君子の下肢を持ち上げられて。
　涼子の下肢やお尻にくらべ、君子のものはすべて小作りで、軽い。
　君子の下肢を左右に広げ…。御所さまは、おのが膝から太ももの上にかけて、君子の下肢を載せられるのであった。
　太ももの上に載せてからも、さらに君子の両肢を広げられる。
　君子の玉門が丸見えになる。
　御所さまは、おのが大魔羅（ペニス）の茎を指でつまみ、その先っぽを、君子の玉門の縁あたりに宛がわれて…。
　君子の玉門の門構え（小陰唇）を、亀頭部でなぞるように、こすられる。
「ああっ、いやーん、いやいや」
　それでも、御所さまは、先っぽで玉門の門構え（小陰唇）をこすりつづけられる。
　君子がいやいやと下肢を揺らす。だから君子の下肢が今にも、御所さまの膝や太ももの上からはずれ、寝具の上へずり落ちそうになる。
　御所さまは、君子がそれでも、涙を流しているので、そんなにいやがってはいないはずだと確信を持たれている。
　そこで、今度は、中指の腹を上にしつつ、それを玉門（膣）の中へ差し込まれる。
　そこは濡れそぼっていた。
　御所さまは、たいそう、うれしそうな顔をなされた。
　君子が、わが愛撫に感じてくれているのだ。
　そして、中に入れた中指をくちゅくちゅと掻き混ぜられて。
「フーン、いやいや、いやーよぉ」
　君子が膝の上から落ちそうに。
　ぐっと、君子の下肢を寄せつけて。
　そして、中指をえぐるようにして、玉門の上っ面のところ（Ｇスポット）を掻いておやりになる。

　そして、今度は、指でなく、いよいよ、わが大魔羅を入れてやろうと思われる。
　しかし、ズボッとばかり差し込むのも、もったいなく思われて…。
　まずは、先っぽのみを、と。
　正座をされた腰をやや浮かし、前傾姿勢で、君子の股間の穴に、アレを。
「ああっ、ああっ」
　呻かれたのは、御所さま。
　君子の中は、涼子のそれに劣らず、あったかいのだ。
　だからとても気持ちがよい。
　一気に奥まで、嵌めたく思われた。
　しかし、腰をそのままで止められて。
　でも君子の、玉門の襞が、ヒクヒクと波打ち、男のアレを食い込もうとしている…。
「ああっ、あああ」
　君子が泣きそうな声を上げる。
　そして、君子が腰を上げてきて。
　御所さまは、先っぽの下の、雁首のところまで、はめられておしまいになる。
　が、腹の下に力を込められて、そこで、ふんばられる。
　全部を入れてしまったら、もう、こらえ性もなく、イってしまうかもしれない…。

　御所さまは、えらの張った雁首のところまでで、しっかりと腰を止められて。
　そして、魔羅の先端部だけで、抜き差しをされる。
「はぁっ、はぁっ、アンアン、御所さまぁぁ・・」
「あっ、あああっ、君子、気持ちがよいぞ、あああ、ぁぁぁ、はぁっ！」
　御所さまは、もうがまんができず、腰をお立てになり、そして、君子の玉門の奥深くに、ズボリっと。
「アっ、アアアっ！」
　御所さまは、根元まで嵌まり、根元までが熱い淫液で濡らされて、あまりの気持ちよさに、涙を滲ませてられる。

「はぁ、はぁっ、ぐぅぅぅぅっっ・・」
　君子も、腰を跳ね上げ、手を伸ばして、御所さまの腰に手をやり、その御所さまの腰をひきつけて。もう、この奥からは逃がさんとばかりに。
　御所さまは、イきそうになられ、何とか、下にずれて、逃げようと。
　君子は御所さまのモノを追うように、腰を下にずらせて…。
　深く、深く、御所さまのモノをからだの奥まで受け止めたいと言わんばかりに。

「あっ、あああ、君子、いかん、それはいかん…」
　御所さまは、もう出そうになられているのだ。
　で、腰を引かれて。
　やっと、先っぽが嵌まった形まで戻して。
「ふぅぅぅっ―――っ」
　と、御所さまは、深い息をなされて。
「あっ、あぁーん・・・、だめぇっ」
「そんなことを言うでない。そんなに奥まで突っ込んだら、われは、もう死んでしまう」

　と、そばでまた、衣づれの音がして。
　涼子が身もだえしているのだ。
　目隠しをされて。
　しかし、目隠しをされていても、そばで何が行われているか、涼子にはよくわかっているにちがいない。
　涼子がかわいそうではないか。
　涼子のやつこそ、かわいがってやらねば。
　でも、もっともっと苦しませてやらねばと、御所さまは思われる。

　で、御所さまは、また、君子の玉門に気持ちを集中させられて。
　大魔羅の雁首まで、嵌められていたのだが。それを、ズボッと、抜かれる。
　そして、嵌める、抜く。
　君子は、もう、奥まで欲しいのか、口を開け、涎を流している。
　君子は、お尻を跳ね上げ、手を伸ばして、はやく、早く、奥まで突いて欲しいとせがんでいるようであった。

「あーん、御所さま、はやく、ハヤク」
「君子、君子、何を、何をハヤク、じゃ…」
「あっ、アーン、ハヤク、ハヤク」
「何を、何をじゃ」
「ハヤク、ハヤク」
　御所さまは、涙を流さんばかりの君子がいささか、かわいそう思われて。
　それに、目を下にやると、魔羅の先っぽは、透明な先走りの液を噴き出していて。魔羅の茎もピクピクと蠢き、早くオスとして、本物の淫汁を、メスの中に吐き出したいと、荒々しく欲望の滾りを脈打たせているのだ…。
　
　御所さまは、大魔羅を君子の玉門からはずされ、膝の上から、君子の下肢を降ろされる。
　そして、君子の下肢を伸ばし、それを広げて。もう
　一度、大魔羅を君子の玉門に宛がい、グッと腰を降ろして、差し込まれる。
「あっ、ああああ、いっいっーっ」
　君子が手を伸ばしてくる。
「来て、来て」
　御所さまは、君子のその所作がかわいくて。
　つい、こらえ性のなく、上体を、君子の上体に併せていかれる。
　君子が、首を上げ、くちびるを突き出してくる。
　御所さまは、顔を被せて行かれる。
　とそして、唇に君子が飛びついてくる。
　そして、御所さまも、しっかりと、君子の口をお吸いになる。

「バタ、バタっ」
　と、音がする。
　たぶん、足の膝を縛られた涼子が、暴れているのだろう。
　君子から、魔羅を抜いて、涼子を後ろから責めてやりたい…。
　しかし、もう君子はお尻を突き上げ、男の背中に手をやり、もう一方の手も男の腰にやり、男のモノを逃がすまいと必死なのだ。
「アッ、アアアアッ！！」
　今度は御所さまが呻かれる。
　君子が、魔羅を締め付けてくるのだ。
　御所さまは、もう頭の中がしびれてきて…。
　もうこうなったら、どうでもいいと、思い切って、君子の口を吸われる。
「うっ、ううううう」
　口を塞がれた君子が呻く。
　口をはずして、御所さまも、
「ウッ、グゥ―――ッ！」
　とうめき声を発せられる。

『涼子、ゆるせ！』
　と、咽喉の奥から言葉を発せられようとしたとき、御所さまには、ドクドクッとばかり、君子の奥深くにオスの精を打ち込まれるのであった。

　御所さまは、君子の胸の上に頬をくっつけて。目をつむっておられた。
　そして、泣いておられた、
（これで、涼子にも、あがこにも、きらわれてしまった…）
　と。

（つづく）
（注）この翻案小説を書くにあたり、下記の図書を参考としました。
　　「とはずがたり」　新潮日本古典集成　　福田秀一　校注　　新潮社　刊
「女西行――とはずがたりの世界――」　松本寧至　著　　　勉誠出版（株）刊
「張形と江戸をんな」　　　　　　　　　田中優子　著　　　洋泉社　刊
「紅閨秘伝抄」　　　　　　　　　　　　福田和彦　著　　　ＫＫベストセラーズ刊