９　男と女の不可思議な仲

　院は貞子（ていし）にお酒を注いでもらわれている。
　院は貞子の好意に満足そうに盃を干しておられる。

　貞子が御壷から出て行く。
　なかなか帰って来ない。
　院はひどく不安になられる。
　と、貞子が戻ってきて。
「どうしておったのだ？」
　思わず院にはお問いかけになる。
「……」
　貞子が嫣然（えんぜん）と微笑んでいる。
「われの気持ちも知らないで…」
「あれっ？、おさびしかったのですか？」
「わかりきっていることを聞かないタモれ」
「用意があったのでございます」
「何（なん）の？」
「白芋（はすいも）の茎の皮を出していたのですよ」
「ああ……」
　院は、恥ずかしそうに笑われている。
「それに…」
「それに、何なのだ？」
「その皮は、乾いていて、ごわごわなのですわ。ですから、お湯も用意していたのです」
「何、それは？、どういうことなのだ？」
「その皮は、乾いているときは、固くて、しなやかではないのです。ですから、使うときには、お湯に浸してしなやかにするのですよ」
「はぁ〜〜」
　院は、ため息を漏らされた。
　院には、白芋（はすいも）の茎の皮というものがどういうものか、よくにはおわかりになっていない。
　しかし、その皮がお湯で温められ、フニャフニャになって、べっとりとおのが白い肉茎にくっついてくるのかと思うと、まだくっついてはいないのに、何やらアソコがむずがゆくお感じになられるのであった。

　院は、貞子に盃を満たされ、それをあけられるうちに、やがてほろ酔い加減になられた。
　院はお酒が入ると、気が大きくなられる性質（たち）であった。
　貞子が美しいおなごなので、しらふではなかなか手が出せない。
　しかし、ようやく、貞子を引き寄せるほどの勇気が持てそうであった。
　この場合、勇気というより酒が好色の気持ちを増長させているのかもしれないが。
　院は、酒のせいで元気が出たのか、じっと貞子を見つめられた。
　貞子も、じっと院を見つめ返している。

　すると貞子が指貫（足に穿く着物の部分で袴のこと）に手を伸ばしてくる。
　そして、上からそっと撫でてくるではないか。
　院にはびっくりされている、貞子の積極的な行動に。

　院の股間のものは、すでに硬くなっていた。
　おのこは、そのおなごが恋しいのなら、その顔を見ているだけでも、すぐにでも抱きたくなって、興奮するものらしい。
　貞子が指貫の布地の上から、固くなったものを指でなぞっている。
　貞子の目が妖しく光り、濡れている。
　しらふならば、院にはその貞子の視線が耐えられなかったであろう。しかし、お酒が入って院には気持ちが強くなられていた。
（そなたがその気ならば、われは受けて立とうぞ）
　と院にはお思いになられていたのである。

　院は、余裕のある顔で、貞子の目を見つめられ、そして、手を伸ばされ、貞子の肩を引き寄せられた。
「そなたが好きだ。今夜は思い切ってそなたを訪ねてきてよかった」
「いやいや、そのようなことをおっしゃっては…。わたくしは院がお考えになっているほどモテませぬ…」
「いやいや、そなたはモテる。もし、他のおのこが来ていて、鉢合わせなどしたらどうしようかと、われは不安で、不安で…」
　院は、どうしても貞子をモテるおなご（女性）にしたいらしい。
　もっとも、そのような女性であるからこそ、真っ白でしっとりとした豊かな内腿を開かせる道程に、ドキドキ感があるというものなのかもしれないが…。

　院は横抱えにしつつ、おのが右腕を枕にして貞子（ていし）を寝かせつけられる。
　貞子は仰向けになり…。
　院はゆっくりと顔を傾け、貞子のくちびるに向かっていかれた。
　院は、乾いたおのが唇を貞子のやや湿ったくちびるに当てられる。
　まだ、院には口を吸ってはおられない。唇にくちびるを重ねておられるだけなのである。
　がまん比べである。
　とうとう、貞子は、腕を伸ばしてきた。そして院の首に掛けて。院の顔を引き寄せて。
　貞子がくちびるを少し開けて。
　院は貞子が首を抱いてくれたことがうれしくて。そのお返しとばかり、半開きとなった貞子のくちびるをチュウチュウとお吸いになる。
　なんと貞子も下から唇を吸ってくるのだ。院にはそんな貞子がいとおしく思われた。それでさらに思い切り貞子のくちびるも、そして貞子が自ら差し出してきた舌さえもしっかりとお吸いになった。
　院は、口をお吸いになりながらも、他人同士なのにどうしてこうもすぐに仲良しになれるのだろうかと小首を傾げておられる。
　おのことおなご、はじめて会ったのに、こうして心を通い合わせ、からだを触れ合えば、こうも簡単に仲良くなれるということがいかにも不思議に思われるのだった。

　院が重い口吸い（ヘビー・キッス）をなさっているときだった。貞子が、手を下にやって、指貫（袴の一種。裾のまわりに通したひもをしばり、足のくるぶしの上でくくる）に手を伸ばしてくる。
　そして院の股間のモノを布地の上からなぞっている。
　貞子は、上向きになった院の大茎なオ○ン○ンを撫でているが、その優しい指使いに、院は、『はぁ、う〜ん』と、ため息を漏らされそうになる。
　が、そこはわれとておのこなりけむ、ぐっと我慢をなされた。

　院は、貞子の小袿（こうちき・うちかけ）を脱がせられて。
　そして、貞子は五つ衣（いつぎぬ）を院の手で開かさられてしまって。
　左手で、小袖の襟を開けられる。
　薄い紅色をした下衣（したい）が院の目を射て…。
　院の目は、まるで月夜に出てきた狼のように、青光りして…。
　狼は、半開きの口からよだれを流さんばかりに。
　乱暴に下衣の襟を剥がれると、真っ白な乳房に食いついていかれた。
「はぁ、うっ、うううっ！」
　貞子の眉間に皺が。
　院は、少し乱暴にしたことを悔いておられる。
　でも、貞子の乳房にむしゃぶりつかれていた。

　貞子は院の狩衣（かりぎぬ）の宛帯（あておび）を上げて、指貫（はかま）の紐をほどいている。
　貞子は、大胆にも院の指貫（はかま）を引き下げて。下衣の布切れの上から、院のモノに触っていく。
　院は、ちょっと腰を上へと引かれる。
「ああ、逃げないで」
「でも…」
「固いわ、とっても」
「でも、普通であろうぞ」
「ふつうじゃないわ」
「じゃ、貞子のせいだね」
「ウン？」
「おのこはね、好きなおなごとするときは、とっても固くなるのだよ」
「まぁっ、うれしいわ」
　貞子が、布切れの上からだが、きゅっと、大茎のオ○ン○ンをにぎってくる。
「あっ、痛い、痛いよ！」
「あらっ？」
「そこは、おのこの敏感なところですからぁ〜。やさしく扱っていただかないとぉ〜」
　でも貞子は、下衣の布切れを掻き分けて、モロに（ダイレクトに）オ○ンちんに触ってくるのだった。
「あれあれ、はぁ、はぁ- - - -」
　院は、よだれを出されんばかりに。
「どうなさいましたの？」
「そんなことをされると、われは、もう…」
「だめだめ、もっと我慢してくださいな」
「そう言われても…」
「御所さまは、わたしくしのこと、好きだとおっしゃったのに…」
「あっあっ、それはそうだが。もっとも、おのこが好きなおなごとまぐわう（性交を為す）ときは、われはどうしても興奮しすぎて、速くイッて（＝精の放出）しまいそうなのです」
「まぁ、そんなことおっしゃって。いやですわ…」
　
　貞子は、それでも、手を引っ込めず、院の硬くなったモノを白い布切れの上からさすっている。
　貞子の目が潤んでいる。
　貞子にすれば、口を院に吸われただけで、院の興奮振りがわかるのだ。そして、乳房をぎゅっとばかりにつかまれて…。院はよほど気に入っておいでなのだ。
　それに何といっても、指先に感じる、院のオ○ンチんの感触がいい。とても固くって、茎のところには青筋が立っている（血管が膨れている）のだから。
（あっあ、こんな固いモノで、わたしは刺し貫かれるのね）
　貞子は、そう思っただけで、玉門（膣）の奥がジュッと濡れてくるようだった。
　院は、貞子をお抱えになって。
　そして、衝立の向こうに。衝立の内には寝具が敷いてあった。

　寝具の上に行くと、院には狩衣（上着）も上の薄衣も、貞子の手によって、剥ぎ取られておしまいになった。
　そのうえ、指貫（はかま）のくるぶしのところの紐も解かれ、下衣の腰紐さえも解かれて。

　院もお返しとばかりに、貞子の袴（はかま）をお取りになって。
　そして、貞子がいやがるというのに、薄い紅色の薄衣をお尻を上げさせながら、お剥ぎ取りになって。
　貞子は、すっぽ○ぽンにされてしまって。
　院は、貞子を押し倒されて。
　ご自分は半身を起こして、貞子の膝のうしろに手をお掛けになって。
　貞子の足を大きくお開かせになる。
　貞子の白い太腿に、院は手を這わされ、そのすべすべとした感触に興奮され、狼のように目を吊り上げられた。
　院は、両方の内腿に手をおやりになり、貞子の股間に顔をつけていかれる。
　玉門の両側の、大きな花びらは潤っていて。そして、その花びらは、あたかも飛び交う蜂を誘うかのように、甘い匂いを放っている。
　院は、その左右の花びらに、おのが唇を寄せられていく。
「あああっ、御所さま、いけない、いけませんわ」
「どうして？」
「どうしても…」
「では、このかぐわしい匂いを出すのをやめておくれ」
「そこは、御所さまがお口を当てられるところではございません。おしっ○の出る、きたないところですから」
「かまわぬ、かまわぬ、くるしゅうない」
　貞子が羞恥のために、顔を横にそむけているというのに。
　院には、内腿に置かれていた手を思い切り横に開かれて。
　貞子のじっとりと濡れた花びらに、唇をつけられる。
　とてもいい匂いがして、鼻頭さえ、花びらにくっつけようとなさるのだ。
　唇だけではどうにも我慢がならなくて。
　花びらを唇で挟みつつ、その花弁を舌でもなぞられる。
「はぁ、う〜ん、いやいや、もぉっ！」
　貞子が腰をよじっている。
　しかし、両脇の花びらの奥からは、じっとりと、雌蕊（めしべ）の蜜汁がにじみ出ているのだ。
　院は蜂にはあらず。
　しかし、蜂の口先の針のように、おのが唇を小さく細くすぼめつつ、甘い蜜をお吸いになる。
「うううっ、ハァヒィ−、ハァヒィ−」
「おいしいよ、おいしいよ」
「お願い、おやめになって、うっ、ううう、はぁ、もう……」
　貞子がお尻を突き上げてきて…。
　貞子の内腿の肉が痙攣しているみたいであった。

　貞子のお尻がやっと、寝具の上に降りてくる。
　院は、少し貞子を休ませてあげようとお思いになった。
　院は、本当は身を上にのし上げ、貞子のくちびるをお吸いになりたかった。
　しかし、おのが唇は、貞子の花びらの間から湧き出た蜜汁で、べとべとになっている。
　それで多少は遠慮をなされて、くちびるをお吸いになるのはおやめになった。
　しかし、院には口淋しいのだ。
　院は、貞子の胸に顔をうずめ、乳首を口に咥えて、ちゅうちゅうとお吸いになっていた…。

　やがて、院は、顔を下に動かされて。
　左右の花びらが交わる頂点に。
　そこには、おさ○（陰核）があった。
　そのおさ○は、小豆（あずき）大（だい）ほどの大きさで。でも、色はあずき色をしていなかった。むしろ白っぽい色であった。
　後宮の女たちとのまぐわい（性器合わせ）のとき、ここをさわってやると、みんな腰をヒクヒクさせるところであった。
　それで、院がちょっと指先をそこに当てられると、それがピクリとうごめいて。
　院が興味関心を掻き立てられ、顔を近づけられる。
　そして、そこにふぅーとばかり、息を吹きかけられる。その息にも、それは反応する。
　院は、そこに唇をつけられる。
「ううっ…、ハァハァハァッ！」
　貞子が苦しげな、切ない声を漏らしているというのに。
　院は、唇だけでなく、舌を出されて。
　おさ○を舐められる。
　小豆（あずき）くらいの大きさであったのに。そのおさ○は、なんと大豆（だいず）のような大きさにまで膨らんで。
　と、院がよく見られると、その大豆には、表面に包皮がくっついていて。その包皮に舌先を当てると、ヌルッと動く。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
　貞子は、今にも白目を剥きそうになっている。
　院は、そっと舌先で、大豆の表面の皮をお剥きになった。
　そして、剥き出しになった大豆を、そっと口にお含みになる。
　そして、大豆の表面を舌でころがすように舐め続けられる……。
「アアア、アアッ、御所さま、来て来て！」
　院が急ぎ身を起こして、上半身を貞子の胸に合わされていくと、貞子は腕を伸ばしてきて、院の首をかき抱き、自ら口吸い（キス）を求めてくる。
　院は、そんな貞子がいとおしくて背に手を回し、抱き上げるようにして口をお当てになる。
　舌がからみあい、貞子の気持ちがおわかりになる。
　院が思い切り強く貞子の口をお吸いになると、
「アアアッ、御所さま、御所さまぁぁぁぁ……」
　と貞子はあえぎ、胸を打ち震わせつつ、下半身を突っぱねて、身を反り返している。
　院は、打ち震える貞子の胸をしっかりとお受け止めになっている。

　院は、貞子の上に乗っかっておられる。
「貞子、重くはないかい？」
「大丈夫ですわ」
「でも…」
「でも、何ですの」
「こうして、貞子の上に乗っかっていると、われも気がイッテしまいそうになるぅぅ」
「まぁ！」
「はやく、貞子の中に入りたいよ」
「ああっ、ようやく、御所さまには、入れてくださるのね」
「そうだよ」
「まぁっ、うれしいわ」
「まだ、はすいもの皮はつけなくていいよね」
「ええ。でも、イキそうになったら、言ってくださいね。そうしたら、はすいもの皮をつけて差し上げますから」
「ああ、それは楽しみだね」
「どうして、ですの？」
「だって、貞子のきれいな手で、われのお○ん○んをにぎってもらえるのだもの」
「まぁ、そんなことぐらいで…」
「でも、おのこにしたら、好きなおなごに、お○ん○んをさわってもらえるなんて、最高にうれしいことだと思うけど」
「まぁ、御所さまったらぁ。なんか、御所さまってヘンタイ（趣向が普通の人のようではない）みたい」
「そうかな…？」
「でも、わたしも、御所さまには、お○んこをさわってもらいたいわ」
「えっ、そうなの！」
「おんなも、好きなおのこには、恥ずかしいところでも、さわってもらいたいものですわ」
「ああ、よかった、それは。われは変態ではないよね」

　院は、少しおのが体を横にずらして、貞子の体の上から降りられた。
　貞子は、確かに
「御所さまには、お○んこをさわってもらいたいわ」
　と言ったのだ。
　院は、貞子の口を吸いながら、手を下に伸ばされた。
　そして、左右の大きな花びらを手でなぞられて。
　ほこらの中に指をお入れになると、そこはとても濡れていて。院は、股間のモノをドッキンとばかり、硬くなされた。
　中はとても熱く。
　院は、今すぐにでも、股間の滾ったモノをこの熱いるつぼの中に入れてしまいたいと思われた。
　しかし、この中に入れたら、とてものこと、長くは我慢ができないと思し召しになった。
　これまで長く持ったのは、お酒のせいかもしれないが、もうこれ以上長くは持てそうにない。
「貞子、すまない」
　院は、身を起こされた。
「どうなされました？」
　貞子が問う。
　院は居住まいを正されて。
「もう、持ちそうにないのだよ、ほれ、見てごらんなさい」
　貞子は、院に手を引っ張られ、上半身を起こす。
　そして、貞子は、院の股間に目を。
　なんと、院のお○ン○ンは、天を仰いでいた。そして、その亀の頭の裂け目（鈴口）からは雄蕊の先走りの白い汁が。
「貞子、これをそなたの煮えたぎったお○ンこに入れてごらん。われはすぐに気をやってしまうにちがいない」
「まぁっ！」

　それでも貞子は起き出して。
　衝立の向こうから湯桶と何やら布袋を持ち出してきて。
　布袋から、灰色っぽい、ごわごわとしたものを貞子が取り出すのを院には興味深そうにごらんになって。
「御所さま、これが、肥後芋茎（ひご・ずいき）ですわ。きれいな色でしょ」
「ああ、里芋の茎の皮というから、もっと、黒っぽいと思っていたが…」
「職人がていねいに梳（す）いたものですから。これは肥後芋茎の中でも上質なものなのですよ」
「ほおーっ、そうであるか」
「では、これをお湯につけてみますね」
　貞子が、まず、指をお湯の中につっこんで。
「まぁ、人膚になっていますわ」
「ウン？」
「最初は熱くしていたのです。でも、時間が経って、ちょうどよい温かさになったみたいですわ」
「ああ、そうなのか。そなたは顔もよいが、おつむもよさそうじゃのぉ」
「まぁ、御所さまったら、わたくしを馬鹿になさって…」
「いやいや、そういうつもりで言ったのではない」
「まぁ、今夜は許して差し上げます」
　貞子がにっこりと笑う。
　そして、貞子は、ハスイモの茎の皮をお湯に浸す。
　と、その皮は、乾いていたときは灰色がかっていたのに、透明感を増してきた。
「貞子、これはすごいね。こんな透明なものになるとは。よほど薄いのだね」
「職人芸でしょ！」
「うん、さすが仕事人の仕事ですね。こんなに薄いものだとは思わなかったよ」
　院は、大変お喜びになっている。
　最初は、白芋（ハスイモ）の茎の皮を巻くなんて、感度がわるくなってしまうと、いささか心配をなされていたのだ。しかし、こんなに薄いのなら、さほど感度がわるくならないかもしれない。

「さぁ、御所さま、仰向けになってください」
　院は、素直に、寝具の上に仰向けになられた。
　はだかで、しかも、剥き出しのお○ン○ンがおなかにくっついている。恥ずかしい。でも、貞子に肥後芋茎の皮を巻いてもらえるのだ。恥ずかしいなんて言ってはいられない。
「わぁっ！」
　院には飛び上がらんばかりに驚かれた。
　首を起こして、股間の方を見る。
　貞子が、親指と中指で、おなかにくっついているお○ン○ンの頭をつまんでいるのだ。そして、おなかから引っ剥がそうとしている。しかし、しっかりとそれはくっついているのでなかなか剥がれない。それで、貞子が親指と中指でギュッと強くお○ン○ンを摘んだらしいのだ。
「貞子、やさしく扱ってよ。そこは、おのこの敏感なところだからね」
「わかっていますわ。でも、なかなかまっすぐ上に向いてくれないんですもの。御所さまは手が空いていますわ。このお○ン○ン、上向きに支えていてくださいな。そうでないと、わたくし、なかなか巻きつけられませんわ」
「仕方がないね」
　院は、手を伸ばされ、親指で、亀の頭をお起こしになられた。
　貞子は、両方の手が使える。
　まず、亀の頭のところから巻きつけていく。
　亀の頭のところに何か空洞をこしらえようとしているような。
「ああ、御所さま、この指、邪魔ですわ」
　院は、親指を下の茎の方に移動させられる。
　茎をおさえつけても、お○ン○ンは上向きになっていた。
「貞子、それはなに？」
「御所さまの精を受けるところですわ」
「そんな先っぽに空間など作らなくても…」
「だって、御所さまの精（液）って、多そうですから」
「どうして？」
「いつも、おいしいものをたくさん召し上がっておられるでしょうから…」
「…？…？」

「さぁ、御所さま、巻き終わりましたわ」
「ああ、ごくろうさま」
　院は、上半身を起こそうとなさった。
　すると、貞子が、覆いかぶさるように、手を院の御胸に。
「御所さま、このままで」
「えっ、どうして？。われは、そなたの上になり、これを早くそなたのおま○こに入れて、わっしょこ、わっしょこ動きたいのだよ」
「ううん。わたしが、わっしょこ、わっしょこ、動きたいの」
「ウン？」
　院は怪訝な顔をなさる。
　おなごが上になって動くなど、聞いたことがない。
（はて、われは紫式部の源氏物語など読んだことはないが、そんな女性騎乗位のことが書いてあるのだろうか？）
「ねぇ、ねぇ、いいでしょ？」
　院も、かわいい貞子に甘えられては、ヤニ下がられる（にやにやと照れ笑いをなさる）しかなかった。

　一方の貞子は、御所さまに女性上位の体位を承諾させたことで、内心ほっとしていた。
　実は貞子は一度、肥後芋茎の皮を経験しているのだった。
　やはり、全体で一枚皮ではないのだ。皮と皮が重なるところがある。その重ね目のところはどうしても、貞子の玉門（膣）内の襞肉にはしっくりとなじみ合わないのであった。　しっかりと濡れそぼっていれば問題はないのだが。
　濡れそぼっていないのに、おのこに、しっかりと一方的に抜き差しをされては、貞子の場合、襞肉に違和感を感じてしまうのだ。

　貞子は、うれしそうであった。
　股を広げ、院の腰のあたりを跨ぐ。
　御所さまのお○ン○ンをおなかから引っ剥がして。
　その上を向いている亀の頭にねらいをつけて、ゆっくりと、腰を降ろしていく……。
「はぁ、ぐぅ―――っ」
　大きい。でも、固いので、それは中にめり込んでいく。
「ああああっ、あああああっ」
　貞子がうめいている間に、なんと、貞子のおま○こは、院のお○ン○ンをすっかり飲み込んでしまっていた。
　貞子もいささか、あきれ気味の顔をしている。
　何しろ、院のお○ン○ンは大きくて。そのお○ン○ンにハスイモの皮を巻いたのだからさらに大きくなっている。その大きなお○ン○ンを自分のおま○こは苦もなく飲み込んでしまったのだから。
　ごわごわ感はない。
　貞子が少し腰を浮かせる、そして、沈める。
　濡れているせいなのか、それともハスイモの皮がしっかりと院の陰茎になじんでいるのだろうか、違和感はない。なめらかなのだ。
　貞子は、からだを倒して、院の胸に合わせて行く。
「あ〜ン、気持ちがいいわ」
　貞子が、甘えて頬を胸板に寄せてくる。
　と院には、どっくんとばかり、貞子の中にいるお○ン○ンが息づく。
　院も気持ちよくて、腰をよじられる。
「ああ、だめだめ、動かないで。じっとしていて」
　仕方なく、院は動きを止められた。

　貞子は、玉門の中がだんだん熱くなっていくのが感じられる。そして、むずがゆい。
　むずがゆくて、つい、貞子は動く。
　動くと気持ちがいい。
　貞子は、院の胸から上半身を起こす。
　上半身を起こした方が動きやすい。
　貞子は、腰を上下に、そして、左右に振っている。
　むずがゆさと心地よさと、それがない交ぜになって。
「はぁん、はぁ、いいわ、いいわ」
　貞子は、腰を振っている。
　しかし、院は手持ち無沙汰である。
　おなごの下になったことなどない。
　上になって、勝手に動きたいのに。
　貞子だけ気持ちよくなってと院にはご機嫌がわるい。
　くそおもしろくもないので、院は、手を伸ばして、左右の花びらが上で出会っているところにある、大豆（だいず）のようなお○ねを、指でいじくっておられる。
「アン、だめだめ、そんなことしちゃ」
　下から見ると、貞子は長い髪を振り乱し、眉間に皺を寄せながら、いやがっている。
　でも、院にしてみれば、貞子だけいい気持ちになっているのが腹立たしい。
　しっかりとお○ねを、指でいじくられる。
「いやいや、そんなことしないでぇぇ」
　そして、院は、左の手を伸ばして、貞子の胸をギュッとつまんで。
「ハァン、そんなに強くにぎっちゃ、いや〜ン！」
　貞子の腰の動きが速くなる。
　貞子の玉門の中は、洪水のように淫液があふれているらしい。院にはおのが陰毛が貞子の蜜汁で濡れそぼっているのがおわかりになるほどなのだから。
　もう、そうなると、ハスイモの茎の皮の、ごわごわ感など無いに等しい。
　が、貞子は、何やら玉門の中が、燃えるようで。その炎が奥の院（子宮）を突き上げてくる。
「ア〜ん、もぉっ、なんか、変になりそおっ」
　貞子は、それでも腰をしっかりと降ろし、グリグリと自分の股間を院の股間に押し付けながら、上半身をくねくねと揺らしている。
　院には、乳首やおさ○（陰核）を揉んでおられるのだが、貞子の狂乱ぶりが一向によくわからない。
　貞子が腰を上から押し付けてくるので、院にも腰を下から突き上げておやりになる。
　しかし、不思議なことだ。
　なかなか気がイキそうにないのだ。
　いつもなら、とっくに気をやっていそうな気がする。
　お酒を飲みすぎたせいだろうか。
　いや、そんなには飲んではいないはずだ。
　ほろ酔いかげんだったはず…。
　院には長持ちをしている理由がわからない。
　しかし、それよりも、院には、おのれが上になって女の上でしっかりと腰を使いたいものだとお思いになっている。
　おなごの下でも確かに腰は使えることは使える。しかし、上で腰を使っていた方がはるかに気持ちがいいような気がするのだ。
「ああああ、あああああ」
　貞子が、院の胸に手をやり、院の胸を指で掻きむしった。
　貞子が胸を反らし、そして乳房を打ち震わせている。
　院は、貞子がうしろに倒れそうなぐらいに、からだをあばれさせているので、体をやや起こしつつ、貞子の腰に手をやって支えておやりになった。
　と、貞子が、院の胸の上に倒れこんできた。
　貞子がしがみついてくる。
　院は、いとおしそうに、貞子の背中をお抱きになった。
　貞子の痙攣がいかにも激しい。
「貞子、大丈夫か？」
　貞子がこっくんとうなずいたような。

　院は、下から貞子を抱いておられる。
　貞子の、背中まで届くような長い髪をなでておられる。
　が、院にはまだ気をやっておられないのだ。
　で、貞子にお聞きになる。
「貞子、そなたはイッたのか？」
「ええ」
「われは、まだなのだよ」
「あれっ？。どうして？」
「うーん。あそこがむずがゆくて、むずがゆくて。イキそうで、なかなかイケないよ」
「どうしてなのでしょう？」
「そんなこと聞かれても、われにはわからないよ」
「御所さま、わたしはどうすればいいのでしょう」
「うーん、この芋茎（ずいき）の皮を解いて、純ナマで、シコシコさせて欲しいな」
「だめだめ、それはだめよ。月のものが満ちていく（成熟した卵子が卵巣から飛び出して卵管を通って子宮に満ちていく）時ですから。そんなときに院の精（子）を受け入れたなら、わたくしは孕んでしまいますわ」
「では、いつ来たらいいのだろうか？」
「赤い潮が流れ出でてしばらく後か、赤い潮が流れ出るしばらく前かにございます」
「そんなこと、そなたにわかるの？」
「わかりますわ」
「では、そのときに、われを呼んでくれるのだね」
「はい、そのときには文（メール）を出し（打ち）ましょう」
「では、そのときまで、われは我慢しようっと」
「まぁ、聞き分けのよい御所さま。では今夜は、わたくしが御所さまの尺八を吹いて差し上げますわ」
「ウン？。尺八？。横笛や笙（しょう）しかわれは持たぬが…」
　貞子が笑っている。
　そして、貞子は身を起こした。
　院は仰向けに寝ておられた。
　貞子が髪をなで上げながら、下の方を見ている。
　院は、貞子が何をしようとしているのか知りたくて、首を起こして下を見ておられる。
　貞子は、院のお○ン○ンから、ハスイモの皮をはずしている。
「ふぅ―――っ！」
　皮が大陰茎から、全部剥ぎ取られたらしい。
　スースーするような開放感があった。
　と、じゅぶ、ジュブと、下から音がするのだった。
　院はまた首を起こし、下に目をおやりになる。
　貞子が股間に顔を寄せているみたいだ。しかし、上からは、貞子の長い髪にさえぎられで、貞子のやっていることがまったく見えないのだ。
「あああ、ああああ」
　院は、あまりの気持ちよさによがり声を発せられて…。
　なにか、おのが肉棒の茎をにぎられ、肉棒の先を誰かのくちびるでなぶられているような。
　ジュボォ、ジュボォと、亀の頭をしゃぶる卑猥な音が院の耳を刺激する。
「ハァ、ハァ、アアアア」
　院は、あまりに気持ちがよくて腰を捩りながら、声を出される。
　雁首の傘のところをくちびるでからみ取られ、亀の頭をしっかりと吸い上げられていくのだ。
（そんなことをしたら、白い雄蕊が飛び散ってしまうものを…）
　と、院が思われたその時だった。
　目の前で、火花が飛び散り、知らずのうちに腰が高く跳ね上がっていた。
　そして、ドクドクドク――ッとばかり、雄蕊の熱い粘液が噴き上がって行く…。
　しかし、その熱いものが、生ぬるいもので受け止められていて。
　溶岩のような熱いものが、亀の頭に爛れ出て。
　そして、その熱いものは雁首を過ぎ、茎の方にまで垂れていき…。
　しかし、その垂れたものを誰かが舌やくちびるですくい取っているような気が…。
（ダメダメ、そんなきたないこと！）
　院は、そう心の中で叫んでおられたけれども、あまりの気持ち良さに、目から涙を流されていた……。
（つづく）

（注）この翻案小説を書くにあたり、下記の図書を参考とした。
　　　新潮日本古典集成　「とはずがたり」　福田秀一　校注　　新潮社　版
　　「女西行――とはずがたりの世界――」　松本寧至　著　　　勉誠出版（株）刊
　　「とはずがたり」　　　　　　　　　　　富岡多恵子　著　　講談社　刊
　　「時頼と時宗」　　　　　　　　　　　　奥富敬之　　著　　ＮＨＫ出版
　　「源氏はおもしろい」　　　　　　　　　瀬戸内寂聴　著　　小学館文庫