５　桜庭とダンスをする涼子

「わたし、今度、東京に行ってくるわね」
「えっ！？」
「行ってはいけないの？」
「いや、別に。で、何で？」
「同窓会があるの」
「誰の？」
「田端電機のＯＬ時代の仲間が集まるの」
「ああ、そうか」
　夕食の時だった。

「どんなメンバーが集まるの？」
「美津子たち。それに妙子とか真佐子とかも来るらしいわ」
「それは楽しみだね」
「行ってもいいのね」
「ああ、もちろん」
「土・日にかけて、一晩泊まりなの。いいの？」
「ああ、しかたがないだろう」
「あなた、さみしくない？」
「しかたがないさ。君だって、たまには、みんなと、お酒でも飲みに行きたいだろうし…」
「さみしいって、言ってみてくれない？」
「馬鹿！」

　わたしは、実際、女同士の集まりなら、安心して出せるのだ。そこに男たちが入ると、ちょっとばかり抵抗感があるのだが…。涼子は美人ではない、決して。だが、心配なのだ、けっこう涼子は社交的で、お上手ものなのだ、口が…。だから、男たちにモテるような気がして…。
　それに、涼子が今勤めている出版社というのは、さほど大手ではなく、東京出張なんて、そうざらにあることではない。わたしにはたびたび、上京のチャンスがあるというのに。わたしは、今の会社が長い。涼子はそうではない。途中入社なのだ。年の若い男が上司だと聞いている。きっと、今の出版社で苦労をしているにちがいない…。たまには息抜きも必要だろう。
　
　土曜日の朝、わたしは、快く、涼子を送り出していた。
　涼子がいない。何もすることがないのだ。で、久しぶりにパチンコに行った。
　そして、くるくる寿司で簡単な夕食を済ませ、家に戻っていた。そして寝ころがってテレビを見ていた。
　居ても話をするわけでもないのに、さすがにいつも居る涼子がいないとなると、さみしくて落ち着かなかった。缶ビールを開け、ナイターを見るともなく見ていた。

　日曜日、いつもより早く目覚める。
　トーストとコーヒーの、簡単な朝食を済ませ、することもなく、せっかくなので洗濯をした。
　昼は、コンビニに行き、５５０円の幕の内弁当を買って帰った。

「ただいま」
　涼子の声だ。
　わたしは玄関まで、迎えに出た。
「お帰り」

「ああ、疲れた、疲れた」
「どうして？」
「久しぶりの電車だもの。わたし、電車には弱いの」
「ああ、そうだったかな。で、どうだった、楽しかったかい？」
「ええ、そりゃ、疲れたけど、楽しかったわ」

　夕方、涼子も疲れていると思い、外に出て食事を執ることにした。
　近くに、レストランがある。ディナーで２，５００円なら安い。
　歩いて出かけた。わたしはビールが飲みたかったのだ。

「ねぇ、美津子に会ったの。美津子ったら、えらく、あなたのこと聞いてたわよ」
「ああ、そうか…」
「美津子、あなたみたいな人がタイプなのかな？」
「馬鹿なこと、言うなよ」
「でも、わたしって、本当は、桜庭さんみたいな、スポーツマンタイプがよかったのよ」
「そんなこと、言うなよ」
「冗談よ」
「あいつは、スポーツならなんでもこなせるからな」
「でも、美津子、桜庭さんのこと、心配していたわ」
「どうして？」
「あなた、聞いてないの？。桜庭さん、精神科に通っているのよ」
「多少、そのことは聞いてるよ…」
「桜庭さんって、スポーツマンタイプで、元気がよくて、社交的だったのに…。うつ病なんて。そんな病気とは、まったく縁のない人だと思っていたのに…」
「そうだよな。うつ病なんて、むしろ、俺が罹った方がおかしくない」
「きっと、本社って、最近は大変なのね。上からの締め付けがあって…。それに多面評価って、部下が上司を評価して、それが、そのまま人事部に行くそうね…」
「昔はよかったよ。上司とお酒が飲めて。さかずきを交わすうちに、上司の気持ちもわかってきて。そして、酒の席でなら、部下に言いたいことも言えるしな。今はそういう飲み会がない。昼間の会議だけで、上司や部下の気持ちを汲み取れと言われても、無理なんだよ、俺たちの年代の者には、な…」
「美津子がね、しきりに言うのよ」
「何て？」
「秋山さんとふたりで、また東京に出て来なさい、って」
「えっ？。どうしてだろう？」
「美津子が言うのよ。ふたりで、桜庭を元気づけてやって、って」
「ふーん…」
「わたし、心配だわ、桜庭さんのこと」
「どうして？」
「だって、わたし、田端電機に入った頃、桜庭さんと同じ職場で。色々と世話になったし」
「そうか。で、たまには、飲みに行ったとか？、ふたりで…」
「うーん、そんなこと、あったかな。職場の飲み会があって、そのとき、本部長が来ていて。昔の自慢話ばかりで、おもしろくなくて。桜庭さんと早々と抜け出して、二次会、ふたりでやっちゃったこともあったわね」
「そんなことがあったのか」
「うん」
「……」

　わたしは、黙ってしまっていた。
　どうも、桜庭には対抗意識があるみたいだ。
　いや、ちょっと、桜庭に嫉妬しているみたいだった。

「桜庭に会いたいのか？」
「ええ、会ってみたいわ」
「俺は、あんまり…」
「だって、あなたたちは、たびたび会っているでしょ？」
「そんなに会っていないよ」
「会っているわよ。だって、美津子、そう言ってたもの」
「……」

　まさか、俺たちが、ソープランドだとか、ファッション・ヘルスだとかに行っているなんて、美津子さんも知っているはずはないと思うが…。

「まぁ、ともかく、俺は、桜庭とはダチ（友達）なんだから。会いに行って、励ましてやらなくてはな」
「だめだめ」
「どうして？」
「ああいう病気はね、周りの者が、がんばれ、がんばれって言ったら、反って逆効果なの。話をじっくり聞いてあげるとか、一緒に楽しく時間を過ごしてあげるとか。そういうように、相手にプレッシャーを与えないようにして付き合ってあげなくっちゃ、だめなの」
「そういうものか…」
「そういうものなのよ。だから、桜庭さんのこと、あなただけに任せられないの。わたしが付いて、東京まで行かなくっちゃ」
「……」

　わたしは考え込んでいた。
（涼子は、何なんだろう？。桜庭が好きなのか。いや、それとも、同じ会社に勤めていた、単なる仲間として、同情心があるからなんだろうか？）

「まぁ、ともかく、近々、本社で、年末商戦の打ち合わせ会議があるらしいから、その時、桜庭に会って…」
「じゃ、連れて行って、わたしも」
「でも、君には会社があるだろ」
「その時は、会社、休むわよ」
「大丈夫なの？、ウィーク・デェイに…」
「大丈夫よ」
　涼子がとても、うれしそうな顔をした。
　嫉妬は感じる、確かに。しかし、とても、かわいい顔なのだ。
　涼子は美人ではない。しかし、時々、とてもかわいい表情をする女なのだ。わたしはきっとそんな涼子が好きになったにちがいない…。
　涼子にもビールを勧めた。
　涼子の頬がちょっぴり赤くなる。
　それは、わたしにとってはとてもセクシーに映るのだ。
　レストランの支払いを終わって外に出る。
　涼しい。もう秋だった。９月９日の土曜日は日中３０度を超えた真夏日だったのに。
　わたしは、歩きながら何となく涼子の手を取っていた。たぶん、涼子を誰にも取られたくなかったのかもしれない…。

　わたしは、会社で桜庭から電話をもらっていた。
「今度、本社の営業部が召集する会議があるだろ。涼子さんと一緒に出て来いよ」
「……」
「美津子も、おまえたちに会えることを楽しみにしているし…」
「考えておくよ…」

　夕食どきだった。
　わたしは、涼子が作ってくれたコロッケを食べていた。
「ねぇ、東京出張があるんでしょ」
「うん？、どうして知っているんだ？」
「美津子からメールがあったの、ケータイに…」
「へぇー、おまえたち、メルアドを交換していたのか」
「で、どうなの？」
「うーん、しかし、俺が会議のとき、君はどうしているんだ」
「そんなこと、心配しないで。寄席でも歌舞伎でも見ているから」
「……」
「ねぇ、いいでしょ」
「そんなに、桜庭たちに会いたいのか？」
「ええ、会いたいわ」
「……」
　すがるような目。
　涼子だって、出版社と借家を往復するだけの生活では退屈なだけだろう。たまには、桜庭たちと４人で酒を飲むのもいいかもしれない。
「ちゃんと、俺の言うことを聞くんだぞ」
「なに、それ？」
「いや、なに。勝手な行動して、俺に要らぬ心配をかけるな、ってこと」
「何、言ってるのよ、子どもじゃあるまいし…」

　わたしたちは新幹線に乗っていた。
　結局、わたしたちは、桜庭夫妻と東京で会うことにしたのだった。
　涼子と美津子はすっかりメールで連絡を取り合っているみたいだった。

　涼子を窓側の席に座らせた。
　涼子の横顔をチラチラと見る。
　やっぱり涼子はかわいかった。
　あの頃、本当に、わたしは、頭を下げ、涼子を口説いたものだ、何度も。
　涼子を抱きしめ、キスをしていても、何か逃げられてしまいそうで、怖かった…。それで、いつも別れ際には囁いていたような気がする、『愛しているんだ』と、涼子に。

「で、俺の会議中は、どうするんだ？」
「結局、銀座で買い物をして、新宿で若手のお笑いを見に行くことにしたわ」
「じゃ、ともかく、午後６時には、ＪＲ渋谷駅ハチ公前まで来ていてくれよな」
「わかっているわ。桜庭さんと会えるんだもの、遅刻なんかしないわよ」
「……」
　わたしは、涼子がはしゃげば、はしゃぐほど、不安になった。
（涼子は、俺だけを愛しているんだ。だから、しっかりするんだ）

　本社に出かけた。
　人事のうわさを聞く。
　１０月１日付けで異動があるらしい。
　わたしの同期生がまた本社の部長になった。それに、わたしより後輩のＡが、本社の課長に昇進するとも言う。
　ひょっとしたら、わたしは、このままずっと、どさ回り（＝もっぱら地方の支店をめぐり歩くこと）をすることになるかもしれない。せめて、最後は本社の課長で辞めたいのに。東京生まれの涼子だって、東京での生活をしたいのだろう…。
　わたしは本社の会議が終り、山手線に乗って渋谷に向かう途中でも考え事をしていた。俺は、なぜ、出世をしないのだろう、と。
　自分には、統率力というものがないのだ。
　それに、最近は、会社に対する忠誠心も欠けてきたような気がする。２０代、３０代の頃は夢中で自社の製品を売り込んでいた。しかし、近頃は何かしら違うのだ。何かしら、すっきりしないのだ。
　クーラーを一台売ったところで一体、何になるんだ。会社が利益を上げ、そして、俺たちは給料がもらえる。結局は自分のお金もうけだけだ。自分の暮らしが成り立てばそれでいいのだ。社会的な貢献など何もしていない。むしろ、商品を売ることで、地球環境を悪化させているのかもしれない…。俺は一体、何のために働いているんだろう…。

　わたしは、ＪＲ渋谷駅を降りて、とぼとぼと、ハチ公前に歩いていく。
　と、もう、涼子も、桜庭も、美津子さんも来ていた。
「遅かったのね」
　涼子が声を掛けて来る。
「今夜は楽しみね」
　涼子が美津子に言葉を掛けている。
　なぜか、今日は、涼子がきれいに見える。
「じゃ、これから、六本木にでも行くか？」
　桜庭も元気そうだ。とても精神科に通っているようには見えない。
「ああ、そうだな」
　わたしも、涼子とともに、桜庭を側面的に応援してやらなくてはと思う。

　わたしたちは、昔、よく行っていた、サパークラブのお店に入った。そこは、食事もおいしくて、飲み物も豊富だった。
　わたしたち４人はボックス席に。涼子はわたしのそばに座った。
　化粧の匂いがする。
　涼子のやつ、今夜はめかし込んできたらしい。
　桜庭と、美津子さんは、テーブルを挟んで向こう側の椅子に。
　涼子は、向かいの席にいる桜庭とよく話をした。
　しかし、涼子がすぐそばにいるのだ。わたしは安心して、料理を食べ、ワインやビールを飲んだ。涼子は、桜庭のグラスにビールを注いでいた。
　わたしの向かいに座っている美津子さんもアルコールには強い。わたしは美津子さんにワインを注いであげた。
　時々、隣を見る。
　涼子は、赤い顔をしていた。
　でも涼子は、顔が赤くなってからでも、お酒が飲める。お酒は決して弱いというほどではなかった。むしろ、女としては、けっこうイケる方であろう、
　涼子も機嫌がよさそうなので、わたしはほっとする。
　そして、美津子さんと、わたしは会社の話や世間話をした。

　涼子は、からだを乗り出すようにして、真向かいの桜庭と話し込んでいる。わたしは多少、妬けている。
　でも、がまんした。
　桜庭のやつ、楽しそうだった。
　久しぶりに涼子と会えて、気晴らしになっているのかもしれない。
　表情が明るいのだ。
　涼子というやつは、本当に社交的なやつだと思う。わたしはそうではない。むしろ、涼子がわたしの立場であったら、わたしなんかよりもっと早く出世していただろう。女は損だと思う。男女同権だといっても、やはり、うちの会社はそうではないと思う。

「なぁ、もうそろそろ、ホテルに帰ろうか」
　そばの涼子に耳打ちする。
　わたしは、南青山のビジネスホテルのツインを予約していた。
「まだ、いいでしょ」
　涼子は、まだ話し足りないらしい。
　しかたがない。わたしは、また、水割りを飲み始めていた。

「なぁ、涼子、そろそろ…」
　わたしが、涼子に囁きかけていると、桜庭がこっちに話しかけて来る。
「おい、秋山、これから、俺のマンションに来いよ」
「いや、そんな迷惑はかけられん。それに、もう、ホテル、予約したから」
「そんなの、キャンセルすればいいさ」
「でも…」

「秋山さん、そんなに遠慮なさらなくてもいいわ。それに、４人でタクシーに乗れば、割安ですわ」
　美津子さんの目を見る。
　まんざら、社交辞令で言っている風でもない。とても真面目な目で言っているみたいだ。
「ねぇ、あなた、桜庭さんや美津子の好意に甘えちゃいましょうよ」
「いいのかな…」
　わたしたちは、クラブの支払いを済ませて、外に出た。タクシーを拾う。
　わたしは結局、運転席の横に。後ろに、桜庭、涼子、美津子さん。
　バックミラーで時々、涼子の顔を覗き見する。
　涼子が桜庭と話している時は気が気ではない。が、美津子さんと話をしているときは、本当に、ほっとする。

　わたしと涼子はいつの間にか、桜庭のマンションに上がり込んでいた。
　洋間だった。
　絨毯が敷いてある。
　テーブルには、ビールとおつまみが並べられる。
　わたしのそばに、美津子さんが座ってきて、ビールを注いでくれる。
　と、真向かいを見ると、桜庭の隣りに、涼子が座っていて。涼子のやつ、桜庭にビールを注がれて、にこにこしているのだ。
　わたしは、焼き餅を焼いているような気がした。
　なにしろ、酔っている。酔っているけれど、なぜか、胸がうずくのだ。
　わたしは自分に言い聞かせていた。
（もうちょっとだ、もうちょっとがまんすれば、どこかの部屋を借りて、涼子とふたりで眠れるはずだ。早く涼子とふたりっきりになりたい…）

　と、涼子が席をはずす。トイレにでも行くのかもしれない。
　涼子が、桜庭の許を離れてくれたので、ほっとする。
「桜庭、どうなんだ、病院に通っているらしいが…」
「ああ、睡眠薬や抗うつ剤をもらっているが。まぁ、気長にやるさ」
「まぁ、そうだな」
「それにしても、涼子さん、相変わらず、元気だね」
「ああ、ありがとう」

「助かるわ」
　そばの美津子さんも口をはさんでくる。
「だって、主人、久しぶりに笑顔を見せてくれて…」
　美津子さんを見る。目が優しい。
　美津子さんも桜庭の機嫌が良さそうなので、ほっとしているのかもしれない。

　と、涼子が部屋に帰ってきた。
　涼子はまた、桜庭の隣に座る。そして桜庭が、涼子の手を取っている。
「涼子さん、ダンスでもしようか？」
「えっ？」
　涼子がわたしの方を見る。
　わたしは、『そんなことは、ことわれ』と言いたかったのに。視線を落としてしまっていた。
　なぜだろう。
　たぶん、そんなこと、自分で判断しろ、と涼子に言いたかったのかもしれない。いや、桜庭のやつが元気になるのなら、ちょっとばかり、涼子を貸してやってもいいと思ったのかもしれない。
　が、涼子のやつなら、いやならいやとちゃんと意思表示ができる、とわたしは思っていたのかもしれない…。

　桜庭がステレオのところへ。何か選んで、ＣＤをセットしている。
（馬鹿な、涼子のやつ、踊ることを承諾してしまったのか！）
　わたしの頭の中をひんやりしたものが走る。

　曲が流れる。４分の４拍子。ブルースが踊れる曲だった。
　わたしは手で頭を抱えたかった。しかし、そんなことはできない。ただ、視線を絨毯に落としていた。
　しかし、顔が、動く。右の方を見る。
　涼子と桜庭が踊っていた。
　すぐに視線を正面に戻す。
　胸がドキドキする。嫉妬だろう。わたしは、涼子と桜庭の方を見ないようにして、水割りのグラスを傾けた。
「ねぇ、秋山さん、わたしたちも踊りましょうか？」
　美津子さんの声が。
「……」
　美津子さんが、わたしの方に、からだを預けてくる。

「いいんでしょうか、あなたと踊っても？」
「いいもわるいも、わたしたち、特別な関係でしょ？」
　わたしは驚いたように、そばの美津子さんの目を見る。
　その目が妖しく光っているように、わたしには思えた。
　わたしは、美津子さんに誘われるように、ソファから立ち上がり、桜庭たちとは、テーブルを挟んで反対側の部屋の隅に行き、美津子さんとからだを合わせていた。
　美津子さんがからだを寄せてくる、特に下半身をくっつけてくる。わたしは、腰を引く。でも、腰に手を当てられ、美津子さんに引き寄せられてしまう。わたしは、外腿の硬い肉に、美津子さんの太ももの柔らかい肉を感じてしまっていた。
　と、さらに腰を引き寄せられて。
　わたしは美津子さんの股間に右足を深く入れ込んでしまっていた。そして、わたしの股間は、美津子さんの右足の太ももに密着してしまい…。逃げられない。息をしようとするが、なかなかままならない。美津子さんがターンをしながら右足を深くわたしの股間に入れ込み、太ももの肉を左右に揺らしてくるのだ。
（ああ、そんなことをされたら、勃起してしまう…）
　わたしは思わず顔を上げ、目を瞑ってしまっていた…。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（つづく）