６　若い人妻を背向位で

　彼女は、元バスケットボールの選手で、身長は１６７センチある。
　確かにからだが大きい。お尻もでっかい。
　でも、スベスベの肌をしていた。
　胸から、腋の下へ手を移す。そして、わき腹を撫でる。
「ふーん……あぅっ……」
　彼女が吐息を漏らした。
　彼女の顔を見上げる。
　とても、いい顔をしている。
　普段はブス（醜女）かもしれない。
　でも、今は、ベッドの上ではだかになり、性の快楽に身をゆだねきっている。目を瞑り穏やかな表情をしていて、女らしく、とても可愛く見えた。あるいは、彼女にしたら、頭の中では、遠く離れた、ご主人に抱かれているとでも思っているのかもしれない…。

　わたしは、半身を起こし、彼女の股の付け根のところを撫でていた。
　そして、彼女の膝のところに手を置いて、股を大きく開かせた。
　わたしは、彼女の股間に身をさし入れる。
　何とも、すごく大きな太腿であった。
　膣口を撫でる。
　手に、淫液がまとわりつく。
　彼女の股間の中心部に当たるヴァギナ（膣口）に、わたしはペニスの先をあてがった。そして、上体を反らすようにして、腰を入れ込んで行く。
　が、なぜか、ペニスが上に跳ね返されるのだ。
　ペニスの先を自分の指でつかむ。
　そして、もう一度、ねらいをつけて、突っ込む。
　が、また、入り口のところで、跳ねっ返される。
　硬さが足りないのだろうか？

　と、彼女が、身を起こすようにして、自分の指で、わたしのペニスの先を掴んだ。
　そして、それを膣口にあてがう。
　それで、わたしは、腰を前に進める。
　が、ピーンと、また、入り口で跳ね返されてしまったのだ。

「ごめん、ちょっと待ってよ」
　わたしは、仕切り直しをすることにした。
　まるで、相撲取りのように、蹲踞（そんきょ）の姿勢から、両膝をベッドにくっつける。そして、彼女の足の両膝の裏側にわたしの上腕を入れ、彼女の下肢の部分をわたしの肩にかつぐようにして、股を大きくＭ字型に広げさせる。
　これで、わたしと彼女の股間同士の密着度はより高まった。
「ねぇ、さっきのように、僕のペニスの先を持って、アソコの入り口に充てがってみてよ」
　彼女は実に素直であった。
　左手で、ペニスの先をつまむ。
　その一方では、右手の親指と人差し指を使って、自らの膣口を大きく広げてくれるのだ。

　わたしは、わたしと彼女との、つなぎ目に目を落としていた。
　膣口に充てがわれているペニスの先を、ともかく、ゆっくりと入れようとした。
　腰を左右に揺らしながら、かつ、ゆっくりと前進させる。
「ヌルッ！」
　やっと亀頭部のみが膣に進入した。
　一呼吸、置く。
　上半身を起こしているわたしは、彼女の太腿の上の肉をにぎり、そして、彼女の腰をしっかりと手前に引き寄せた。
「ズルッ！」
　入った。
　暖かい。それに、中は多少空洞感があって、陰茎への締め付けが和らげられたので、すーっとしたような気持ちになれた。
　わたしは、彼女のふたつの太腿を、両腋の中に抱えるようにして、彼女の上半身を前後に揺さぶっていた。
「ああっ」
　声を出したのは、わたしの方だった。
　動くたびに、彼女の膣内の襞肉が、まるで蛸（タコ）の足のイボイボのように、わたしの陰茎にくっつくのだ。
　これ以上動いたら、もう射精してしまいそうだ。

　わたしは、自分の上体を、彼女の胸に重ねていく。
　そして、しっかりと彼女に抱きつき、じっとして、腰の動きを止めていた。彼女がイクまでに放出してはいけないと思ったからだ。

　わたしはじっとしている。それなのに、ペニスが蠢くような気がするのだ。
（ウン？）
　腰を浮かし、下の方の、凹凸の接合点を見る。
　彼女の股のところの筋肉が蠢いている。が、よく見ると、彼女が、腰をグラインドさせているのだ。
　ペニスが膣の中でねじられているような気がする。
　しかし、膣内の襞肉によってペニスに与えられる刺激は、何ともいえず気持ちがいいものであった。

　彼女の耳元が物理的に遠い。彼女に上背があるからだろう。
　彼女の首筋に向かってしか、言えない。
「お願いだ、そんなに動かないで」
「……」
「そんなに動いたら、出てしまうよ」

　しかし、彼女は勝手に腰をもじもじさせながら動くのだ。
　これまで、あんなに素直だったのに。
「だめだ、だめだ。そんなに動いたら」
「……」
「あああ、イクイク、イキそうだよ」

　わたしは、抜こうとしていた。
　抜かなければ、イッてしまうからだ。
　が、抜けない。
　ペニスの根元は、しっかりと、巾着（＝昔の紐締め財布）の絞り紐でくくられたように、彼女の膣口のところでギュッと締め付けられているのだ。

　腰を浮かし抜こうと試みる。が、抜けない。
　しかも、ペニスは、イソギンチャクに食いつかれた魚のように、膣の中で、ねじり、ひねられているのだ。

「あああっ、ああ」
　ペニスの根元が、イソギンチャクの口で食いちぎられそうだ。
「うっ、うううううっ」
　とうとうわたしは、こらえ性もなく、ドクドクッ、ドクーッと、気を遣ってしまっていた…。

　わたしは、射精後、ぐったりとなり、彼女のからだの上にいた。
　そして、背の高い彼女の、平べったい胸に、顔を埋めているのだ。
「ねぇ、イッた？」
　頭上の彼女に聞く。
「ううん」
　見上げると、彼女は顔を左右に振っている。
「そうか、イカなかったのか。ごめんね」
「もう、ちょっとだったわ」
「そうか。それはわるかったね」

　わたしは、近頃、自慰行為はしていなかった。
　ちっとも連絡をくれない「浮舟」のことを怒っていた。
　だから、「浮舟」のことを考えても、「浮舟」をオナペット（＝独身男がオナニーをするための精神的な愛玩的偶像）にして、ペニスをしごくなんてことはしなかった。
　むろん、食欲はあり、肉や魚、野菜、果物と、けっこう栄養のあるものを食べていた。そのせいもあって、睾丸内の精嚢には、精液が溜まりに溜まっていたのだろう。年甲斐もなく早漏気味だったのは、そんなせいかもしれないと、わたしは彼女の胸に頬をぴったりとつけながら考えていた。

　と、わたしはからだが揺れているのに気がついた。
　上半身を反らす。が、下半身は動かない。
　下を見る。
　まだ、彼女とつながっているみたいだった。

　彼女が、下から、わたしのお尻を抱え込み、そして、自分の腰をグラインドさせている。
（ああ、まだイッていない彼女は、イきたいのだ）
　わたしは彼女の気持ちを察した。
　わたしは、もう自分のフニャけたペニスでは用が足せないと思った。指で彼女をイかせてあげようと思った。
　わたしは、手をベッドに突き、腕を伸ばして、グッと腰を垂直に上げ、ペニスを抜いた。
　そして、彼女の上半身から降り、自分の体をやや下にずらした。

　わたしは、彼女の乳首を吸っていた。そして、膣の中に中指を入れる。
　中をゆっくりと掻き混ぜる。
　そして、それをゆっくりと抜き、膣口の上にある、クリトリスをま〜るく撫でた。
　膣の中の掻き混ぜは、激しく、クリトリスの愛撫は優しく。
「あうっ……くぅふっ……はぁぅっ…」
　彼女も感じはじめてくれているようだ。
　膣内とクリトリスへの刺激を交互に、しかもリズミカルに繰り返す。そして、乳首を噛み、痛さを感じさせるとともに、舌先で優しくいたわり、その痛みを和らげてやった。
「んっ、んんんん、いい…いいっーっ」
　中指一本しか入れていないのに。彼女の膣の中がきゅーっとばかりに締まっていく。
「あっ、ああああああっ、あっ、い…いい。いくいく、いくーっ……」
　と、彼女は両足を突っぱね、全身をピクピクと痙攣させながら、オルガスムスに達していた。

　わたしは、彼女を横抱えにした。
　からだをずり上げ、わたしの胸の中に、彼女の顔を埋めさせた。ベッドの中では、背の高さの違いなんて、どうにでも調整がつくものだ。
　わたしは、彼女の髪を撫でてやった。

　と、彼女が、上目遣いにわたしを見る。
「ねぇ、もう一回、やってもいいよ」
「ああ、そうなの？。君のところは、一晩で何回もヤるの？」
　彼女が、恥ずかしそうに頷く。
（そうか、若いんだもの。そうだよなぁ）
　と、わたしは内心、感心してしまうのだ。

　わたしは、何か刺激がないと、もう一回なんて、無理だ。
　彼女のでっかいお尻でも見ないことには、再び、勃起しないだろう。
「じゃ、もう一度、ヤッてもいいんだね」
「うん」
「じゃ、後ろ向きになってくれる？」
「ええっ？」
「だって、君のは、とってもセクシーなヒップだから」
「わたしは、いやだわ、大きいもの」
「そんなことない、って。僕は大好きだな、大きいのは。それに、君のは形もいいし…」
「ジーパン、穿きたいの」
「穿けばいいさ」
「でも…」
「ともかく、今はお願いだ。君の大きなお尻を見なくっちゃ、僕は立たないよ」
　しかし、彼女は素直である。
　顔をちょっと赤らめながら、彼女は向こう向きになる。
　そして、それから顔をベッドにくっつけるようにして、うつ伏せになる。そして、顔を横向きにして、手足をだらんと伸ばしたままなのだ。
　後ろからは、やってもらったことがないのだろうか？。
　彼女はどうしていいか、わからない様子だった。

「さぁ、お尻を持ち上げて」
　彼女が腰を上げる。が、上がらない。
「さぁ、膝を突くようにして」
　何か、やっと四つんばいという形にはなった。
「肩の力を抜いて、背中をもっと落として、そうすると、お尻がもっと上がるから」
「いやいや、恥ずかしいわ」
「でも、お尻を上げてくれないと、僕が入れにくいもの」
「……」
　わたしは、彼女の背中を押す。と、その反動で腰が持ち上がる。
　わたしは、足の膝を使って、彼女のお尻に、にじり寄る。
　両手を掛けて、お尻を左右に広げる、まるでお尻の穴が見えるほどに。
　お尻の下の陰唇は左右に開き、何やら、陰毛を伝わって、したたり落ちるものがある。
　もう、わたしのペニスは天を仰いでいた。
　そのペニスに手を添え、もう一方の手で、彼女のヴァギナの入り口を開きつつ、腰を前に突き出す。
　ペニスに抵抗感がある。前に進めないのだ。
　しかし、無理に腰を進める。
　ヌルっと入る。
　中はやや空洞で、熱い。
　グッと胸を反らすようにして、奥に押し込む。と、ペニスの根元が締まる。
　目を瞑らざるを得ないほどに気持ちがいい。
　そのままじっとしていた。
　何とも気持ちがいいので。

　上体をやや前かがみにする。手をしっかり前に伸ばし、手で背中を撫でてやる。
　そして、手を背中から前に回し、おっぱいを揉んでやる。
　それから、手を下の方に移す。
　クリトリスをさすってやった。
「はぁーん、いい、いっいいーっ」
　彼女が首をもたげている。そして、気持ちよさそうに腰を振ってくるのだ
　と、膣の中が締まってくる。

　これでは、いけない。これでは、射精が近くなる。
　ゆっくりと腰を引きつつ、抜きに入る。
　が、それをいやがるように、膣内の襞肉がペニスにまとわりついてくる。
　そして、今度は、グッとまた中に押し込む。膣内の襞肉の抵抗感で、またペニスの感覚が鋭くなって、硬さを増していく。
　押す、引く。
「ウーン、ハァーン、いいわ、とっても、いいわ」
　彼女の頭の振りが大きくなる。
　残念ながら顔が見えないが、とっても気持ち良さそうな顔をしているように思える。
　そして、今度は、ひねりながら押し、捻りながら抜いていく…。
「あああ、うっうううう・・・」
　彼女が、呻く。わたしも気持ちがいいが、彼女も気持ちがよさそうである。
　時々、思い切って深く突く。
　しかし、その終点の子宮口は柔らかい。
　まるで、杵で臼の中の餅を突く時のように、柔らかくペニスが子宮口から押し返されてくるのだ。
　ともかく、わたしは、引き抜くとき、ペニスの傘のところが、ヴァギナにひっかかって、そのときが、一番気持ちがよい。
「どう、イキそう？」
　背中ごしに彼女に尋ねる。
「ああ、イキそうよ、いくわ、いくわ」
「よし、ラストスパートをかけるよ」
　わたしは、彼女のでっかいお尻の肉をしっかりと指でつかんだ。そして、突いた。襞肉がペニスの茎にまとわりつく。しかし、もうそんなことはお構いなしに、激しいピストンを行う。
　ペチャペチャという、いやらしい音がする。
　そして、接合点から、何やら白い淫液が泡立って漏れてくるのだ。
「あああっ、イクイク、イクゥーッ！」
「あああっ、キテキテ、キテェーッ！」

　わたしは、胸を張り、上体を反らす。
　お尻の穴から脳天に向けて、ギーンっとばかり電流が走る。
　ペニスがプクーッと膨らむ。爆発が近い。
「うっ、うううううっ……」
　わたしは、ついにセーブできず、二回目の放射をしていた。
　目の前の暗闇の中を何本もの光線が走り去って行く…。

　膝立ちをしていた足が震えている。
　胸を反らしていたのに、発射が終わると、何やら上体の筋肉が気だるく、また、アクメの余韻なのか、両肩の筋肉を打ち震わせているリョウコという女がいとおしく、わたしは、彼女の背中の上に、ドターッとばかり倒れこんでしまった。まるで、それは重ね餅のようで、何やら心の中では、苦笑したくなるほどであった。
　が、今は、それでも、彼女の背中の筋肉の柔らかさに、頬ずりをしたくなる。そして、汗ばんだ彼女の背中を手のひらで静かに撫でていた…。

　わたしは、彼女の背中にのっかかりながら、「浮舟」のことを考えていた。
（どうしているのかな、彼女は。彼女とこうしてセックスして、一緒にイけたらなぁ）

　と、彼女が起き上がる。
「もう、帰るの？」
「ええ。おかあさんが心配するから」
「おかあさん？」
「ええ。主人のおかあさんが…」
「そうか、同居しているのか」
「そうよ」
「大変だな、それは」
「……」
　わたしは、ベッドの上に仰向けになって、ボーッとしていた。
　彼女にも、ちゃんとした生活がある。そのことが、なぜか、わたしに寂しさを感じさせるのだ。
「ねぇ、もらっていい？」
　見上げると彼女が立っていた。彼女はもう服をつけていた。
「ああ。いくらあげればいいかな？」
「２回だから、６万」
「ああ、いいよ」
　わたしは裸のまま、気だるい体を立ち上げた。
　洋服の内ポケットから財布を取り出す。
　お金を渡す。
「ありがとう」
　彼女は屈託がない。
　わたしも、彼女が素直に金額を言い、素直にお金を受け取ってくれたことが、うれしかった。
「ああ、これ」
　わたしは、もう一枚、お札を渡した。
「タクシーで、帰りなさい」
「でも…」
　彼女は、困惑したような顔つきをしている。
「お義母さんが心配しているよ、さぁ、早く帰らないと…」
　わたしは強引に、彼女の手に、一万円札を握らせた。
　そして、彼女の肩に手を置き、彼女を後ろ向きにしようとした。が、彼女は、自分から踝を返し、わたしに背を向けた。
　と、彼女はドアのところまで行き、そこで、立ち止まって、こちらを振り返った。そして、手を振り、またすぐに背中を見せ、やがてドアの向こうに消えて行った…。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（つづく）