１０　秩内でなく口内に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　僕は、好奇心に駆られていた。
　股ぐらにぴったりとフィットしているナプキンがどんな風になっているのかを見たかったのだ。

　そのためには、彼女にパンティを脱いでもらい、股を広げてもらわなくてはならない。

　僕は、これでも、けっこう、「官○文○わ☆る◎」という成人サイトにアクセスしてエッチな小説を読んでいた。

　僕は、エッチな小説は、男性の側に立って、勝手に書かれている、と思っている。
　しかし、実戦を通して学ぶことのできた江戸時代の将軍様ならいざ知らず、平成の世の一般ぴーぷるにとっては、こういう小説を読んで学習せざるを得ないのだ。

　男性本位に書かれたエッチ小説など信用に値しないが、ともかく、今はそんなことを疑っている場合ではない。

　僕の作戦は決まっていた…。
　彼女をエッチな気分にして、まずは土俵に上がらせることだ。

　土俵に上がらせさえすればいい。
　あとは、はだかの付き合い。
　相撲がだめなら、互いにマットに寝こっろがり、手足を絡ませあい、もみくちゃになりながら柔道の寝技を掛け合えばいいのだから。

　彼女に精神的なものはないだろう。
　とすれば、肉体的に興奮させなくてはならない。
　それには、絶え間なく、優しい愛撫を加えて性感を高めていくしかない…。

　僕は、彼女をマットの上に寝かせつけていた。
　僕は、やや強引に、インナーを脱がせ、ブラジャーを取った。
　そして、彼女の胸に顔をくっつけ、乳首を吸う。
　ちゅぷちゅぷと、顎がだるくなるほどに、吸い続けた。

　そして、同時に、僕は、わき腹や背中を愛撫した。

　文体から作者の思想に迫るのは並大抵なことではない。
　時間がかかる。

　肉体的な刺激から、彼女のエッチな気持ちを高めていくことは易しくはない。
　努力が必要だ。

　今は、今は、ともかく今は、自分の肉体的な欲望を満たすために、ひたすら努力を続ける以外にはなかった。

　僕は、彼女の内腿を撫でていた。
　そして、手で、彼女の股を大きく開かせようとしていた。

　が、しかし、彼女は、股を閉じようとする。
　僕は、右手に必死に力を込め、彼女の内腿を外側へ開かせようとしていた。
　が、意外に、彼女の太腿の、内方向への力は強かった。

　僕は、上半身を起こした。
　僕は、左足をまたぐらの中に入れ、彼女の右足が内側に入らないようにした。
　そして、両手で、彼女の左足を、外側に持っていこうとした。

　と、何やら、彼女の股座から、糸のようなものが…。

　からだをかがめ、じっと看る。
　なんと、その糸というのは、彼女のお○んこから出ているみたいなのだ。

（何だろう？）
　僕は、その糸をたぐり寄せていた。

「あっ！」
　僕は、思わず、声を上げた。

　ドロッとした赤い塊が…。
　そして、その後から、真っ赤な、蚕（かいこ）の繭（まゆ）のようなものが。

　真っ白なマットの上が、赤い血で汚れていく。
　僕は、インナーを脱いだ。
　そして、白い半袖の肌着も。
　それで、僕は、マットの上の血を拭っていた。

　それでも足りない。
　僕は、ブリーフも脱いだ。
　そのブリーフも使って、マットの血をぬぐった。

　なかなか血が取れない。あとは、雑巾で掃除する以外にはない…。
　が、今は、そんなヒマはない。

　僕は、ぽっかりと開いた膣口を見ていた。
　そこから、血が噴き出して来ないかどうか。

　僕は、心配だった。
　が、幸いにも、そばに、ドラッグ・ストアのビニール袋が置いてあるのが見えた。
　あの中に、ナプキンが入っているはずだ。
　これから、もし、この膣口から赤い血が漏れそうになったとしら、そのナプキンをあてがえばいい。

　しかし、それにしても、何という、かわいいお○んこなのだろう！
　彼女の外陰部には、あどけない顔と同じような、頼りなげで、絹のような薄い産毛（うぶげ）が生えているばかりだった。

　と、彼女の秩、いや膣とおぼしきところから、何やら、赤くドろッとしたものが。

　早く、栓（せん）をしなくては。
　僕は、思わず、ペニスをにぎっていた。
　そして、腰を寄せていき、ペニスの先端部を膣口へ。

　血が流れ出す。
　もう、格好なんか構ってはいられない。
　僕は、腰を突き出すようにして、雁の部分をヌルっとばかりに、嵌め込んでしまったのだ。

　しかし、それにしても、何という心地良さであろうか！
　肉壷の中はとっても暖かかった。
　たった４センチ程度しか入っていない、というのに、十分、その肉壷の中の温かさを感じることができる。

　もう、グッとばかりに、奥に押し込みたいほどだ。

　思わず目を瞑り、おなかに力を入れる。
　押し込むのを、グッとがまんするためだ。

　本当は、全部入れ込んで、入れたり、出したりしたいのに。
　仮に、秩内発射をしたところで、彼女は妊娠しないのに。

　だが、このままだと、じわじわと腰を押しつけ、中に押し込んでしまいそうだ…。

　もっとも、彼女の肉襞は、硬いペニスを欲しがっているようには思えなかった…。

（出し入れしたい、でも、彼女は…）
　僕は、結局、先っぽを抜いてしまっていた。

　充血した肉襞を労わってあげなくては…。
　充血して腫れ上がったビラビラの肉片をこすったら、やはり痛いにちがいない。
　それに、そんな敏感な肉襞をこすったら、バイキンだって入り込みやすいにちがいない。

　どうやら、僕には少し自制心が残っていたらしい…。

　しかし、僕の先っぽは、真っ赤な血で覆われていた。

　僕は、ドラッグ・ストアの袋を近くに寄せて…。
　中から、ナプキンを出した。
　それで、ペニスの先をきれいにぬぐった（拭いた）。

　そして、僕は、体をかがめ、股間に顔をくっつけて、彼女の下の入り口付近を、僕の口唇や舌先できれいにしてあげることにした。

　生臭い。
　でも、ドキドキする。
　僕は、膣口に口を寄せて、血を啜った。
　が、やがて、血ではないものが、口の中に入ってきたような気がした。
　それは、血液よりも薄い液汁のように感じられた。
　たぶん、淫液なのだろう。

　ともかく、僕は、それが淫液だと思うことにした。
　そうでなければ、僕の今までの苦労が報われない。

　僕は、さらに、彼女に甘美な気持ちになってもらいたかった。
　そうでないと、僕もエッチになれないのだ。

　僕は、彼女のクリトリスを捜した。
　絹のような産毛（うぶげ）の草叢の中で、それはすぐに見つかった。

　僕は、それを啜った。
　膣口よりは、ちょっときつめに。
　だって、クリトリスは、生理とは関係なく、その表面は通常のままであって、腫れあがってヒリヒリなんかはしていないと思ったからだ。

　僕は、舌先でクリトリスを舐めながら、彼女に聞いた。
「どう、気持ちいい？」
「……」
「痛くはないでしょ？」
「……」
　彼女は、お尻をもじもじさせている。

　起き上がって、顔を見る。
　顔に皺を寄せていない。
　が、さほど気持ちよさそうな顔でもない。
　何か、くすぐったさに耐えているような顔つきに見えた。

　僕は、彼女の歓心を買おうと必死だった。
「来ていいからね、僕の研究室に、いつでも…」
「……」
「何なら、僕の研究室のカギを君にあずけてもいい…」
「……」
「君のこと、好きだよ。だから、もう少し、がまんしてね」
「……」

　僕は、再び、からだを押し曲げて、股間に顔を戻して行った。

　クリトリスを舐め、そして、決して膣内には入れないようにして、舌先を外陰部に這わせる。
　そして、また、クリトリスに戻り…。
　クリトリスを下から上へと、舐め上げていく…。

「はぁ、はぁ、せんせい、せ・ん・せ・い・・・」
　僕は、顔を上げた。
　彼女の顔に、何かやるせなさそうな表情が看て取れた。
　
　僕は、うれしくなった。
　ようやく、彼女も、何か、きざして来たらしい。

　が、このまま、調子に乗って、猛々しいペニスを、傷つきやすい肉壷の中に嵌め込むわけにはいかない。
　
　僕は、クルッと、１８０度、からだを回転させた。
　この体型なら、ペニスが膣内に入り込むことはない。

　僕は、今度は、彼女のクリトリスの上側を、おなかの方から舌先で、強く擦っていた…。

「あああ、せんせい、ゆるして、ゆ・る・し・て・・・」
　僕は、興奮していた。
　彼女がいくら『ゆるして』と言っても、もはや、ブレーキが効かなくなっている。

　再び紳士に戻るには、乳濁色の精液を吐き出すしかない。
　それまでは、凶暴な一匹のオオカミでしかない。

　僕は、腰を浮かした。
　ペニスをにぎる。
　そして、ペニスの先っぽを、彼女の口とおぼしきあたりに、入れ込んだ。

　そして、僕は、腰をゆっくりと、小刻みに上下動させる。

「口を細めて！」
　僕は、彼女に命令した。

　雁首のくびれたところに、彼女の上下のくちびるが触れている。

　気持ちがいい。
　理性が麻痺していく。
　僕は、腰を浮かせたまま、ペニスの先っぽのみを入れ、かたや、下の方では、彼女の外陰部を僕の口びるで責め立てていた。

「うっ、ううううっ、ううううう」
　彼女が呻く。
　が、その呻き声が、僕をさらに凶暴にしていく。
　
　僕は、顔を大きく動かして、外陰部とクリトリスを愛撫する。
　股間のジュニアがさらに膨張していくのがわかる。

　が、上の口とはいえ、奥深くは、ジュニアを入れ込まない。
　腕立て伏せの腕をしっかりと立てていた。

「あぅ、もう、もう、もう・・・・」
　彼女が泣いているような…。
　が、僕は、容赦なく、クリトリスを攻め続けて…。

　そして、股間のジュニアがプクッと膨張した。
　腰が痺れる。

　と、クリトリスを口辺に挟みながら、僕は、目の前が真っ暗になった。
「あっ、アアア―――ッ！」
　僕は、僕は、身を反り返しながら、何かを彼女の口の中に吐き出していた。

「グビッ、グビィ、グゥビィ―――ッ！」
　暗闇の中を、稲妻のような光が何本も交錯した…。

　僕は、彼女の顔が見たかった。
　きっと、苦しかっただろう。
　膨張したペニスを口の中に突っ込まれていたのだもの…。

　僕は、上体を起こし、向きなおした。
　彼女に正対し、彼女の顔を僕の胸に抱き寄せる。

「大丈夫？」
　が、彼女は咳き込む。
　僕の吐き出した精液が彼女の口の奥にまで入り込んで、咽喉を詰まらせているのかもしれない。

　僕は、ドラッグ・ストアのビニール袋からナプキンを取り出した。
「これに、吐き出したら…」

　彼女は、ナプキンに、乳濁色のモノを吐き出した。
　
「ふーーーっ」
　ようやく、彼女は、息をついたらしい。
　
　僕は、彼女を抱き寄せた。
　そして、背中を撫でてやった。

「よく、がまんしたね」
「……」
「いい卒業論文が書けるよう、アドバイスしてあげるね」
「……」

　彼女は、何も言わなかった。
　しかし、彼女は、頭を僕の胸にくっつけてきた。
　かわいかった、とてもいとおしかった…。

　恋人になんかできるはずもない。
　あまりにも年が離れすぎている。
　ましてや、彼女に、認知症の母の介護など、頼めるはずもなかった。
　でも、せめて、彼女にとって、よい教師にならなくてはと僕は思った…。
（つづく）