２　友情より性欲に負けて

　僕は、彼女のくちびるを吸っていた。
　彼女の雌の匂いが鼻腔を刺激し、僕は夢中になっていく。
　しかし、彼女も、そんな激しいキッスに応えてくれているようだ。

　僕は、胸に激しい鼓動を感じる。
　息苦しくなって、唇をはずす。
　そして、僕は、彼女の首筋に舌を這わせていた。

「あああ…」
　彼女が呻く。
「好きだよ」
　僕は、彼女に囁く。

「ああ、もっと、抱いて欲しい…。きつく、きつく、よ…」
「本当に、君のこと、好きだよ」

「欲しいの、あなたが…」
「ああ、僕も、君のこと、前から好きだったよ」

「ねえ、入れて…」
　彼女が甘えたような声を出した。
「だめだよ」
　僕は、彼女の首筋を指先で愛撫しながら言った。

「どうして？」
「わるいもの…」

「何が…？。わるくなんか、ないわよ」
「君にじゃなくて、ご主人に対して、さ」

「お願い、今は、そんなこと言わないで」
「……」

　僕は、顔を上げて、彼女を見た。
　目が潤んでいた。

　彼女だって、わるいとはわかっているのだ。
　しかし、今、彼女は、より、セックスへの願望が強いのだろう。
　とてもインテリ（知的）な彼女なのに…。

「わかった、わかったよ。今の、この時間を大切にするからね」
　僕は、そう彼女にささやいた。

　彼女は、僕の膝の上から降りた。
　そして、自ら、ブラジャーを取り、そして、パンティを取った。
　それだけで、僕の、ズボンの中のジュニアは、ビックンと跳ね上がった。

　彼女は、椅子に座っている僕の前で、ひざまずいた。

　僕は、彼女の手が、僕のスボンのベルトにかかるのを見ていた。
　彼女の手によって、ズボンが、脱がされていく。
　僕は、折りたたみ椅子からお尻を持ち上げ、彼女に協力をしていた。

　そして、トランクスに手がかかる。

「あっ、ちょっと、待って」
「どうしたの？」

「もう、立ってしまっていて…」
「なに？」

「恥ずかしいじゃないか」
「どうして？」

　彼女は、覚えていないのだ。
　僕と、僕の同僚の山之上と、彼女と、３人で飲んで、下ネタで盛り上がった時のことを。
　山之上は、勃起時、アレの長さが１５センチあると言ったのだ。
　すると、彼女は、びっくりして言ったものだ。
『すごいわね、日本人の平均以上じゃない。日本人って、せいぜい、１３センチくらいなんでしょ？』

　僕は、山之上に聞かれたのだ、
『ところで、おまえは、何センチなの？』
　
　僕に答えられるわけがない。
　僕は、その日本人の平均ほどは、ないのだから。
　それに、彼女の前で…。

　僕は、平均以下の短いジュニアのことを、彼女に知られるのがいやだったのだ。

　それなのに、今、彼女は、真正面から、僕のモノを見ようとしている…。
　
　僕は、トランクスのゴムの入っている、上のところに手をしっかりと置いて、脱がされまいとしているのに…。
　が、彼女は、あっと言う間に、トランクスを下に引っ張っていて…。

　下を見ると、僕のペニスの先が、しっかりと僕の顔の方を向いていた…。

　と、そのペニスの頭が、彼女の頭で見えなくなる。

　ペニスの先に、何やら、生温かいものが…。

「あっ、ああああ」
　僕は、折りたたみ椅子からお尻を持ち上げようとしていた。
　むずがゆいというか、気持ちいいというか、複雑な…。

　ちろちろと、彼女の舌先が、鈴口を刺激しているのがわかる。

「そんな、そんな、きたないことを…」
　僕は、目の下の、彼女の頭に向かって、抗議する。

　が、よく見ると、彼女は、タイルの床の上に、直接、膝頭を突いているようなのだ。
　あれでは、膝が痛いだろう…。

　僕は、腕を伸ばして、そばにある、ひざ掛けを取った。
　寒がりの僕が、本を読むとき、膝の上に引っ掛けているものだ。

「これを敷いてよ、膝の下に…」
　僕は、膝掛けを彼女に渡した。
　彼女は、黙って、それを床の上に敷いた。

　が、そのしぐさが、かわいくて。

「ねぇ、それより、僕の膝の上においでよ。僕は、もっと君にキッスがしたいんだ」
「そんなに？」
　彼女は、恥ずかしそうに、立ち上がって来た。

　僕は、彼女のまたぐらに手をやって、股を大きく広げさせた。
　そして、腰に手をやり、彼女を、ふたたび、僕の膝の上に、跨るように座らせた。

　彼女の、あまり大きくはない、それでも、とてもきれいな乳房が見えた。
　が、僕は、それにはちらりと目をやっただけで、さっそく、彼女のくちびるを吸いに行った。

　チューチューと音を立てながら、甘いくちびるを吸い、うごめく舌すら、ジュブジュブと、しっかりと吸っていた。

　僕は、首筋を愛撫しながら、おっぱいを揉んでいた。
　
　僕は、痛いほど、僕のジュニアが硬くなっているのに気がついた。

　下の方を見る。
　ジュニアの先端部、鈴口のあたりが濡れているように見えた。
　たぶん、エッチ汁が出ているのだろう。

「ねぇ、ちょっと、君のアソコを、触らせてもらってもいい？」
「……」

　返事がない。
　で、ちょっと、彼女の顔を覗き見る。
　拒否反応の顔つきではない。

　僕は、彼女のからだをちょっとだけ、向こう側に押しやった。
　
　彼女の股間と、僕の股間とのあいだに、少し、横方向に隙間ができた。
　がしかし、僕は、もっと縦方向に空間が欲しかった。

　僕は、机の上に置いていた厚さが１０センチもある、分厚い百科事典を、折りたたみ椅子の両サイドに、１冊ずつ投げ捨てた。
　そして、彼女に、その上に足を乗っけてもらい、ちょっとばかり、彼女の腰を上に浮かさせるようにした。

　そして、僕は、左手で彼女の腰を支えつつ、右の人差し指と親指でジュニアの茎の部分を持ち、ジュニアの先端部が、彼女のヴァギナに当たるようにした。

　亀頭部で、円を描くように、彼女の外陰部を撫で回す。
　そして、縦の裂け目に沿って、亀頭部をゆっくりと上下動させた。

　ジュニアの先端部が濡れて来るのがわかる。
　それは、僕のジュニアから出た淫汁のみではないようだ。
　たぶん、彼女の裂け目から滲み出た淫液のせいでもあるような気がした。

　僕は、僕のジュニアによる愛撫が、彼女に拒絶されていないことに勇気を持った。
　
　それで、今度は、ジュニアの先で、彼女の草叢を掻き分けた。

　あった、彼女の、ピンク色をした陰核が。

　僕は、そのかわいらしいクリトリスを、亀頭の先で、コツコツとつつき、そして、小さな円を描くようにしながら、そこを刺激していった。

「ねぇ、そんなに遊ばないで…」
「遊んでなんかいないよ」
「だって…」
「僕は、真面目だよ。君のこと好きなんだから、決して遊んでなんか、いない」

　僕は、遊んでいない、ということを知らせるために、左手を彼女の腰の辺りに、右手も彼女の背中に置いて、彼女にキッスをしていった。

「うっ、ううううう」
　彼女が苦しそうに息をした。

「ごめん。大丈夫？」
　彼女は、こっくりと、うなずいた。
　僕は、安心して、また、彼女をしっかりと、しかし、背骨が痛くないよう気をつけながら抱き寄せ、キッスをした。

　が、そのとき、僕は、ジュニアの先端部に、熱い湯のようなものがひっかけられたように感じた。
　驚いて、下を見る。
　何と、嵌まっているのだ。
　僕のペニスが、彼女の割れ目に。

「えっ！」
　僕は、はっとしたように、顔を上げて、彼女の顔を覗く。
　が、彼女は落ち着いていた。ちょっと恥ずかしそうだったが…。

「だいじょうぶなの？」
　何が大丈夫なのか、わからないまま、僕は、思わず、そう彼女に問い掛けていた。

　彼女は、うつむいたままだった。

　彼女だって、罪悪感を抱いているのだろう。
　そんな彼女が、いとおしかった。

　しかし、僕は、彼女のことを愛おしく思いながらも、あえて抜こうとはしなかった。
　嵌めたまま、じっとしていた。

　気持ちがいい、というのは確かにある。
　実際、彼女の裂け目の中は、暖かく、しかも、柔らかくペニスの表面を包み込んでくれていたのだから。

　しかし、どうしていいか、わからなかったのだ。

　これで、彼女への友情が壊れてしまうのではないか？。
　友人の山之上には、明日から、どうやって顔を合わせたらいいのか？。
　彼女のご主人と出会うようなことがあったら、どんな風に挨拶したらよいのか？。

　僕は、だんだんに、ジュニアの硬度が落ちていくのを感じていた。

　僕は、情けなくなって、彼女の肩先に額を置いていた。
　泣きたい気分だった。

　と、下を見遣ると、スルリとペニスが、彼女の股間から抜け落ちていた…。　

「どうしたの？」
　彼女の目が、心なしか悲しそうに見える。
「ごめん、精神的なものらしい」
　僕は、あやまらざるを得なかった。

「わたしが求めているのに…」
「ごめん」

「どうして？」
「……」

「わたしがわるいの？」
「いや、そうじゃないんだ」

「じゃ、なぜよ」
「……」

　彼女を怒らせたくなかった。
　それで、僕は、正直に言うことにした。

「すまない。君のご主人のことが、ふと、頭の中をよぎってしまったんだ」
「えっ！」

「情けないとは思うが、しかたがない」
「正直なのね」

　彼女は泣いていた。
　僕は、ひどく自分がわるいことをしているように思えた。
　実際、僕は彼女の快楽への道を中断してしまったのだ。
　僕の気弱さ、優柔不断さ、それが中断させてしまった要因であることは間違いなかった。

「ごめんね」
　僕は、彼女の肩を抱き、彼女を慰めようとしていた。
　彼女が、分厚くもない僕の胸にすがってきた…。

　僕は、愛おしくなって抱きしめる。
　
　僕は、彼女の頬に流れる涙を啜っていた。
　それは、しかし、雌の匂いがした。
　夢中でその匂いを嗅ぐ。
　が、何と言うことか、僕の股間のモノは、また、膨らみはじめたのだった。

　その股間の動きを感じたのか、彼女は、僕の唇を激しく吸い始めていた。
　
　僕は、折りたたみ椅子を背にしながら、激しく迫る彼女をしっかりと受け止めていた。
　後ろにひっくり返らないように。また、彼女のからだを僕の膝の上から、床に落とさないように。

　僕は、彼女の乳房を揉みつつ、乳首を吸っていた。
　彼女の快楽を一時中断させてしまったという反省があるのかもしれない…。

　彼女が、中腰になり、やや背伸びをしはじめた。

　そして、僕は、再び、股間のモノが、彼女の指で摘まれるのを感じていた。

「うっ！」
　僕は呻いた。

　窮屈な穴。
『ズルッ』
　しかし、僕のペニスは、それを通り抜けたらしい。
　中は暖かく、ペニスの先は何かで濡らされているように感じられたからだ。

　彼女が上下に動いている。
　中腰のまま、膝を支点に屈伸運動をしているみたいだった。
　僕は、彼女の腰に、両サイドから手をやって、からだの軸がぶれないようにしてあげた。

　彼女の両足は、分厚い本の上だ。
　
　僕は、椅子の上をはみ出し、ころがってもいい。
　しかし、彼女が、本を踏み外し、足首をくじいて、ころがって欲しくなかった。
　だから、彼女をしっかり支えていたかった。

　それに、僕のペニスときたら、１８センチも２０センチもあるわけではない。
　１２．５センチ程度しかなかったのだ。
　そんな短いペニスでは、激しく動かれると、はずれてしまうのだ。
　
　彼女の動きは尊重しなくてはいけない。
　しかし、あまり高く腰を上げられると、抜けてしまうのだ。

　僕は、必死で、彼女の腰の動きを調整しようとしていた。
「あああっ、いいわ、いいわ」
　彼女の動きが激しくなる。
　僕は、彼女の腰に置いた手に力を込める。
　あまり高く飛び上がって欲しくないのだ。

　彼女のピッチが速くなる。
「いっいいっ――っ、イクわ、イクわ、イク――ッ！」
　彼女が仰け反る。
　僕は、彼女の胸の下に頬をくっつけ、彼女の腰を抱くようにした。彼女が反り返り過ぎて、後ろに倒れないように。

　彼女の動きが止まった。
　彼女の左胸の鼓動を、僕は聞いていた。
　その鼓動が徐々に治まっていく。

　彼女が、深々と、全体重を僕の膝の上に掛けてきた。
　僕は、手を彼女の腰の後ろに回し、しっかりと抱きしめる。

　本能なのか？、僕は、彼女の腰の辺りや、背中をゆっくりと、手の平で撫でていた。
　すると、僕は、まだ僕のジュニアが、硬くなったまま、彼女の中で蠢いているのに気がついた。
　そして、そのジュニアがむずかる（むずがゆい）のに合わせ、椅子に乗っかっている、僕のお尻をもじもじさせていた。
　
「どうしたの？」
「いや、その…」

「あらっ、まだ、硬いままなのね」
「ああ」

「出したいの？」
「ああ」

「どうして出さなかったの？」
「だって、君のこと、後ろに倒れさせたくなかったから、そのことに気を取られていて…」

「あら、そうなの？」
「……」

「わたしのことだったら、大丈夫だったのに…」
「それに…」

「それに、なに？」
「中に出していいかどうか、わからなかったから、出すのを我慢していたんだ」

「あらっ、そうだったの？」
「そうだよ」

「そう言えば、わたし、今日は、安全日じゃなかったかもしれないわ」
　彼女が、頬を赤らめた。

　僕は、正直、驚いた。
　彼女は、大学院まで行っているインテリなのだ。
　そんなかしこい人なのに、なぜ、自分の生理の終わった日から今日までの日数を勘定しながら、セックスをしないんだろうか？。
　まったく不可解だった。

「でも、ともかく、出さなくてよかったよ」
　僕は、ほっと胸を撫で下ろした。
「まったく、あなたって、変なひと！」
　見ると、彼女が、さも可笑しそうに笑っていた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（つづく）