| ５ 夢かうつつか 彼女は、後ろ向きに、横になっている。 彼女は、すっかり寝入ってしまっているようだった。 俺は、暗闇の中で、すでに覚悟を決めていた。 俺は、彼女の夫に成りすますつもりなのだ。 俺は、後ろから前に回した手で、彼女の、パジャマの上着のボタンをはずしていた。 そして、彼女のスベスベした肌に、直接、タッチしはじめていたのだ。 おなかの筋肉は、やわらかくてあったかい。 そして、手は、上へと上がり、乳房に触れていく。 俺の股間のペニスは、すでに、ギューンと、天を衝かんばかりに、大きく勃起していた…。 が、ともかく、下半身が窮屈なのだ。 俺は、彼女の背中から、少し離れ、ベルトをゆるめ、そっとスボンを脱ぎはじめた。 そして、トランクスだけの格好になり、自分の股間を、彼女のお尻の谷間にくっつけた。 目を覚まさないだろうか？。 彼女にしてみたら、何か硬いものが、後ろから、こっつんと、お尻の肉を突っつくのだから…。 が、大丈夫みたいだ、彼女のお尻は逃げない。 俺は、後ろから抱くようにして、乳房を揉んでいく。 彼女の乳房の肉が、湿り気を帯びてくる。 それに、何かしら彼女がお尻をムズムズとさせているように感じる。 そして、俺自身が、ともかく、下半身が疼くのだ。 どうにも、がまんできない。 入れたい、入れたいのだ、この硬くなったものを、後ろから、彼女の膣の中へ…。 しかし、入れてはいけない。 それはそうだろう。 確かに、妊娠４カ月になると、胎児も子宮の中で安定してきて、流産というような可能性は少なくなる。 でも、時として、妊娠中期以後であっても、長いドライブ、激しい運動、性行為などが原因で、早産になることだってあるうるのだ。 妊娠中は、子宮を、できるだけ刺激をしない方がいいにきまっている…。 俺は、膣内に、指も入れていない。 クリトリスしか愛撫していないのだ。 むろん、それが許されるとも思ってはいないが。 がしかし、健全な意識とは別に、クリトリスをかまいたいというエッチな気持ちは、どうしても抑えきれないのだ。 だって、クリトリスを手で愛撫していれば、それは、だんだん硬くなってきて、それに伴って、俺の股間のペニスも硬くなって、俺の脳味噌が、快感を覚えて来るのだ。それを、何で今さら止められるか、という感じなのだ。 「あなた、入れて」 （えっ？） 俺は、耳を疑っている。 彼女が、そんなエッチなことを言うはずがないじゃないか。 が、この部屋には、俺と彼女しかいない。 それに、俺が言うなら、『頼む、入れさせてくれ』だろう。 「あなた…」 向こう向きになって寝ている彼女が、寝返りを打って、こっちを向いたらしい。 暗闇の中で、うっすらと、彼女の顔の輪郭がわかるような気がする。 けれども、彼女が、目を開けているのか、それとも瞑っているのか、しかとはわからない。 「なんだい」 俺は聞く。 「……」 が、彼女から返事はない。 （彼女は、入れて欲しいんだろうか？。俺だって、入れたいのは、やまやまなんだけれども…） しかし、俺は、亭主ぶったことを言っていた。 「でも、赤ちゃんのことを最優先して考えないと、ね」 「大丈夫だわ」 即座に、彼女から返事が返ってくる。 「ううん、大丈夫なことはないさ。僕って、いったん入れたら、けっこう乱暴だから…」 「……」 「ううん、君が、かわいいんだ。だから、めちゃめちゃにしてやりたいくらいに、僕は、動いてしまう。だから、入れない方がいいんだ…」 「がまんできる？」 彼女が、やさしく聞いてくる。 「ああ、我慢できるよ。君のために。そして、君と僕との赤ちゃんのために…」 俺は、わざとらしいが、鷹揚（おうよう）に、そう言いながら、彼女の肩先を軽くなでさすっていた。 がしかし、それは、言葉だけのことだった。 やはり、歯車の毀れた俺に、エッチな気持ちをセーブしろというのが、そもそも無理というものなのだ。 「ねぇ、その代わり、あそこを舐めさせてくれる？」 「いやよ」 「どうして？。入れるわけじゃないんだからさ…」 「だめだめ」 「どうして？」 「だめなものは、だめなの」 「じゃ、入れちゃうから…」 「だって、わたし、このところお風呂に、入っていないんだもの」 「ああ、そんなこと。そんなこと、関係ない、って」 「でも…」 「じゃ、タオルで、拭いてあげるよ」 「でも…」 「遠慮しなくていいよ」 「……」 俺は、彼女の気持ちなんか無視している。 タオルのありかは、何となくわかっていた。 ベッドの上に座り、そばにあるロッカーの開き戸を開ける。 上の方の棚のところを、手探りする。 あった、タオルが。 ベッドから降りて、洗面台のところに行く。 蛇口の上のところを、「温」の方に回し、お湯を出す。 そして、タオルを濡らし、それを絞った。 俺は、暗闇の中で、彼女の下半身にかかっているとおぼしき掛け布団を跳ね除けた。 そして、彼女のパジャマのズボンを下に引いた。 そして、パンティも脱がした。 股間の場所は、何となく、わかった。 そこに、熱く暖めたタオルを当てた…。 股間に、熱いタオルをあてがわれた彼女が、もじもじしている。 俺は、もう、我慢できなかった。だって、股間のペニスが、ギューンと頭をもたげ、左右前後に、うごめているからだ。 俺は、トランクスを脱ぎ捨て、「ふるちん」になって、ベッドの上に這い上がった。 俺は、彼女の股間に、顔をくっつけた。 やわらかな恥毛が、ふんわりと俺の口許を刺激する。 もう、なりふりは構っておられない。 俺は、首を左右に振りつつ、彼女の膣の匂いを嗅ぐ。 粉チーズの匂いがした。 それで、外陰唇と思われるところを、舌で舐めさせてもらった。 唇で、彼女のクリトリスを捜す。 「入れて、入れて」 彼女の声だ、確かに。 （いいんだろうか？） 俺は、迷っていた。 「下の口はだめだよ。上の口から、いいかも…」 俺は、つぶやくように言った。 「入れて、入れてちょうだい…」 彼女が、さっきよりも甘えた声で言って来る。 しかたがなかった。 俺は、自分のからだの向きを１８０度、回転させた。 俺の顔は、彼女の股間にあったが、顔は反転していて、彼女の股間を上から見る形になっていた。 俺のくちびるは、彼女の膣口から、やや遠くなっていた。かなり首を落とし込まないと、彼女の外陰部を、唇で愛撫することはむずかしくなっていたのだ。 が、俺のペニスは、ちょうど、彼女の顔の上にあって、彼女は、ようやく、俺のペニスの先を、自分の口先で、捕らえてくれたようだった。 そして、彼女は、細い指で、硬くなったペニスを、俺の腹からひっぺがし、先端部を口に咥えた。 ペニスの先っぽが、彼女の唾液で濡れる。 でも、その唾液はあたたかく、ペニスの先っぽは、とても気持ちよかった。 『痛い！』 俺は、そんな大きな声を出すところだった…。 彼女が、俺のペニスに、自分の歯を当てたらしいのだ。 大きな声を出せば、となりの部屋に聞こえるかもしれない。 俺は、彼女と話すために、また、からだの向きを変えた。 彼女の耳元に、俺は、自分の顔をくっつける。 「あそこは、敏感なところだから、やさしく扱って」 「……」 彼女は不満そうだった。 確かに、しっかり押えつけておかないと、すぐに跳ねてしまうのかもしれない。 俺のジュニアは、好きな女の子の前で、えらく元気になっているらしい…。 俺は、彼女に指導した。 「手で、根元を押さえて、ね。で、９０度にしたら、そこで、動きを止めて。そして、先っぽには、くちびるだけを当てて、決して、歯を立てないように、ね」 俺は、そう言い置いて、また、からだを元に戻し、自分の顔を、彼女の股間にくっつけていった。 そして、股間の方にも、気を使った。ペニスが彼女の咽喉に突き刺さらないよう、腰をやや上へと、浮かし気味にしておいたのだ。 俺は、指先で彼女の外陰唇を左右を開くようにして、クリトリスを、上の方から口で上下に責め立てた。 と、鼻のあたまの方が濡れてくる。 彼女の股間から、淫液が漏れ出て、それが、俺の鼻の頭を濡らしているらしい。 彼女も興奮してきたらしい。 さすがに、俺もうれしくなる。 俺は、自分の唾液で濡れた舌の先で、クリトリスを愛撫しつつ、彼女の淫液で濡れた鼻の頭で、やさしく外陰唇を愛撫した。 と、俺は、自分のペニスが、べっとりと熱く濡れていくのがわかった。 気持ちよかった。 彼女への愛撫がおろそかになりそうだった。 俺は、彼女への愛撫に集中することにした。 俺は、左手で、自分の上体を支え、クリトリスを舌や唇で愛撫しつつ、右手の人差し指を彼女の淫液で濡らし、その濡れた指で、外陰唇を、まるで、糊を薄い紙の上に塗るように、優しくタッチしはじめていた…。 けれども、彼女のくちびるが、ペニスに与える優しさに、俺は、もう爆発を我慢できなくなっていた。 俺は、彼女の口内に発射するのを好まなかった。 俺の精液なんか、臭くて、きたないに決まっている。 俺は、彼女の口腔の中から、ペニスを抜こうとした。 が、意外に、しっかりと、根元のところを、彼女に、にぎられていた。 彼女の口の動きが活発になる。 抜けない。 「あああ、そんな・・・」 抜けないまま、とうとう、俺は、ドクドクドクッと、精を解き放ってしまっていた…。 目の前を、何本もの黄色い光の線が走っていく…。 俺は、発射が終わってから、からだの向きを変えた。 急いで、彼女の口許にティッシュペーパーを当て、俺の精液を、口の中から吐き出させた。 「ありがとう」 俺は、礼を言った。 何しろ、俺のきたない精液を口にしてくれたのだから。 「で、イッタ？」 俺は、気になることを聞いていた。 彼女は黙っていた。 それに、彼女の顔が、うんうんとは、頷いていないように感じられた。 「僕だけイッて、申し訳ない。君もイきたいだろ？」 暗闇だが、今度は、彼女が、頷いたのが、俺にはわかった。 俺は、彼女にキスをした。 そして、キスをしながら、手は、彼女の股間をまさぐっていた。 恥毛をなでる。そして、クリトリスを愛撫した。 やさしく…。 と、彼女の肩先が震え始めた。 そして、仰け反って行く。 息が苦しそうだ。胸がはずんでいるようだ。 俺は、かなりディープなキスをしていたらしい。 俺は、彼女のくちびるを解放してあげた。 その代わり、俺は、彼女の首すじに、柔らかなキッスをしてあげた。 そして、手は、おっぱいにやり、乳房を、揉んで行く…。 俺は、からだをかがめ、おっぱいを吸っている。 乳首を吸いながら、今度は、手を下ろして、クリトリスを、淫液で濡らした指先で、やさしく、こすっている。 「ああ、ああああ」 と、彼女が、俺の頭をしっかりと自分の胸の中に抱き込んだ。 彼女の胸の震えが、僕の顔の表面に伝わって来る。 「あっ、あああああ・・・」 彼女のあえぐ声がした。 もう少しで、イッてくれそうな気がした。 俺は、指先をもう一度、彼女の淫液でしっかりと濡らした。 そして、その濡れた指先の腹の部分で、クリトリスをできるだけ速くこすり上げた。 「あっ、あわわわ、あわっ、ア―――ンッ！」 （ピクピクピク、ピク――！） 彼女は、俺の愛撫に応え、イッテくれたようだ。 俺は安心して、彼女の胸に顔をうずめながら、眠りにおちて行った。 「ルルル、ルルル、ル――ッ、ルルル！」 俺は、ケータイのアラームが鳴っているのに気がついた。 簡易ベッドから急いで起き上がり、机の上に置いていたケータイのアラームの音を切った。 ケータイの時刻を見る。 深夜、午前０時３６分だった。 セットをしたのは、午前０時６分だったから、ちょうど３０分が経っていた…。 俺は、立ち上がり、背伸びをした。 が、なんだか股間が気持ちわるい。 ベルトをゆるめ、ズボンの中を覗き込む。 濡れている、トランクスの前側が、べっとりと…。 （あっ！、夢精だ。また、やったらしい…） 俺は、机の一番下の引き出しを開けた。が、ストックのトランクスは一枚もなかった。 病院の近くに、終日営業のコンビニエンス・ストアがある。 すぐに、着替えのトランクスを買いに行かなくては。 俺は、とりあえず、ティッシュ・ぺ―パーの何枚かを、下腹部の肌と、トランクスの布地との間に挟みこみ、自分の部屋を出て、エレベーターの方に向かって歩いて行った。 （つづく） |
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| 2009.2.2掲載 |
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