| １１（＝最終話） ずっと好きでいて 眞司は、後ろ手をつき、自分の上体を支えながら、真衣を見ていた。 真衣は、まだ、決心がつかないようだった。 でも、眞司は気長に待つことにした。 硬いペニスが突き刺さって来て、痛い目に会うのは、真衣なのだから。 眞司は、自分のペニスが外国人のそれに比べ、大きくないことで、コンプレックスを持ったこともあったが、今は、ホッとしていた。これがもっと太くて長かったら、真衣はとても痛がるだろうから。 眞司は、それでも、真衣を促す気持ちがあるのか、片手を伸ばし、真衣のお尻を撫でた。 真衣のお尻はすべずとしていた。それに、とても小さくてかわいかった。 それに、この小ささなら、真衣が膝の上に乗ってきても、重くはないだろうと思った。 真衣は、決心した。心の中で、『謙一！』と、昔の彼氏の名前を呼んだ。そして、腰を落とした。 何か、硬い棒のようなものが、自分のおなかの下を突き刺したような気がした。 『痛い！』、思わず、目をつむる。 「真衣、大丈夫かい？」 「えっ？」 真衣の目の前には、彼がいた。が、その彼は、高校時代の彼氏ではなかった。 「どうしたの？」 「ううん、何でもないわ」 真衣は、入ったとき、一瞬、また、昔の彼氏の名前を声に出して、叫びそうだったのだ。 今も、少し痛い。 でも、がまんしている。彼氏のためだ。彼氏のためなら、がまんできる。 真衣は、今でも、彼氏がかつてアレを求めたとき、拒否したことを悔いている。 そして、今、やっと、彼氏の願いを叶えてあげることができたのだ。 眞司は、真衣が入ってくれたことで、感激している。 でも、真衣の中は窮屈で、眞司は、真衣が痛くないかどうか心配なのだ。 本当なら、早くイッて、真衣を楽にしてあげたい。でも、こんな時に限って、なぜか、射精感がないのだ。 たぶん、正常位になり、ピストン運動をすれば、すぐにも、射精できそうなのだが。しかし、ピストン運動をしては、膣の壁が擦られ、きっと真衣には耐えられない痛さが生まれるだろう。 眞司は、真衣の少しゆがんだ、額に皺の寄った顔を見た。 いとおしかった。 （僕のために、彼女は、痛みをがまんしてくれている） 眞司は、後ろ手をつくのを止めて、上半身をまっすぐに戻した。真衣は股間の上にのっかってくれている。スリムな彼女なので、のっかっていても、重くない。眞司は両手が空いたので、それを真衣の背中に回した。 真衣の背中を撫でる。 真衣の背中は、スベスベしていて、眞司は、自分の手のひらが、とても気持ちよかった。 座位なのだからだろうか、そんなに射精感はない。いや、ひょっとしたら、真衣とこのままずっとこうしていたいという気持ちが、本能的に射精を伸ばしているのかもしれない。 眞司は、真衣のわき腹を撫でた。 真衣のわき腹の肉がピクッとふるえた。 真衣のお尻の上の方を撫でると、真衣が、「あっ」と言って、上体を少し上に跳ね上げた。ペニスが抜けるのを恐れ、眞司は、手で、真衣の上体を下に押し下げるよう、導いている。 「だいじょうぶ？」 「ええ」 「痛くない？」 「うん。でも、少しだけ痛いわ」 「ああ、そうなの」 「でも、がまんするわ」 眞司は、早く痛さから解放してやらなくてはと思った。 たぶん、正常位になって、真衣のからだに覆いかぶさっていけば、射精できるだろう。 眞司は、片手で真衣の背中を支えつつ、真衣を絨毯の上に寝かせつけた。 上体と上体を合わせる。 やっぱり、真衣のからだの上にいる、というのはいい。真衣を完全に自分のものにしているという満足感とか支配感がある。 ペニスは挿入されたままだった。 真衣の顔を窺うに、さほど痛がってはいない。 眞司は動きたかった。 でも、動けば、きっと痛がるだろう。 眞司は、動かないことにした。 しかし、このままじっしていては、射精するまで時間がかかって、真衣を痛みから解放してやれないことになる。 （動かなくても、キスをしていれば、もよおしてくるかもしれない…） 眞司は、真衣のくちびるに、キッスをした。 真衣が、自分の唇に、くっついてくる。 それに、眞司は、真衣の手が、自分の背中に回ったのに気がついた。 （真衣も、僕を求めているんだ） 眞司は、自信を深めた。 眞司は、右腕を絨毯の上に突いていて、全体重を真衣に掛けることを避けていたが、それを止めた。両腕を使って、真衣を抱き締めた。 密着感が、眞司を幸せな気持ちにさせる。 すると、真衣が、背中を撫でてくれた。 すごく、気持ちがいい。 お尻のちょっと上、腰の後ろ辺りに痺れが来る。と、目の前が真っ暗になり、火花が飛び散って、脳天に向かって突き抜けるような快感の嵐が巻き起こる。 眞司は、竜巻に巻き込まれたかのように、からだが、空に向かって舞い上がるような気がした。そのとき、陰茎が、ドクドクトグ、ドクーッと精液を解き放っていた。そして、やがて、からだは、空中から真っ逆さまに、回転しながら、落ちて行った…。 眞司は、真衣にしっかりと抱きついている自分に気がついた。 「重い？」 「ううん、大丈夫よ」 「オレ、イッタみたいだよ」 「よかったわ」 眞司は、ふと気がついた、コンドームをしていることに。 ペニスがだんだん柔らかくなりつつある。早くはずさないと、コンドームだけが膣内に残りそうな気がした。 半ば、上体を起こしつつ、ペニスを抜く。 ペニスの先ッポに赤いものが付いている。 コンドームをつけたまま、ペニスの先をティッシュで拭く。と、そのティッシュが赤く汚れた。真衣の膣口が、やはり傷ついたみたいだ。 眞司は、申し訳なかったと思う。 コンドームを抜き去り、先端部に白い液に入ったコンドームの口を閉じて、そのままティッシュにくるむ。 真衣のそばに行き、横抱えにする。 「真衣、痛かったね。ごめんね」 「大丈夫よ」 「オレは気持ちよかったのに…」 「どんな感じがしたの？」 「そうだね、暗い空の上から、ゆっくりと頭から舞い落ちるような…」 「ふーん」 「もっとも、ドクドクって、射精した瞬間が一番、気持ちよかったかもね」 「真衣も、気持ち良くなりたいな…」 「ああ…」 眞司は、自分の快感のために痛みをこらえてくれた真衣に、お礼をしなくてはと思った。 眞司は、真衣を仰向きにさせた。 そして、足を開かせ、その間に入り、顔を、真衣の股間へと近づけていく。 真衣の内股のところに赤い斑点がついているように見えた。 しかし、お尻の下のバスタオルは汚れてはいなかった。 眞司は、くちびると舌先で、真衣の大陰唇をぬぐう。 そして、内側の小陰唇をしっかりと舌を使って舐める。すると、血の匂いがした。くちびると舌先とをティッシュで拭う。ティッシュが赤く汚れる。それは、まるで、歯茎から出た鮮血を手で拭いたみたいな感じがした。 眞司は、自分の唾液で小陰唇を消毒するかのように、舌先で、ゆっくりと舐め上げた。そして、尿道口や膣口のあたりにも、舌先を這わせた。 真衣は、腰をよじっている。でも、「やめて」とは言わない。たぶん、こうして性器を舐められるのは、そんなに気持ちのわるいことではないらしい…。 眞司は、真衣の性器を舐めてあげる。そして、指先でそっと、クリトリスをなでてあげる。 「ああ、ああ…」 真衣のあえぐ声がした。 眞司は、声をかける。 「続けてもいいかい？」 「……」 真衣から返事はない。だけど、真衣なら、『いやなら、いや』と言うだろう。『いや』という返事がない以上、続けてもいいということだろう。 眞司は、小陰唇を舐めてから、少し顔を上げて、クリトリスをなめてあげた。真衣の腰が浮き上がる。どうも、気持ちが良さそうだ。どうやら、真衣は、左右の小陰唇のビラビラのところと、左右の小陰唇がトップでつながっているところにあるクリトリスを舌先でなめられるのが、いいみたいだった。 眞司は、そこを、心を込めて、なめてあげることにした。 真衣の小さなお尻が左右に揺れるのがわかる。 と、眞司は自分自身の性器に、再び力がよみがえるのを感じた。 「あああ、ああああ……」 真衣が腰をよじりながら、眞司の頭を手で掻き毟る。 が、眞司は、真衣の腰をつかみながら、舌先の愛撫を止めなかった…。 『真衣、愛している』 真衣は、謙一の声を聞いた。 『あなた…』 真衣がそうつぶやいた時、からだが宙に舞った…。 真衣は、暖かい、しかも、ふわふわと寝心地のいい草叢に寝転んでいた。 『真衣、ありがとう。僕は、とってもいい気持ちだったよ』 謙一だった。笑顔がいい。幸せそうな顔をしていて。 そして、わたしを見つめるまなざしが、とってもあたたかく、感謝の気持ちに満ちているようだ。 『よかったわ。あなたに喜んでもらえて…』 と、真衣は謙一に答えている。 と、謙一のまなざしに真剣なものが現れた。 『真衣、僕は、ずっと見守っているからね』 『えっ？』 真衣には、何のことか、よくわからないのだ。 『ずっと、ずっと、君の幸せを見守っているからね』 謙一のまなざしの真剣さに、真衣はビクッとなる。 すると、謙一が、草叢から起き上がっていく。 『まだ、いいのに』 真衣が、謙一に、未練がありそうに告げる。 『ああ、そうだね。でも、ちょっと待っていて。今、君に飲み物を持って来てあげるから…』 謙一は、そう言いながら、真衣に背を向けた…。 「真衣、真衣、だいじょうぶかい？」 真衣は、誰かに肩を揺すられているような気がして、目を開けた。 そこには、眞司がいた。 「あっ、気がついた。……。よかった。……。何か、飲み物でも持って来てあげようか？」 「えっ、ええ…」 真衣は、そう答えながら、ちょっと、戸惑っていた。 ここは、決して、河川敷の草叢ではなかったのだ。 真衣は、上半身を起こし、眞司の持って来てくれたオレンジジュースをひと口飲んだ。おいしかった。なぜか、涙がこぼれた。 「どうしたの？」 眞司が心配そうに尋ねる。 「ううん。何でもないわ。ただ、あなたが、やっと喜んでくれたみたいで、うれしくて…」 真衣は、指先で、涙をぬぐう。 真衣はかわいかった。 すごく素敵だった。 「真衣、大好きだよ」 眞司は言った。 真衣は顔を上げる。そこには、眞司の明るい顔があった。そして、目には力強い光が。 「よかったわ」 「で、真衣、僕に、何か望むものはあるかい？」 「えっ？」 「いや、前に、真衣は、僕に、強くなって欲しい、とか言っていたし…」 真衣は、謙一よりも、目の前の彼を大切にしなければ、と思った。謙一のことを忘れたわけではない。しかし、目の前にいる眞司だって、謙一みたいに真剣にわたしのことを大切に思ってくれているのだから…。 「わたしのこと、ずっと、好きでいて…」 「えっ！？」 眞司は、不意を突かれたみたいに驚いていた。 真衣のことだ、『経済力を身につけて』とか、『包容力のある男になって』みたいなことを言われると思ったのだ。 しかし、真衣は、「ずっと、好きでいて…」と言ったのだ。 眞司は、真衣の肩をやさしく抱いた。 「ああ、わかった。ずっと、君のこと、好きでいるよ」 真衣が、こっくりと、うなずいた。 「ところで、真衣、聞きたいことがあるんだけど…」 眞司の目が真剣そうで、真衣はドキッとする。 （ひょっとして、昔の彼氏のこと、聞きたいのかしら？） 「僕は、今まで、僕の一方的な片想いだと思って来たけど、そうじゃないよね。僕たちって、両想いだよね？」 眞司の真面目くさった顔が、内心、真衣にはおかしかった。 でも、眞司のその真剣さを茶化してはいけないような気がした。 「ええ、そうよ」 「ああ、よかった…」 眞司が、胸を撫でおろしたような、本当にホッとしたような顔をした。 『ああ、わたしも、この彼の笑顔が、好きなんだわ』 真衣は、自分から、そっと、眞司のくちびるにキッスをした。 （完） |
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| 2010.11.13掲載 |
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