７．

　一方、恭子に対する気まずさから、そのまま家を出た俊之と晶子の二人は、買い物をするでもなく、ただ繁華街をうろついていた。
（「恭子に見られちゃった・・あぁ、どうしよう・・恥ずかしい・・なんであんなところで始めたのかしら？？」）
（「恭子ちゃんは、どう思ったろう？、やっぱりショックだろうな・・大人は汚いと思ったかもしれない。欲望剥き出しだったものな。」）
　晶子は、後悔の言葉を胸の中で繰り返し、俊之は恭子の自分に対する気持ちの変化を心配していた。
　二人は無言のまま歩いた。
　たがそのうちに、自分たちの身体が変化したままなのに気付く。
　晶子の下着は自分の粘液で冷たく湿り、俊之のペニスは太いまま柔らかくなっていた。
　二人は、半ば諦めにも似た気持ちで、続きをしたいと思った。
　むらむらした気分をすっきりさせたい、夢中になって何もかも忘れたい。不思議にその気持ちは一致していた。
「しようか・・」「ええ・・」二人は阿うんの呼吸で気持ちを確認し合い、その場所を探した。
　だが、あいにく日曜日で、同じ目的のペアが街に溢れ、どのラブホテルも満杯だった。
　二人は仕方なく、木立の多い近くの公園に向かい、そのまま人目につき難いベンチに腰を降ろす。
　時間はいつの間にか夕方になっていて、暖かいこの時期、ここも沢山の恋人たちで溢れていた。
　引っ込みのつかない二人は、暗くなるのを待って静かに相手の身体を抱き寄せた。
　これが最後になるとも知らないで・・

　この時、二人が抱き合い、相手の服を脱がせようとしているベンチのすぐ後ろで、この様子をじっと窺っている複数の人影があった。
　当の二人は暗闇で全く気がつかなかったが、周りには沢山の覗きが身を潜めていた。
　そう、ここはアベックの性行為を覗く名所になっていたのだ。
　俊之が晶子のスカートの中に手を差し込み、濡れたショーツを脱がせようとする。
　すると、これに気付いた何人かの覗きが、音を立てずに二人の座るベンチの前方に回り込み、暗視ゴーグルや赤外線カメラを通して、下から晶子の太股の奥を覗き込む。
　息を荒げた晶子が、俊之の下半身に両手を伸ばし、焦った手つきでベルトを緩め、ズボンとパンツを脱がせる。
　ショーツを足首から抜いた俊之が、晶子のスカートを腰の上まで捲りあげ、彼女の両膝を左右に押し開きながら、その上に覆い被さると、今度は二人の足元に集まった覗きの男達は、すぐ近くから二人の股間を観察し始めた。
　男たちの眼に映るそこは、クレパスの間の晶子の内部が濡れて光って見え、先端から粘液を滴らしている俊之のペニスはキラキラと輝いていた。
「あなた・・すごく興奮してる・・」「ああ、晶子・・おまえもびしょびしょだな。」
　何も知らない俊之は、晶子のブラウスの前を開け、その中に顔を埋めながら、二人の腰の間に手を差し込む。
　歓びに震える晶子は、ブラのホックを外しながら、大きく頭を後ろに反らした。
　最初から素っ裸で覗きを行っている男たちの股間は、既に硬く反り返っていて、ゆっくりと扱かれている。
　男たちは皆、目を皿のようにして、俊之の太いペニスが晶子の割れ目の間に挿入されてゆく様子を、見つめていた。

　覗きもベテランになると、抱き合う二人に気づかれないように、女の身体に触ることができる。
　性行為に夢中になっている二人は、別の誰かの手が余分に愛撫を行っても、それに気がつかないからだ。
　この時も、何本かの手が俊之の手に紛れて晶子の身体をまさぐっていた。
「あっ！・・はあぁ〜、素敵・・」
　見知らぬ男たちの手で乳房を揉み上げられ、太股の内側を撫で回された晶子が、堪らずに歓喜の声をあげる。
　これに興奮した俊之がさらに深くその腰を刳れば、感極まった晶子は夢中で彼の口に吸い付く。
　覗きの男たちは、間近で俊之と晶子のハァ、ハァという喘ぎ声を聞きながら、柔らかく豊満な晶子の身体の感触をたのしみ続けた。

　俊之が最初に異変に気付いたのは、無我夢中の１度目の射精を済ませた頃だった。
　自分が愛撫の手を休めても、晶子の反応が変わらない。
　相変わらず、夢中で感じ続けている。
　気になった俊之が耳をすますと、誰か他の人の息遣いが聞こえた。
（「もしかして・・誰かいるのか？・・」）
　俊之が周りを窺う素振りを見せると、警戒した覗き達は一斉に動くのを止め、息を潜める。
　この変化に確信を深めた俊之は、また晶子への愛撫を再開してみる。
　すると、再び僅かに男たちの動く気配がする。
（「間違いない。誰か男がいて、晶子の身体に触っている。痴漢かもしれない・・」）
　しかし、事の次第を知った俊之は、この後、意外な行動に出る。
　口と手で晶子に愛撫を繰り返しながら、自分の身体を彼女の身体から、徐々に離し始めたのだ。
　そのペニスは、射精をした直後にもかかわらず、再びその頭を高く擡げ始めていた。
（「晶子の身体の上を誰かの手が這い回っている・・こんなに歓んで・・あぁ、堪らない。こんなに興奮したのは生まれて初めてだ。」）
　男たちの存在に気付いたうえで、晶子の身体を自分たちに任せ始めた俊之の行動を見て、覗きの男たちはより積極的に動き始める。
　俊之に代って、晶子に身を擦り寄せ、交代で彼女の身体を舐め始めた。
　好き勝手に晶子の全身を弄び始めた男たちは、やがて彼女の大事な部分にも吸い付き、舌を入れ愛液を飲み始める。
「はっあっ！、凄ッ・・いぃ〜・・ん゛ッ〜〜」
　複数の男たちの手と口で全身を隅無く愛撫された晶子は、背中を撓らせ、今や、悶絶したままになった。
　だが、やがて、その晶子も絶頂の中で異変に気がつく。
（「えっ？、なに？この人・・俊之じゃない！」）
　急に、びくっと身体を硬直させた晶子が、暗闇の中で目を凝らし、自分の上の別の人の気配を調べる。
　気付かれた事を感じた覗きの男たちは、動きを止め、逃げる準備をした。
「どこ俊之・・」恐怖を感じた晶子は、思わず大声をあげようとした。
　だが次の瞬間、晶子は、右手を握る俊之の手の温もりに気がつく。
「あなた・・」
　瞬時に夫の意図と願望を感じ取った晶子は、諦めたように身体の力を抜き、全身に纏わり付いている男たちにその身を任せた。
　相手が合意し、何をしても咎められないと判った男たちは、一斉に晶子の身体に群がる。
　すぐに晶子は、どんな人かもわからない、沢山の男達の嵐のような愛撫に飲み込まれた。
（「助けて・・あなた・・」）
　最後に残った晶子の中のモラルの一偏も、誰かが首筋を舐め上げ、太股に熱く脈打つ巨大なペニスを押しつけられた頃には、消えてなくなっていた。
　生のペニスを深々と突き入れられた晶子の全身は、大きく反り返り、跳ねながら痙攣する。
　この騒ぎに気付いた他の覗き達も、次々に遠くから集まり、晶子の魅惑的な裸体を奪い合う。
「ひっ・・むっぐうぅ・・おぉ・・んっぐん〜〜・・」
　俊之は、塞がれた口で悲鳴をあげながら、次々に違う男たちに犯され続ける、妻の身体を撫でながら、自らのペニスを夢中で扱いていた。
（「歓んでるのか？、晶子・・許してくれ。我慢できなかったんだ。」）
　やがて晶子は動かなくなり、男たちに精液を流し込まれるだけになる。
　俊之が暗闇の中で、晶子の身体を探ると、既に彼女の全身はドロドロになり、足首を掴んだ最後の男が精液を噴上げているところだった。
　晶子の腹の上に射精をするその男の眼に、哀れな晶子の姿が映る。
　まだ両手で自らの陰部を押し開き、硬いペニスを強請り続けている彼女は、何かを譫言のように呟き続けている。
「いぃ〜・・もっと・・お願い・・もっと頂戴・・」


８．

　あれから、別人のようになってしまった晶子は、俊之とは一言も口をきいていない。
　そればかりか、毎日、若い男を漁るようになってしまっていた。

　先程から、晶子はひとつの事に取り憑かれている。
　太さは夫ほどではないが、へそに届くまでそそり勃って、先端を激しく揺すっている若いペニスを見て、もう我慢がならなくなっていたのだ。
「晶子さん、お願いします。会ってくれませんか・・」
「だめよ・・そんなこと。チャットだけのはずでしょう。」
「でも俺、もう堪らないんだ。・・会って、晶子さんの白い身体を実際に抱きたい。」
「・・・」
「俺、晶子さんのためなら、何度でも勃てますから・・」
　晶子はいつものツーショットチャットで、１９才の美しい青年と知り合っていた。
　しなやかな筋肉で包まれた引き締まった身体、何度でも勃起するピンク色のペニス、女の肌を知らない汚れのない唇。
　この自分のために差し出された魅惑的な身体を、晶子は羨望の眼差しで見つめていた。
（「この前のように気を失うほどしてほしい・・あぁ、この子に抱かれてみたい・・また、痙攣して動けなくなるまであの感触を味わいたい・・」）
　晶子の頭に以前経験した目眩く快感が甦り、抗いきれない強い欲望が意識全体を埋め尽くしてゆく。
　そのままボーッとなった晶子の左手が、彼女の純白のキャミソールの下端を捲りあげる。
　レースが入った彼女の清楚な下着は、括れたウェストの上端に巻きつき、下から形のいいへそが顔を覗かせた。
（「なんて綺麗なんだ・・それに、すごく色っぽい。うぅ、舐め回したいよ。晶子さん・・」）
　呼応するように青年の左手が、腹筋のスジが浮かんだ自らの腹を撫で回し、その右手が硬く勃起したペニスを下から上に向かってゆっくりと扱きあげる。
「は・・あぁ〜」「あ・・はっ、ふぅ〜〜」二人の口から、同時に深い吐息が漏れた。
　これを合図にして、二人は興奮の坂を一気に駆け登り始める。
　晶子が腰骨にかかるショーツの端に手をかけながら、尻を少し浮かす。
　青年はカメラの正面にペニスの裏側をさらしながら、晶子の身体をもっとよく見ようと、自分の顔をモニタ画面に近づけた。
「ハァ・・ハァ・・」と、荒い息を吐く青年の目の前で、晶子が脚からショーツを引き抜き、その美しい両脚を徐々に開いてゆく。
　青年の手の動きが、徐々に速くなっていった。
　身体を横に向けてカメラから秘部を隠したままの晶子は、キャミの上から豊かな乳房を揉みながら、口から舌を長く出し、だらりとそれを下に垂らした。
　その眼は、画面の中でぶらぶらと揺れる、青年の大きな陰嚢に釘付けになっている。
「ねぇ・・私が欲しいなら、射精して見せて。本当に興奮してるなら、すぐに逝けるでしょう？」
　艶っぽい声でそう囁いた晶子は、近くの引き出しから太いバイブを取り出し、スイッチを入れる。
「えっ？・・晶子さん、まじ？・・スゲェ・・あぁ〜」
　これを見た青年の亀頭部が今後の展開を期待して、真っ赤に充血を始めた。

　晶子はスイッチを入れたバイブの先端を、へそにかかるキャミソールの下端からその中に差し込む。
　両乳房の間に差し入れられたバイブの先端がぐるぐると回り、晶子の大きな胸全体を揺らしている。
　キャミの表面に飛び出した乳首の突起が、それに合わせて細かく上下に振動している。
　やがて、胸の谷間に挟まれながら上に顔を出したバイブに、晶子が舌を伸ばす。
　そして、とろりとした焦点の定まらない眼で、バイブの先端にゆっくりと濡れた舌先を這わせながら、「ほら、舐め回してあげる・・はやく、射精して見せて。」と、ゾクッとするような低い声で青年に向かって囁きかけた。
　これを見た青年のペニスが、ビクッと大きく一度跳ね上がる。
　凄い速度でペニスを扱き始めた青年を見て、晶子はバイブを胸から抜いた。
　そして、そのまま焦らすようにゆっくりと、バイブの先端を下にむかって降ろしてゆく。
　やがて、腹筋を揺らし、へその上を通過したバイブの先端は、晶子の下腹部に潜り込んだ。
「あっ、はっあんっ！・・んっん〜〜」

　Ｗｅｂカメラに横から映るように、うつ伏せに横たわった晶子は、そのまま、大きく白い尻を天に向かって高く突きあげる。
　そして、股間に差し入れた手で、音をたてながら先端を揺らしている太いバイブを、ゆっくりと自分の内部に埋め込んでゆく。
「あっうぅ・・おぉ・・んっ〜〜」
　動き回るバイブが、晶子の身体に根本まで飲み込まれると、その下腹部が大きく一度、ぎゅうぅと深く収縮した。そしてすぐに、まるでしゃくとり虫のように激しく波打ち始める。
　青年は晶子のこの肉体を見つめながら、成熟した女性の内部で揉むように扱かれる、自分のペニスのイメージを想像していた。
（「あぁ・・なんて卑猥な動きをするの・・堪らないよ晶子さん・・」）
「ん゛っあぁ〜〜」彼の全身が伸び上がり、直後に青年は絶頂の声をあげる。
　ぶる下がっていた彼の陰嚢が上に向かって、ぎゅうぅと収縮して小さくなり、それと同時に、溢れるほどに精を溜めた彼の性器は、その先端から白い体液を一気に迸らせていた。
（「もう？・・とても興奮したのね・・そんなにいい？、私のからだ・・」）震えながら、眼を輝かせる晶子。
「あっ！、あ゛〜〜晶子さんッ・・」青年の手が上下する度に、夥しい量の精液が噴き上がる。
「あぁ、素敵よ、うっとりするわ・・ハッ、あ・・いいわ、もっと・・もっと、興奮させてあげる。」
　晶子はさらに強い刺激を求めて、今度は上向きに寝転がると、大きく拡げた股の間をカメラに向け、腰をすこし浮かせる姿勢をとる。
　それから、右手でバイブを激しく抜き差ししながら、狂ったようにその腰をくねらせ始める。
「ハァ、ハッ、うぅ・・あぁ、奥まで見えてる。・・はぁ〜凄い・・もうびしょびしょになって・・」
　これを見た青年のペニスは、縮むのを止め再び真っ赤に充血した。
　そして、こちらも口を半開きにしたまま、うっとりとその腰を上下させ始める。
「あんっ・・うんっ〜・・いぃ・・あっあぁ〜、わかったわ・・会ってあげる。」下半身から伝わる快感に半分自制心を失った晶子は、そう呟いた。
「アッ・・はぁ〜・・もし、このまま・・私のためにもう一度射精してくれるなら・・あなたと会ってあげる。あんっ！・・ん〜・・どう？、できる？」
　晶子は痺れる快感に目を細め、涎を垂らしながら、青年にそうたずねた。
　大きく一度頷いた青年は、画面の中の晶子の股間にペニスを擦り付けるようにしながら、それを扱き始める・・

　晶子は、画面に映し出された青年の股間にそっと顔を近づけた。
　そして、舌を一杯に伸ばして、画面の中の青年のペニスを、下から上に向かって大きく舐めあげる。
　暫くそのまま、白い精液を噴上げる元気のいいペニスをうっとりと見つめていた晶子は、やがてキーボードに手を伸ばした。
　そして、「すぐに会いましょう。たっぷり可愛がってあげる。」と、ヌルヌルに濡れた手で入力した。


９．

「ねえ、誰か好きな人がいるんでしょう？」
　香織は、後ろから恭子のスカートの中に両手を差し入れながら、そう訊ねた。
「いないわよ、そんな人・・」白を切る恭子。
「うそ・・わかってるんだから・・」
　香織は、恭子の上半身を抱きすくめるようにしながら、スカートの中の左手を、ショーツの上の部分から中に滑り込ませる。
「いゃんっ・・やめて・・」
「ねえ、教えて・・」「本当にいないの、そんな人・・」
　香織は左手の指で、恭子の割れ目を直接押し開きながら、ショーツの布越しに右手の指先を、香織の一番感じる突起に押し当てる。
「さあ、言っちゃいなさいよ・・これでも言わない？」
　香織は右手の中指と人差し指を、円を描くように恭子のショーツの表面で滑らせはじめた。
「あっんっ！・・いゃ・・はっあぁ・・うんっ〜」
　忽ち背中を撓らせ、歓喜の悲鳴を上げ始める恭子。
「他の人にされると変になるでしょう？、これ・・どう？、気持ちいい？」
　感じ過ぎる若い陰核を、薄い布越しに繊細な指先で撫で回す、香織の絶妙な愛撫に、恭子の口が大きく開き、そこから声にならない深い吐息が漏れだす。
「はぁあぁ・・・ハァ〜〜・・」
「途中で止めてもいいの？、教えないと、止めちゃうわよ。ねえ・・」
　香織は意地の悪そうな顔で薄ら笑いを浮かべながら、今度はショーツの中に忍び込ませた左手の中指を、恭子の身体の中にそっと差し入れる。
「はっあぅっ！、あ゛・・ん〜〜・・」
「ここ？・・こっち？、逝きそうね、恭子・・あぁ、可愛い・・」
　香織は恭子の身体の反応を確かめながら、嬉しそうに細い指を動かし続ける。
　やがて、夢中になった恭子が香織の腕にしがみつき、絶頂へと昇りはじめると、それを察知した香織が、いきなり両手の動きを止める。
「はっ！、あ・・いやぁ・・止めないで・・お願い香織・・」
　直前で突き放された恭子は、泣きそうな顔で後ろの香織にしがみつき、必死でその首から顎に口づけを繰り返す。
　香織が恭子のスカートのホックを外して、それを下に引き下げると、恭子は、自分からブラウスを脱ぎ始めた。
「誰なの、ねえ・・教えてよ。恭子・・」
　香織は真剣な顔で、愛しい恭子の頬を撫でながら、そう問い返す。
「お兄さん・・」恭子は、消え入りそうな小さな声でそう呟いた。
「えっ？、誰？」よく聞き取れなかった香織は、もう一度聞き直した。
「お兄さんなの・・」
「お姉さんの旦那さん？」
「ええ・・」
「・・・」
　香織はどう応えたらいいか、わからなくなって、口を噤んでしまう。
　だが、暫く間を置いてから、さらに事の核心を恭子に尋ねた。
「お兄さんも、あなたの気持ちを知ってるの？」
「知ってるわ・・両想いなの。」
「でも、それじゃお姉さんが・・」
「言わないで！、わかってるの・・わかってるのよ。」
「恭子・・」
　香織に背を向けた姿勢で横たわる、恭子の括れたウェストと、なだらかな肩のライン、そして細く長い首が、彼女の嗚咽に合わせて細かく震えている。
　香織は大好きな人の悲しむ姿を見ていられずに、恭子の背中にそっと寄り添った。
　それから「私は、なにがあってもあなたの味方よ。」と、静かな声で恭子にそう告げると、彼女の腰に手を回し、その首筋に口づけをする。
（「恭子・・嫌な事は全部忘れさせてあげる。さあ、来て・・」）
「あっ、あぁ・・香織・・」
　恭子は、首を回して香織の口づけに熱く応えながら、小さなショーツのへそ下の隙間から、中に忍び込んでくる香織の指の感触に、全神経を集中させる。
　そしてその指が、痺れるような快感を彼女の身体に与え始めると、うっとりと安心しきった表情で仰向けに寝転がり、その両手を高々と頭の上に挙げた。
　今や、恭子の眩しい裸体は、ピンクの薄いブラとお揃いの極小のスキャンティだけで、隠されていた。
　香織はそんな恭子を嬉しそうに見下ろしながら、ほっそりとした腰骨にかかるスキャンティの紐に手をかける。
　そして、それを下に引き下げながら、彼女の上にゆっくりと覆い被さってゆく。
「あっあぁ〜・・ハッ、ハッ・・」「んっ、んっ・・んっくうぅ〜〜っ！」
　すぐに、二人の悲鳴に近い歓声が、部屋中に響きわたった。
　共働きで夜になるまで誰も帰ってこない、香織の家の彼女のベッドの上で、二人の処女のいつ果てるとも知れない愛の交歓が続く。
　二人は部屋が暗くなってゆくのにも気付かないまま、取り憑かれたように相手の股間に顔を埋め続けた・・