| ７ 気が飛んだみたいな彼女 「ひざまくらをしてもいい？」 真衣は、まっすぐ見つめられながら、彼に言われていた。 真衣は、彼を見下ろしている。 （高校の時の、彼氏の目にそっくり！） と真衣は思う。胸がドキドキする。 むかし、彼氏と、河原の草叢で寝転んで。そして、互いに見詰め合ったことがある…。 彼氏の目は、とてもやさしくて。でも、とても情熱的で。いや、とても甘いまなざしで…。数学の問題を解いている時の彼氏の目も素敵だけど、その真剣なまなざしよりも、なぜか、何倍も、わたしの心に沁みてきたものだった…。 今の、目の前の彼の目も、甘くて…。引き寄せて、その目にキスしたいほどに。 「どうしたの？」 眞司のまなざしは真剣そのものだった。 「ううん、何でもないよ」 真衣は、首を振った。 「じゃ、いいの？」 「よくないよ」 真衣は、そう否定の返事をしながら、彼の目に、悲しみの色模様が広がっていくように思えた。 彼は、目を閉じた。 真衣は、指先で、その目に触れた。まるで、『ごめんね』と、あやまるかのように。 彼の手が止まっている。 真衣は、閉じられた彼の目にキスをした。そして、彼の頬を指先で撫でる。 と、真衣は、お尻の辺りに、むずがゆいような感覚を覚えていた。 見ると、彼の手が、自分のお尻をさわっている。 『こらっ！』 と、怒りたいのに。でも、なぜか、怒れない。 わたしが言葉に出して、眞司を怒らないせいなのか、それとも、わたしの手で、彼のわるい手をどかせないからなのか、彼は調子に乗ったように、わたしのお尻を撫でさするのを止めない。止めさせなくては、と思うのに、なぜか、それがはっきりと言葉に出して、言い出せない。それに、股間の、腿の付け根ところが妙に熱くなってくる。それだけならいいのに。なぜか、じっとりと股の奥の方から、暖かい液体が滲み出て来るように感じている。 彼の手が、お尻から内腿に伸びてくる。 「眞司、だめよ！」 真衣は言った。 「どうして？」 眞司が目を開けて、抗議してくる。 （顔が赤くなっていないかしら？） 真衣は、でも、まっすぐに眞司を見下ろしていた。 「気持ちがわるいのかい？」 眞司が聞いてきた。 （どう答えたらいいのだろう？） 真衣は、言葉に窮している。 それに、彼は、内腿には入れ込まないものの、お尻のあたりで手を動かすのは、まだ、止めていないようだ。 「ねぇ、ちょっと、席、はずしていいかな？」 真衣は、冷静さを装いながら言った。 眞司は、頷いている。 （実際、こんなんじゃ、彼に、匂いをかぎつけられるかもしれない） 真衣は、股間の濡れを感じながら、立ち上がる。 「早く、帰って来てね」 仰向けになった眞司が、見上げている。まるで、母親がいなくなるのを恐れている子どものような目をして。 「わかっているわ、すぐよ。すぐに戻って来るわ」 真衣は、もう、決めていた。それで、まっすぐに、バスルームに向かっていた。 真衣は、水の溜まっていない、バスタブの中に立っていた。そして、シャワーを浴びていた。 『困ったなぁ、困ったなぁ』と、真衣は呟いている。 確かに、お尻を触られるのは、ちょっとくすぐったい気もするけど、けっこう気持ちいいのだ。でも、そんなこと、彼にさせるのは、ちょっと、癪にさわる気がするのだ。昔の彼氏なら、させてもいいかもしれないけど…。 真衣は、戻ってきた。 Ｔシャツと短パンの姿だった。 眞司は、寝ころがってはいても、ドキッとした、心臓のあたりが。 彼女の二の腕はほっそりとしていて、やけに、セクシーなのだ。 そして、膝小僧が見える短パン。下肢のふくらはぎが、真っ白で、大きくふくらんではいなくて、スラッと真っ直ぐに伸びている。それがいかにも、自分好みのように思える…。 「長かったね」 眞司は、興奮を押し隠しながら言う。 「そうかしら？」 真衣が、近くに腰を降ろそうとしている。 「なに？。すごく、いい匂いがするよ」 「そうかしら？」 眞司には、ちょっと、真衣の髪が濡れているのがわかった。 （ああ、彼女、シャワーを浴びてきたんだ…） 「何か、ボディ・シャンプーみたいな匂いがするよ」 眞司は言った。 「そう？」 と、真衣は答えた。 で、さらに、真衣は眞司に聞いてみる。 「この匂い、好き？」 「ああ、好きだよ」 眞司がちょっと笑っている。でも、この匂いが好きだ、というのは、冗談ではなく、本当みたいな気がする。真衣は、安心した。 真衣は、くつろいだ気分になって、足を横に伸ばして座っている。と、眞司が、背中を絨毯の上に、すべらせながら近寄ってきたと思うと、ひょいと首を持ち上げ、真衣の太腿の上に、頭を乗せてしまった。 真衣は、勝手に膝枕をされてしまっていた…。 怒らなくてはならないのに。でも、彼の頭の重さがまったく気にならない。いや、太腿の辺りが圧迫されて、むしろ、くすぐったく、気持ちがいい。 が、彼は、こともあろうに、自分のおでこを、わたしのお臍の下あたりに、ゴリゴリと押し付けてくるのだ。 「やめて！」 「痛いの？」 「いや、そうじゃないけど」 「じゃ、いいじゃないか」 彼が、腕を真衣の腰に回してくる。そして、ウエストのあたりを手のひらで撫でてくる。 「だめよ」 「気持ちわるいの？」 「いや、そうではないけど。でも、だめよ」 「どうして？」 「どうしても」 眞司は、手を、彼女の腰まわりのところから離さなくては、と思う。でも、意思の力ではだめなのだ。お尻の引き締まった肉、ウエストの柔らかい部分、そこは、手で撫でていると、とても気持ちがいいのだ。 （早く、彼女が、自分の手でもって、僕の手を、払いのけてくれればいいのに…） 眞司は、いやなら、彼女が自分の手で、拒絶反応を示してくれるだろうと、甘い観測をしていた。で、手の動きを止めない。 眞司の手は、真衣のわき腹へと這い上がっていく。そして、さらに、腋の下へ。下から見ていると、真衣は、ちょっとくすぐったそうでもあるが、目を瞑っていて、かなり、気持ち良さそうに見える。 肩を撫でたい、首筋を撫でたい。もはや、眞司にとっては、寝ころがってばかりもいられないのだ。眞司は、上体を起こしていた。真衣のくちびるを奪った。そして、キスをしながら、覆いかぶさるようにして、真衣の上体を、絨毯の上に押し倒した。もう、股間のモノは復活の烽火（のろし）を上げていた。 「ねぇ、電気を消して」 真衣が訴えてくる。 「豆ランプは点けていてもいいよね」 眞司は懇願している。 真衣は、しかたなさそうな顔をしている。 「お願いだから、ね！」 眞司は拝み倒した。 立ち上がり、蛍光ランプの紐を２回引いて、部屋を豆ランプのみの灯りにした。 眞司は、スボンを脱ぎ、シャツを取り、トランクスのみになって、真衣の上半身に身を寄せていく。挿入する気はない。しかし、自分が上半身、はだかになることによって、真衣にも、上半身は裸になってもらいたいという思いを伝えようとしていた。 真衣は、目を閉じていた。で、真衣のくちびるに、キスをする。 くちびるをはずすと、Ｔシャツの上からだが、真衣の左のおっぱいをさわってみた。小さいがひどく弾力がありそうに思える。眞司は、真衣のおっぱいが生で見たかった。幸い、豆ランプだけの暗さに、目も慣れ始めている。うっすらとだが、Ｔシャツの胸の英語の文字も読めるぐらいだ。 そのＴシャツをゆっくりとお臍の当たりから胸に向けて、めくり上げた。が、ブラジャーがあった。眞司は、真衣の背中に右手を回す。震える手で、背中側にあるホック（留め金）をはずした。 小さなお椀のようなおっぱい。股間のペニスがビックンと反応する。手でさわってみる。あたたかくて、柔らかい。つき立てのお餅のような感じがする。それに、手のひらに、何か、尖ったものを感じる。 （ひょっとして、真衣の乳首が硬くなっているのかも？） 眞司は、内心、うれしくなる。 真衣の手でイカせてもらったのだ。何とか、今度は、自分の手とくちびるで、真衣にイッてもらいたいと思う…。 眞司は、右手で、真衣の左のおっぱいを揉む。真衣の顔を窺う。決して、いやそうでも、痛そうでもない。とても穏やかな顔だ。安心して、自分の顔を真衣の右のおっぱいに近づけ、乳首をくちびるに挟んだ。舌先で、乳首の先を舐める。くちびるで摘むと、コリコリとしていて、とても心地よい刺激が、くちびるに伝わってくる。子どもに還ったような気がする。夢中で吸う、母に甘えるように。 「ちょっと、痛いわ」 「あっ、ごめん」 あせりすぎたようだ。眞司は反省している。が、この場合は、くじけない。英語の文法を間違えればショックで、もう先には進めないのに。でも、今はちがう、真衣を喜ばせたい一心なのだ。躊躇しているひまはない。ともかく、こうして、好きな女の乳首を吸わせてもらえるのは、最高の気分なのだから…。 眞司は、真衣の乳首から、くちびるをはずし、顔を起こす。 真衣の、白い、引っ込んだおなかを見ていると、股間のモノがビンビンに息づく。 が、別に挿入しているわけではなく、さっき、出したばかりなので、そんなに射精感はない。 おそるおそる、真衣の短パンに手をかける。引き降ろす。白いパンティが見える。骨盤の辺りに来るだろう、パンティの上の方には、うさぎの刺繍がしてある。が、そのパンティに手をかけ、引き降ろす。真衣の、お尻のナマ肉に手がふれる。とても気持ちがいい。眞司は、パンティを下げるのを止めて、しきりに、真衣の、ふっくらとしたお尻を撫でていた。 「ねぇ、ちょっと、くすぐったいよ」 「あっ、ごめん」 眞司は、ちょっと赤い顔をした。 （もっと、お尻、撫でさせてくれてもいいのになぁ） 眞司は不満だったが、お尻を撫でるのを止めて、短パンを真衣の足首のところまで引き下げ、さらにパンティもそこまで下げて、短パンとパンティを一緒に、足首から一気に抜き去った。 真衣は、毛深くはないように思える。 眞司は、高校の頃、夏休みの時だったか、ダチの家に行き、パソコンで、有料サイトの女の人の裸身を穴の開くほど見たことがある…。 『そうだ、女の人は、クリトリスが一番感じるんだ』 眞司は、真衣の太腿に手をかけ、少し、股のところを広げてもらった。そのあいだに、自分の両膝を入れる。正座するような格好で、背中を折り曲げながら、クリトリスを捜す。真衣の股間に、さらに顔を近づけ、恥毛の中にクリトリスを見つけようとするのだが、この暗さでは無理なようだ。指先で探すしかない…。 草叢に、そっと、指を差し入れる。と、何か、コリッとしたものに当たった。 真衣が、ビクッと太腿のあたりを痙攣させたような気がした。 敏感なところなのだろう。 が、眞司には、小豆みたいに小さな突起物のように感じられたのだが…。 （クリトリスって、こんなに小さいのか？） 眞司は思う。 それから、眞司は、高校時代のダチが、『あそこは、包皮を被っているから、そっと剥かなきゃだめだぞ』と言っていたことを思い出していた。が、この暗さでは、とてもじゃないが、そんなことはわかりそうもない。ともかく、恥毛を左右に掻き分け、クリトリスに触らなくては。 眞司は、両手を使って、ていねいに、恥毛を左右に広げつつ掻き分けて行く。何か、突起物が現われ出たように、目にはぼんやりと写るのだが、はっきりしない。両手がふさがっている。しかたがない、くちびるで、その突起物を確かめるしかない。左右両側から、膣を包むようにして小陰唇があるはずであり、この左右の小陰唇が交わる頂き（いただき）のあたりに、クリトリスがあるはずだ。 眞司は、草叢に、くちびるを突っ込む。 「いやよ」 頭上から真衣の声がした。 「じっとしていてよ」 眞司は、頼むしかない。 「いやよ、そんなこと。こすぐったいし。そこは、そんなにきれいなところじゃないわ」 真衣が抗議する。 「そんなことないよ。とても、いい匂いがしているよ」 「まぁ、あなたって、変態だわ」 真衣が、背をつけた絨毯の上から、上体を起こそうとしている。 眞司にしてみれば、じっとして、仰向けに寝ていてもらいたいのだ。そうしないと、なかなか、くちびるで、クリトリスを捕らえられないような気がするのだ。 「お願いだから、じっとしていて。別に、痛いことするわけじゃないんだから」 「でも、あなた、何か、おかしなことしようとしてない？」 「大丈夫。僕を信用して…」 「本当に、大丈夫なの？」 「僕は、君のこと、英語がとてもできるし、尊敬している。それに、すごくかわいいから、好きだし…」 「……」 眞司は、真衣がまた、背を絨毯にくっつけて、静かに寝てくれたような気配を感じた。 眞司は、安心した。 ゆっくりと、顔を股間にくっつける。 草叢が、鼻筋や、両頬を刺激してくれて気持ちがいい。 鼻先がコリッとした突起物に触れる。 その突起物を、眞司は舌先で愛撫しはじめた…。 真衣は、高校の時の彼氏のことを思い出している。 川土手の草叢で寝ころがっていると、彼氏が急に起き上がり、真剣な目つきで、わたしに覆いかぶさってきて。でも、目の釣りあがった彼氏が怖くて、わたしは急に起き上がり、彼氏の許から逃げ去ってしまっていた…。今思えば、彼氏には気の毒なことをしてしまった…。もう、彼氏はあの世に往ってしまっていた。彼氏に思いを叶えさせてあげることはできない…。 真衣は、がまんした、今、彼がしつつある行為を。 くすぐったい。 でも、何だか、股間のどこかが、尖がったように硬くなっているのがわかる。そこを何か、ヌメッとしたものが、掠めていく。 「ああ、だめよ、そんなこと…」 真衣は、うっすらとながらも、自分が抗議している、という意識はある。 「お願いだから、じっとしていて。好きなんだから、ゆるして！」 股間の方から、くぐもったような彼の声がする。 「でも、だめ、だめよ」 真衣は、上へ逃げようとしている。 でも、動けない。彼の手が邪魔で。彼ったら、お尻の下から手をくぐらせ、手のひらを腿の付け根に置き、まるで、わたしの太腿を両肩に抱え込んでいるようなんだもの…。 股間がとてもむずがゆい。腰を左右に振って、真衣は、彼のくちびると舌先の攻撃から逃げようとしている。 『ひどい、ひどい！』 しかし、その真衣の抗議の声は、彼の耳には届いていないみたい…。 「真衣、もうすぐ終わるからね、じっとしていてね」 彼、いや、高校時代の彼氏の声がしたような…。 『あなただったの？』 『そうだよ、真衣。愛しているよ、真衣』 『わたしもよ、謙一…』 真衣は、肩から力が抜けたような気がした。すると、何か、自分の両腿の付け根のあたりから、生暖かいものがドロリと湧き出たような気がした。 眞司は、女の匂いを感じ取っていた。 （がんばれば、きっと、真衣は、イッテくれる！） 眞司は、ていねいさを心掛けた。 『真衣、真衣、愛しているよ！』 真衣は、誰かの声を耳にしながら、くちびるで、突起物をはさまれ、舌の先で、チロリと舐められた時、股間から脳天にまで、電気が走ったような気がした。 そして、付け根から滲み出た淫液を指先で、なぞられた時、内腿のあたりにも、ビクッと痙攣が走った。 『謙一！』 真衣が、からだを弓なりに反らしながら、そう叫んだとき、からだが、フワッと浮き上がり、頭の中に、白い靄（もや）が広がって行った。 「真衣、真衣、どうしたの、大丈夫かい！」 眞司の顔があった、目の前に。 「あなただったの？」 真衣は、眞司の目をじっと見ていた。眞司は、とても心配そうなまなざしをしている…。 部屋には、いつの間にか、ライトが点いていた。 （えっ、わたし、気を失っていたの？） そういえば、高校の頃、虫歯を抜かれるとき、歯茎に麻酔注射を打たれ、一瞬だけど、気を失ったことがある。 真衣は、眞司の青白かった顔に、血の気が戻っていくのがわかった。 「よかった」 安堵したような眞司の声が、真衣の耳に入る。 「心配していたんだよ。胸に耳を当てると、確かに、心臓の音はしていた。でも、気を失っていたようなので、僕は心配で、心配で…。頬をつっついたのは、わかった？」 眞司の目が潤んでいる。 真衣は、彼の、まっすぐで澄んだ目を見るのが、恥ずかしかった。 からだを横にし、顔を、眞司の胸にくっつける。 彼の匂いがした。 心が休まるような気がする。 真衣は、さっきのお返しとばかり、自分のおでこを、ぐりぐりと、彼の胸に押しつけて行った。 （つづく） |
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| 2010.10.16掲載 |
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