| ５ 女にも感じてもらいたい 「どう、気持ちよかった？」 女が聞いてくる。 祐介は目を開けた。 そばから、とても女っぽい匂いがしてくる。 気がつくと、祐介は、女を横抱えにしていたのだ。 女の髪を撫でながら、祐介は言う。 「ああ、とても気持ち良かったよ」 部屋は薄暗いといっても、女の顔は見える。 女が笑っているのだ。 その笑顔に、祐介は、調子に乗っておしゃべりをする。 「だって、好きな女を抱けたんだもの、気持ちいいに、決まっているだろ」 女が、また、笑った。 「俺、あした、叔父と叔母に、ちゃんと、あやまるからね」 「……」 「何か、君のおかげで、勇気が湧いてきたよ」 「……」 祐介は、女の背中に回した手に力を込めて、女を引き寄せた。 女の額に、キスをする。 すると、また、股間のモノが硬くなった。 顔をずらせて、ふたたび、お紺のくちびるを吸う。 やはり、お紺のくちびるは、甘くておいしかった…。 「ねぇ、君はイカなくて、いいのかい？」 祐介は、唇をはずしながら、女に聞いている。 「……」 女は、黙っている。 でも、祐介が、そっと女の表情をうかがうに、男に口を吸われて、気持ちは良さそうな感じではあるみたいで…。確かに目を瞑っているが、うっとりとしているような顔つきに、祐介には見えるのだった。 祐介は、すでに、また再び、欲望のかたまりになっている。 女にきらわれようが、女に拒絶されようが、そんなことは気にしておられない。おのれの欲望こそが、すべてだった。 祐介は、女の胸をはだけた。 そして、乳房をぽろりとばかり、外に出す。 白くて、形のよい乳房に、欲情のとりこになった祐介は、くちびるを開けて、むしゃぼりつく。 そして、口をすぼめながら、乳首をしゃぶり、すする。 幼い頃、母は病気がちで、甘えられなかった。その反動なのだろうか。女の乳房を揉みながら乳首をしきりに吸う。まるで、赤子のように。でも、赤子とちがうのは、もう、自分の股間のチ〇ポが、ギンギンに硬くなっていることだ。さっき、女の上になって、精一杯、精を吐き出したというのに。 女が、からだをクネクネさせながら、あずり出す。きっと乳首を吸われて、感じているにちがいない。 女にとっては、自分の手は効くのだ、と祐介は思う。 もし、女が男を嫌いと思うなら、手を伸ばして、男の顔を跳ねつけるだろう。が、それはない。祐介は大胆になる。手はおっぱいから、わき腹へと移る。そして、手はやがて、お尻へと移り、お尻を撫でて行く。着物を着ている時からはあまり想像できなかったが、やはり、女なのだ、そのお尻は、むっちりとして大きかった。 そして、祐介は、手のみならず、顔もずらし、おっぱいから、おなか、そして、恥骨のあたりへと、下へ下へと徐々に移動させていく。 と、くちびるが、女の恥毛に触れる。くちびるを尖らせるようにして、繁みを掻き分ける。いい匂いだ、入浴して、ここも石鹸で洗ったものと思われる。くちびるで、オサネ（陰核）をさがす。思ったほど硬くなっていない。で、男は、自分の唇を突き出すようにして尖らせながら、その陰核を啜った。気持ちが良かったのか、ズンッとばかりに女が腰を突き上げたので、女の恥骨が、コンと男の鼻頭を打つ。でも、欲情に駆られている男にとって、それは何でもない痛さだった。それに、女が自分の愛撫で興奮していると思うと、やるせなく、もっともっと、とばかりに、舌先を口許から出して、陰核を舐め、そして硬くなって来た陰核を、くちびるで挟むようにして啜ってやる。陰核がさらに硬く尖って来ると、その裏側を舌で舐め上げる。すると女がビクンとお尻を持ち上げ、股間を狭める。男は、女に内腿で頭を挟まれ、こめかみのあたりが少し痛いと感じた。 祐介は、女の股に手を入れて、狭くなった股間を押し広げる。 女は素直だった。徐々に、股間に入れていた力を抜く。 男は、女のつけ根に、深くおのれの顔を差し入れ、オ○ンコを深くすする。 舌先を入れる。と、淫液がジワッと奥の方から滲み出る。その淫汁の匂いは、まさしく雌のもので、男はオスになって、それを、さもおいしそうに、咽喉元の方へと啜り込む。 やや顔を股間より離して、雌の粘液を啜ると、「ペチャペチャ」と音がする。卑猥な音だが、女が感じてくれているという、うれしさの方が、男には勝っているのだ。両方の内股に手を置き、さらに、女の股ぐらを左右に大きく開いて、オ○ンコの中へ、おのれのくちびるを、そして、舌先を入れ込んで、女の淫液を啜ると、男はおのれ目が釣り上がっているのがわかる。そして、股間のモノの先からは淫汁が漏れ出ているのがわかる。が、そうはいえ、先ほど、精液を十分に解き放っているせいか、それを女の中へ挿入したいという欲望はかすかに抑制できていた。 男は、さらに、女を感じさせようと、右手を上の方に伸ばして、乳首を揉む。そして左手は女の、恥骨の辺りの土手の上に置き、親指の腹のところで、女の硬くなった陰核をいじくってみる。肝心な舌先は、不器用ながら、女の小陰唇の内側の粘膜をなぞっていた。 「ああ、あなた、あなた…」 股間に顔をうずめている男は、上の女が、おのれではない、誰かを呼んでいるように思われるのだ。 祐介は、耳を凝らす。 「ああ、あなた、ああ……」 女は涙声になっている。 明らかに、自分を呼んではいない、他の男を呼んでいるのだ。 祐介は、興ざめした。が、祐介とすれば、女をイカせて、ぐったりとさせ、深い眠りにつかさせてやりたいと思っている。 祐介は、女が他の男のことを想っている、と考えると、しだいに股間のチ〇ポが、しぼんでいくように感じる。 がしかし、祐介はがんばる。陰核から親指をはずし、替わりに舌先を当てる。そして、できるだけ優しく、上に舐め上げ、下へと舐め降ろす。そして、時々、顔を左右に揺らしながら、陰核の左右両側を舐めていった。 「あああ、あなた、あなた、来て、来て」 女は、自分の股で、男の頭をきつく締め付け、そして、全身をわななかせながら、体を弓なりに反らせて、イってしまっていた…。 祐介は、上半身を起こし、女の腰巻の布切れで、女の淫液でよごれていた口もとを、ぬぐう。 そして、女を横抱えしながら添い寝をする。 「ああ、あなただったの」 女がそんなことを言う。 祐介は、女を見た。 目が潤んでいる。 何故か、女がかわいそうに思えた。 （この女とて、かつて、男に捨てられたことがあるのだろうか？） が、祐介は、女を白けさせるのはまずいと思う。 「ああ、そうだよ。君のそばに、僕はずっといたんだよ、君を守るために」 「そうだったの？」 「ああ、そうだよ。君が好きだから…」 祐介は、女を強く抱き寄せる。 （この女にも、かつては惚れた男がいたのだろう…） でも、祐介は、今、嫉妬の気持ちはない。女をこうして、胸の内に抱き止めているのだから。 「わたし、恥ずかしいわ」 「なんで？」 「だって、気持ち良くなってしまって…」 「馬鹿なこと言うなよ。あんなことをすれば、誰だって、気持ち良くなるさ。それに、そうなったからと言って、別に恥ずかしがる必要もないし」 「あなたはそうかもしれないけど…」 「いいじゃないか、お○んこすれば、誰だって、気持ち良くなるんだから。それに、俺は君が気持ち良くなってくれて、うれしかったよ」 「あなたって、おかしいわね」 「ああ、おかしい、かもね。本当なら、男はみんな、兵隊に志願し、お国のために働きたいと思うだろう。ただ、俺は、そんなことより、女が好きだ、そして、お前という女が好きだ。例え、非国民だと言われようと」 「どうして？」 「人と殺し合うのはいやなんだ。臆病者かもしれないが。そして、弱虫の俺が、お前を好きなのは、お前が勝気な女だからだ」 「ヤダーぁ、勝気だなんて」 「おまえは勝気じゃないのか？」 「わたしは、優しい性格なのよ…」 「そうかな？」 「そうだよ」 「じゃ、やはり、おまえに惚れちゃうかな、俺、優しい女が好きだから」 「馬鹿ばか、そんなこと言って！」 「……」 祐介は、今にも、女が手で男の胸をどかし、隙間を作って、男の胸を叩きそうに思われたので、さらにきつく女を抱き締めて、「好きなんだ、おまえのことが大好きなんだ」と女の耳もとで、熱っぽく囁いた。 女は、おとなしくなった。 祐介は、おとなしくなった女を胸に深く抱え込みながら思う、俺にとっては、女がすべてなんだ、と。 実際、何で働くのか、と言えば、それは、好きな女を食わせるためなのだ。そして、もし仮に、兵役に応募しようとするなら、それは好きな人を、敵の兵士から守るためなのだ。それを非国民と言われるなら、それもやむを得まい。俺にとっては、お国よりも、好きな女がすべてなのだから。 女が寝息を立てている。 （こいつは、昔好きだった男のことを思い出しているんだろうか？） と、祐介は思う。 が、それでも構わない。 女に好かれて、ベタベタされるのは、かなわない。自分が女に惚れて、ベタベタしていくのは、いっこうにかまわないのだが。 やはり、俺という男にとっては、「惚れられて、何ぼ」というよりは、「惚れて、何ぼ」という世界の方が向いているらしい。 こと、男と女の世界において、男が受身になるなんて、金輪際、ごめんこうむりたい。 そして、もし、この女が、「惚れて、何ぼ」という世界より、「惚れられて、何ぼ」という世界に生きている女だとしたら、真逆な（全く逆の）感じで、俺たちは、けっこう相性がいいのかもしれない…。 確かに、この女は気が多くて、なかなか安心できないだろう。でも、こんな気が多い女だからこそ、こちらはやきもきして、恋心が冷めないのかもしれない…。 こいつのこと、どこまで、惚れられるか、やってみよう、と、祐介は思う。実際、それだけの身上（財産）はある…。 祐介は、店を大きくしたり、お金をもうけるなどといったことには、全く関心がなかった。関心があるのは、ただ、惚れた女のことだけだった…。 （つづく） |
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| 2011.5.5掲載 |
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