携帯マル秘人妻サイト

８．

　吉野真由美は結婚して５年目でやっと妊娠した。
　夫の貴文としては１日でも早く子どもが欲しいと願っていたので、信じられないほどの喜びだった。
　ところが３ヶ月に入った時、真由美は流産してしまったのだ。
　病院で、もう妊娠は無理だと診断され、その時の貴文の落胆は相当なものだった。

　真由美は現在、30歳。
　流産して１年が過ぎていた。
「子どもの産めない女なんて、何の役にも立たない！美人だと言っても、毎日、見てれば飽きてくる・・・・」
　貴文の口癖のような言葉に、真由美は日に日に滅入っていった。

　そんなある日、サークルで知り合った杏子から誘いを受けた。
『今度「携帯マル秘人妻サイト」を開設するの！参加しない？人生、これからの方が長いのだから、楽しまないと！子どもが出来ないのなら安心してセックスできるじゃない。そう割り切らないと神経が変になっちゃうわよ！』

　その時は即答できなかったが、杏子の言葉は真由美の心に残った。
（夫はもうわたしに見切りをつけてる・・・・もうどうにもならない。30歳か・・・・いえ、まだ30歳だわ！身体だって少しも衰えてないし、わたし・・・・オンナとして生きよう！でもオープンに浮気はできないから・・・・うん！杏子さんの誘いに乗って自分を変えていくしかないわ！）
　そう自分の中で結論付けた真由美は、杏子にOKの電話をした。

　真由美の身長は162cm、スリーサイズは84・58・85と、結婚当初から変わらないプロポーションを保っていた。
　髪はセミロングで卵形の顔、目は大きめで二重、鼻筋は通って高く、口の大きさはバランス良く口唇は薄めだった。

　高校時代から美人と評判で、大学の時はミスキャンパスに選ばれた。
　男性経験は高校２年の時に担任の教師と初体験し、その教師によって開花され、セックスの悦びを知った。

　大学時代にサークルの先輩と関係したが、１度で別れた。
　高校の時の教師と比較すると、何もかもが稚拙で面白くなかったのだ。
（つまらないわ・・・・わたしには年上で経験豊富な男が似合ってる）
　真由美は大人の男性の方が自分を満足させてくれると思い、その後は大学の准教授と関係を持った。
　卒業するまでその准教授と淫猥な関係が続き、ありとあらゆるセックスを経験した。

　就職して今の夫と知り合い、真面目な性格に惹かれ結婚した。
　子どもを欲しがっていた夫とのセックスは、セックスそのものを愉しむというより、妊娠が目的だった。
（セックスは大学時代に満喫したから、もういいわ！夫の為にも早く妊娠して子どもを産みたい・・・・）
　そう決心しての結婚生活だった。
　だが・・・・破綻した。

　美人でプロポーションも良かった真由美は、結婚後も誘われることが多かった。
　流産して夫が自分から離れていった頃も、多くの男から誘いを受けた。
　しかし真由美は、夫を裏切ることは決して無かった。

　そんな真由美が夫との関係に自分なりに区切りをつけたのだ。
（自分だけじゃなく他の人妻の女性たちが悦ぶような男を探さないと・・・・今までに誘ってきた男たちはダメだわ。口が固くて遊べる男・・・・いざとなると見当たらないものね）
　真由美は杏子との約束期限を意識していた。
（夫がどうであろうと離婚はしない・・・・今までどおり、表向きは貞淑な妻でいよう！裏の顔では久しく忘れていた快楽を求めて楽しく生きる。わたしだって、自分のことを考えて生きてもいいじゃない！）
　そう決心すると、滅入っていた気持ちがスッと晴れていった。

　この日、夫を仕事に送り出した真由美は家事を手際よく片付け、庭の花木の手入れをしていた。
「真由美さん、チョッといいですか？」
　真由美が声の方に顔を上げると、そこにはよく似た顔が並んでいた。
「あら！瞬君と翔君、どうしたの？学校は？」
　瞬と翔は真由美が住む住宅街の同じブロックに住む双子で、高校２年生の兄弟だった。
「今日は試験明けのお休みで、サボったわけじゃないよ」
「そうなの。それでどうしたの？」
「うん・・・・実は、相談したいことが・・・・」
「ふぅ～ん、じゃあ、中で聞いたほうが良さそうね」
　真由美は庭の手入れをしていた道具を片付け、ふたりを部屋の中に入れた。

　真由美はリビングのソファにふたりを座らせ、冷たい飲み物を出した。

「それで相談というのは何？」
「うん・・・・」
　瞬は話そうとして口ごもった。
「実は・・・・話しづらいけど、真由美さんは美人で経験も豊富そうだから」

　翔が瞬の後を続けた。
「ぼくらふたり、同じ女の子を好きになっちゃって」
「エッ！そうなの？そう・・・・双子だとそういうこともあるのね」
「それで、３人で付き合っていたんだけど・・・・」
「ん？」
「やっぱり話ししづらいよ！」
「そうだな。こういうのは誰が相手でも話しづらいよ」
　ふたりは顔を見合わせて頷き合った。
「何よ！そこまで話しをして止めるなんて。それに、ふたりが女の子のことで悩むなんて不思議だわ」
「どうして？」
「だって、言うなれば、ふたりはジャニーズ系でモテルでしょ。そんなカッコイイふたりが女の子との付き合いで悩むなんて・・・・」

　瞬と翔は真由美の表現どおり、今風のカッコイイ若者だった。
　体格は逞しいとは言えないが、スラリとした体躯はまさに今風だ。
　今の時代のモテル典型的な容姿で、真由美が見てもカッコイイと思った。
「でも・・・・ぼくらふたりと女の子ひとりなんだ。セックスとなったら話しは別だよ」
「エッ！セ、セックス？」
　真由美は驚いて大きな瞳を見開き、瞬と翔の顔を交互に見た・・・・。

あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。

2008.9.13掲載

［9話］／［7話］

秋水さんの他作品（2008.8/20現在）
『淫香』	『淫蜜』	『サブリミナル』
『サイコ・・・千年王国』	『ＳＥＸ仕置人　ミカ』	『劇団ＩＮ＝イン』
『青春放浪記』	『淫界大迷宮』	『雨宿り・・・』
『実践結婚相談所』	『プロフェッショナルのオンナたち』	『萠・・・その性』
『性春浪人』	『市役所の人妻たち』	『平成の団地模様part1』
『ベビーシッター亜季』	『主婦の中に潜むオンナ・・・』	『性少女・・・Ａ』
『引越しサービス』	『犯す！』	『平成の団地模様part2』
『恵子・・・不惑の時』	『撮られた女』	『哀しくも悦びの・・・性（さが）』
『強姦日記』	『続平成団地模様』	『異次元ＰＯＳＴ』
『妄想と現実の狭間で』	『遠い日の記憶』